対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。 作:槍刀拳
「それで……陽葵ちゃんはどんな作戦を思いついたのですか?」
「名付けて! 『雲隠れゆきかぜちゃん孤軍奮闘ヘロヘロ大作戦!』」
「かわいい作戦名ですねぇ~。具体的にどんなことをするんですか~?」
「簡単に言えば、私が陽遁の術で敵を焼くための火の玉を出現させた時みたいに限界まで忍法を使わせて疲弊させたところで、みんなで飛び掛かってゆきかぜちゃんを倒しちゃおう!って感じかな!」
「なるほど~?」
「消耗作戦というわけですね?」
「うん! でもそこに至るまでの事前準備とかがあるんだけど……」
ここで2人に対して、この発想に至った大元である日葵ちゃんが当時に考えていたことや作戦について簡潔に伝える。
心寧ちゃんは私と一緒に洋館の大冒険を経験しているから、日葵ちゃんの考え方や作戦についてはある程度理解していると思うけど、めぐみちゃんは私が話した程度にしか日葵ちゃんについて知らないと思ったからね!
「まずこの作戦に行きついた経緯である、洋館大冒険での日葵ちゃんの動きについてから話すね。日葵ちゃんはね! 私達と合流したあと移動するときは『索敵陣形』として常に
「えぇ、最前衛に日葵ちゃん。両左右にコロ先輩と陽葵ちゃんがついて、後衛には私となお先輩。日葵ちゃんの指示で彼女の真後ろである
「ほぇ~、まさに“噂の”転校生って感じですねぇ~。最前衛に体術の訓練で上位に食い込む神村さんではなく自分を配置する様子から恐れ知らずの怖いもの知らずって感じが伝わってきます~」
「えぇ。本当に。…………あの時、足も折れていたのに」
「うん! それでね。あの時の状況から日葵ちゃんの行動の原理を考察すると、先に洋館に潜むと噂されていた『赤いドレスを纏った首のない貴婦人』という未確認霊体を見つけること。すなわち何よりも先に相手の居場所を特定することが不意打ちから逃れる意味合いで大事にしていたことだったんだと思ったんだ!」
私の言葉に心寧ちゃんは頷きを返し、めぐみちゃんもニコニコとしながらも私の話を遮らずに聞いてくれる。
でも。今の話の中に出てきた『赤いドレスを纏った首のない貴婦人』は私と日葵ちゃんを急接近させるために現れた私達の為の『恋の赤いドレス姿のキューピッド』だったと思うんだけど! その話はまた今度にしよう!
「それで……この事前情報を踏まえて、今回対戦するゆきかぜちゃんチームの忍法をすり合わせるとね。ゆきかぜちゃんの忍法は攻撃に特化している一方で、上原くんの忍法は索敵型。蛇子ちゃんの忍法は攻撃と索敵の両立型だって気づいたの!」
私の言葉で2人が互いに顔を見合わせる。
2人も私の言いたいことに気が付いたみたい!
私もうっかり見落としていたもんね!
もう♥ この気づきを得られたのも、日葵ちゃんのおかげ♥♥♥
間違いなく生涯の伴侶だよ!
これはもう踊っちゃう。インド映画みたいに踊っちゃう♪
(日葵ちゃんの日葵ちゃん)美味しいヤミー感謝感謝!また(日葵ちゃん)いっぱい食べたいな! デリシャ、シャ!シャ!射ャ!射ャ!
絶対に期末試験に合格して、お礼に日葵ちゃん食べなきゃ(使命感)。じゅるり。
やってみせろよ、ヒマリィー!
(相手がゆきかぜちゃんでも)何とでもなるはずだ!!!
「なんですか…………その不思議なダンスは……」
「連邦に反省を促すお腹が幸せダンスだよ!」
「連邦に促す~? ダンスですか~?」
このダンスは日葵ちゃんじゃなきゃ、きっとわからないかな!
なんて言ったって! 半世紀以上前のダンスだからね!
「ダンスは置いといて! ゆきかぜちゃんの存在についてなんだけど……。ゆきかぜちゃんの圧倒的な火力とか、実地経験が豊富だとか学園で成績トップだって情報で驚異に見えちゃうし。実際、十分危険な存在なんだけど、日葵ちゃん流の考え方を参考に情報を整理するとね。むしろ、ゆきかぜちゃんチームで最も危険なのは私達の居場所を特定できる“蛇子ちゃん”と“上原くん”の存在かなって」
「……。今のダンスに私の全思考回路が持って行かれたような気がしますが……言われてみれば、陽葵ちゃんの言う通りかもしれません。相州さんの忍法は獣遁の術。それも獣化できる忍法で下半身をタコ化できます。小耳に挟んだ程度の情報ですが、タコ足2本と両手を用いた四刀流の戦闘力もさることながら、変身した時のたこ足の吸盤が1つ1つが超感度センサーみたいになっていて肉眼以外の感覚器官で“存在”を察知できると聞いたことがあります」
「へぇ~。タコ化した時の吸盤は超感度センサーになっているんですかぁ~。私の気圧変動による風遁の術と相性は悪そうですけど、だからこそ考えられそうな作戦がありそうですねぇ~」
めぐみちゃんがニヘラと笑う。
私にはめぐみちゃんの風遁の術が蛇子ちゃんの獣遁の術にどこまで効果があるのかないのかわかんないけど、だからこそ考えられる作戦って何のことだろう? そこのところは何も思いついてないけど……。
「えっと、それでね! 上原くんはというと、ゆきかぜちゃんのような雷を操る雷遁使いと違って生命体に存在する電気を操れる電遁と呼ばれる忍法使いっぽくて……。みんなの話ではあんまり戦闘向きじゃないし、個人の戦闘力も高くない最弱の対魔忍って言われてるけど、これもいろいろ物知りな日葵ちゃん流に考えてみたんだ!」
「はい~はい~? それでそれで~?」
「きっと、その体内に存在する電流……静電気とかで上原くんは相手側の位置を特定できるだけの力を持っているんじゃないかな?! 現に混在した待合室のカフェテリアで、上原くんは身長が低くて周囲の見通しが悪いのに私と日葵ちゃんの居場所を特定して現れたし!」
「元気な陽葵ちゃんのやり取りを耳にした可能性はありますが……。その線考えても…………できない話ではないですね」
「それにもっともっとよく考えたら、2人もゆきかぜちゃん程じゃないけど対魔忍として任務に出撃しているらしいし、私達に比べれば実地に関しては先輩になるのかも?」
「えぇ~そうなんですか~? 初めて聞きましたけど~……」
「これは3人と仲良くしてる日葵ちゃん情報だからね! 以前『3人そろって“課外授業”に出かけてる』ってボヤいた時があって、もうこれは確実に対魔忍任務だと思ったよ! 可哀想な日葵ちゃん! 洋館大冒険で分かった事だけど、あれだけの実力があるのに日葵ちゃんだけを仲間はずれにするなんて! あーん!もっとあの時に“慰め”てあげればよかったー!」
「でもでも~、そのぶん陽葵ちゃんは日葵ちゃんと仲良くできたのであれば、それはそれでよかったじゃないですか~。それだけでも日葵ちゃんにとって十分な慰めになったと思いますよ~?」
「……そうかな?」
「そうですよ~」
「そうかも!」
「…………コホン。何故日葵ちゃんが“任務” に組み込まれなかったのか、
「うん!そういうこと!」
流石、心寧ちゃんだ! 私が言いたいことを纏めて説明してくれた!
おかげで話が脱線しかけたけど、無事にめぐみちゃんに話が伝わったと思う!
「それでその情報を踏まえた上で『雲隠れゆきかぜちゃん孤軍奮闘ヘロヘロ大作戦』についてなんだけど、逆に2人。蛇子ちゃんと上原くんにこっちの位置情報さえ感知されなければ、ゆきかぜちゃんから当てずっぽうな攻撃はされるかもしれないけど、目を付けられたうえでの集中砲火は免れられるんじゃないかな!?」
私の言葉に心寧ちゃんとめぐみちゃんはまた顔を見合わせる。
先ほどまでとは打って変わって希望が見えたような……。日葵ちゃんが洋館でムードメーカーとして私達を引っ張って、私達も外に出られる希望が見えたときのような顔をしている。
そう! どんな絶望的な状況の中でも、突破のための脱出経路は模索すれば必ず見つかる!
それは私が日葵ちゃんに教えてもらった大切なこと!!!
「それと。日葵ちゃんは分散を最も怖がってたし、あの場面では各個人撃破……孤軍奮闘状態になっちゃうことをを防いでいたんじゃないかな? そもそも大好きな日葵ちゃんと心寧ちゃんが必死になって私のことを止めていたのに洋館へ入って行っちゃったのは、私達を魔法か何かで操って分散させて孤立させるのが目的だって3年生のなお先輩も話していたと思うし」
「え~? 日葵ちゃん、侵入を制止していた側なんですか~? 私が聞いた話だと、率先して侵入していったって聞いてましたけど~?」
「きっと噂話で聞いたからだよ! 日葵ちゃんは最初から洋館探索に乗り気じゃなかったもん! 噂よりずっと真面目で、心配性で、直前まで洋館に入ろうとした私達を止めていた側だったよ!」
「はい。私も入館直前で日葵ちゃんに止められて、洋館探索を中断した側だったのでその情報は間違いないですね」
「それは意外ですね~。……話を戻しまして~、えっと消耗戦の前に相手チームへ攪乱戦を仕掛けるわけですね~? それが主な、ゆきかぜちゃん孤軍奮闘ヘロヘロ大作戦の部分になると~?」
「そうだよ! 察しが良いね! めぐみちゃん!」
指をビシィッとめぐみちゃんに指して褒める。めぐみちゃんもまた『うふふ』と笑って自慢げな顔をしている。
「雲隠れというのは、もしかしてゆきかぜさんのチームメンバーを孤立化させて順番に撃破しようということでしょうか?」
「心寧ちゃんも流石! そういうこと! あとはね、雲隠れの意味には私達の居場所が特定されにくくになるように森の中に布陣してゲリラ戦法で戦おうって意味もあるよ! 残りは作戦名通りヘロヘロにするためにも、なるべくたくさんゆきかぜちゃんに雷遁の術を使って貰おうって思ってるかな! 私の経験談とまた洋館大冒険での出来事になっちゃうんだけど、どんなすごい対魔忍でも忍法の出力には限界はあるはずだと思うんだ!」
そう。この案も私自身のこともあるけど、どっちかと言えば日葵ちゃんが私に見せて教えてくれたこと。
恋の赤いキューピッドが私と日葵ちゃんがくっつけるチャンスをくれて、日葵ちゃんが私を背中に背負いながらコロ先輩と神村ちゃんを抱きかかえて、私のせいで折れた脚のまま
あの火遁衆期待の新星だって言われているゆきかぜちゃんと同じ枠組の神村ちゃんが “火遁術切れ” を起こしていたことを私はちゃんと覚えている。私みたいに忍法の最大出力分を放射しちゃったからって限界を迎えたからって気絶はしてなかったけど。
それでも最強の対魔忍の一角だって、忍法を使い過ぎれば限界が来るんだって情報は、日葵ちゃんのコリコリとプニプニをしゃぶった味と共に忘れられない。
そういえば話はそれるけど…………日葵ちゃんの忍法ってなんなんだろ?
クラス合同の格闘授業には参加したことなかったぽかったし、黒田先輩と眞田先輩による生徒指導や洋館大冒険の出来事で考えるなら、卒業生の
いや、きっと日葵ちゃんのことだから私にケガさせないために忍法の発動をしなかったのかも! あの優しい日葵ちゃんならあり得る!
いよぉーし!
もちろん勝ちに行くつもりだけど、早く期末試験が終わったら日葵ちゃんの応援に行こうっと!
きっと蛇子ちゃんはふうまくんの応援に向かうだろうけど、上原くんは日葵ちゃんの友達として応援に行くだろうし、私も一緒に見学すれば日葵ちゃんの忍法について何かわかるかもしれない。
もしそれで忍法が分からなかったら、日葵ちゃんの忍法について本人に直接聞いちゃおう!
「ん~……でも、その作戦はゆきかぜちゃんに対して効きますかね~?」
「え?」
「だってぇ~~、ゆきかぜちゃんは対魔忍として様々な任務についているので~。自分の忍法の残量ぐらいは見当がついていると思いますよ~?」
「あ、あっ。そっか……」
これはめぐみちゃんの指摘したとおりかもしれない。
神村ちゃんも対魔忍として任務に出ているけど、あの時の火遁術切れは本人も赤いキューピッドから逃げるためにがむしゃらに連射していたこともあったわけだし……。
冷静に向かってくるゆきかぜちゃんには効果がないかもしれないよね……。
何か孤立させることの他に、ゆきかぜちゃんを倒すための良い案が思いつくように願掛けをしながら、日葵ちゃんのマネをして片目を瞑って後頭部を掻いてみる。
「…………ゆきかぜちゃんを倒す方法。何か他にあるかなぁ?」
何も思いつかない。
時間は刻々と過ぎていく。
こんなとき、日葵ちゃんだったらどうするかなぁ……。
なんとなく後ろを振り返って……。
ゆきかぜちゃんのチームを見て——向こうは準備万端らしい。
ゆきかぜちゃんはキリッとした顔で二挺のライトニング・シューターを抜いているし、蛇子ちゃんは笑顔で変身して四刀流の抜刀済みだ。上原くんも…………余裕そうに笑って、ゆきかぜちゃんと蛇子ちゃんの後ろで両手を組んで頭の後ろに回している。
蓮魔先生も私達のチームの作戦会議が終わるのを待っているようだ。
「いえ。ここまで作戦の筋道を立ててくれた陽葵ちゃんの立案した作戦『ヘロヘロ大作戦』の手法で行きましょう」
「?~」
「心寧ちゃん?!」
「私も……日葵ちゃん譲りの考案で話すべきか迷ったのですが……。あの事件の日、敵味方すべてにおいて常に彼女は煽動の中心でした。ひょっとするとあれらの行動にも特別な意味があったんだと思います」
「…………」
「…………私は日葵ちゃんではないので、彼女の真意を想像することしかできませんが、あそこの振る舞いから予想できるのは、きっと陽動だったんだと思うんです。私が地下で洋館の主に囚われた時も、ずっと相手をその気にさせて気を逸らせて、真の手の内*2は隠したままだったんです」
「それって……。燐先生と眞田先輩、蓮魔先生と黒田先輩を巻き込んだ……?」
「はい。陽葵ちゃん達が脱出した後の話です。……日葵ちゃん、あんな大怪我だらけだったのに私を助けるために『必ず全員で生きて脱出する約束をしたから』って戻って来てくれたんです。こうやって力強く自分の胸板を叩いて……これ以上は日葵ちゃんのことはいいですね。すみません。……私が言いたいのは、日葵ちゃんの煽動のような、ゆきかぜさんも自分の忍法の残量を管理できないように別のことに集中させてしまえば良いと思います」
はっ。
以前、稲毛屋で日葵ちゃんが心寧ちゃんを慰めたと話していたような気がする。私はてっきり
それになんか心寧ちゃんの反応も少しおかしいぞ! いつもより俯きがちだし、私から顔を逸らしちゃったし、指を組んでモジモジ動かしてる! まさか……!?
でも稲毛屋までの道で、日葵ちゃんが男の子 “なら” 好きになっていたかもって言ってたし?
日葵ちゃんは女の子だから大丈夫だよね!
でも、それはそれとして心寧ちゃんのそのシチュエーションは心底うらやましいかも。
私だったら間違いなくあのベッドで押し倒してるね! 何度か押し倒してるけど! もっと押し倒してる!
「なるほど、なるほど~。わかりました~。では作戦は~何か閃いたような顔をしている陽葵ちゃん案の『雲隠れゆきかぜちゃん孤軍奮闘ヘロヘロ大作戦』にしましょう。私の忍法で相手を無力化させることも容易ですけど、この場合は徐々に負荷を与えて不安を煽った方がよさそうですね~」
めぐみちゃんの言葉に自分でもわかるほどに明るい顔になる。
この作戦が実戦経験のある3人にどれだけ通じるかわからないけど、それでも今回は上原くんが相手でもあるし、私は負けられない戦いになりそうだ。
〜あとがき〜
二次創作の日ノ出陽葵ちゃんは作者がちょっと元気よく描き過ぎちゃったけど、(本人プロフィールや対魔忍Wiki情報だと底抜けに明るいとあったので)原作だとノーマルなテンションですよね!!!
閲覧者兄貴姉貴達は本作の陽葵ちゃんは二次創作として許してほしい(甘え)
見てるか〜!公式〜!
今年も【サンライズチアー】のように日ノ出陽葵ちゃんが新キャラとして出てくるのを楽しみにしてるからな〜ッ!!!!
個人的には夏休みの海イベントで配布SRとかで出て欲しい。
そろそろもっと回想いっぱいみたい。
それ海イベント以外に出せそうなタイミングだと、秋の食欲の秋とかでの登場とか?
回想は引き続き凌辱いいですね! 陽遁の術と掛けあわせた人間牧場みたいな?
鹿ちゃんみたいにブヒブヒ言ってくれねぇかな~~~~ッッッ!!?!
(暗に匂わせしといて公式のアイディアと大喜利を邪魔しないようにして置く)
そういえば『リコリス・リコイル2期』と『メイドインアビス3期』の延長線で見ていた『水星の魔女』が1クール目終了しましたね。そのまま同じ時間で『閃光のハサウェイ』に見に行きます。