勝利を盗む者。   作:レスに咽び泣くリボー推し

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 箸休め会です。
 なんというか、物語的には書くべきだと思った部分だけれども、思った以上に文字数が増えなかったので後々加筆します。お手隙の時にお読みください。
 本当は冒頭にウマ娘パートの先取りでも入れようかなと思って1500文字ほど書いてたんですけど、こうやって小出ししていくと、いざウマ娘パートに入った時に面白さが薄れるかな、と思い全消しした次第です。

 ・エドモン
 天才。アルセーヌには足を向けて寝られない。

 ・白恵
 美人馬主。とある理由からアルセーヌのシンジケートを蹴った。

 ・篠田
 アルセーヌの調教師。初の調教馬GⅠ勝利に感無量。

 ・鈴音
 アルセーヌの世話係。父の夢が叶ってとても嬉しい。


第十六話 GⅠ初勝利の話。

【今年度三歳牡馬最強は、間違いなくこの馬です!】

 

 ……パーフェクトゲームて……。

 まあ、確かにそう取れなくもないけどさ。エドモンさんが後ろの馬を無意識に掛からせるような采配をしてくれたから、最後、誰も追いつけるようなスタミナが残って無かったんだと思う。

 うん、エドモンさんは凄い騎手だ。

 

「『アルセーヌ! やったぞ! お前はやっぱり凄い馬だ! まさか、ここまでのタイムが出せるなんて!』」

 

 大歓声の中、そんな凄いエドモンさんが昂りを抑えきれないとでもいう風に自分を賞賛してくる。

 

「『ああっ、くそっ、何も言葉が浮かばないな! なんてやつだ、本当に! お前は、凄いやつだよ!』」

 

『いや、イケメンの語彙力が消えてるんですけど……』

 

 まあ、その気持ちは察するべきところだろう。

 

 自分としても、エドモンさんに初のGⅠ勝利をあげられて良かったという思いだ。

 正直、自分がここまでやれるのかと驚いた反面、とてもホッとしている。

 これだけやれれば、再来年の凱旋門賞だって夢物語、大言壮語では無くなるかもしれない。

 

 が、それはそれとして凄い疲れた。

 

 1600メートルの大逃げがこんなに精根尽き果てるようなものだとは思わなかった。

 ほとんど感覚で誤差はいくらでもあると思うが、多分、クラシックディスタンス、2000メートルと少しくらいまでなら逃げでもそこそこ走れる。

 けれど、それ以上の距離で大逃げしようとしたら、無傷じゃ済まないかもしれない。怪我など、馬の身である自分にとってこれほど恐ろしいこともない。

 まあ、実際に走ってみなければ分からないが、できることならその条件で走りたくはないのは確かである。

 

 サイレンススズカ、凄い……。

 

「『本当に……、ありがとう……っ!』」

 

『泣くほどか……!?』

 

 涙声で感謝を伝えてくる彼に、それほどまでかと驚く。

 初のGⅠ勝利がそれだけ格別なのだろう。

 斯く言う自分も、実感はまだまだ湧いてないが何処か夢見心地だ。この感じは悪くないと思う。

 

 しかし、これで名実共にエドモンさんと相棒になれたのではなかろうか。

 個人的には、エドモンさんにとっては折角のGⅠ初勝利なのだから、朝日杯三歳ステークスよりももう少し大きなレースをGⅠ初勝利に捧げたかったけれども。それは望み過ぎだろう。どこかで足を掬われたら敵わない。

 

 何にせよ。

 今日ばかりは、自分のことを強いと認められる気がした。

 

 自分を強い馬に産んでくれてありがとう、見たこともない今世の父と母。

 

 

 □

 

 

「アルセーヌ号、よくやってくれた! うちの厩舎初めてのGⅠ勝利だ! いくら感謝してもし足りないくらいだぞっ! ありがとう!」

 

「アルセーヌ、お疲れさま! 今日は、本当によく頑張ったね!」

 

 騒がしさは厩舎に戻ってからも変わることなく。

 翌日、温かい労いの言葉と共に篠田さんと鈴音さんが出迎えてくれた。篠田さんは一緒に来ていたけど対応とかで忙しそうだったからな。故に今のタイミングになったのだろう。

 

 そして、その後ろには我がオーナーの姿。

 

「アルセーヌさん! お帰りなさい!」

 

 涙を眦に浮かべた白恵さんが抱き着いてくる。とても役得。

 

 ……いや、それはそれとして、流石に皆の喜び方が桁違いなんだが。

 未だに実感のじの字も湧いてないので、正直な話、当惑の塊になってしまっている自分が居る。

 

「これで、最優秀三歳牡馬ですよ!」

 

 ああ、そうか。

 エドモンさんにGⅠ初勝利をあげるんだっていう気持ちばかりだったけど、今までの戦績で朝日杯三歳ステークスをレコード勝ちなんてしたら、自分はほぼほぼ確実に今年度の最優秀三歳牡馬に選出されるんだな。

 

 ん? 待てよ。

 もしかして、リンドレイザーことリンドシェーバーの活躍を同じ外国産馬の自分が奪ってしまったわけだから、本来リンドレイザーが組まれるはずであったシンジケートが、自分に組まれることになるのか?

 

 え、そういう類の話は止めてくれ。中身は人間なので馬相手には勃たぬ……勃たぬ。

 

「そう言えば、シンジケートを組まないかなどと、気の早い人もいるものですね」

 

「はい、そうですね。丁重に断らせていただきましたけど」

 

 あ、断ったんだ。

 いや、自分としては有り難いけど、シンジケートが組まれるということは相当な額が手元に入ってくるわけで、それをむざむざ捨てるなんて……自分が言うことではないけど勿体無いなぁ、と思うのだが。

 

「でも、アルセーヌの血統が凄いって認められたってことなんですよね? 勿体ないと思うんですけど……」

 

「私もそのことに関してはとても嬉しいです。ですが、そもそも引退したらうちの牧場ではなくフランスの方の牧場に戻すという契約ですからね。私がどうこう決めるような話でもありませんので」

 

 自分、引退したら故郷に帰る予定なのか? マチアスと余生過ごすの何か嫌だな……。

 まあ、血統だけ見たら凄い良血だし、大手牧場らしい自分の生産者と、その関係者とはいえ新人馬主の間に結ばれる契約としては妥当なのかもしれない。そこら辺は分からないけど。

 

 うーん。それなら白恵さんの今後の為にも、自分がもっと活躍した方が良いだろうか。

 現役の間にもう一個くらいGⅠを取れたら良いなぁ。身の程知らずかもしれないけど。

 

「それより、ほら、アルセーヌさん! マチアスが前祝いに沢山送ってくださったので、今日は葡萄食べ放題ですよ!」

 

『葡萄!!』

 

「ふふ、アルセーヌさんは本当に葡萄が好きですね」

 

 マチアス、ありがとう!! もっと活躍するから、もっとたくさん送ってくれ!




 アドバイスとかあれば是非。
 感想はモチベーションに。評価はパワーに繋がります。
 よろしくお願いします。

 アルセーヌ
 1988産
 父サガス
 父の父リュティエ
 父の母セネカ
 父の母の父シャパラル
 母クラスアリュー(架空馬)
 母の父トロイ
 母の母エクラ(架空馬)
 母の母の父リボー

 主な勝ち鞍
 ・新馬戦 1990
 ・いちょうステークス 1990
 ・デイリー杯3歳ステークス 1990
 ・朝日杯3歳ステークス 1990
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