マーベラスな毎日が愛おしい

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言われたので書きました


駆け落ちウマ娘

「謝罪!本当にすまない……私が不甲斐ないばかりに!」

 

笑顔の似合うその顔には濃いクマ、血色も悪くてろくに食事も取っていないことが見て取れる。

 

「顔を上げてください理事長。私は後悔はあれどやり残したことはありません。むしろ、ここまで守っていただけたことが光栄ですとも。」

 

「しかし!!…」

「しかしもかかしもありませんよ。事実上の競バ界の追放…しかも技術を狙って不埒な輩は来るでしょうし、面子を大事にする良家に雇われた者も来るでしょうね」

「ならばこそ!このトレセンで君を匿ってみせる!!その手腕を発揮してほしいのだ!!」

「いけません。トレセンへの被害もバカになりませんし、マルゼンのレースバ生にも関係してくるのです」

「ぐっ……本当に、本当にその決断でよいのか!?」

「はい。それが一番よい、でしょうね…」

 

良家によるレースの八百長や、出走妨害を掻い潜ったダービーでの勝利…上のやつらをキレさせる理由には事欠かないな。

 

「わかった…それならばもう、なにも言うまい。」

「迷惑をかけないためにも早めに出ていこうと思います。ので、少し散歩したら出ますね。

理事長、今までありがとうございました」

「……うむ、世話になったな」

 

ガチャリ

 

散歩しながらこれで見納めになるだろうトレセン内部を散歩する。トレーニングルーム、食堂、グラウンド…どこもいろいろなトレーニングで使ってきた。懐かしさで少し寂しくなりながらもしっかりと目に焼き付けていく。

そして最後に三女神の像。

効能とかそんなもんはなかったが、それでも勝てたのはやはりここへのお祈りがあったのかもしれない。

そんなことを考えながらぼーっと眺めていると

 

「イエーィ、トレーナー君!どうしちゃったの?黄昏ちゃって」

「あぁ、マルゼンか。用事は終わったの?」

「もちろん!ルドルフちゃんに呼び出されたんだけど書類の手伝いだけだったし、バッチグーよ!」

 

マルゼンには、どう説明したら良いだろうか?しかしバカ正直に話しても彼女の、レースに楽しく勝つというポリシーが損なわれかねない。

 

「もう…」コツン

「そんな怖い顔してたら幸せが逃げていくわよ~」

「そんな怖い顔に、なっていただろうか」

「ええ、怒りのたづなさんみたいだったわよ」

「ふふっ、怒られちまうぞ」

「怒られるならあなたも同罪よ

まあそれはそれとして、一つ話があるの」

ピクッ「なんだい?」

「えぇ、今からドライブに行こうと思うの」

「いいじゃないか。休養日だしいい天気だからな」

「あなたも一緒よ、トレーナー君

どこまでも、ね」

「???……何を、言っている?」

「トレーナー君、やめちゃうんでしょ?」

 

彼女はすでに知っていたのだ。自分の行く道のことを

 

「……やはり、君には勝てないよ」

知ってくれてて嬉しいような、知らないでほしかったような

 

「もう、隠し事なんでノーセンキューよ!それで、どうするつもりだったの?」

 

「まぁ、ここから離れてどこかしらに住むつもりさ」

「へぇ~、なら好都合ね。一緒に行きましょ」

「な、なんでだ!?君にはまだレースがあるし、君の輝かしいバ生はこれからなんだぞ!俺みたいなやつと一緒にいる場合じゃ……」

「もう!何を言ってるの!?それも大切だけど、トレーナー君も大切なの、ううん……大好きなのよ!!」

 

急な告白と言ってもいい一言に自分の胸は強く軋んだ。

 

「なんで、なんで俺なんだ!?こんな、君すら守れないダメな俺をなんで!!」

「あなただからこそ、なの。これからどれだけ月日がたっても君の隣にいたいと感じたのよ

だから、この手をとって?私と全てを捨てて逃げてみない?」

 

「だけど、君は!?「ふふ、残念だけど他の何を私に与えられても、君が隣にいる以上の幸せは与えられないのよ。私は、君なしでは生きていけなくなっちゃったんだから。」

 

その笑顔に、その声に、そしてその心に自分は完全に堕ちていたのかもしれない。

 

「俺なんかのために全てを捨てて付き合ってくれるのか?」

「ええ」

「一緒に、いてくれるのか?」

「モチのロンよ」

「もうレースに出れないかも、なんだぞ!?」

「覚悟はできてるわ。だからこそこの場にいるの」

 

「俺が、こんな幸せを受け入れても良いのかなぁ?」

「君から幸せを貰ってるんだもの。私はそれを返すわ。だから、手をとって?一緒に行きましょう(生きましょう)

 

これは間違った判断なんだろう。だけれども彼女の笑顔を見ると、どうしてもそうは思えない。

だからこそ、彼女の笑顔を絶やさないように生きる。

そう、決めた


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