対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。   作:槍刀拳

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Episode135 『クトゥルフ世界の(てめえの焼死体の上で)様式美解決法(マイムマイムを踊ってやる)

 階段を使って、鹿之助くんを両肩に背負ったまま駆け降りる。

 

 鹿之助くんによる白濁した懸濁液のフレンドリーファイアを視界へ入れないように配慮しながら背後を振り返れば、踏み倒した襖を続くようにして逃がすまいと決死の顔をした大男、チャラ男、ゲス男の3人が追いかけてくるのが見えた。

 

 

「イ゛ッ!」

 

「ギャッ!」

 

「ギッ!」

 

 

 しかし振り返ったあたりで彼等の痛みに対する呻きが聞こえてくる。

 

 誰も彼もが痛みの原因となったであろう患部——足の裏を手で押さえている姿が見えた。

 

 あれは間違いなく私がグラスをチャラ男の顔面で叩き割った時の破片でも素足で踏んだのだろう。

 

 人間であるからにはある程度は踏まないようにするだけの知能はあるかもしれないが、仕草とあの声は完全に破片を踏んだ時の絶叫だ。

 

 もし彼等の攻撃を反撃もせず私がのらりくらりと土足で〈回避〉し続けていたと思われていたならば、お門違いだったと身に染みただろう。

 

 これまでの〈回避〉行動で円舞曲を披露しながら飛散したガラスの破片を更に広範囲へと散開させてもらった。

 

 これで奴等は満足に歩くことなどできない。

 

 降りるたびに体重が素足の裏に加わる階段を通過する等もっての外。

 

 板の間でもガラス片が肉に食い込んでそれなりの激痛が走るはずだ。

 

 そんな負傷状態で塩を塗り込むかのような行為となる砂浜まで追いかけることなんてできるわけもない。

 

 端から私は土足で上がり込んでいた以上、そのような怪我など生じる訳もない。

 

 素足の鹿之助くんは既に私の両肩の上だ。

 

 世界共通言語である暴力で解決しながらも、“頭を使って” とっておきの切り札をさりげなくここぞとばかりに発揮させる。

 

 

 さぁさぁさぁ。

 

 

It's show time!

 

 

 その逃げられない足のまま、タバコの不始末、可燃物への引火、大炎上。

 

 ファラリスの雄牛の刑に処してやろう。

 

 

あっあっあっあっあっあっあっ

 

「……………………」

 

 

 …………でもまずは、右肩からずっと聞こえてきている生ASMR鹿ちゃんをまずなんとかしちゃおうかな。

 

 クリがピン立ちしている彼のY字の股間へ顔面を押し付けて深呼吸をしたくなってしまうほどに、栗の花の匂いを漂わせる棒状のナニカから、とめどなくナニカが流れているし、変に生暖かいからなんかいろいろ変な気分になってくるんだが???

 

 対魔忍世界だしコレを直接的な表現をしても構わないような気がするけど、直接的な表現をしたら色々と吹っ飛びそうな予感がするし。

 

 てか、男のコって一発出したらスッキリするモンじゃなかったっけ?

 

 今から約100年前。釘貫神葬の義務教育での保健体育の教科書では、そんなことを学んだような気がするけど?

 

 ねぇ賢者タイムは?賢者タイムどこ?

 

 クスリでおかしくなってるの? それとも元から絶倫なの?

 

 ねぇどっち!?

 

 

 私が先におかしくなっちゃうよぉおおおおお!

 

 

 なんて心情を表に吐露するわけにもいかず……。

 

 

「着火」

 

 

 ポーカーフェイスの仮面を被ったまま、鹿之助くんにはこれから行う盛大なバーベキュー(キャンプファイヤー)を見られてしまわないように砂浜でオーシャンビュー側向きで鹿ちゃんを安楽な姿勢で寝転がした。

 

 私は2階でくすぶっている奴等が行動を起こす前に、海の家の灰皿の近くでタバコの灰を落としながら最終的には畳を炎上させる。

 

 あっという間に火の手は広がり、白煙が立ち込め、奴等は視界を奪われる。

 

 あの足に加えて煙に巻かれホワイトアウトした視界では探索者(熟練の同胞)でもない限り、激痛のなか急こう配の階段など到底降りることなどできないだろう。

 

 私はなんて温情があるのだろうか。

 

 彼等に死に方を選ばせてあげるなんて。

 

 一酸化炭素中毒か、焼死か。

 

 バーカウンター裏のお友達は焼死を選んだよ。

 

 ヤツは田舎における名物怪異:くねくねのように全身を炎で彩ってタンパク質が燃焼させる臭いを漂わせている。

 

 君達には好きな方を選んで貰おう。

 

 ご丁寧にあの部屋は錆びついていそうな重々しい雨戸が閉められている。

 

 はたして煙が充満するまでの僅かな時間に、雨戸を開けて2階から飛び降りて逃げるという選択肢は取れるかな?

 

 

——あぁ、なんて私は優しいのだろう。

 

 

 着地狩りができるように外で待っていてあげるだなんて。

 

 それに。

 

 既に彼等は足に食い込むガラスの痛みは十分すぎるほどに堪能し尽くしている。

 

 そんな状況で飛び降りる勇気など湧くだろうか?

 

 仮に飛び降りることができたとしても、打ちどころが悪ければ私が追い打ちが待っている。

 

 

——そうそう。

 

 

 おまけで、ささやかながらプレゼントも用意した。

 

 それは“当然の推論”の観点からしても私が存在を描写せずともあって当然のもの。

 

 消防署から住宅用消火器の設置を推奨され、炎上真っただ中の一軒家にも存在している屋外に放置された消火器だった。

 

 彼等が階段を下ることができて、炎が行く手を遮っている時はその消火器を使って火を消せばいい。

 

 カルティスト共の命運は私の手に握られているという全能感に、高揚しギラついた笑顔を隠し切れない。

 

 タバコの不始末で炎上させた記念すべき20軒目は、荒廃した海の家(カルティスト共の根城)でした。

 

 

 燃えろよ燃えろよ民家よ人間よ証拠よ、全て燃えろ。

 

 

 1犠牲者の怨嗟の炎が宿っているかのように激しく燃え広がる最中、周囲に〈目星〉を行い更に消すべき証言者が居ないかどうか確認するが特にそういった脅威は見当たらなかった。

 

 

………

……

 

 

 結局、彼等は誰一人として飛び降りてくることはなかった。

 

 必死に腕を錆びついた立て付けの悪い雨戸の隙間から伸ばしてなんとかこじ開けようともがいていたが、既に煙は2階にも充満しているようで腕一本分の隙間からは白煙が立ち上っていた。

 

 ものの数分の間に雨戸の隙間から伸びていた複数本の腕は1本、また1本と植物が枯れるようにパタリと萎れてしまう。

 

 やがて火の手は更に強まり、雨戸からの脱出を諦めた人物が階段を下る様子が遠巻きながらにも観察できた。

 

 例の監督の姿だった。

 

 彼は這う這うの体で救済措置として設置した消火器を手に取り——

 

 

 「バーン」

 

——パァーンッ!!!!

 

 

 指でピストルを作り手にした消火器に狙いを定め、射撃音を口にした私の声とほぼ同時に渇いた破裂音と白煙が周囲へ舞う。

 

 あれは放置された消火器を使用した瞬間に、内部のガスが圧縮され底面が破裂し爆発した音。

 

 こんな寂れた民家の屋外に設置された消火器など、潮風やら雨風に晒され錆びつき挙句の果てには〈法律〉の消防法に基づいての交換や点検などもされている筈もない。

 

 消費期限はとっくの昔に切れている。

 

 そんな状態で使用しようものならどうなるか。

 

 

「フッ」

 

 

 大炎上する民家から誰も出てこないことを確認し、鼻で笑って現場に背を向ける。

 

 この調子で炎上し続けてくれるならば私に関する証拠は残るまい。

 

 カルティストとは親族もろとも根絶やしが基礎だが、手掛かりがない状態で私に辿り着くことは不可能だ。

 

 そもそも今回はタバコの不始末による焼死事件。

 

 1人は焼死、3人は一酸化炭素中毒死、1人は消費期限の切れた保管状況が劣悪な消火器を使用したことによる爆死。

 

 その結果からどうやって私と鹿之助くんに〈目星〉を付ける?

 

 

「まったく……」

 

 

 いつものように殲滅したカルティストは放っておいて、ひと段落ついたところで安楽な姿勢のまま砂浜に寝転がしている鹿之助くんの方へと近寄る。

 

 

「ほぉっおほっほぉ

 

 

 彼は寝転がした姿勢が悪かったのか、彼はうつ伏せになり愛らしい喘ぎ声を上げながら砂浜に自身の股間をぐりぐりと何度も打ち付け男らしい行為にふけっている。

 

 ありゃ女には無理だ。

 

 なめらかな素肌にはチラホラとヒメスナホリムシが喰らいついている姿が散見されるが、その痛みですら今の彼にとっては快楽の何者でもないらしい。

 

 そんな彼の芋虫のように悶える姿にキュンとしてしまう。

 

 キュンとしてしまうが、ここは堪えて優しく彼を諭してみる。

 

 

「はぁ……。本当に鹿之助くんは手が掛かるんですから。私なんかより『かわいい』のですから、少しぐらいは周囲に対して警戒心を持って欲しいですね。そもそも私の到着が遅れていたら、今ごろ取り換えしのつかないデジタルタトゥーを世間にばら撒かれるところだったんですよ?」

 

♥♥♥♥

 

 

 フリルスカートのすそからはみ出す小山から無色透明と化したデビデビの粘液汁を垂れ流す彼の下まで歩み寄り、ヤンキー座りをして彼を覗き込み様子を観察する。

 

 今の彼では説教混じりの小言はソフトな言葉責めに。見下ろす行為でさえも視姦として快楽に置換されているらしい。

 

 もしもアニメの世界なら今頃、彼の両瞳には♡マークが並んでいることだろう。

 

 

「……目を離した私も悪かったかもしれませんけど……こんな調子じゃあ、ますます目が離せなくなるじゃないですか……」

 

 

 ため息をつきながら焦げた肉の臭いのするカルティスト殲滅現場から離れるため、下半身に私が首から掛けていたフェイスタオルを巻きつけてお姫様抱っこで抱え込む。

 

 私の腕の中で生まれたての赤子のように全身の筋肉を丸ませて、可愛らしい仕草をして抱きかかえられる彼は何処からどう見ても愛らしい彼女だ。

 

 振動による肉の悦びが身体の芯を刺激続けているのか、抱き上げても彼の表情は恍惚とした表情のままで変化することはなかった。

 

 

「…………2人の元へ戻る前に、その鹿之栗汁を何とかしなければなりませんね」

 

 

 今の発言でどこか期待の眼差しに変わった彼を見つめながら、焼け崩れる音を反響させる海の家を背景にふうま君とヘヴィ子ちゃんの待つ浜辺へと戻るのだった。

 

 




~あとがき~
 そういえば最近対魔忍小説が増えて嬉しいゾ~。
 来年メス奴隷ウーマンと竿役絶対潰すマンすこすこのすこ。
 本小説内で宣伝支援するやで~。
 2人とも同じ時期に投稿されていてなおかつ転生者でワクワクしますね!

 さて、本小説ですが今回は2分割というわけで3日後投稿したわけですが、
 次回投稿は4日後の2023/06/26のいつもの時間です。
 よろしくお願いします。

 そういえば、少し前に悩んで今も悩んでいるとお話した突発的に小説が書けなくなってしまった現象について理解が深まりました。
 『ライターズブロック』というものらしいですね。はえー……困った。

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