そういうわけで今回は妖精騎士たちに幸せになってもらいましょう。
なお今回のお話だけ限定の知識を
人間と妖精のハーフの胎児は母体の魔力と栄養を糧に成長する。
尚、胎児は魔力を摂り過ぎると存在が妖精の方に寄って行き。日々様子を見ていかないとやがて母体に宿る妖精となり子宮から消え、存在が強い母に存在を母側が無意識といえ取り込まれる。
かえって人間に寄り過ぎる(栄養ばかり摂り過ぎる。母体の魔力が不安定)
な場合。胎児が母体に対する魔力への順応力が著しく低下。無事に出産しても体力の低下や障害が残り、魔力への適正もまた著しく低下する。
まぁこんなこと書いてますが、バッドエンドには絶対にさせませんのでご安心ください。
穏やかな黄昏の空の下、白亜の巨城キャメロットの廊下を上機嫌に歩くのはモルガンの長女にして後継の紅い踵のバーヴァン・シー。領地での仕事を終わらせ、ダーリントンとキャメロットと両方の私室を水鏡であらかじめ繋いで置いたバーヴァン・シーの向かう先はただ1つ。
「元気かなぁ、あの子たち♪前みた時は歯が生えかけていたわよね?じゃあもう離乳食かしら?クッキーとか食べれるかなぁ♪」
最近生まれたばかりの自分の弟と妹のところである。生まれる前からそれはもう楽しみに、指折り数えて待ち望んでいた待望の自分の新しい家族。そして生まれた赤ん坊たちが可愛くて仕方がない姉は今日も様子を見に行く途中なのである。
「げ……」
自分の両親の部屋の前に同じ目的であろう人物もちょうどノックをしようとドアの前に立っていた。他の人間がいたことが問題なのではない。
それが“誰か”ということだ。自分の父が褒めた背中と脇の空いた礼服を着た薄く虹がかかったような銀髪の少女。
「おや?バーヴァン・シーじゃないか」
妖精騎士ランスロット─真名メリュジーヌ。この少女の出生や来歴はこの場では割愛するが、
ここまで聞くと娘の可愛いやきもちだが、バーヴァン・シーがメリュジーヌを嫌う(苦手)なのはもう一つ理由がある。
「仕事はいいのかい?北との商談があったと思ったが」
「なんでアンタがあたしの仕事スケジュール知ってんのよ」
「当然だろう?姉なんだから」
この謎の姉ムーブである。
この妖精。何故かことあるごとに自分を妹扱いし少しウザいくらいに世話を焼いてくるのだ。
「だからその姉って……もういいわ。早くあの子達に会わないと♪」
そう、そんなことより早く自分の天使達に会おう。そしてこの少し萎えた気分も癒やしてもらおう。
「陛下。僕です」
「ちょおおおおおぉぉぉ!」
いざ入ろうとした出鼻を挫かれ声を上げる。
すると数秒経たない内に部屋の中からモルガンの声が薄く聞こえる。
「メリュジーヌにバーヴァン・シーか。入りなさい」
そうして女王の了解を得て入ると部屋の中ではモルガン、アルトリア。そして意外な人物である妖精騎士ガウェインことバーゲストが少し目元を腫らしていた。ちなみに赤ん坊達はベビーベッドにてお休み中である。
「あれ?バーゲストも来てたのね」
「あ、ああ。陛下に先月の収支の報告をな」
「マメねぇ……そうえいば結婚おめでとう。アドニスだっけ?旦那様」
「あ、ああ……」
歯切れの悪い返事をどうも不審に思い、バーヴァン・シーはバーゲストの腫れた目元と繋ぎ合わせる。
「何?旦那と上手く行ってないの?」
「あ、いやそうではなく……」
「オメデタなんだって」
「は……?え?バーゲストが?」
にこやかにバーゲストの代わりに告げるアルトリアにバーヴァン・シーは「マジで?」と本人に視線を向ける。
「その………そういうことだ……」
「それで今私がバーゲストの身体を見ていたのです。バーゲスト」
いつもの玉座に掛けてるときのような冷徹な瞳にバーゲストは背筋を強ばらせる。
「は、はいっ!」
バーゲストの心のなかを様々な感情がぐちゃぐちゃにかき混ぜられるが、その感情の中でも共通してるのは”お腹の子供の安全”バーゲストは無意識にお腹の子供が育っているであろう自分のお腹に手を伸ばす。
貴方は私が護るからと諭すように。そしてバーゲストにとって経験したことの無いほどの不安のなかモルガンは表情を穏やかに緩ませて続けた。
「元気な男の子ですよ」
その言葉がバーゲストの耳に入ってから頭の中で咀嚼し理解するまで10秒かかった。
「ほ、本当ですか!!?私は‥‥わたくしは‥‥‥‥」
思わず騎士としての礼節を忘れて、仕える主君に身を乗り出して聞き返すほどにバーゲストはお腹の子供のことに夢中になっていた。モルガンはその焦りに穏やかに笑みを浮かべて頷く。
「っーーーー!!!」
そして今度は安堵と嬉しさの感情が一気に溢れだしバーゲストは崩れ落ちるように口元を覆い、片方の手は良かったねとでもお腹の子に伝えるように優しく撫でながら嗚咽を堪えきれず涙を流す。
「おめでとう。バーゲスト」
妖精騎士達と女王とその夫しか知らないことだがバーゲストには厄災の呪いがかかっていた。バーゲストはそれまで愛した人を喰い殺すということを本人の本能とでも言うべき部分で刻みこまれ。今まで恋した人、妖精は全て自身の手で殺めてしまった。だが、モルガンとアルトリア、2人の女王と騎士の力により呪いは消滅した、が。バーゲストは心の中で恐れていた。もしかしたらこれは自分の本当の本能ではないか?また愛する人を喰い殺してしまうのでは‥‥心の中でそう思いながらもアドニスを愛すること、共にあることを辞められず。ついに結ばれた。
─夢心地、そう。今までが自分の望みを見てるかのような半ば自分の本能を直視したくなく、この夢が壊れてもいいように、最近の彼女は自分をどこか俯瞰して見ていた。だが、自分の中に宿る愛する人とのもう1つの命にバーゲストはようやく現実に引き戻された。
そして自分の胸に溢れたのはアドニスへの、そして産まれてくるであろう愛の結晶。
「さて、これからが大変だよバゲ子。お腹の子の為にもいっぱい栄養摂らないと」
「ぐすっ‥‥ええ覚えることはたくさんありますわ!先輩としてお二人には色々教わりたく思いますわ」
「そのつもりです。では、妖精騎士ガウェイン。女王の名に於いて。貴女にはその子が産まれてから身体が安定するまで暇を出します。引き継ぎ業務を速やかに終わらせて大事に備えなさい」
「は‥‥?で、ですがそれはあまりにも期間が長すぎます!一体誰が」
「貴方の夫がいるでしょう。補佐には私達の夫と‥‥そうですね。ボガートにも話を通しておきましょう。妊婦用の服はトトロットにお願いしましょう」
「あ、ありがとうございます!」
「産まれた時に備えてちゃんと赤ちゃんへの知識も勉強しておかないと─」
「お父様の部屋に本あったから取ってくる!」
一気に周りが騒がしくなり、トントン拍子に自分の出産環境が整えられていくのに緊張が緩んだのかバーゲストは唖然としてしまう。
そうしてものの数分でバーゲストが領地に土産として持って帰る物が後ろに積みあがり。アレが要る。コレも要ると物が増えて今やその高さはバーゲストの肩に届かんばかりの勢い。
元々身軽なメリュジーヌがこんなに必要?と小さい頭を傾ける。
「必要になるんだよ。産まれるまで、産まれた後も」
「私とアルトリアの時は手探り感がありましたから。必要な物は動ける今の内に集めて置いたほうが都合がいいのです」
「つわりは人によっては本当にキツいからね。バゲ子もつわりが酷いからって栄養不足はダメだからね?特に人間とのハーフなんだから気を遣わないと」
「わ、分かっていますわ。」
「荷物は後で私が“水鏡”で送っておきましょう」
「で、ですが陛下!そのようなその……」
使用人や執事のような─と言いかけて口を噤むバーゲストにモルガンは優しく微笑みを向ける。
「構いません。この場においては同じ母親として、先輩としてこれくらいの手伝いはさせて下さい」
「か、感謝します!陛下!」
先程から何度も頭を下げているから何度目か分からないがバーゲストは再び頭を下げる。
「だから頭は下げなくていいと……」
「無理だってお母様。コイツ糞真面目だからコイツにはこう言った方がいいって」
イタズラな笑顔を浮かべながらバーゲストの隣の椅子に腰掛ける。ほんの少し身構えるバーゲストだったが次の瞬間。バーヴァン・シーは目元を優しく緩め、労わるようにバーゲストのお腹に手を当てる。
「そんなに緊張してるとお腹の子がビックリしちゃうわよ?」
バーヴァン・シーのその鶴の一声とも言うべき一言にバーゲストはハッと母親としての我に返る。
「!!!………そう、だな。ああ……陛下、改めてご厚意。有り難く頂戴します」
そう言うバーゲストの表情は職務中の騎士としての凛としてモノではなく女性として、そして母親としての柔らかさと暖かさのある笑顔であった。
──ここは妖精國。妖精と人が共存する黄昏の地──
どうしよう?メリュジーヌが空気になっちゃった。
だ、大丈夫!次はちゃんと幸せにするさ!
モルガンとアルトリア(セイバー)の泥沼どっちも幸せにならず腐り墜ちいくルート(短編)みたいですか?
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書いて
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それより原作書いて
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ロリスロまだですか?
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全員幸せルート続希望