対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。   作:槍刀拳

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~ふうま視点~


Episode180 『合流を目指す一行』

「その人たちって、この後どこに行くとか言ってませんでしたか?」

「さぁねぇ……。宿を取って質屋と古着屋とお土産を買いに行くことしか話してなかったからねぇ。フロントにも確認をとってみたけど、いくつか店をピックアップしちゃったみたいだからオバちゃんもどこの店に行ったかはわからないね……」

「そうですか、ありがとうございます」

 

 任務中に失敗し東京キングダムで消息を絶ったはずの駒水幸子さんからの最後の連絡があったとされる魔都 東京SPA温泉のレストランで聞き込みを終え、俺は2人が待つ出口に戻る。

 

「どうだった? ふうま?」

「どうだった? ふうまちゃん」

 

 鹿之助も、蛇子も戻ってきた俺を真剣な表情で見つめてくる。

 特に鹿之助のやつはいつもの引き腰とは異なる前傾姿勢にまでなって、調査結果に耳を傾けて向けている。

 青空さんのことがよほど心配なのだろう。

 

「残念だが……具体的な場所まではわからなかった」

「あああああああああ!一体どこに行っちまったんだよぉ!」

 

 俺の言葉に鹿之助が絶叫しながら頭を抱えてその場にうずくまる。

 無理もない。あの神村さんを殴り倒したなど到底信じられないことだが、()()()()“アレでも”青空さんは一般人なのだ。

 

 俺としてもアサギ校長先生からの依頼で先行している紫先生と合流して無事だと信じたかったが……。

 本部からの情報によれば合流しておらず、当の本人はなぜか日ノ出さんと駒水さんを連れ回しては東京観光を満喫しているらしい。

 鹿之助のように頭を抱えたくなる事態なのは俺も同じだ。

 

 青空さんの保護のため、本来であれば俺たちも東京キングダムに迎えに行く予定ではあった。

 しかし遠目からでもわかるほどに現在、魔の人工島からは大規模な火災があったような黒煙が狼煙のように噴き上がり、住民が大橋近くに集まって普段とは異なる島の様子が観察できた。

 それから俺の携帯にマダムから直接情報が入り、すでに青空さんと日ノ出さんが()()()()()()()東京キングダムから去った話を聞かされたのだ。

 情報としてそのルートをマダムから聞き出そうともしたのだが、はぐらかされてしまったのがオチだ。

 

 迎えのヘリが仕方なく方向転換したところで、次は本部から東京のSPA温泉にて以前任務の最中に行方不明となった駒水さんと共に現れた情報が入った。

 俺たちは新たな任務として駒水さんへの尋問と青空さんの保護、日ノ出さんに事情聴取という命令が下されて、連絡の位置情報を元に温泉へやってきたところだったというわけだ。

 

「わからない。だが店の人の話では宿を取る予定と、質屋と古着屋に向かう話と、お土産を買う話をしていたそうだ」

 

 彼女達がいくら資金を持っているかは分からないが、時間帯も踏まえ順当に考えるならば『質屋→古着屋→宿→お土産屋』に向かうものだと考えられる。

 質屋ならば闇市でも行かない限り名義を偽装することはできないだろうが、3人がSPAから去った時刻と現時刻を比較すると既に質屋には居ない可能性が最も高いだろう。

 

「操縦士にも報告して、青空さん、駒水さん、日ノ出さんの名義でどこの宿を取ったか調べてもらおう」

「わかった!蛇子はその件を伝えてくるね!」

「ああ頼む」

 

 蛇子が連絡のため、駆け足でその場を離れる。

 

「ふうま、俺はどうすればいい?」

「鹿之助、お前は……」

 

 昨日の任務へ取り組むよりも意欲的な鹿之助を見る。

 鹿之助は絶対に捜索の(かなめ)になるだろう。青空さんのこれまでの行動を元に、うまく彼女と出会う方法を模索する。

 

 鹿之助の忍法は人体に帯びる静電気でレーダーのように個人の位置を特定することに長けているのだが、その忍法はあくまでも人体反応を捉えることができるだけであり、どの人体の静電気反応が特定の個人を指し示しているのか判明させることはできない。

 特に魔都 東京では、どこもかしこも人だらけで鹿之助の能力での活躍は厳しいだろう。

 期末試験の時のように人だかりの中心に彼女達がいることが理想的なのだが……。

 もし魔都 東京でその状態に陥っているならば、彼女達は危険な状態に晒されている可能性が最も高くなる。

 

「ふうまちゃん! 名前で調べてもらったけど見つからなかった! でも似たような容姿の特徴を持った3人組の情報*1あって、ホテルでチェックインしたあと東京百貨店に向かったって!」

 

 蛇子の言葉に鹿之助に手伝ってもらう方向性が定まる。

 

「東京百貨店だな。まずはそこに向かおう。それで青空さんとの合流方法なんだが鹿之助、お前には——」

 

 こそこそと青空さんを釣り出す作戦を鹿之助に耳打ちをする。

 

「ええええええええええええ!? なんだよそれ! 嫌だよッ! 恥ずかしいっ!!!」

「頼む。これぐらいしか、青空さんと高確率で合流する方法は無いんだ」

「だ、だけどさ……っ!」

 

 納得していない様だが確実な方法であり、俺としては実行したいのだが……。

 これには説得が必要のようだ。

 

 

*1
情報:ポニテの目つきが悪い男、褐色肌でライオンのたてがみみたいな男の愛人、目と髪の毛が蒼色の女性




~あとがき~
 前回、いつもとは異なる形式で執筆したので、お試し投稿になります。とお送りしましたが、過去の私なら(裏)とか、Episode-Insideで物語を綴っていたとおもうのですが……。
 今回は気づいたら対魔忍側のお話を本編とごちゃ混ぜにして展開してました。
 一応、1話辺り1000文字前後で構築してます。
 これも作者5割、オリ主4割、ふうま君1割で悪いんや……(原因は後述)

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