ひと葉 ~弐の巻~   作:亜空@UZUHA

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アクアリウム

 

 イタチの死……サスケとナナの消息不明……そして自来也の死。

 木ノ葉隠れの里は不吉な暗雲がかかったかのようだった。

 しかし、忍たちに悲しみに暮れている暇などなかった。

 暁がいつ動き出すかわからない今、火影は自来也の残した“暗号”の解読を最優先事項として命じ、里の総力を上げてこれに取り掛かっていた。

 

 そんな中、カカシ、ヤマト、サイの三人一組(スリーマンセル)は、里を離れて周囲の警戒任務に当たっていた。

 暗号解読をナルトとサクラに任せた彼らは、任務に当たりつつも()()()()を胸の奥に潜ませていた。

 それは、行方不明となっているサスケとナナの消息を掴むこと……。

 二人の生死すら不明である今、わずかな情報でも手にしたいのが本心だった。

 が、暁の猛威が迫っているこの時期に、たった二人のために当てもなく時間も人員も割けるはずもない。彼らは日々淡々と警備の任をこなすだけだった。

 

 特にカカシにとっては、やりきれない想いを抱きながらの任務だった。

 サスケもナナも大切な部下で……その性格もよく知っている。

 ナナは秘めた心を自分にだけ打ち明けてもくれた。

そのナナを修羅の場へ行かせたのも自分だと悔いてもいる。

 二人を見つけたとして、連れ帰ることができるとは思わない。見つけられる可能性も低いと知っている。

 ただ、ひとつだけ望みを懸けていた。

 

 サスケとナナが……一緒に居てくれること。

 

 それだけはまだ願っていた。

 

 

 

 

「カカシ先生」

 

 少しだけ二人に想いを馳せていた時、合流地点に定刻通り現れたサイが報告した。

 

「南東の森、異常ありませんでした」

「よし、ヤマトの報告を待って、そっちも何も無ければ里に帰るぞ」

 

 タイミングよくヤマトも木陰から現れた。

 だが、木の幹から現れたそれはヤマト本体でなく彼の木遁分身だった。

 

「カカシ先輩」

「どうした? 異常発見か?」

「ハイ」

 

 あまり表情のないヤマトだったが、その顔を見てカカシに嫌な予感が走った。

 

「すぐに来てください……」

 

 

 カカシとサイは、ヤマトの分身に誘導されて岩の転がる沢へたどり着いた。

 岩影に身を潜めて待っていたヤマト本体は、黙って少し先の崖を指さす。

 

「数分前、あの斜面から木ノ葉の暗部の者が一人現れ、明らかに疲弊した様子で木ノ葉の方角に走り去りました」

 

 ヤマトは簡潔にそう言った。

 

「疲弊していた? 戦闘による怪我か?」

「いえ、怪我をしているようには見えませんでした。チャクラを消耗しているような……。周囲の警戒もおろそかで、明らかに様子がおかしかった」

 

 ヤマトはカカシの代わりに第七班を率いる直前まで暗部に居た。

 だから『明らかに様子がおかしい』は、ただの印象ではなく明らかな事実だった。

 そして、

 

「それにあれは正規の暗部でなく……、“根”の者でした」

 

 内情も知っていた。

 

「“根”……ダンゾウの部下か」

 

 カカシはそう呟き、チラリとサイをうかがった。

 彼もまた顔には出さないタイプだから、何を考えているのかはわからなかった。

 

「様子のおかしな“根”の者……。ここで何をしていたか……」

 

 カカシは周囲や崖の斜面を注意深く見回した。

 辺りは岩が整然と並ぶばかりで、雑草が踏み荒らされた跡すらない。斜面にも特に不自然な物はないように見える。もちろん自然界にはない匂いも感じ取れない。

 さすがは暗部……。痕跡を消すのは得意なのだ。かつての自分やヤマトと同じで。

 が、そのヤマトが違和感を覚えている。

 この辺りで何かがあったか、この辺りに何かがあるのは間違いない気がした。

 その時。

 

「この“地形”に覚えがあります」

 

 何の前触れもなく、黙っていたサイが口を開いた。

 

「地形?」

 

 カカシとヤマトはサイを向いた。

 サイもまた『ダンゾウの部下』である。今もその立ち位置は変わらないはずだった。

 が、彼は相変わらずの無表情のまま、ためらいもなく二人に情報を差し出した。

 

「“根”では、こういった沢付近の崖の斜面に“施設”の入り口を作っていました」

 

 カカシは敢えてサイの真意を確かめず、差し出されたその情報を受け取った。

 

「“施設”ってことは、ダンゾウの研究所か何かか?」

「僕は詳しく聞かされていませんでしたが、術の研究施設や、極秘に拘束した者たちの留置所など……いろいろだったと思います」

 

 ヤマトも周囲を見回しながら言った。

 

「ここらにもその“施設”への入り口が隠される可能性が高いってことかい?」

 

 サイは大きくうなずいた。ただそれだけだ。二人を説得しようとか、誘導しようとか、そういった意思は感じられない。

 カカシには、その後の指示を従順に受け入れるという態度に見えた。

 

「その入り口はわかりそうか?」

「あの斜面を探せば、見つけられると思います」

 

 やはりサイは淡々と答える。

 ヤマトは表情さえ変えないものの、内心でサイの動向を注視しているのがわかっていた。

 

「よし」

 

 そんな二人に、カカシは言った。

 

「探索しよう」

 

 二人の目が、まっすぐにこちらを見た。

 

「“根”が表立って活動を始めた今、少しでも異変を感じた場合は調査する必要がある」

 

 カカシはサイの視線に合わせる。

 明らかな『敵対宣言』と思われても仕方がなかった。“根”とは一線を画すと……。

 だがやはり、“根”であるはずのサイの顔色は少しも変わらなかった。

 

「では行きましょう」

 

 罠とは思えなかった。

 だからカカシは、黙ってサイの後に続いた。ヤマトも何も言わない。

 そしてサイは、わずか10分程度で施設の入り口と思える場所を見つけて知らせた。

 

「ここです」

 

 サイは斜面を覆う木立の隙間に小さな穴を見つけた。

 

「これが入り口か?」

「はい、間違いありません」

 

 大人の男の身体がようやく通り抜けられるくらいの穴だ。確かに、隠れ家としては申し分ない。

 カカシは最初にその穴に身体をねじ込んだ。続いてサイが、最後にヤマトが入った。

 入ってみると、立って歩けるほどの通路が広がっていた。

 明らかに人為的に彫られており、ここがダンゾウの何らかの“施設”で間違いはないようだった。

 念には念を……という用心深いダンゾウのことだ。この先の油断は許されなかった。

 他に人の気配は無かったが、周囲にトラップが張り巡らされている。

 

「この土壁……匂いを分解する物質を多く含んでいるんだろう。匂いがあまりしない」

 

 カカシの鼻も役に立つ場所ではなかった。

 ダンゾウの施設に出入りしたことのあるサイがトラップの傾向を説明していなければ、いくらカカシとヤマトでも、無傷で進むことは難しかっただろう。

 やがて、彼らは施設の中心部と思われる広間に出た。そこからまた奥に、数本の道が伸びている。

 ここまで来てもまだ、これが何のための施設なのかということさえわからかった。

 どのくらいの期間使われていたのか、最近も使われていたのか……そんな痕跡さえまったく読み取れない。

 改めてダンゾウの用心深さを思い知らされた。

 

「ここから先は三手に分かれて探索だ。何か見つけても見つけられなくても、二十分後にこの場に集合する」

 

 かろうじて安全だけが確認され、三人はそれぞれ分かれて探索を開始した。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 サイは用心のため、前に“墨の鼠”を数匹走らせながら進んだ。

 ダンゾウという上司の性格は、カカシとヤマト以上に分かっているつもりだった。

 必要とあれば味方まで容赦なく切り捨てる。邪魔だと判断すればあっさり殺す。そんな場面を何度か見て来た。

 が、入口から中心部までのルートでネタを出し尽くしたかのように、奥の通路はこれといったトラップが無かった。

 通路の左右には扉が並んでいる。

 サイはひとつひとつ、目についた扉を開けていった。

 どれも簡易ベッドと机、本棚があるだけの殺風景な部屋ばかり。この施設の使用者が暮らすための居住区と思われた。

 そのまま突き当たりまで進んで、ふと昔の任務を思い出した。

 何年か前、もっと木ノ葉に近い場所に設けられた同じような施設に行ったことがあった。

 そこで、一ヶ月間“読書”をするのがダンゾウからの命令だった。

 今にして思えば、あの施設は各国から集められた多様な書物を保管しておく施設だったのだろう。

 彼が読まされたのは、どれも他国の危険人物や凶悪事件について書かれた書物だったから、おそらくは木ノ葉の里には持ち込むことができない種類だったのだ。

 山ほど読んだ内のどれか一冊でもタイトルを思い出そうとしながら、サイは最後の扉を開けた。

 

「え……」

 

 そしてノブを握ったまま凍りついた。

 その扉はすんなりと開いたくせに、内にはとんでもないものを隠していた。

 

 

「ナナ……!?」

 

 

 彼の眼に飛び込んで来たのは、暗い部屋に青白く浮かびあがるナナだった。

 

「ナナっ!!」

 

 部屋の中の様子を細かく確認する余裕などなかった。

 サイは飛びつくようにナナに駆け寄った。

 ナナは筒の形をした“水槽”に入れられていた。薄緑の液体の中、両腕は頭上で鎖に繋がれ、身体には何十本もの管がつけられ、口には酸素マスクのようなものを宛てられている。

 意識はなかった。

 ドンドンとガラスを叩いても、瞼はきつく閉じられたまま、何の反応も無かった。

 口元から出ては消える水泡の音が、ゴボゴボと不気味に聞こえている。

 

「ナナ!!!」

 

 サイはもう一度、思い切り水槽を殴った。

 水槽が少し振動したものの、やはりナナは目を開けなかった。

 サイは動揺を押さえ込み、一度深呼吸をしてから足もとの鼠たちにカカシとヤマトを呼ぶように命じた。

 その時に始めて気がついた。

 水槽の周りに数人の人間が倒れている……。

 面をした暗部……恐らく“根”の者が二人。そして白衣を着た白髪の男が一人。

 彼らはサイが騒いでいても起きる気配は無い。死んでいるのかと思ったが、かすかに身体が規則正しく上下している。

 改めて辺りを見回すと、壁に沿って長机が並べられており、試験管やら器具やら書物やらが所狭しと乗っかっている。ちょうど部屋の中央にこの水槽が置かれているようだった。

 

(実験室……)

 

 嫌な単語が脳裏に浮かんだ瞬間、サイは白衣の男の傍に転がっていた椅子を引っつかんだ。

 彼の周りには書類が散らばっている。

 だが、サイはそれらを一瞥しただけで椅子を手に再び水槽へ戻った。そして一気に椅子を水槽に叩きつけた。

 大きな音がして、水槽は意外と簡単に割れた。中の液体が解放され、部屋中に流れ出る。

 サイはその行方も見届けず、ナナに駆け寄った。

 

「ナナ……!」

 

 恐る恐る首筋に手を添える。弱弱しいが規則正しい脈があった。

 

「よかった……」

 

 呟いた声は震えていた。触れた肌が怖いくらいに冷え切っていたのだ。

 

「なんで、こんなこと……」

 

 下から照らすライトが、いっそう顔色の悪さを際立たせていた。

 サイは奥歯をグっと噛んで、ナナの身体に捕りついた管を注意深く外し始めた。

 中にはかなり奥の血管にまで差し込まれているものもあり、慎重さを要した。

 サイは自身の手先が震えているのを感じた。

 ナナの身体の白さと、胸の傷……。青い唇に濡れた黒髪……。

 どこを見ても胸が痛んだ。確かに、胸が痛んでいた。

 

 

 ほどなく、カカシとヤマトが駆けつけた。

 サイの目にも、カカシのショックが見て取れた。

 

「そうか……このための施設だったワケね……」

 

 いつもの口調だったが、彼の右目からは殺気がこぼれ出ていた。

 

「ヤマト、転がってるヤツらから事情を聞き出せ」

「わかりました」

 

 カカシはヤマトに淡々とした口調でそう言うと、サイの側に立った。

 

「鎖をはずすから、ナナを支えてろ」

 

 カカシが頭上の装置を壊して鎖をはずした。

 サイは崩れ落ちるナナの身体を抱きとめたが、案の定、それほど重くは無かった。

 二人はナナを横たえ、無言のまますばやく傷の手当を施す。

 そこでようやく、カカシがヤマトの方を向いた。

 

「どうだ?」

「どうやら強力な幻術で眠らされていたようです。今、術を解きました」

 

 ヤマトの足元に倒れていた暗部のひとりが、ゆっくりと上体を起こした。

 頭痛がするのか、片手で頭を抑えている。

 

「こ、ここは……」

 

 わずかにずれた面から漏れた声は男のものだった。が、まるで年老いた者のように掠れていた。

 

「君たちは“根”の者だね?」

 

 ヤマトが静かな口調で、だが決して隙を与えないような高圧的な態度で尋問を始めた。

 

「ここで何があったか、話してもらおうか」

「ここ……で……?」

 

 男は辺りを見回した。

 まだ倒れている仲間と、白衣の男と、そしてナナを取り囲むサイとカカシを見て、最後にヤマトを見上げた。

 明らかに様子がおかしかった。

 “根”のサイだからわかる。いや、カカシとヤマトも男の様子がおかしいことには気づいている。

 暗部ほどの忍であれば、たとえどんな状況でもこんなふうに無防備に呆けたりはしない。

 

「サイ」

 

 カカシの声が鋭く突き刺さり、サイは止まっていた手を再び動かした。

 

「他の部屋から毛布を持って来てくれ」

 

 尋問はヤマトに任せている。

 が、カカシは明らかにここから男を威圧していた。

 一流の忍……、元暗部の忍の洗練された殺気を感じ、サイはすぐさま言われた通りに行動した。

 

 ほんの2、3分後に毛布を抱えて戻ると、状況は少しだけ進展していた。

 もうひとりの暗部と白衣の男が上体を起こしていたのだ。

 

「もう一度聞くよ。君たちはここで何をしていたんだい?」

 

 ヤマトは曖昧な問いを繰り返している。

 それも意図的なのだろう。

 

「オ、オレは……」

「う、うう……」

 

 二人の男もまた、まともに口が利ける状態ではないようだった。

 

「カカシ先生、これを」

「ああ」

 

 サイは彼らを横目に、毛布をカカシに手渡した。

 カカシはナナをすっぽりと毛布で包んだ。サイはそれを手伝ったが、そうしなければならないほどナナの身体はぐにゃりとして力なく、まるで人形のようだった。

 

「ダンゾウ様から、『いずみナナを拉致しろ』という命令を受けたのかい?」

 

 そのままカカシがナナを抱き上げるのと同時に、ヤマトが急に核心を突いた。

 すると。

 

「いずみ……ナナ……」

 

 それが鍵だったかのように、最初に目覚めた男がハッとして首を回した。

 男が面越しにカカシに抱かれたナナを見た瞬間に……。

 

「くそっ!」

 

 と悪態づいて壁に飛び退った。

 よほど強力な幻術にかかっていたのか、まだ彼の体幹は安定していないように見えた。

 それでも彼は後ろ手で壁際の机の下に手を伸ばし、何かを叩いた。

 ほぼ同時に、ゴオンという地の底から響いて来るような音がして、全体が揺れ始める。すぐに床、壁、天井に亀裂が走った。

 

「ここを破壊するつもりか?」

 

 男を拘束しようとヤマトが両手を伸ばした。

 二人の間にもサイたちの周りにも、上から瓦礫が落ち始める。

 

「ニレ! 博士を連れて脱出するぞ!」

 

 男はもうひとりの暗部にそう言うと、ドアとは反対の壁に走った。

 ニレと呼ばれた猫面の男はようやく四肢に力を入れ、まだぼーっとしている白衣の男を担ぎ上げる。

 

「待て!」

 

 ヤマトがそれを制した。

 が、

 

「オレたちは同じ木ノ葉の忍……、仲間だ。ここでやり合う意味はない」

 

 男が落ち着いた声で言う。すっかり暗部としての己を取り戻したようだ。

 

「その“仲間”をあんな姿にしておいて、そんな言い分が通るとでも?」

 

 やや苛立ちを交えてヤマトが反論する。

 が、ニレと“博士”が側に寄ったと同時に男は壁を叩いた。

 先ほどから崩れ始めていた壁だったが、叩かれたと同時に綺麗に四角く剥がれ落ち、奥へと続く通路をさらけ出した。

 ニレが博士を担いだまま、その暗がりに吸い込まれるように消え去る。

 

「逃がさないよ!」

 

 残った男は術を発動しようとしたヤマトをけん制してこう言った。

 

「話は木ノ葉で。お互い無事にここを脱出しよう。検討を祈る」

 

 そしてちょうど頭上から降って来た瓦礫をクナイで弾き、ヤマトの腕から伸びて来た木にぶつけた。

 

「待て!」

 

 ヤマトがすぐに追おうとした。

 だが。

 

「追わなくていい、テンゾウ」

 

 カカシが低い声でそれを制した。

 通路の入り口はすぐさま男によって崩され、塞がれる。

 

「先輩?!」

「今はナナを無事に脱出させることが優先だ」

 

 有無を言わさぬ『先輩』の声に、テンゾウと呼ばれたヤマトは大きく深呼吸した。

 

「わかりました」

 

 落ち着いた彼は塞がれた脱出口や潰れかけたドアには目もくれず、瓦礫が積もり始めた床に手をついた。

 

「木遁の術……!!」

 

 床から2本の木が生えた。それらはまるで蛇のようにうねうねと絡み合うように動きながら、天上向かって物凄いスピードで伸びる。

 衝突で天井がますます崩れたが、2本の木が作る螺旋状の構造物は上への通路となっていた。

 

「先輩!」

 

 ヤマトの合図でカカシが螺旋の中に入る。そして、木を蹴りながら一気に上へと駆け上がって行った。

 

「サイも!」

 

 土砂やら岩やらを避けながら、ヤマトが叫んだ。

 サイも人間の頭より大きな瓦礫を払いのけると、咄嗟に辺りに散らばっていた書類をかき集めて土埃ごと懐に突っ込んだ。そして、カカシの後を追う。

 ものの数秒で崖の上に出た。

 後からヤマト現れた瞬間、その場が大きく陥没した。ダンゾウの“施設”が完全に崩壊したのだ。

 

「木ノ葉に帰るぞ」

 

 それを見届けることも無く、カカシはそう言ってナナを抱きしめたまま走り出した。

 サイは一度ヤマトと視線を交わし、二人同時に彼を追った。

 それから木ノ葉に帰還するまでずっと、誰も口を開こうとはしなかった。

 

 

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