対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。 作:槍刀拳
Twitterで既に言及済ですが
『五車町(五車学園)』はカルト教団だぜ!
(続きはあとがきで言及)
「青空さん、俺からも助言をさせてくれ。絶対に裏道とか裏路地とかには極力侵入しないことが最善だ。表側は商業地区だから比較的安全だけど、裏路地や裏道は特に危険だからな」
「と、なると観光に行ける場所が限られてきますね……」
東京キングダムへと向かうことをカミングアウトした私へ、鹿之助くんが身を案じた助言に便乗するように、ふうま君も口を挟んでくる。
それを私は左手を口元に当てて右手を肘に付けながら、表面上では神妙な顔をして忠告を聞き入れているかのように装う。
されども相手側から指定されている『東京キングダムZ街Y丁目X番地』は明らかに裏路地付近なんだよなぁ……。
しかし、そのことを言及しようものならまた話は余計にこじれるだろう。
それに5人の反応を漠然と〈心理学〉して内心を伺ってみたが、全員ガチっぽい反応だ。
心底、私のことが心配で、同時に観光地に東京キングダムを選択したことは、唖然とするほどに驚きに満ち溢れたものだったのだろうな。
チクショウ!
これは私の〈図書館〉にて調べた情報が誤りだったってことじゃないか!
じゃあ、つまり古い情報と表面上は煌びやかな情報を掲載し続けている東京都庁は
2022年の年末あたりで暴露された『苦しむ人を助けたいとか善人のような立ち振る舞いをしながら現実では社会的弱者を食い物にして儲けているだけの悪質NPOを運営していた組織』と深いつながりのあった東京都庁だから!
公約を守れないからって、公約の書かれたホームページを物理的に消去した東京都庁だから仕方ないのかもしれないが!
既に公文書開示がゆりこののりこ+抜けの紛失事件と同じ、汚職の臭気がしてきたぞ!
この世界でも都道府県が信用できないとか世も末だな!
…………でも、これ表沙汰になってないだけで、クトゥルフ神話TRPG世界線上よりもさらに国が腐ってたりしない? むしろ前世の方がマシだった説ない?
なんか……えらい事になってるな。
もしかして対魔忍世界の表社会*1では年間約15万人の行方不明者や失踪者が本当は出ているけど、マスコミは総スカンしているから新しい形の戦前みたいになっていたり?*2
いまは例のカルト教団が問題(報道開始から6カ月経過)です! そんなことよりも国会議員の除名について……ええ! 日本国は平和です! 行方不明者に失踪者? そんなもの居ません! 日本国は安全なのですから! みたいな???
国民の洗脳はまず『メディアの情報統制と偏見・切り抜き報道』って私達の時代から言われているから。
どんな極悪非道な所業でも、加害者が “上級国民” かつ癒着があるならばメディアの方から忖度してくれるからね。
そして海外のメディアから日本国ではこんなことが起きている!って指摘されてやっと重い腰を上げるのまでがセット。
ハハッ。オールド メディア ジャポン。
たすけて! 対魔忍!
対魔忍が治安維持しているから、この醜悪で絶望的で残酷な現代日本が多少はマシになっていると信じたい!
「……」
個人の思想で『対魔忍になりたくなーい!』とか選択肢を選ぶことは自由かもしれないけど……。
外野が迂闊に『対魔忍なんか辞めろ』とかあの子達に流布できるような世情でもないのかも……?
うーん……。
頭の中で思考が激しく流転する。
同時に葛藤も生まれる。
でもあの時は、年端も行かない子供が高級娼婦として強姦されたり危険地帯に放り込まれる姿は見過ごせなかったし……。
もしも仮に今もこの世界のどこかで『秋山 凜子ちゃん』や『水城 ゆきかぜちゃん』が対魔忍に従事していたとしたら……凜子ちゃんの方はもうそろそろいい大人だろうし、本人の意思決定に委ねるけど……。ゆきかぜちゃんに関しては、また対魔忍になるのは辞めるように助言しちゃうかなぁ……。
本人の意思で良いことしたいと思うことは結構だし、志は偉いさ?
でも年端も行かない若造が勉強もせずに世界を救えるのはハリウッド映画の中だけだし……。
無知のままじゃぁ現実世界なら本物の悪い大人の駒や食い物にされるのがオチだからなぁ。
裏バイトとか、オレオレ詐欺とか、連帯保証人とか、美人局とか、マルチ、ねずみ講、霊感商法……現代の大人でも様々な特殊詐欺に引っ掛かるのに、子供なら猶更……。
騙すのも簡単だよな……。
承認欲求を与えるのも、洗脳するのも、手駒にするのも……。
対魔忍組織がどんなところか私は知らないけど、これまでの情報から照らし合わせるとカルト教団臭が拭えない。
カルト教団なら、ぶっ潰さなきゃ。
対魔忍は治安維持に必要な存在なのかもしれないけど、カルトならどのみち終着地点は凡そ目星はついている。
だって。
そもそも。
普通は。
ちょっと考えればわかると思うんだ。
一般人4人を助けるために、魔族の街と謳われているヨミハラの高級娼婦へバックアップなしに対魔忍2人だけで突入したらどうなるかぐらい……。
ワンチャン対魔忍組織に内通者が居て、私達をエサに対魔忍2人も奴隷娼婦化を目論んでいた可能性も否めないんだが?
助けに来てくれたことは、現地世界民の協力者として心強かったし嬉しかったけどさぁ。
最終的な結果は世間を知らない無知な若僧の若気の至りってやつだったような……?
「…………えーっと。じゃあ、逆に東京キングダムに行ったことがありそうな皆さんのオススメのお店を教えてください。観光の過程で立ち寄れそうな場所にあれば行きたいと思うので……」
悪態と真実と過去の状況など様々な思考が異常な速度で積もっていく中、これ以上は大人しく何も言及しないことも考えたのだが……。
既に化けの皮が剝がれている以上、逆に何も発言しないことこそ怪しまれると思い。東京キングダムに精通していそうな5人に対して『
「そうだな……。青空さんの観光は聞いたところによると現地調査の意味合いの方が強そうだから、まずはクラブ “ペルソナ” に足を運んでみてはどうだろうか? 情報料は必要になってくるが、そこの “マダム” なら信頼できるし、安全なはずだ」
「クラブ “ペルソナ” のマダムですね。覚えておきます」
東京キングダムは余程治安はよろしくない様だし、情報料……。
情報料が必要ということはつまり私の〈知識(EDUロール)〉によれば、ふうま君が教えてくれた場所は歌舞伎町における総合案内所か。
情報料には、いわゆる山吹色のお菓子を大量に包む必要がありそうだ。まさか魔族だらけのお店で慈善事業家のようにタダや僅かばかりの御布施で情報を教えてくれるなんてありえないだろう。
まえさき市でえっちなお店を開いている蛇子ちゃんについて詳しく知りたい時は寄ろうかとも思ったが……逆に蛇子ちゃんへ私の情報を売られる可能性もあるという事だ。
あくまでも情報として知っておくだけにして利用するかは状況に応じてにしよう。
「蛇子は安全と言われて思いあたるようなお店はないから、どこのお店もおすすめはできないけど……。東京キングダムって道が入り組んでいるから迷子にならないように。大通りから外れちゃだめだよ? 人通りが少なくなったりしたら元の道にすぐに戻ってね?」
「そんなぁー。子供じゃないんですからぁ、迷子になんかなったりしませんよ。安心してください。〈
近所のおばちゃんが手首をくねくねさせるような動きをするのと同じように左手を動かし、笑い飛ばすもやはり蛇子ちゃんは心配そうな顔をしたままだ。
表面上はヘラヘラとしながらも脳裏では神妙な顔で思考を巡らせる。
ひとまず『対魔忍組織がカルトだったら、事情を汲み取りながらも対魔忍化洗脳の手段・手口に応じて情け容赦なくぶっ潰す』という事は頭の片隅に置いといて。
東京キングダムは道が入り組んでいるのか……。
つまりこれは逆に考えればあっちの蛇子ちゃんを撒くのに逃走経路として使える——違う。
この場合は地の利は向こう側にあるから、追い詰められないようにしないといけないということだろう。
「日葵。親切なお兄さんとかに声を掛けられたり、ギャングに絡まれたら即逃げろよ。『絶対に』だぞ。戦うなよ」
「エー?」
「エー?」
「『えー?』じゃないってば!」
「冗談ですよ。冗談。分かりました。ちゃんとその忠告に従いますね」
「ご、ごめんね!」
鹿之助くんもおすすめというよりも、気迫のある顔で終始注意喚起を行ってくる。
ちいかわの腕をグルグルするダンスで茶化すも怒られてしまった。
陽葵ちゃんが私の隣で同じ動きをしながらハチワレの真似をしてくれるも、とてもじゃないが誤魔化しきれなかった。
これもまた実技試験で化けの皮が剝がれた弊害なのだろうが、よほど彼の中では私は好戦的なキャラだと思われているらしい。
いやー。これまえさき市で3時間ウンコしていた方の蛇子ちゃんから『いつ告白するの?』とか聞かれたけど、告白してもフラれるでしょ。
鹿之助くんの外見は護られたい系男子だが、実情と本人希望としては護りたい系男子だ。それについては彼が話してくれた “将来の夢” である『正義の
私としても護られたい側の人間ではなく、護りたい側の人間なので方向性が衝突している。
告白は無理だよ。
絶対にフラれるもん。
何かムードのある時とかじゃないと。
決定的過ぎて『ハンジロー先生がお似合い』とか建前で自分を誤魔化していたけど、もう騙せないよ。
でも蛇子ちゃんも明日は何があるか分からないとも言っていたし、可能性は低いと思いたいが……。乙女を片っ端から口説き落とす系なろう系主人公ふうま君の存在もあるしな……。
これは機会があるときに言わないと今後一切、本当にチャンスを得られなくなるのかも……。
「あ、私からも注意喚起です。港湾地区には近づかないようにしてください。あの場所……特に港は東京キングダムの玄関口になっていて街を支配している組織同士の小競り合いで衝突が頻発しているところなので……」
「危険地帯ってことですね。わかりました。そちらにも行かないようにします」
鹿之助くんへ好きと伝えるタイミングについて考えている間に、心寧ちゃんの注意喚起が入る。
元より東京湾なんて超が付くほどに汚い海へ近寄る予定など一切予定になかったため、生返事のようにウンウンと首を振りながら承諾する。そのあたりについては最初から向かうと予定はないので問題はない。
「むー。みんな注意ばかりでまったくおすすめのお店を教えられてないよー?」
「そうは言ってもさ……」チラッ
「うーん……」チラッ
陽葵ちゃんのむすっとした言葉に、蛇子ちゃんと鹿之助くんがチラッと視線をこちらに一瞬だけ向けてくる。
「…………わはは」
私は2人からのまだまだ物申したそうなアイコンタクトをしかと受け取ってから、両目をつぶって後頭部を掻く。そのまま、はにかみながら応じる。
「大通りで、日葵ちゃんが入っても大丈夫そうな場所で、魔族のお店じゃないところでオススメするなら私はあそこかな! 日葵ちゃんが転校してくる前。米連との交流の一環としてケイリーちゃんと行ったあのお店!」
「ああ。あのお店ですね」
「えっと店名は『華優麗華』だったかな?! アジア風の店内でね! お値段も良心的だし、料理もすっごく美味しいんだよ!!! 店が開いているのは夕方からだけど、美味しいからぜひ食べに行って欲しいな!」
心寧ちゃんは、ともかくとして。
こういう時の陽葵ちゃんのあったかい言葉は心に沁みる。
そうそう。そういうのでいいんだよ。そういうので。
「『華優麗華』ね。立ち寄れる時間があれば立ち寄ってみようかな」
「えへへ! 行ったら何を食べたか教えてね! 私のおススメはね! バニラのアイスクリームが乗ったメロンソーダと、八宝菜と青椒肉絲と炒飯とパクチーのスープと……」
陽葵ちゃんにとって余程楽しい思い出だったのか、永遠と美味しかったものを話してくれる。
全部は流石に食べきれそうにはないが、あっちの蛇子ちゃんと遭遇する前に食べに行こうかな。
そんな気持ちにさせてくれて、ちょっとだけ自然な笑いが零れた。
~ごじつだん~
日ノ出 陽葵「じゃあ、また夏休みねー!」
相州 蛇子「日葵ちゃん、おだいじにね!」
上原 鹿之助「またな……!」
速水 心寧「お邪魔しました」
ふうま小太郎「青空さんのお母さん、いきなり大勢で押しかけてすみませんでした」
青空 八雲「いいのよ。またいつでもいらっしゃい」
日ノ出 陽葵「日葵ちゃんのお母さんに公認の許可貰っちゃったー!やったー!」
バタン
青空 八雲「うぅぅぅ……ぐすっ……」
釘貫 神葬「…………何泣いてるの」
青空 八雲「ひまりが、ひまりが……学校で初めてお友達を作って、あんなにたくさんのお友達を家へ迎え入れるそんな日が来るなんて……」
釘貫 神葬「おおげさだなぁ……」
青空 八雲「お父さんに報告しなきゃ……今日はお赤飯よ!」
釘貫 神葬「大袈裟スペクタクル」
~さらに蛇足~
誰もインフルエンザに罹らず。
~おまけ1~
日ノ出 陽葵「日葵ちゃん、あれは絶対に東京キングダムの裏道に行っちゃうね!」
速水 心寧「そうでしょうか? 上原さんやふうま君に釘を刺されて真剣な表情でしたけど」
日ノ出 陽葵「日葵ちゃんには二面性があるからね! 本当に困った時には両目を瞑りながら後頭部を掻くんだもん。左手は口元、右手は肘に当ててあれは別の抜け道を探している時の顔だよ!」
速水 心寧「本当に陽葵ちゃんは日葵ちゃんをよく見てますね……」
日ノ出 陽葵「えっへん!」
~おまけ2~
上原 鹿之助「はぁー。日葵が東京キングダムに観光に行くって言いだした時は、本当にどうしようかと思ったよな」
相州 蛇子「あはは……。あの瞬間、完全に場の空気が凍り付いちゃってたもんね。話を聞いている限りだと観光というよりも、現場調査っぽかったけど」
上原 鹿之助「雨降洋館に侵入して大怪我をしていたのにずっと笑って誤魔化していた日葵だぞ……。絶対に自分が何処に行こうとしているか分かってない。話を聞いてから不安が拭えないんだけど」
ふうま 小太郎「…………」
相州 蛇子「? ふうまちゃん、考え込んでどうかしたの?」
ふうま 小太郎「いや。青空さん、本当に地盤調査が東京キングダムに行く目的だったのかなって」
上原 鹿之助「? 俺は観光の目的を聞いている時、日葵らしいなって思ったけど……?」
相州 蛇子「どうしてそう思うの?」
ふうま 小太郎「青空さん。速水さんから港湾区の話を聞いたときやけに素直な返事だったからさ。本人の言う通り津波の調査をする予定だったのなら湾岸沿いに行くのが普通じゃないか?」
上原 鹿之助「……」
相州 蛇子「……諦めたとかじゃなくて?」
上原 鹿之助「……こればっかりは、ふうまの言う通りだ。普段の日葵だったら1度はゴネるな。現に俺が注意したときは冗談っぽくゴネたわけだし」
相州 蛇子「あー……言われてみると……」
ふうま 小太郎「一応、紫先生にも話を通しておくか……」
~あとがき~
夏休み前の幕間のお話は短めですが終了です。
さて。紫先生にチクる過程は、現状のプロットにはなかったのですが、フルカオスの予感がして参りました。どんどん風呂敷が広がっていきますよ!
対魔忍世界線では1週間+αぐらいの短い期間なのでこれ以上お話は膨らまないかなーって感じです。(膨らませるな)
さて、ここからは『まえがき』の続きです。
『五車町(五車学園)』はカルト教団だというお話ですが、マジでクトゥルフ神話っぽい、カルトありきの因果町だと思うよ。あの町。五車町。カルティストニュータウン。
ニュータウンカルト五車シティ
だってカルト信者生成に必要な条件が全て揃っているもん……。作者はクトゥルフ神話TRPGに詳しいからカルト組織の作り方は嫌なほど知ってるもん……。
見方を変えても『
対魔忍組織の所業、やり口が、胸糞悪さとしてはコープスパーティーと並んでいると思います()
一周まわって対魔忍組織と五車学園、好き。
でも、焼かなきゃ……。
カルティストの拠点は叩き潰して、焼かなきゃ……。(探索者感)
いまは対魔忍勧誘のお話の流れが思いつかず展開をなぁなぁにしてしまっていますが、オリ主が五車町は対魔忍の本拠地だと知った時が楽しみですね!(満面のスマイル)
対魔忍組織には『一筋の光である大好きな彼』と『
カルトに所属している人達はね、個々で見ると “良い人” が多いのだよ。そこが怖いところ。