対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。   作:槍刀拳

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Episode108 『囮とは派手に散るものよ……』

 

「…………」

 

 

 トイレでのひと悶着ののち、肩身を縮こませながらドドン太郎と磯咲さんが待つであろう地点へと歩みを進める。

 

 シミュレーションルームの出入り口付近では、私が引き起こした惨状を報告する教師と紫先生の力強くも大きな溜息が私の背中を情け容赦なくブスブスと刺していた。

 

 

「…………」

 

 

 しかし、これは仕方ないことなのだ。

 

 大いなる計画には常に犠牲はつきもの。これはやむを得ない犠牲。コラテラル・ダメージにしか過ぎないと自分に言い聞かせる。コラテラル。コラテラル。

 

 それはさておき、私がトイレへ行っている間にシミュレーションルームは劇的ビフォーアフター張りにその景色を一望させていた。

 

 これこそまさにVRSR……バーチャルリアリティシミュレーションルームと称するべきだろう。

 

 かつて私の時代では、VRゴーグルを通してでしか再現できなかった世界が、肉眼もまま目前に広がっている。

 

 室内に入ったとたんに視界が森林地帯に覆われていたこともそうだが、壁も普段五車学園の校庭から眺めている時のように、どこまでも続きそうな青い空と太陽が天井や壁を覆っていた。

 

 その中でも何よりも驚愕したことは、全てホログラムで再現されているにも関わらず物体が実物化していることと同時に粘着質な空気感も再現されていたことか。樹皮にそっと手を触れてみればどこにでもあるような木の皮の手触りだったし、地面に生え伸びた雑草を引っこ抜けるわ、抜いたものはそのまま私の手中に存在したままだった。

 

 ここまで再現できることに脱帽の極みだが、明らかに先ほどの白い部屋のとはとにかく空気が異なっていた。深呼吸をすれば鼻や肺に森林浴をした際に感じられる森の空気が入ってくる。空気には、どこか湿気すらあるように感じられる。これは加湿器から再現される霧吹きなどで表現される湿気とはまた異なっていた。

 

 

「…………」

 

「やっと来やがったか。尻尾撒いて逃げ出したかと思ったぜ」

 

 

 そんなホログラムで構成された森林地帯を抜け、先ほど磯咲さんと共にドドン太郎と別れた集合地点まで戻ってくる。

 

 うるせー。こっちは、すっぽん(ラバーカップ)とゴム手袋で詰まらせたトイレを速攻で直してたんだっつーの。

 

 内心では黙れドン太郎に悪態をつきながらも、彼等の様子を観察する。

 

 彼等の準備は既に済んでいるようだった。ドドン太郎は得物である大太刀を抜刀し、その刀身を天井に浮かぶ疑似太陽でギラギラと反射させている。一方で磯咲さんは彼の傍らで二丁拳銃を引き抜いてクルクルと回しては両サイドについたホルスターに拳銃をしまう動作を行っていた。

 

 また磯咲さんは、既にこちらの “やらかした” 事情でも察したかのような気まずそうな顔もしていて……。

 

 

「は、ははは、それは面白い冗句ですね。言ったでしょう? 本作戦は誰が欠けても成功しえないのですよ。その様子ですと、お二人は準備万端っぽいですね」

 

「……えぇ、こっちはいつでも行けるわ」

 

「は、は。ははははは……」

 

 

 これにはメガネが光に反射して目元だけが見えない磯咲さんの顔色に渇いた笑い声しか出なかった。

 

 

「そういうテメエこそどうなんだ? トイレ帰りでやっと準備が整ったのか?」

 

 

 あまりの気まずさに笑い声をあげ、彼女からそっと目をそらす私へ高圧的な物言いでドドン太郎が挑発を仕掛けてくる。

 

 彼に関してはもう『そういうタイプの人種なのだ』と割り切って、肩をすくめては持参してきた荷物の一部を地面に広げることで準備が整っていないと伝える。

 

 

「なんだ? まだ期末試験直前にもなってまだ準備でも始める気か?」

 

「えぇ、そうですよ。期末試験の内容がまさかの団体模擬戦であることに度胆を抜かれましたが、それでも赤点は取りたくありません。残された時間の許す限り、事前準備に時間は割くのが私のやり方ですので」

 

 

 私の言葉に付き合いきれないと言った様子で、ドドン太郎はその場を離れ樹木に寄りかかりながらこちらを観察し始めた。

 

 その間に森林地帯で身を隠すには不向きな色合いをした上着を脱ぎ、森林地帯からこちらが発見しにくくなるような地味めな服装に着替える。作戦のためにトイレへ持ち込んだ小物を片手に、追加でリュックサックから消火器と双眼鏡、メリケンサックを取り出す。

 

 荷物を広げつつも、その過程でまるで雪でも口に入れるかのようにホログラムの土を放り込み、トイレで調達した水を使って泥を生成し白い素肌や顔面に塗りたくる。うん、味はおいしくない。これは(まご)うことなき土だ。This is Dirt. 土の味だ。『ぺっ。ぺっ』と吐き出してしまいたくなるような衝動に駆られるが、ぐっと堪えて口腔内の土を咀嚼する。

 

 ふと視線を上げれば、狼狽する磯咲さんと口元が引きつった表情のドドン太郎がこちらを凝視しているが、これも必要な事前準備なんだ。分かってほしい。ゔお゙ぇっ゙。

 

 ちなみに、味は普通の土だった。泥の味と僅かな雑草の苦み。〈地質学〉でわかることは、これは五車学園の土だ。ほのかに野生生物の排泄物の味がするが、大丈夫。既に破傷風の予防接種は済——

 

 

「お゙ぅ゙え゙っ゙!゙!゙!゙ オ゙ロロロロロロロロロロロロロr——」

 

「「!??!?!!」」

 

 

 

「……で、では……これより、期末試験を開始す、する!」

 

 

 

 事前準備が完了する前に咀嚼した土を胃袋の中身も含め口から吐き出す私へ、磯咲さんが介抱のため背中をさすってくれた。

 

 そのタイミングで時間がやってきたのか、スピーカー音越しに紫先生の無慈悲だがどこか戸惑ったかのような声が響き渡った。

 

 

………

……

 

 

 私のGET・嘔吐(SCP-079-JP)と紫先生の期末試験の開始の宣言から早20分。

 

 ひとまず進展としては彼女達に五車学園の制服を脱ぐように指示を出して、その目立つ白色のワイシャツを脱ぎ捨てさせた。森の中で紺色のズボンやスカートはまだしも、白色のワイシャツは目立ちすぎる。

 

 

「どうですか?」

 

「そうね……まだ青空さんが見越した通りの布陣で展開しているわ。見通しのよい校庭にふうま君、少し離れたところに神村さん、そこから遥か遠方のプール近くに弓走さんね」

 

「ふむふむ。やはりプールを押さえ磯咲さんの“水鏡”を封じに展開してますか……なるほど。では手筈通りで構いませんね。では——「おい」

 

「……二車くん。こういうのは我慢比べですよ。安心してください。作戦は順調ですし、そろそろ動きますから。えっと、磯咲さんはそのまま神村さんの様子を教えて頂きたいのですが、今どんな調子です?」

 

「そうね……私達が布陣している森の方を警戒している……って感じかしら? あと先ほどから上着の裏生地に手を入れるのを止めて、貧乏ゆすりをしながら後頭部の髪を搔いているわ」

 

「それはよかった。それはコソコソ隠れている私達にイラついている証です」

 

 

 それから私達はまだ森の中に身を潜め、〈隠密〉行動を取りながら移動と攻撃のチャンスを伺っている。

 

 開幕から予見した通りにふうま君は『当主がうんぬんかんぬん』とドドン太郎の劣等感を煽り、彼を誘い出そうと策略に打って出てきたが、予め彼へ何を言われようとも後で一矢報いるために今だけは我慢するように言い聞かせたおかげで、ドドン太郎即脱落という初期から絶望的な事態に立たされることはなかった。

 

 幸いにも相手方にはこちらの居場所は発覚しておらず、こちら側だけが相手の居場所を突き止めているという状況だ。

 

 これは銃撃戦や遠距離戦を行う上で、不意打ちするであれば非常に有利な状況あろう。しかし、こちらのまともな遠距離武器は磯咲さんの所持している拳銃のみ。ふうま君達もこちらの手の内をある程度は理解しているのか、森林の境目から20m範疇に入って来ようともしない。

 

 だから現状できることとして、主な偵察は眼鏡を掛けていることで私よりも更に眼の良い磯咲さんに任せている。私がその偵察の情報を元に、間に合わなかった事前準備の続きに取り掛かりながらドドン太郎へ情報を共有しながら彼をなだめる。男手かつチームの最高火力という面ではある種の要となっているドドン太郎は、紫先生が開始の号令を発動する前と同様に樹木へ背中を預けているままである。だが位置関係上としてはドドン太郎が一番安全な場所にいることには変わりない。

 

 また彼にはおっぴろげにした大太刀の納刀はさせた。せっかくの〈隠密〉奇襲作戦が、ドドン太郎の大太刀の反射による輝きで居場所が発覚することは避けたかったからでもある。

 

 

「さて、と。事前準備はこんなもので大丈夫ですかね。即席の事前準備ですが、囮役としては充分に機能できると思います」

 

「…………」

 

「お待たせいたしました。ついに二車くん達の出番ですが……もう一度、作戦の内容を確認(ブリーフィング)をしておきますか?」

 

「要らねぇよ。はぁ……。散々こっちを煽ってきやがったあの目抜けを思う存分、叩きのめせると思うと血が疼いてしかたねぇな」

 

「左様ですか。ではせいぜい活躍、期待していますよ。磯咲さん、二車くんのサポートをよろしくお願いしますね」

 

 

 イキリ黙れドーピングドン太郎の発言にはいはいと流しながら、磯咲さんには片手で謝るような仕草をして偵察を交代する。すれ違い様に彼女の様子も観察するが、彼女自身もまたイキリ黙れドーピングドン太郎(イダ=ドドン太郎)の自信過剰な性分や、もしくはふうま君を目抜けと蔑む様子に辟易しながらも、こちらにアイコンタクトを取って森林地帯を抜けた先にある校舎側裏へと身を屈めながらイダ=ドドン太郎と共に消えていった。

 

 

「さて、囮役として派手にやりますか……」

 

 

 現在の偵察ポイント付近に存在する木へそろりそろりと〈忍び歩き〉を兼ねた〈登攀〉して、そこから太陽光の反射に注意を払いながら双眼鏡を用いて校庭を陣取る3人を私が偵察する。

 

 未だにふうま君御一行も御一行でこちらが潜んでいる森林地帯を監視を続けていた。磯咲さんから渡された情報もほぼほぼ正確で、ふうま君と神村さんの意識は完全に森側へと釘付けになっており、これからイダ=ドドン太郎と磯咲さんが襲撃する予定の校舎側への警戒は手薄だ。

 

 ただ主な警戒を森林地帯に置いているとはいえ、代わりとしてプール施設近辺に陣取っている弓走が広域の警戒。特に2人の背後を警戒しているようだ。流石に弓道に精通している辺り、目も良いのだろう。イダ=ドドン太郎と磯咲さんが何処から奇襲してきたとしても、あの場所ならば2人を援護できる素晴らしい布陣だ。

 

 

「さーて、気付けよー? こっちに気付け……——」

 

 

 木の上から3人の姿を確認した私は、そのまま双眼鏡を頭上より高い位置に持ち上げ、わざとキラキラと太陽光に双眼鏡のレンズを反射させる。

 

 

「——しめたッ!」

 

 

 ドスッ!

 

 

 私の胴体を狙ったであろう寸分の狂いのない弓撃が木の幹に突き刺さる。

 

 

「ぐぅっ!!!」

 

 

 相手側に手ごたえが伝わるように弓矢が着弾したフリをする。大きな声で悲鳴を上げ双眼鏡を地面に落としたところで、今度は見覚えのある橙色の閃光が校庭側から放たれ……ッ!

 

 しかし、こちらの砲撃は双眼鏡を自身の頭上で煌めかせていたこともあってか初撃は頭上を反れ、砲弾は周囲の枝を引き裂き葉を焦がす程度で済む。

 

 即座に弓矢と砲撃の二撃目が飛んでくるが、こちらも既に想定済だ。彼女のバズーカ砲が着弾する前に〈跳躍〉と〈登攀〉を組み合わせて、偵察として用いていた木陰から滑落するように滑り降り——

 

ヴあっ?!

 

 

バキィッ! ズデン!!!

 

 

 

——ズガァァアアアァアアアアアアアン!!!

 

 

 

 着弾による爆風と共に木の枝から飛び降り、飛び降りた先の枝が脆く……そのまま尻から地面に叩きつけ……うごぉぉおおおおおっぉっおっおっおっ……し、尻がァ!割れるぅぅぅううう!!!!いだぁい!

 

 

「いぎ……いぎぎぎぎぎぎぎ」

 

 

 割れるような尻の痛みに、尻を片手で抑えながらダンゴムシのように蹲り地面の雑草を鷲掴む。……すごい痛い。すっごい痛いッ!

 

 

 ヴヴヴヴヴヴ……し、尻は強打してしまったが、ある意味〈幸運〉でもあった。ダンゴムシのように蹲る私の頭上からバズーカ砲で粉砕された燃え朽ちた木々の破片が背中や頭上にパラパラと降り注ぐことはなんとなしにわかった。あそこで木の枝が折れてなかったら、今ごろ神村のバズーカ砲を直撃を受けていたはずだ。

 

 相変わらずケツからの着地でケツが割れるほどに痛いが、這う這うの体で他の木陰の影、かつ窪地に移動することで更なる砲撃の餌食になることだけは避けられた。

 

 ケツは2つに割れたが『CALL of CTHULHU クトゥルフ神話TRPG(61頁)“肉体的な損傷(負傷)”新クトゥルフ神話TRPG(116頁)“通常のダメージの効果”基準として考えた場合、この尻への痛打の一撃はかすり傷にしか過ぎない。念のため、尻を抑えながら涙目になりながら自分の尻を揉むが、問題なく身体は動きそうだ。

 

 それに私は囮役なのだ。この程度で終わりにしてはいけない。

 

 

 そうだ。お前達の攻撃目標はここにいるぞ。

 

 

「ばばばばば馬鹿野郎! か、かかか神村さん! いくらここが屋外に見えようとも実際にはシミュレーションルーム! 屋内ですよ!? お く な い ! いくら建物が広いと言っても、バックブラストも延焼も発生しなかった洋館事件とは状況が違うんです!!! そこは弓走さんの弓術の連続狙撃が出番でしょうが! 本当にバズーカ砲を放って、木々を燃焼させる人がありますか!? こっちを煙で巻いて窒息死でもさせるつもりですか!?」

 

「うるせー!!! こっちの作戦に口をはさむんじゃねー!!! さっきからコソコソ、コソコソ、コソコソ! ネズミみたいに逃げ回りやがって! だったらネズミらしくテメェを焼き殺してやる! テメェ等が最初の挑発で出てくりゃ最速の短期決戦で片付く予定だったつーのに! 二車と磯咲はどうしたァ!? 俺の想定通り、やっぱテメーが今回も囮かァ!?」

 

 

 木陰に隠れたまま、樹木を装甲にしながら声を張り上げて注意を引き付ける。

 

 声色から神村は相当ご立腹な様子だ。

 

 チラリと顔を半分出してふうま御一行の様子を伺うが、私の大声の罵声に反応しているのは彼女だけのようだ。現在の位置では弓走の様子は分かりかねるが、少なくともふうま君は作戦会議中に神村さんから私が取るであろう行動を話したのだろう。私が囮役であることに核心を持ったのか、イダ=ドドン太郎と磯咲さんの警戒のためこちらに背中を向けているのがわかる。

 

 

 神村はというと……。疑似太陽とはいえ20分間も炎天下のなか放置され、こちらの潜伏活動が気に喰わなかったのか、バズーカ砲を構えることも止めてツバが飛び散る勢いのまま怒鳴り散らし返していた。

 

 

「あぁ! そうですよ! ご明察の通り、今回も私が囮役ですよ! こちとら真っ向から〈砲〉やら〈弓〉なんて得物を持った相手となんか、やり合ったことないんですもん!!! なのに、なのに弓でなんかで射抜きやがってぇ……! 痛ぇ……痛ぇ……っ! ち、血が! 血が……ぁっ! こ、こちとら一般人だぞ! 一般人!」

 

「一般人だァ!? 何言ってんだよ! テメェはァよッ!!!」

 

 

ズガァァアアアアアアン!!!

 

 

ズガァァァァァァァァァンッ!!!

 

 

ズガァァアアアァアアアアアアアンッ!!!

 

   ゴォォォォォオオオォオオオオオオオオオオッッ!!!!!

 

 

「うわぁぁぁぁっ……!」

 

 

 ふたたび激しいバズーカ砲による連続砲撃。

 

 先ほどの集中砲火に比べれば狙いは正確ではないが、それでも私の周囲に着弾した爆風と熱風が私を襲う。木陰かつ窪地で身を屈めているため一発一発が致命傷になることは避けられているが、まるで戦争映画で砲兵に晒される歩兵のように着弾した土やら小枝が身体に20ゲージショットガンのように叩きつけてくる。

 

 さらに爆炎交じりの爆風は周囲の木々を容易に引火させては燃え広がって行く。ただのホログラムの演出光景だと思いたいところだが、明らかに彼女が延焼させている木々からは熱と痛みを感じられた。

 

 

 近未来の日本国すげーな、おい!?

 

 

 ここまで本物に近い状況の再現に感心しながらも、内心では『これが期末試験の内容!? 実技試験企画者や五車の教師共は生徒達を少年兵として育成しているの間違いじゃねーの!?』と悪態も同時に付いていた。

 

 ここは私の時代から半世紀も刻が経過した未来の日本国。それに対魔忍世界線だ。人魔外道と対抗するために、この方針が義務教育として制定されたのだろうと思うこと以外に考えが付かなかった。これが私立の学園とかであれば、まだ異常であると言い切れるのだが……五車学園は国立ゆえにこの試験内容に関して、他にそれらしい別の理由が思い浮かばないのだ。

 

 

「ぐっ……」

 

 

 だが、十分に時間は稼げた。あとは磯咲さんとイダ=ドドン太郎の奇襲に賭けるが、このままでは試験で本当に命を落としかねない。

 

 着用していたインナーと鹿之助くん用の勝負下着であるブラジャーすらを脱ぎ捨て、インナーは引き裂きマフラーのように顔……主に口元を覆うように巻く。

 

 何故か私だけ早々に上半身全裸だが、煙に巻かれて一酸化炭素中毒で炎の中に取り残されるのだけは勘弁願いたかったからだ。

 

 これは試験なのだから教師陣がそれまでに私を救出するかもしれないが、一酸化炭素による中毒死は本当に恐ろしい。だからできる対策を万全にして『私はここだよ』と消火器を作動させてからスイッチを——

 

 

「これで終いだァァァァァッ!!!」

 

 

ズガァァァァァァァァァァァンッ!!!!!

 

 

「ぬわーーーーーーーっっ!!」

 

 

 私が遮蔽にしていた樹木に神村の爆炎が直撃する。

 

 その砲撃は、ゲマから放たれたメラゾーマがパパスに直撃した時のようなキノコ雲を立ち昇らせ、後方から響く私の音割れポッターと化す絶叫と、周囲へ消火薬液を撒き散らし続ける消火器と、私のキャンプキットの荷物と炎と共にすべてが燃え尽きてしまったのだった。

 

 




~あとがき~
 こんな形で、プレイアルキャラ化設定の回収をしました。
 スカトロジー……。

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