対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。   作:槍刀拳

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Episode131 『幼子、目を離すべからず』

………

……

 

 

 海水浴場での時間は本当に迫りくるまえさき市で人間風情に泣かされた高位魔族な方の蛇子ちゃんとの会合約束を忘れさせてくれるほど幸せなひとときだった。

 

 泳げないという鹿之助くんにライフジャケットを着させてから海で泳ぐ練習をしたり、砂浜で小さな塹壕を掘って掘った砂で大きな砂の城を作ったり、スイカ割りをしたり、夏らしいサイダー瓶を飲んだり、海の家でカキ氷とか、焼きそば、フランクフルトを食べたり……。

 

 あとは空になったペットボトルへ、海水を大量に集めて海での収穫を行ったりもした。

 

 何よりも私の楽しさのピークは、日焼け止めクリームを塗布したことか。

 

 ヘヴィ子ちゃんはふうま君に。鹿之助くんには私が塗りたくらせて貰った。

 

 ギヒヒヒヒヒッ!

 

 純白のパラソルの下、レジャーシートの上でうつ伏せになって『リ』の字になって寝そべる2人。

 

 ヘヴィ子ちゃんは慣れっこなのか、それとも大好きなふうま君にクリームを塗ってもらえたことが嬉しかったのか、鼻歌を歌いながら総受けの姿勢だった。

 

 鹿之助くんは鹿之助くんで——あああああああ!

 

 当時の憧憬を浮かべるのも愛らしくも尊く幼子の御神体

 

 私が彼の背中にクリームを塗った時、『ひゃんっ』という可愛らしい……実に可愛らしい声で鳴いてくれるというご褒美までもが顕現した。

 

 本来であればクリームを人肌に温めてから塗布すれば、このひんやりとした感触に悲鳴を上げることなどなかったのだろうが、私は彼を鳴かせたかった。

 

 あえて、もう一度言おう。

 

 私は可愛い(かわゆい)鹿之助くんを見たかった。

 

 ヒンヒン鳴かせたかったのだ!!!

 

 結果は大成功。必死に薄汚ねぇ笑い声が漏れないように、こらえて塗布した甲斐があったというもの。

 

 何よりもワクワクしたのは、彼のワンピース水着の紐の裏。背部にまでねっとりと触手のように手を入れて、ろっ骨付近、臀部登頂部まで入念に塗り込むことができたことか。

 

 モロチン。鹿之助くんも最初こそ『流石にそこまでは……』と遠慮がちではあった。

 

 が、しかし『水着も動いているうちにズレて素肌が晒される部分も出てくるから入念に乗っておいた方が良い』『鹿之助くんが女水着で海を満喫していたことが日焼け痕によってクラスメイトにバレてしまいますよ』と悪魔のように甘く囁きながら〈威圧〉込みの〈言いくるめ〉したことで塗らせてくれた(先の世界へ突入させてくれた)のだ。

 

 でも、臀部の登頂部はフリルスカートで覆い隠されているので、どんなにも鼠径部へキツキツに食い込んだとしても日焼けなんかしないんですけどね。

 

 弱みを握り、小声で捲し立てて、相手に考える隙を与えない〈言いくるめ〉さまさまよ。

 

 鹿之助くんの背中を私がヌリヌリ……

 

 私の短パン水着の下はヌレヌレ……

 

 

 んほぉっ♥♥♥

 

 心のオチンチンがオッキボッキしゅるぅ!!!!!

 

 イッヤフゥーーー!!!

 

 

 本当に誘ってくれてありがとう。

 

 一生に一度のような最高の思い出です。

 

 あと別の意味合いでも、男水着チャレンジを行ってよかったと思う。

 

 最大限の性的興奮に至ったせいか、短パン下に着用しているショーツビキニは水に使ってもいないのにビタビタになっていた。

 

 ありがとう。ありがとう。男水着。

 

 時に海水浴の途中でヒメスナホリムシに素肌を晒している至る所の部分を噛みつかれまくられ、痛い思いをする羽目になったが前世と変わらない状況にホッと息を落ち着ける場面もあった。

 

 

 

 思い出語りはさておき……。

 

 私の男水着チャレンジの効果に関しては、上々の戦果をあげていた。

 

 胸部が対魔忍世界なのに極めた絶壁。

 

 貧を通り越した無。

 

 これまでに得てきた勲章とも呼べる負傷の数々。

 

 “傷跡” によってだ。

 

 男水着チャレンジをしていること。傷跡。女にも拘わらず恥じらう様子もなく堂々と振る舞ったことも幸いして、私達のグループにウザ絡みしてくる現地のチャラ男ナンパ師などの現地の脅威から鹿之助くんと蛇子ちゃんを護ることができた。

 

 海水浴場内を取り締まり離岸流にさらわれた人が居ないか監視するライフセイバーのように私は砂浜や道行く人々を監視していたが、そういう輩は少なくない。むしろ半世紀前と比較してみれば増えたと言っても間違いないだろう。

 

 女友達同士で遊びに来たであろう女性たちが、身長180㎝前後の男共に囲まれて迷惑そうに、時にはどこかへ連れていかれるような光景を何度も目の当たりにした。

 

 彼等は決まってライフセイバーや海水浴客の目の届かないフナムシが大量繁殖していそうな岩陰のほうに歩いていく。きっと向こうにヤリ場のような場所があるのに違いない。

 

 

「次はスイカを食べようよ! 蛇子、お腹空いちゃった!」

 

「おいおい、さっき焼きそばと焼きイカを食べたばっかりだろ?」

 

「遅めのお昼ご飯としてね! でもスイカはデザートとして食べたいなぁって思ったの。せっかく日葵ちゃんが持って来てくれたスイカをふうまちゃんが割って、クーラーボックスで冷やしているんだから! そろそろ食べごろだと思うし」

 

 

 蛇子ちゃんの提案でふと我に返る。

 

 楽しかった今日一日の思い出を振り返っていただけで、数分意識が上の空になってしまったようだった。

 

 彼等もまた現地にそのような危険が潜んでいようとも実際に巻き込まれた訳でも絡まれた訳でもないからか、“起こるかもしれない” などという杞憂など微塵も感じていないようだ。

 

 きっと明日も同じような日常を過ごせるのだと思っているような顔だった。

 

 私の人生は自分でも生きづらさを感じるような警戒し続けの人生だが、それでいい。

 

 人類が思っている以上に平和は脆く、神の気まぐれによって文明など瞬く間に崩壊・消滅するのだから。

 

 警戒し続けるぐらいが丁度いいのだ。

 

 まぁ私としてはグループ内にふうま君がいる限りは、脅威はぐっと下がっているとは思う。彼の身長は177㎝。ひょろっとした体格だが、それでも腹筋は割れていたし手足の筋肉もある程度ある。男役の私がいるとはいえ、やはり身長が160㎝前後程度では自分より身長の高い相手には舐められやすい部分がある。その弱点を彼がカバーしてくれているのは大いに助かっていた。

 

 

「あのなぁ、そんなにいっぱい食べると太るぞ? この前もまえさき市で色々買い食いをして+6㎏太——」

 

「フンッ!」

 

「おごっ!」

 

 

 2人のやり取りを眺めていると、ふうま君が余計な一言を告げてヘヴィ子ちゃんによるヘヴィなボディブローが腹部に突き刺さっていた。

 

 あれは重い。重い一撃に違いない。

 

 具体的に鬼崎 キララ先生(漢ッパイセン)とくりそつ*1鬼崎 きらら先輩(オッパイセン)の一撃並みに重そうだ。鈍い音がここまで聞こえてきた。

 

 ヘヴィ子ちゃんの眼は逆三角形になっていたことだし、彼女としては本当に嫌な話題だったらしい。ただ愛しのふうま君が相手だったということで、手加減はしているっぽいけど。

 

 ほんっと、ふうま君は乙女心が分かっていないのだろう。女の子の前で体重の話はNGだというのに……。

 

 よくもまぁアレで多方面から恋愛感情を抱かれるものだと、少し関心する。

 

 まぁ、鹿之助くんもふうま君と似たような歯に衣着せぬ物言いをしてしまうところもあるので、私の傍らでヘヴィブローを眺めているであろう彼に注意喚起を——

 

 

「……?」

 

 

 あれ?

 

 いない。

 

 さっきまで、私の隣で私が持ってきたジュースを飲んでいた鹿之助くんが居なくなっている。

 

 忽然と。

 

 もしこの光景をアニメで例えるなら、彼が居た場所に点線の点滅が反映してピッコンピッコンなっている頃合いだ。

 

 

「……鹿之助くん?」

 

 

 振り返って海水浴客でごった返す浜辺に〈目星〉をつけて彼を探す。

 

 

 ……居ない。

 

 

 1人で何処に行ってしまったのだろうか。

 

 …………嫌な予感が背筋を伝う。

 

 あんな可愛い女装した男の娘が一人でどこかに消えてしまっていた。

 

 傲慢な言い方をすれば、今まではふうま君と私という男役(バウンサー)が居たらから厄介ごとに巻き込まれないで居られたのだ。

 

 彼一人では、血に飢えた狼の群れの中へ世間を知らぬ子羊を放つようなものだ。

 

 この海水浴場で単独行動は様々なリスクが脳裏を過ぎり、心の奥をザワザワと騒ぎ立て始める。

 

 

「蛇子ちゃん! ふうま君!」

 

「?」

 

「ぐぐぐぐ……?」

 

「鹿之助くん! 鹿之助くんが何処に行ったか何か聞いたりしてませんか?! いなくなっているのですが?!」

 

 

 焦燥に駆られ、いつもより声に張りが出てしまう。

 

 脳内は既にぐるぐるし始めている。海水浴場での誘拐、ナンパ師の拐し(かどわかし)、一人で海に入ったことで溺れ、離岸流による太平洋への進出。よくない想像が駆け巡る。大袈裟だとは思うところはあるが、油断こそ一番恐ろしい結果を生む引き金になりかねないのだ。

 

 

「そういえば……鹿之助のやつ、どこへ行ったんだろうなぁ」

 

「あれー? 本当だね。さっきまで日葵ちゃんの隣でくぴくぴジュース飲んで休憩してたと思うんだけど……」

 

 

 2人も私が尋ねるまで鹿之助くんが居ないことに気がつかなかったらしい。

 

 いつから居なくなった?

 

 両目を瞑って後頭部をかきむしる。

 

 

「そんなに心配しなくても大丈夫だろ。そのうちひょっこり戻って来るさ」

 

 

 狼狽える私にふうま君はいつもの楽観的な反応を返してくる。

 

 でもやっぱり私としては彼が心配だ。外見は本当に幼女のような子なのだ。私でも簡単に拉致できそうなのに、大人の男が彼を攫う方法など簡単に連想できてしまう。

 

 現にまえさき市で、彼はケモミミフードの男たちに拉致されているのだ。あの時と状況は違えど、やはり……。

 

 

「それじゃあ蛇子達はここに留まって鹿之助ちゃんと日葵ちゃんが入れ違いで戻ってきた時用に待機しておくね。鹿之助ちゃんが戻ってきたら、ここに留まる様に伝えとく」

 

「ありがとうございます。30分ぐらい探してきます」

 

 

 そんな私を見かねてか、察することに長けた蛇子ちゃんは心情を汲み取って協力の申し出をしてくれる。

 

 おかげで私の捜索範囲はより自由なものとなった。

 

 彼女に頭を下げて、彼が存在した痕跡である砂浜に残った足跡に対し〈追跡〉と存在に〈目星〉をつけるのだった。

 

 

*1
死語。1970年代に流行。『くりそつ』とは『そっくり』の意味




~あとがき~
 Twitterで五車祭……回さないと言ったな。
 SPD66の疾走形態あずささんを見たら回さずにはいられなかったよ……。
 個人的には爆死はせずに済みました。150連であずささんと、若紫先生と、未入手だったRのスライム娘と煙遁の娘、あと奥義がカルティストのそれなノマドのあの子が手に入ったので満足しています。

 ところでSPD66の疾走あずささんのビジュアルチェンジがギャグ体形なんですがマ? これじゃ『対魔忍RPG プレイアブルキャラ化(3)』で公開した【スティール・ロータス教団 教祖】釘貫 神葬のビジュアルチェンジの設定とほぼ同じじゃないか!
 こっちは片乳!向こうは両乳だぞ!
■これ自分のローブの端をガッと掴んで、片乳をぬるぽしてるよな
 2人ともビジュアルチェンジで おっぱい曝け出しているのに、まるで色気が感じられん!!!!
 一周まわってギャグ。
■ポロリの仕方が勇ましすぎるんだよなぁ……。

 おまけに黒猫先生までも出て来て……。
 さぁさぁさぁ、対魔忍RPGX?!
 獣姦(獣の交尾)は無修正でイケルはずなので、もっと前衛的になってほしいですね!

 きっとここまで二次創作のコレと対魔忍RPGのアレがちょくちょく似ていて作者は謎のドヤ顔を浮かべていますが、たまたまかな?

 たまたまだよな……?

 今も推してますが、日ノ出 陽葵ちゃんを全面的に推しまくってた時に、陽葵ちゃんの新ユニットが出てきていたりしたので、今回もたまたまとは思えない出来事にちょっと興味を惹かれました。

 また作者が調子に乗りますね???

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