対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。   作:槍刀拳

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Episode118 『出席停止』

 

 さて期末試験も終わり……。

 

 

 日時は、神村と殴り合った翌日。

 

 

 テスト用紙の返却と成績通知書を貰って、待ちに待った学生の限られた夏休みと、来てほしくなかった夏休みがやってくる。

 

 テスト用紙返却しかないこの期間は、ほぼ夏休みに片足を突っ込んでいると言っても過言ではなく……。

 

 この短い1週間未満の期間中に様々な友達と夏休みの日程を立てたり、テスト結果の点数を競い合ったり、五車学園の場合は実技試験もあったのでそこで拳を交わしたライバルと挨殺を交わしたりする青春等が本来(・・)は謳歌できるのだろう。

 

 

 しかし私と言えば……

 

 

「ゲェーッホォ!!?ゴッホゴホゴホゴホッ!!!!ガハッゲヘッゲヘェッ?! ゴポッ……!」

 

 

 自宅で一人虚しく……まさかの季節外れの新型インフルエンザに罹患し、出席停止の自宅待機を命じられてベッドの中で悶え苦しんでいるのだった。

 

 

ブバーッ!

 

 

「ゴホゴホゴホッ!ガハッ!!!ゲホゲホゲホッ!??!?」

 

 

 実技試験が終わったあたりから『なんか、身体がダル重だなー』とか思っていたのだが、まさかインフルエンザとは。

 

 そういえば実技試験前に罹った生徒が居るってそんな情報があったような……?

 

 よりにもよって真夏に新型インフルエンザに罹患したこともそうだが、なによりも一番驚いているのは今年のインフルエンザ私が70年前に罹患したインフルエンザよりも症状がクソ重い……!

 

 これって身体が16歳の少女に逆戻りしているからか?

 

 それとも時代の流れと進化の過程で、ウイルスが強化されて行ったんじゃないかと疑ってしまうほどに症状が重すぎて……。

 

 脱水と発熱、あと咳に殺されそうになっている。

 

 おまけに前日神村と殴り合ったことが……最悪の状況。閉じた傷が咳と共に開放。血で。血でおぼれ……——

 

 

「ごぼごぼごぼごぼ……カヒュー……! カヒュッ……ッ! ゴホゴホゴホッ!」

 

 

 ダバダバダバー……

 

 

 まさに今の絵面は、明治時代のドラマでしか見たことのないような状況。

 

 結核で苦しむ患者が、大量の血反吐を吐き散らすシーンで用いられる入れ物である桶に……私はインフルエンザで使うという。

 

 てか、いまA.D.2078年やぞ!!! まさか季節外れのインフルエンザでこんなことになるなんて……。

 

 しかし、血反吐を吐き散らしているのは昨日神村さんと殴り合った時に出来た傷口が開いてできたものだから……。インフルエンザウイルスに関していえば、関係ないと言えば関係なかったりする。

 

 いわばこれは、合併症みたいなもの。

 

 でもこのインフルエンザ何かがおかしい。解熱剤を飲んでいるのに熱が39.8℃ってどういうこと!?

 

 抗インフルエンザ薬やら、咳止めとか飲んでいるのに一向に病状が安定化の目途が立っていないんだが?!

 

 マスクを変えても変えてもすぐに裏面が血まみれになっちゃう。

 

 一時期マスクを外して諦めたことがあるけど、天井のアレどうしようか……?

 

 パソコンのペイントツールで霧吹きをかけたように、天井の壁紙が咳とくしゃみで吹き飛んだ血液で染まっている。

 

 いや、マジで……。米津先生、私の人生を不運(アンラッキー)で埋め尽くさないで。〈幸運〉で埋め尽くして……。うぇるかむ。ハッピーライフ。はっぴーかむかむ。どんと、私の人生の最終章。

 

 死神が……! 死神が見える! 黒いスーツに赤いバラの花束を持った宮本さんの格好をした死神! 私が一体何をしたって言うんだ! 私は最近なにもわるいことをした覚えはないぞ!? チキショウ!

 

 

 こんな日には…………。

 

 

 株価を見て、動画投稿サイトに『レトロ曲』歌ってみた動画をアップロードして、社会人になった時に有用な資格一覧表を確認して。マルカリで出品した貴金属の買取価格を調査した後に、映画を見ながら通販プライムやブラックマーケットで対まえさき市でえっちなお店を開いて人間風情に泣かされた方の蛇子ちゃんとの邂逅に向けた物品の準備を買い漁るに限る。

 

 

「ゴホッゴホゴホッ……クソガァー……ゲフッ」

 

 

 熱中症対策で披露した部位に片っ端から熱冷却シートを貼り付けながら、鼻水をじゅるじゅるさせながら作業に取り掛かる。

 

 こういう時に一番気をつけなきゃいけないことは、発熱の意識の混濁によって普段では購入しないような余計なものを売り買いしてしまわないようにすること。とにかく、こう、気分がクラクラしている時に限って株で失敗したり、余計な洋服をカートにぶち込んでしまったりする。

 

 

「あっ…………。このトップスかわいい…………。これも…………。これも…………」

 

 

「ヒャァ! 今こそ株の空売り時だぜぇぇぇぇぇゲヘェェエェエエエ!??!?? ゴバッ! ゲボッ! ゴホッ!ゴホッ!」

 

 

「神様、仏様、邪神様……。頼むから早くインフルエンザ治って……3日目の山場を乗り越えて4日目から、症状が治まったワンダフルデイズを謳わせて」

 

 

 今日はそんな感じの一日目。

 

 溺れる者は藁をもつかむとは言うが、まさにその通り。

 

 本当の今日の予定は、ハンヴィーが止められているガレージに降りて行って、いろいろまえさき市で購入した工具の改造とか、消火器を小型化した武器化したりだとか……。いろいろやりたいことはあるのだけど、それだけはこの体調の悪いときだけはやっちゃダメな現場猫も真っ青な死亡猫事件に直結しかねないから手は出さない。

 

 あぁ……つら…………。

 

 




~あとがき~
 
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