対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。 作:槍刀拳
——さて。
2人は存分にいい働きをしてくれた。
『戦争は数だよ兄貴!』という名言通りにドドン太郎と磯咲さんの2人は、ふうま御一行の3人へ押され気味である。
現在の戦況を分析する間もなく磯咲さんにも限界が訪れ、多勢に無勢の攻撃はドドン太郎へと一点集中することだろう。
けれども私を除く、敵味方を含めた全員が1つの大きな過ちを犯していることに関して、誰1人として気が付いてないようだ。
とはいえ、これは目先の敵に意識を集中しすぎたことや、神村さんによって不用意な誤解を生みだされたことによる副次効果の仕方のないことなのかもしれない。
かつてこの私でさえも、クトゥルフ神話TRPGの探索者として事件に巻き込まれた当初はよくやらかしたものだよ。
だからこそ……。
「——ごきげんよう。弓走さん?」
私はまるで映画『ランボー 最後の戦場』にて、主人公ランボーが機関銃手の背後にゆっくりとマチェットを振りかぶりながら姿を現したのようにその姿を確実に現にする。
「は?——」
弓走は私の丁寧な声掛けに予期すらしていないかのような間抜けな声を上げながら、私からみれば周囲の動きが緩慢な流れになった空間で背後を振り返る。
そう。最大の過ち。それは——
森林地帯を這って逃げた私を勝手に死亡・敗退判定を下して、側面に回り込んでは背後から〈忍び歩き〉ながら〈隠れる〉〈隠密〉状態の私に気づけなかった、戦闘不能状態の確認不足による愚かさだよォーッ!!!
「ブブーッ!!!」
「グッ!!! しまっ——」
期末試験開始前から口に含み咀嚼していた胃酸混じりの泥を思いっきり、彼女の顔面目掛けて吹きかける……ッ!
これは『CALL of CTHULHU クトゥルフ神話TRPG』67頁 “奇襲”の技法を応用した完璧な攻撃かつ目潰しだ。
これで、弓走は私の攻撃を〈回避〉することは不可能な状態に陥る。
クトゥルフ神話TRPGの世界線の住人ではないため、彼女にこのルールが適応されるかどうかは不明だが、少なくとも一端の学生程度が攻撃者の攻撃が見えない以上『CALL of CTHULHU クトゥルフ神話TRPG』76頁 回避と『新クトゥルフ神話TRPG』57頁 回避にはこの対魔忍世界でも適応できそうな尤もなルールとして掲載されている!
「あらあらあら? わたくしとしたことが、公衆の面前で
「あお……青空ァ……ッ!」
「そうそう。弓走様もお嬢様なんですって? では、そのような口汚い言葉はお控えなすって! お嬢様としての品が落ちますわよ! でも、辞世の句を聞かせてくださいましたし、今すぐに楽にして差し上げますわ~。さぁ、墓前のお花は何がよろしいかしら?」
エセお嬢様語を展開しながら、必死に目を擦りこちらの視界にとらえようとする弓走が体勢を立て直す前に武器を構える。
メリケンサックを構えたジャブで顔面、まずは鼻頭を一発殴りつける。
「ガッ……! ぅぐぁあああああああ!!!」
痛みで顔面を抑える弓走。
彼女の得物である弓を掴む手が緩む。即座に得物を〈近接戦闘(格闘)〉からのマヌーバで奪い取り、〈キック〉で蹴飛ばして彼女が拾い上げることを容易には叶わないように武器を取り上げた。
矢だけがまだ彼女が背負っている
現に目の痛みと、異物を何とかしようとする行動と、鼻頭に走った痛みと、私による次の攻撃から逃れようとする行為を同時に処理しようとしており、その動きはさながらパニックを引き起こしているかのような混乱ぶりであった。
当然、目の中に私の唾液どころか土まで混入した彼女が目を開けて私の攻撃を避けるなんて器用なことができるはずもなく——
「シィッ!」
「」ビクッ
今度はわざと彼女の顔面に直撃しないかのような風を切るジャブ音を彼女の耳元で響かせて、自然と顔面を庇うために両手が持ち上がった所に——
「オラオラオラオラオラオラッ! オラーァッ!……あ。で、ですわ~!」
身を屈めて、そこまで鍛え上げられていない柔らかい腹部目掛け〈近接戦闘(格闘)〉をオラオラッシュを連続で叩き込む。お嬢様語は添えるだけ。
……だが私も鬼ではない。私のことを散々罵って分の清算として、数発殴って満足した後は『新クトゥルフ神話TRPG』選択ルール:121頁“ノックアウト打撃”で気絶させるまでにとどめる。本命は弓走ではないのだ。
私の真の敵は、森林地帯で倒れたはずの私の登場にあっけにとられていた磯咲を昏倒させた——
その細目を白黒させながらも、背後から姿を現した私へ銃口を向け今度こそトドメを刺そうとしてくる神村にあり——
——させるかよ。
「ッ……!!!」
私の行動に神村は、バズーカ砲の引き金を引くのを
その間に迅速な行動で距離を詰めて、彼女と接敵する。
「やぁ、神村さん? 地 獄 か ら 帰 っ て き た ぜ。これからは私が引き継ぎます」
「テメッ——」
「吹っ飛べ」
「ヴッ!」
私の手に携えた
その将来垂れ乳になりそうな特大の
私が神村へ無傷のまま接近するために行ったことは別段、特別にクトゥルフ神話TRPG世界線の新ルールではない。
少なくとも私はこの手法をこっちの世界に来てから2回以上は使用している。
仮にこの行為が五車学園の教師に見られていたとしても、ギリギリ一般人枠として見て貰える程度の技法でもある。
その技法も、まえさき市のショッピングモールの裏方のカルティストに対して利用し、今私が対峙している神村に対して使用したものアレだ。
——そう、もう言わずもがなの慣れ親しんだ行為である技。
定番と化した荒業その1!『クトゥルフ神話TRPG系統』では装甲は重量に含まれない!』ことを利用した気絶中の『
もちろん。ただ弓走を神村からの砲撃に耐え凌げる肉盾役として選んだわけではない。
神村さんは非常に仲間想いで仲間は見捨てないような
それに彼女は、つい先ほども私達の目前で、自らチャンスを逃し、
もし彼女が私が囮として、森の中で果てていると予想していたのならば——
磯咲さんとドドン太郎がふうま君に接敵した瞬間にふうま君ごと砲撃を浴びせれば、彼女たちはどのような形であれ勝利を掴み。勝つことを目的としたこの期末試験に合格できたのだ。
——だが、彼女はそれをしなかった。
つまり彼女には、いがみ合ったとしても彼等に仲間意識を持っているのと同時に、如何なる手段を以ってしても勝利を掴むという行為に対する認識が甘いところがある。いかにも学生らしい青臭い小娘らしい考えだ。
私の行為は、その甘さへ付け込む隙があり、うまく行くという確証があったから実行できたというわけだ。
~あとがき~
オリ主もえっちなお店で働いている蛇子ちゃんと同じ必殺技が出ちゃったぁ……。
~今後の状況について~
前に活動報告で書いたエターの兆候が出始めてきたので、チキチキ評価のなどを解禁しました。
ちょっと疲れてきてしまってな……。
ひとまず先の見えない未来を暴露されても閲覧者兄貴姉貴達も不安になるだろうから、わかる範囲で状況を告白します。
・少なくとも今年いっぱいはエターはしません。
(2022年度はちゃんと私はやりきるぞー!)
・この16章・期末試験編は今年中に書き上げますし、今年中に必ず終わらせます。
・16章は終わらせると言ったな。あれは嘘だ。
・あれは嘘だと言ったな。正確には半分、嘘だ。
・もうちょっとだけ話したいお話があるのぢゃ。
予定としてはこんな調子です。
今年も残りわずかですが、よろしくお願いします。