対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。 作:槍刀拳
「日ノ出! 今回は制服での実技試験であると事前に伝えておいたはずだが、なぜ貴様は対魔忍スーツを着用している?」
「あっ! ご、ごめんなさい!蓮魔先生!」
「まったく貴様は、待合室で私服姿だった青空と同じで……私服潜入任務でもその対魔忍スーツを着ていくつもりか!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!今すぐ着替えてきまーす!」
実技試験開始直前。
心寧ちゃんに尋ねられた作戦について何か無いか考え込んでいたら、いつの間にかに試験会場に居て蓮魔先生から叱られていた。
一応、道中までの間に心寧ちゃんが私に着替えるように言ってたっぽいんだけど……完全に作戦について熱中して考えていて、ぜっんぜん気が付かなかった。
走って更衣室に戻って
ネクタイ、かぁ……。
今年の夏休み、日葵ちゃんとしっぽりするときはネクタイをリードとして使った
わん。わん。わん。ってヤツ。『なんか犬っぽくねぇな』って言うやつ。あのおっきくて、たっぷたぷのお尻をぺちぺち叩いて——
………
……
…
「これより、30分間の作戦会議時間を設ける! 30分後、期末試験実技を開始する!」
「さて。本番の作戦会議の時間になりましたね。陽葵ちゃんの方は何かゆきかぜさんや上原さん、相州さんに勝てる
「え、えっとね」
「一応、陽葵ちゃんが着替えている間に私達も色々意見を出し合って考えてみたのですがぁ~。あのゆきかぜちゃんに勝つのは難しいというのが私達の結論ですかねぇ? 私の風遁の術 “空集虚散”でゆきかぜちゃんの周囲を低気圧にして倒しちゃうって手も考えたのですがぁ、低気圧を発生させることでゆきかぜちゃんの雷遁の術の強化、
「持田さんの風遁の術でゆきかぜさんの身動きを封じて、陽葵ちゃんの陽遁の術で目くらましして、私の迅遁の術とスピードに特化したアンドロイド・レッグで即決着というのも作戦も考えましたが……」
「風遁の術 “空集虚散” は相手の『周囲の気圧を弄る』忍法なので、その場合だと心寧ちゃんももれなく私の術の餌食になっちゃうんですよねぇ~」
「…………」
2人が考えてくれた作戦を聞きながら、どうやってゆきかぜちゃんを倒すべきか知恵を振り絞って考えてみたけど……、……結局のところ私は2人以上に何も思いついていない。
何度考えてもゆきかぜちゃんの能力と私達の能力をすり合わせた時、忍法への慣れも実戦の経験も忍法の最大出力も全てにおいて彼女に劣っている。その中でも私達がゆきかぜちゃんに勝れることと言ったら……や、やっぱり気合?
でも心寧ちゃんは『今回は気合だけじゃどうしようもない』って言ってたし……。
「うーん……」
「あらかじめ言っておきますが、私達も陽葵ちゃんに何か
「せっかくの夏休みですもんね~。制覇しがいのある、良いお山も見つけたのでチャレンジ予定ですし、可能なら再試験は避けたいのは一緒です~」
2人とも私が何か勝利までのプランを立案してくれるのを待ってる顔をしてる。
「ちょっと待ってね! ゆきかぜちゃんに勝てる作戦を今からもう一回考えるから!」
「はぁい」
「私達も私達で互いに使えそうな案を考えておきます」
……良い案が思いつかない。ゆきかぜちゃんの力が強大すぎて、どうやっても気合以外で勝てる要素が見当たらない。
……だめだめ!弱気になっちゃ!
こんな時、日葵ちゃんならどうするかな?
この場に日葵ちゃんが居合わせてたら……きっと、今もこうやって困った時の仕草で両目を瞑って後頭部を掻きむしって……。
「こんな時、日葵ちゃんならどうする、日葵ちゃんならどうする、日葵ちゃんならどうする? 日葵ちゃんならどうする? 日葵ちゃんならどうする?」
「おやぁ~? 今までに見たことのない珍しい仕草をしてますねぇ~。あんな風に考える陽葵ちゃんは初めて見ました~」
「……あぁ、あの仕草は日葵ちゃんの仕草の真似ですね」
「陽ま……?」
「青空 日葵ちゃん、持田ちゃんが期末試験前の集合地点で持ち物についてお話した人ですよ」
「あぁ~! 噂の転校生! 入学初日に五車学園全生徒の目の前で鞄を頭に被って非常ベルを連打しながら消火器の先端を口にくわえながらジャズを奏で、演奏に合わせて体育館の窓ガラスを片っ端から頭で叩き割った誘い受けバリネコ印象派ファンキーフレンズの青空 日葵ちゃんですね~?」
「……混ざってますが、情報に何一つ偽りがないのがまた……。……大体あってます」
「最近は、立ち入り禁止の洋館に全裸のまま不法侵入して洋館内をひっかきまわした挙句、脱出と同時に上級生である眞田先輩と黒田先輩に飛び蹴り入れたら返り討ちにあって入院した日葵ちゃんですね~! うふふふふ~! ……そんな人の仕草の真似っこをするなんて、本当に陽葵ちゃんは日葵ちゃんが好きなんですねぇ~」
「前々から仲が良かったですが、その洋館事件以降、好きな感情に拍車がかかりましたね」
「そうだ!!!」
天井を見上げながら力強く立ち上がる!
ありがとう日葵ちゃん!
日葵ちゃんのおかげで作戦が思いついたっ!
見よう見真似の作戦だけど期末試験! 私達が制覇しちゃうよ!
「心寧ちゃん!めぐみちゃん!最高の作戦を思いついたよ! 今回の作戦!私に任せて!」
「ほんとですかぁ~? それは楽しみです~」
「陽葵ちゃん。作戦会議をするときは、声を抑えてください。こちらの手の内が漏れてしまったらその最高の作戦も残念な結果に終わってしまいますので」
「ごめんね……! えっとね今回の作戦なんだけど」
「えっと、陽葵ちゃんが大好きな日葵ちゃんぐらいの普段の声の大きさでいいですよ」
「わかった!」
私の反応で遠く離れた3人も私の方を振り向いたけど、心寧ちゃんのいう通りまだこちらの手の内の作戦が漏れちゃったわけじゃないからこれはセーフ!
この作戦がきっとうまく行けば、私達はゆきかぜちゃんや上原くん、蛇子ちゃんに勝てるはずだもん!
ひまっちゃんの名にかけて!
~あとがき~
今回はちょっと短めです。