対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。   作:槍刀拳

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Episode159 『ケツ叩きなのマシーン』

 

——受け止めて、しまったな?

 

 

「獲った」

 

 

 ここぞとばかりに復唱と共に、こちらも勝ち誇った顔の蛇子ちゃんを嘲笑うような表情をする。

 

 彼女は自分がまたもや私が小細工を仕掛けていることに気付いたのか掴んだ竹刀を握りつぶしにかかる。

 

 捕まれた竹刀はたちまち私の一夜城の如く黒く墨のように溶けて、掴まれた箇所からポトリと飛ぶ鳥が落ちたように折れてしまったが問題はない。

 

 

「きゃっ…………な、何これ!?」

 

 

 蛇子ちゃんは胸倉をつかんでいた手を離す。

 

 そのせいで私は背中から倒れ込んでしまうが大した問題ではない。

 

 ギラギラとした笑みを浮かべながら身体を起こす。

 

 蛇子ちゃんに視線を向ければ彼女はチャドクガの幼虫に刺されてアレルギー発作を引き起こした患者のように左手を凝視しながら右手で手首を押さえている。

 

 息を切らせながら後退りしながらよろけ始める。

 

 その表情は非常に狼狽えており——

 

 

 奴が “われを失っている” 間に、期末試験で神村に対して行った行為のように低姿勢で素早く左右にダッチ(〈回避〉)を踏んで接近し、折れた竹刀のまま彼女の懐へ飛び込む!

 

 

「シィイェェアアァァッ!」

 

 

 期末試験で弓走に放った昇竜拳の勢いで、下から上に切りあげるように股ぐら目掛けて竹刀による〈跳躍〉込みの〈近接戦闘(格闘)〉一撃を叩き込む。

 

 

ベッチーンッ!!!

 

 

「ピギィッ♥♥♥?!」

 

 

 綺麗に蛇子ちゃんの下半身、ωの中央に紫電一閃がぶち当たった。

 

 たぶん陰核辺りにクリーンヒットしたのだろう。

 

 今までに聞いたこともないような甲高い青いスライムの断末魔のような悲鳴が一帯に響く。

 

 昇竜拳の要領のまま〈跳躍〉にて3ⅿほどの高さまで舞い上がった視野だからこそ分かることだが、今の蛇子ちゃんの表情は私の背筋を指でなぞってくれるようにゾクゾクとするような叩かれ慣れてない女の顔をしている。

 

 身体は破傷風の症状の1つように弓なりに仰け反り、力強く食いしばった歯が口の中から見え、涙目になっている両目の目尻からは大粒の涙が溜まって今にも零れそうだ。

 

 目は大きく見開かれており、まさにカルティストが脆弱な人間の手によって崇め奉っていた邪神様が退散されるとは思っていないような驚愕と悲痛に満ちた顔をしている。

 

 

「泣きを入れたらもう一発ッ!!」

 

「ヒっ」

 

 

バシーンッ!

 

 

 上空に飛び上がった状態から今度は兜割りの要領で蛇子ちゃんの脳天目掛けて竹刀を振り下ろすが〈回避〉されてしまい、渾身の一撃は地面を叩く。

 

 衝撃で竹刀の腐食した部分が更に砕け散るが、〈大きな棍棒〉が〈小さな棍棒〉に変化した程度の変化でしかない。

 

 ま だ 武 器 と し て 充 分 に 扱 え る 。

 

 全体重を掛けた兜割りによる一撃を〈回避〉されてしまったことは遺憾だが、即座に立て直して先ほどやられたように蛇子ちゃんの胸倉……彼女の服に胸倉はないのでアンダーバストラインの服を掴みかかる。

 

 引き上げるように掴んだため、ブルルンと大きな二つの乳房がむき出しになるが、別にNomal(ただの) Love(ノンケ)である以上彼女のお胸のポロリにトキめいたりなどはしない。

 

 むしろこの状況で夜勤明けのような睡魔による苛立ちも相まって、その豊胸を見せびらかされるのはクソ腹立つ!!!

 

 そのままビルの各種窓からこちらを鑑賞していた狙撃手たちの対策——生きた肉盾として運用する。

 

 

「ちょっと離しなさい!な、何をするのよ!」

 

 

 衝撃を受けて我を失ったかのような蛇子ちゃんも服を掴む私の手首・それも即素肌を掴みにかかる。

 

 しかし、それは触れられてはならないと警戒した女の手とは程遠い。

 

 今や彼女はただの一般人(・・・・・・)の女性の艶やかな手付きのそれだ。

 

 

「……む…………?」

 

 

 先ほどまで優勢だった蛇子ちゃん変貌、そして “触れられたら終わり” であるはずなのに、ベタベタと触られてもピンピンしている私へエドウィン・ブラックも興味を持ったようだ。

 

 視線をこちらに向けている。

 

 取り乱し蛇子ちゃんに何が起こったのか。

 

 これは、私が武器として振り回していた竹刀の効果だ。

 

 『竹刀』とは、まえさき市のカルティストから奪った——『クトゥルフ2010』に掲載されていた武器の1つ。

 

 元のデータとしては殺傷力はほぼ皆無な得物である。

 

 ただし、私がこれまでに扱ってきた武器には付与されていない “スタン” という特性が付与されている。

 

 スタンというのは『CALL of CTHULHU クトゥルフ神話TRPG』61頁 によれば、ある程度の僅かな時間。衝撃を受けてわれを失わせる一撃。

 

 『CALL of CTHULHU クトゥルフ神話TRPG』61頁によれば、スタンを引き起こさせるには一定の確率で成功させる必要があるのだが、『クトゥルフ2010』によれば用いている竹刀にはその必要はない。

 

 私がまえさき市で蛇子ちゃんを泣かせた〈頭突き〉は相手の戦意もろとも失わせる一撃だったが、こちらは違う。

 

 

 攻撃する気力を一方的に奪う神器なのだ。

 

 

 つまり蛇子ちゃんが私に攻撃を一撃でも加えれば勝ち確であったように、私も竹刀で蛇子ちゃんに一撃でも攻撃を加えられたならば私の勝利は確定されるシロモノである。

 

 だからあくまでも一方的な防戦戦で攻撃する余裕がないように見せたり、駒水ちゃんが囚われているショーケースに近づいて意図を逸らしたり、目に見えない毒霧に追い込まれることは想定外ではあったものの。

 

 蛇子ちゃんが私の攻撃を受け止めてしまう程度の余裕のない我武者羅な攻撃を演出する必要があったのだ。

 

 

「よっこいしょっと」

 

 

 漫画『ドリフターズ』で島津 豊久がエルフを迫害する領主の隊長を抱えるように、蛇子ちゃんを肉盾を持ち上げる要領でつるし上げる。

 

 

「降ろしなさい!降ろしなさいよぉ!降ろして!」

 

 

 ヒステリックにキーキーとわめく彼女は私をムラムラさせる。

 

 欲情していく精神をこらえながら、声で泣きわめく蛇子ちゃんを盾とし駒水ちゃんが拘束されたパッケージに近づいて〈手斧〉を回収する。

 

 囚われた駒水ちゃんの右手を拘束している拘束具を破壊して〈手斧〉を渡し、自ら拘束具を外すように指示する。

 

 

スパーンッ!

 

 

 それから蛇子ちゃんの尻を “背後からの奇襲” を用いて竹刀で一回シバく。

 

 

「あっアッあああああ~~~~~~!!!」

 

 

 蛇子ちゃんの情けない超かわいい悲鳴によって私の心の中のオチンチンが鹿之助くんを愛でたときのようにオッキボッキする。

 

 だが、このサンドバッグはこれから存分に叩きたい放題なのだ。

 

 ニチャァ……と粘り気のある笑みが漏れてしまう。

 

 まえさき市で誓った報復は50%完了したようなものだ。

 

 

 あ と は 私 が や ら れ た よ う に 存 分 に 辱 し め て や る 。

 

 

 スタンで〈攻撃〉に転じることのできない蛇子ちゃんが、より一層。恐怖に怯えたような〈頭突き〉を喰らった時のように何が起きたのか理解できていない表情をしている。

 

 髪を振り乱し、暴れて抜け出そうと試みるが……。

 

 

——竹刀のスタン効果は脱出(それ)を許さない。

 

 

 ひとまず、蛇子ちゃんの尻を竹刀で新たにシバいたことでスタンの効果時間は更に延長したはずだ。

 

 〈改造した釘打ち機〉も回収し、私の装備はほぼ完ぺきに回収したと言っても過言ではないだろう。

 

 

「お、おっ、覚えてなさい!ゼラトシーカー!絶対にカオス・アリーナで奴隷戦士として地獄を味合わせてやる!」

 

「はいはいはい。で、ブラックさん。私のパイプ爆弾の対策は講じることはできましたか? まだであれば私も公衆の面前で蛇子ちゃんを泣かせて自尊心をズタズタに(・・・・・)できましたし、もう駒水ちゃんを連れて帰ろうと思うのですが……いいですよね?」

 

「………………」

 

 

 彼からの返事は何もない。

 

 彼の赤い瞳に見つめられていると、睡魔とは違う——

 

 意識が混濁してくるような気がするが——

 

 

スッパーンッ!

 

 

「うっあっあっああああ~~~~~!!!」

 

 

 催促と気付け薬として、24秒経過するごとに蛇子ちゃんの背後から尻を竹刀でぶっ叩く。

 

 フゥー! ヤツの情ッッッさけない悲鳴が私の心を満たしてくれる。

 

 竹刀が裂き割れ状になっている分、普通の竹刀で尻を引っぱたかれるよりも致命的な一撃になっているはず。

 

 それこそSMショップで販売されていた頃の竹鞭で尻を叩かれているような……。

 

 タイトなスカートが裂けて、赤いミミズ腫れ混じりのプリンッとしたベビーなおケツが露出してやがるぜ!

 

 こうなりゃあ、高位魔族もただのオンナノコだなあ! ギヒヒヒヒヒッ!

 

 

 でもヘビ子が悪いんだよ!私の武器を破壊してその一本に束ねている竹刀を竹鞭に分解したんだから!

 

 

 あと、これは予言になるのだが……。

 

 今こそ攻撃の手段を封じた蛇子ちゃんをあしらっているが、仮にスタン状態から復帰した暁には私は無事では絶対に済まないだろう。

 

 良くて殺され、悪くて彼女の言葉通りカオス・アリーナで報復3000倍のしっぺ返しをされるに違いない。

 

 だから私は自己防衛のために彼女を尻を必要以上に引っぱたくことを止める選択肢がない。

 

 私は悪くない。

 

 蛇子ちゃんが自ら痛めつけて欲しいと望んだ……望んでいるのだ。

 

 つまり、こうなることを望んでいるってことは……蛇子ちゃん、実はドマゾなんだろう?

 

 

「………………」

 

「なるほど。……その沈黙は肯定と受け取らせて頂きますね」

 

 

スパーンッ!

 

 

「あああああああああっ!」

 

 

 蛇子ちゃんの尻を叩きながら、メス奴隷パッケージから抜け出し地面にへたり込む駒水ちゃんには下がるようにジェスチャーを送ってこの場から離脱させようと促す。

 

 

「……ごめんなさい………………歩けそうにもなくって……」

 

 

スパーンッ!

ヌズボォッ!?!?

 

 

「」ビクッ!

 

「ふほぉっ!? ふっほぉぉおぉおおおおお?!」

 

 

 ごめん。

 

 蛇子ちゃん。

 

 今のは当てつけで尻を叩いて、竹刀の先端を尻穴(アナル)に突き刺した。

 

 たまには予測不能な躾を加えないとね。

 

 ペットを電気ショックでしつけるのと同じ要領。

 

 さぁ、私はどう動くべきか。

 

 駒水ちゃんを連れて離脱したいところだが…………。

 

 背中には荷物の詰まったリュックサック。

 

 右手には竹刀の尻尾を振って悦ぶ半泣きの蛇子ちゃん。

 

 左手には半壊したハッタリ仕込みの竹刀とが握られており。

 

 とてもじゃないが駒水ちゃんを背負う余力なんかない。

 

 目の前には高位魔族の1人エドウィン・ブラック。

 

 周囲には〈ライフル〉銃を構えた狙撃兵。

 

 少し離れたところで身を寄せ合って縮こまる方言オーク達。

 

 リュックサックを駒水ちゃんにまかせて彼女を直接背負うことも選択肢として挙がったが……万が一、彼女が敵側に洗脳されていたとしたら?

 

 ただでさえ私が蛇子ちゃんの毒霧にやられて窮地なのに、更に窮地に叩き落とされてしまう。

 

 だからと言って彼女を置いていくわけにもいかない。

 

 こんな時こそ複腕のある神話生物がうらやましくなる。

 

 私も追加で4本ほど欲しい。

 

 対魔忍世界は私の知っている現代よりも近未来で民間でもサイボーグ化とかの技術があるし、将来は自由腕でも取り付けようかな。

 

 千手観音アタックとかロマンだもん。

 

 ロマン。

 

 




~一方、その頃……①~
日ノ出 陽葵「………………」トボトボ……



~一方、その頃……●~
?? ??「………………」カチ ピッピッピッピッ


?? ??「………………」カチ ピッピッピッピッ


?? ??「………………」カチ ピッピッピッピッ


?? ??「………………」カチ ピッピッピッピッ


?? ??「………………」カチ ピッピッピッピッ



~あとがき~
 タイトルをスネークレディを無力化した回想と合わせてみました。
 ふうま君は最新医療技術を扱いましたが、こちらは古代物理技術ですかね。

 そして対魔忍RPGの新章。
 未来編で天下無双の未来舞ちゃんが出たらしいですね。
 禁書を焼くカルティストも現れただとか。
 やはりポストアポカリプスにはカルト、カルトがいますよね! 情報統制しやすい世界でカルトが存在しないわけがないよなぁ!!!
 でも対魔忍RPGの未来編で二次創作だが先にカルティストを登場させた、先駆者は私だ!ガハハ!

 日本版の対魔忍RPG ex……まだ発売されませんね。
 対魔忍GOGO! と同じにおいがします。

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