勝利を盗む者。 作:レスに咽び泣くリボー推し
今になって思えば、主人公の血統、属性過多ヒロイン並に盛り過ぎでは??? 親がサガスだからSラインも入ってるんだよなぁ。具体的にはツンクーヤンデレTS竜人忍者メイド魔法少女くらい盛ってる。
スーパー気が早い上に今話にも描写は無いですが、主人公くんちゃんの勝負服イメージはペルソナ5の主人公くんイメージ。
・マチアス
顔は良いが、どこか苦労人の気配が滲み出ている男。主人公の育成牧場の牧場長を務める。
・ドゥスくん
馬名はデ・エトワール。
元二ツ星くん。
額に二ツ星のマーキングのある黒鹿毛の男の子。ヴェイグリーノーブル辺りの血を継いでいる。成長が早い。若干アホの子気味。やっと幼名が判明した。
・カルムちゃん
馬名はアルカナクイーン。
元名も無き隣人ちゃん。
鹿毛の女の子。ミルリーフ系。実は話せること、天然電波系であることが判明した。まだいくつか爆弾を抱えている。様子が変。
『うぉぉ! すげー!? 逃げても逃げても追ってくるぞ!?』
『ああ、うん。追い運動だからな』
というか、二ツ星くん。君、自分よりも追い運動多めに経験してるはずなんだけど。
よくもまあ、そんな新鮮に驚いたり喜んだり出来るなぁ……。若いって凄い。
絶賛、マチアスの乗った馬に追い掛けられて走る追い運動中である。
この通り、二ツ星くんは大喜びだし、電波ちゃんは何考えてんのか分からない顔で適当に走っている。
去年の暮れ頃から追い運動はしていたが、どうにも今年はいつもより寒いらしく、新年早々追い掛けられている次第だ。
『うぉぉお! 俺の方が速い!』
しかし、二ツ星くんはいつも全力疾走してるし、自分もそれに付き合ってるから追い運動はあんまり必要無い気もしないでもない。
『……ねえ、クラス』
『ん?』
『……あの虫、美味しそう』
……。
向いた先には少し大きめの蝶々。美味しそうとは嘘でも言えない。
まあ、馬、だしな。動物だもんな。
あまりにも人間のように会話してるから忘れがちだけど、一応、自分も二ツ星くんも電波ちゃんも馬だからな。
でも、虫は駄目だ。蕁麻疹出る馬とかいるらしいし。
そもそも蝶々をもしゃる馬は絵面的に……。
『食うなよ?』
『……何を言ってる? 食べるわけない。クラスは、食べたいの?』
『……いや、自分も要らない』
もう慣れた。
電波ちゃんとの会話は真に受けると疲れるし、曖昧に流すと無限に続くので、適当に受け答えするのが一番良いのだ。
『おーい、クラス! カルム! 早く来いよ!』
気が付くと二ツ星くんはかなり先の方まで先行していた。
一周の長さはそれなりに長い運動場だが、あの感じからして二ツ星くんは2000メートルは余裕そうだ。
それにしても、もはや追い運動とか関係無い気がするのだが。
まあ、弟のように思ってきた存在に置いて行かれるのも癪なので、少しばかり全力で走ってみることにしよう。
□
「『うぉっ……!?』」
マチアスは驚きに思わず声を上げた。
この牧場においては、クラスとカルムより圧倒的に
二頭を置いて駆け抜けていくドゥスを見ても、やはり二歳戦から活躍してくれそうだと確信している。
だが、それは今更驚くようなことではない。早熟で、早い内から本格的な馴致も始められるだろうことは僥倖と言う他ないのだから。
ならば、マチアスは何に驚いたのかと言えば、
「『クラス、あんなに速かったのか……!?』」
いつの間にかドゥスを抜かして、更に加速する鹿毛の馬体、クラスのことである。
その馬は、生まれてから今まで、手のかからない利口な馬であった。馬体も着々と作られてきていて、グッドルッキングホースになること間違いなしだとは思っていた。
けれども、シラエやエドモンには悪いと思いはするが、実を言えばドゥス程は走らないだろうとも思っていたのだ。
しかし、その考えは今、吹き飛んだ。
先程までカルムと共に緩く走っていたはずが、もう既にクラスのその背は遠くにしか認められない。
ドゥスも必死に追いすがろうとしているように見えるが、差は開き続けるばかり。
これほどまでとは……!
そう、驚嘆するしかない。
あれでは、まるで、
「『───
自らの血に宿りし、祖の名馬達が誇った速さ、体力、瞬発力に勝負根性。
それら全てを余すことなく受け継ぎ、力の片鱗を若くして発露している。
そうとしか思えない雰囲気、才覚の現れにマチアスは慄く。
これは、来年の日本競馬は大変なことになるだろう。
そんな馬を一時期とはいえ自分の手で育てられる栄誉を噛み締め、クラスがヨーロッパ競馬の二歳、三歳戦で活躍する勇姿を見ることが出来ない口惜しさに焦がれながら、マチアスは鞭を振るうのであった。
□
そして、あっという間に時は流れ。
『ぐすっ』
『ごめん。急で悪いと思ってる』
泣きじゃくる二ツ星くんを何とか宥めようとしているのだが、どうにもショックが大き過ぎたらしい。
電波ちゃんに視線で助けを求めても、ぷいっと顔を逸らす辺り、彼女もそれなりに何かを抱いているのだろう。
牧場は四月を迎え、自分は明後日ここを発つことになる。
その当日に伝えるのもどうかと思った自分は、明後日にはここを発つということを彼らに話したのだ。
ここまで想われていたことは、とても嬉しい。
だが、それでも自分は日本で名馬になるという使命の為に、此処に留まるわけにはいかないのだ。
『それでも、自分は行かなきゃいけない』
『なんでだよぉ……』
『自分には、走り抜く使命がある。それは此処じゃ成せない』
『わけわかんない! なんで!』
幼子のように駄々を捏ねる二ツ星くんのことを悪いとは思えない。
一年と少しだけとはいえ、この牧場で兄弟のように育ってきたのだ。
当然、自分もこの別れを悲しんでいる。
でも、此処でもしも自分が情に負けてしまったならば。
それは、自分の為にも、二ツ星くんや電波ちゃんの為にも、そして自分を育ててくれたマチアスや白恵さんの為にもならない。
そもそも、もうこれは確定事項。
今更、馬である自分にはどうにもできやしないことなのだ。
だから、ならばせめてと自分は未来を見据えることにした。
『───
『凱旋門、賞……?』
フランス競馬の最高峰、凱旋門賞。
パリロンシャン競馬場で行われるそのレースは、ヨーロッパ競馬でも、また、世界的にも大きなレースだ。
このヨーロッパ競馬における事実上のチャンピオンシップには、当然ながら、その代の名馬、最強に近い馬達が集う。
生半可な努力では届かず、最低限の血の素養すらも求められる。
走らない馬は、その栄光の影にすら入れない。求めることすら許されていない。
そんなレースだと認識している。
『次の次の次の年……後、千二百七十回くらい朝日が登ったら開催されるレースで、一緒に走ろう』
『……』
『その為には、他の馬達よりも早く、速くゴールして勝ち続けなきゃいけない。それが出来るなら、だけど』
自分が、そこにたどり着けるような名馬になれるとはお世辞にも思えない。
二ツ星くんだって、出場出来るくらい強い馬になれるか、なれたとしてその時まで走れるかは定かではない。
出られなかったら、恨まれるかもしれない。
それでも、そこが自分達の再会の場に相応しいと、分不相応ながらに思ったのだ。
『……分かった。絶対だぞ』
『……私も、そこを目指す』
『二ツ星くん、電波ちゃん……いや、ドゥス、カルム』
まさか、電波ちゃんまで乗ってくるとは思わなかったが、それでこそという気もする。
これで、もう後には引けなくなるだろう。
何がなんでも、死に物狂いで辿り着かなきゃいけない。
たくさんの勝利を積み重ねたとしても、辿り着けなかった自分を名馬だとは思えない。
それで、構わない。
『『『───凱旋門で、また会おう』』』
きっと、二人は辿り着く。そんな確信があった。運命とやらを感じた。
尚更、この誓いだけは、何があっても違えられないな。
名馬になる。たったこれだけの単純なそれが我が馬生のゴールで。
この二頭が、それとはまた別の、自分という馬の走る理由の一部になるのが分かる。
たとえ、歴史にすら約束されし未来の名馬達の勝利を盗み取ってでも、自分は其処に、この地にまた帰ってくるのだ。
決意を新たに、自分は怖いくらいに澄んだ蒼穹を仰いだ。
□
翌々日、二頭とマチアスに見送られる中、自分はフランスから約一万キロメートル離れた地、日本に向けて旅立った。
アドバイスとかあれば是非。
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よろしくお願いします。
アルセーヌ
1988産
父サガス
父の父リュティエ
父の母セネカ
父の母の父シャパラル
母クラスアリュー(架空馬)
母の父トロイ
母の母エクラ(架空馬)
母の母の父リボー
主な勝ち鞍