対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。 作:槍刀拳
感想返信ほっぽり投げて、ごめんなさい。
念には念を入れよ。と私の頭脳が囁いている……。
「すみません、蛇子ちゃん。忘れ物をしてしまったみたいで、少しだけ待っていてもらえますか?」
「そうなの? 鹿之助ちゃん、ふうまちゃん。日葵ちゃんが忘れ物しちゃったんだって」
「そうか、待っているから早く取って来い」
「早く来ないと置いて行っちゃうからなー!」
「すみません。すぐに戻ります」
一旦3人と別れ、来た道をそのまま一人で更衣室に戻る。
何度も自分達を客観的に捉えた時に発生するあの不安がぬぐえない。
杞憂かもしれないが、そもそもこの世界は対魔忍世界なのだ。
元居た世界のクトゥルフ神話世界とは異なり、男よりも女が狙われやすい世界。故意に狙われる世界。男女平等生贄よりも女性優先生贄世界なのだ。
ならば鹿之助くんが女性の水着を着て、女である私を脳殺するほどに麗鹿之助平パワーが有り余っている存在ならば私も対策を練るべきだ。この世界で舐められたらお終いなのだ。
その為の準備は常に探索者として既に致している。
持ってきてよかった、もしもに備えたもう一着の水着。
………
……
…
「お待たせしました」
「おっ——」
「本当にすぐだっ——」
「何を忘れ——」
さくっと準備を整え、待機地点で待つ3人と合流する。
先ほどより肌に照り付ける太陽への露出面積が広まったおかげでほぼ全身がチリチリとする。だがもう眩しさはない。
今度はちゃんといかついサングラスをかけて目の保護を行った。海に入るときには流石に取らなければならないだろうが、少なくとも海岸で塹壕を掘る場合では役に立つだろう。
だから軍用スコップを左手に持ち肩に担ぎながら、右手を “ポケット” に手を入れて——
「ちょちょちょちょっと!?日葵ちゃん?!!!!」
慌てた様子で両腕をばたつかせながら私に近寄って来た。
肩に担いでいた軍用スコップをゆっくりと下ろして、サングラスを左手の親指で持ち上げて何食わぬ顔で蛇子ちゃんを迎える。
「そんな鶏小屋へ狐が檻に侵入してきた鳥類のような動きで、どうかしました?」
「どどどどどどうかって!どどどどどどどどど!???!」
すごいパニックを引き起こしている。
彼女は私の下半身の水着と上半身の古傷を交互に見る彼女の動きは、ニワトリさながらの動きでキツツキのように激しく頷いてみせる鹿之助くんのように首を上下に振りながら見ている。
「ふうま君もすみません。いつまでもクーラーボックスとパラソルを持たせてしまって……重かったでしょう? 自分の荷物は自分で持ちますね」
「あ、あぁ、こ、こっちは、そんな気にするほどじゃな、ないな」
挙動不審の蛇子ちゃんを差し置いて、ふうま君に近寄り荷物を回収する。
ふうま君はふうま君で右手で口元を隠しながら、私に対してどこに視線を持って行くべきか悩んでいるようだ。
君はそれでいい。あまりガン見されるのも私も気分が良くないし。
「さ、鹿之助くん。海ですよ! 海! 先ほどまで走り出しかけていたのにどうしちゃったんです?」
「……どうしたっていうのか……ぇぇ……あの……」
鹿之助くんは鹿之助くんで完全に視線を地面に落としている。
鹿之助くんは、ふうま君とは逆でもっと見ても良いんだぞ!
怒らないし、イラつかないから。
あー。やっぱ嘘。私の子宮がイラつく。絶対、ムラつく。
「よーし!蛇子ちゃんの言う通り今日は海で沢山遊ぶぞー!!!」
軍用スコップを勇者の剣のように空に高らかと掲げ、砂浜に一歩踏み出す。
真実を知り動揺を隠せない3人は挙動不審だが、客観的に他の遊覧客の様子から誰も彼もが私のことを見つめてくるという事態には陥っていないので一切問題はないはずだ。むしろこの格好の方が平均的であり私達の弱点——
「待ってぇえええええ!!!?」
「オンッ?!?!!!」
ビーチサンダルでペタペタと地面を走る音と共に脊髄に何か棒のようなものが直撃する。
まるでメタルギアライジングリベンジェンスの雷電がアームストロング上院議員に顎を殴られ前半身が地面にもみじおろしになった時のように吹き飛ぶ。
地面が砂浜だったことと、砂浜の中にガラス片が混じっていなかったことがもっともな幸いだろう。
仰向けに寝転がり直れば、その今の重い一撃はヘヴィ子ちゃんがラリアットの要領で私に腕を叩きつけてきたのだと理解するまでさほど時間は掛からなかった。
「日葵ちゃん!!!!それは駄目だって!!!公の場で “何が” っていうのは具体的に言えないけど、それは駄目だって!!!」
「駄目ですか?」
「……っ! そんなっ……純粋な目で何がダメなのか分からないような目で見てもダメだよ!」
重い〈パンチ〉を繰り出したヘヴィ子ちゃんの言葉に、片目を瞑って片手で後頭部を掻いて笑ってごまかす。
だが道理には叶っている筈だ。
この世界は人魔が結託し外道の蔓延る対魔忍世界。そんな世界で、私は顔面偏差値に加えスタイルはパンピーだから狙われる可能性は低いものだとしても美女がグループで大半を占めている状況など狩る側だと思っている悪人からしてみれば恰好の獲物に違いないのだ。
「日葵ちゃん、今すぐ着替えて……! 流石に日葵ちゃんがそんな恰好で海を満喫するのは賛同できないかな……!?」コソコソ
砂浜でぼんやりと座る私へと彼女は持ち合わせていたバスタオルを肩にかけ、乳首と存在しない乳房を覆い隠した。
「うーん。……とはいってもですね。ここが比較的安全な海辺でも、現地の脅威というものがありますので……」
「でもだからってその水着は駄目かな……ッ!? 鹿之助ちゃんも
「いえ、これはそういう意図ではありません。これは、鹿之助くんがいくら生物学上男の子でも、客観的に視れば私達は『男1女3』のグループです。私はともかくとして、蛇子ちゃんと鹿之助くんはかわいいのですから、危険が迫ることが推定できます。ゆえにここは客観的なグループとして『男2女2』の編成であるほうが無難であると考慮した結果になります」
「なんで!! 日葵ちゃんは、なんでそう変な方向ばかり思い切りがいいの!?」
「フフフ……」
ヘビィ子ちゃんは右手で顔の半分を覆ってツッコミを入れる。その姿はグレイス・ジョーンズの姿と重なって笑い声が漏れる。本人は意図していないんだろうけど、脳裏にSNSで出回っていた画像と一致したからだった。
「まぁまぁまぁ、考えてみてください。これは
「だからって……」
「それに。蛇子ちゃんはお胸に大きいタマタマを持っているので男装とかできないじゃないですか。私だからこそできる立ち回りです」
「そうだけど……。でも蛇子、言い方の方も嫌かな~?」
「フフ……すみません。公共の面前で “おっぱい” って公言するよりいいかなって」
「“公衆の面前” を気にするなら、もっと他のところを気にする必要があると蛇子は思うよ?」
からかう私に蛇子ちゃんは露骨にげんなりとした顔をしながら肩を落として溜息をつく。
向こう側にいる生物学上の男性陣は、ここからどうするべきか・どうなるのか事の成り行きを見守るつもりのようだ。
それにしても鹿之助くんのフリルスカート付のスクール水着は眼福なんじゃ~。かわいいねぇ。かわいいねぇ。
でもふうま君が隣にいるのは頂けないな。離れて鹿之助くん。
「ともかく、そのような客観的理由から私の
「日葵ちゃんって……」
「はい」
「真面目な顔して突拍子もないこと
「真面目に考えた対策案なので」
「これが!?」
「“これが” ?!」
ロクでもない考案だとでも言いたげに声を張り上げる蛇子ちゃんに私も釣られる。
蛇子ちゃんは心底信じられないものを見ているような顔で私のことを見つめるが、こちらも本気の意を伝えるために真剣な顔をして応じた。
「はぁ……その顔じゃ、どんなに説得しても納得してもらえない感じだよね」
「よくわかりましたね」
「日葵ちゃんだからね」
即答する蛇子ちゃん。
「ン゙ーッ!普段、あっちの陽葵ちゃんに対して言っていることがブーメランで帰ってきたー」
「それじゃ、きっと蛇子の今の心境は陽葵ちゃんに対して接している日葵ちゃんの気持ちかな。そのまま遊ぶのはまずいよ。せめて乳首は隠そう?」
私はタダでは引かぬことを前提にヘビィ子ちゃんはチラチラと鹿之助くんの方に目配せをしている。皆までは言わないが、鹿之助くんもドン引きの可能性があるとでも言いたげだ。あるいは目のやり場に困るだとか?
だが待って欲しい。
鹿之助くんだって、女性もののフリルスカート付スクール水着を着用しているのだ。
私も
それにこういった見方もできる。
この世が
私の性別を生物学的上の男性・女性という区切りではなく、今だけポリコレにおけるAタイプ・BタイプのBという区切りにしておけばBタイプであれば、乳首や乳房を露出させていても何の問題もない。
ま。
その線は望み薄だが。
「……」
ぐぬぬ……。
これに関しては蛇子ちゃんも引き下がるつもりはないらしい。
妥協はしたくないのだが……。
「わかりました。私の負けです」
「ホッ……」
「ニップレスはあいにく持ってきていないので、首からタオルを掛けることにします。ヘヴィ子ちゃんもこれで妥協してください」
「……。妥協ができる要素が何処にも無いんだけど……。でも、なんで男物の水着の用意は万全なのにニップレスは持ってきてないの?」
「男水着チャレンジをするのにニップレスなんかいらないからです」
持ち物から長めのフェイスタオルを取り出し、アントニオ猪本のように首からぶら下げる。
客観的に見ても乳首は今のところ隠れた。これならば文句もでないだろう。
「……」
ヘヴィ子ちゃんは、唇を尖がらせて視線を左上に持ち上げている。
納得するか、更にツッコミを入れるか悩んでいる……そんな顔だった。
だから彼女が新たな決断を下す前に、立ち上がって後方で待機している鹿之助くんとふうま君に手を振る。
「さぁ!話は無事にまとまりましたYO!いざ、うなばら!Let’s la Go!!!!」
〈大きな棍棒〉にもなるパラソルを片手に、拠点設営のために私は一歩先に走り出した。
~ごじつだん~
のちに相州 蛇子は
「どうして日葵ちゃんが何だかんだ言いながらも、陽葵ちゃんと仲が良いのか分かった気がする……」
~あとがき~
対魔忍GOGOのAD広告で表示されたゲームがスッゲー楽しくてさ!!!
そっちにドハマリしちゃってるんだよな!!!(鹿之助くん風解説)
対魔忍GOGOはね……。
デイリーを熟すだけのノルマっぽい位置づけにあります。
イベントを開いてくれるなり、難易度調節してくれるなり、スキル取得上限を増やすなり、スタミナ調整してくれない限りでは対魔忍GOGO専用コミックを読むだけのアプリになっちゃうかな……。
やったことのない人向けの対魔忍GOGOのイメージを伝えると
ヴァンパイアサバイバー、アーチャー伝説、ダダサバイバーみたいなゲームシステムですね……。
1ステージにかかる時間はダダサバイバーが一番近いかも。
1ステージ50面とか正直きっついです。
加えて要素は東方projectの多段ヒットありの弾幕避けゲーを追加した感じ。
ひとまず対魔忍GOGOを遊んでよかった組み合わせは、
シャドウ、貫通、反射(多段ヒットも可)、属性攻撃、弾数増加、活気
ここら辺を揃えておくと強いって分かりました。