対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。 作:槍刀拳
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……
…
「こちら迷子センターです。お呼び出しを申し上げます。上原鹿之助さんのお友達の方、上原鹿之助さんがお探しです。東京百貨、地上4階サービスカウンターまでお越しください」
ふと聞き覚えしかない親友の名が聞こえた気がして立ち止まる。
「……陽葵ちゃん、駒ちゃん。私の聞き間違いでなければ、放送で鹿之助くんの名前が呼ばれていませんでしたかね?」
「はい、今たしかに“上原 鹿之助”さんと……」
「上原くんも日葵ちゃんを追ってきたの!?」
私の聞き間違いではなかったようだ。
しかし妙だ。
眉をひそめ、読み上げるように淡々と繰り返されるアナウンスをただ聞き返しながら思考を張り巡らさせる。
そもそも鹿之助くんは陽葵ちゃんとは違って、こういうことはしないタイプなのだ。例えやったとしても、本人が自覚するような、いかにも子供っぽい館内放送でわざわざ呼び出されるのは嫌がりそうなものだが……。
彼は正義の
普段の彼の行動からは…………考えられない。
「……青空ちゃん、迎えに行きますか?」
「もー、上原くんも日葵ちゃんが心配だったんだね! でも迷子になっちゃうなんて仕方ないなー。迎えに行こっか?」
女の格好をして公共交通機関に1人で乗った私が。
散々な目に遭った魔都 東京で。
私より女の子らしい容姿の鹿之助くんが。
無事に1人でここまで????
左手を口元に持って来て、右手を左肘につける。
「…………」
「青空ちゃん?」
「日葵ちゃん?」
疑問があがっているような、でもこれまでの振る舞いから独断行動は取らずに私の指示を待っているような2人の声が聞こえる。
「陽葵ちゃん、駒ちゃん。まっすぐホテルに戻ります。きっと同姓同名というやつでしょう。ですがホテルに戻るまでの間、私から絶対に離れないでください」
「?」
「……!」
監視カメラを1度睨みつけてから、ホテル側に向けて早歩きで歩みを進める。
鹿之助くんを迎えるどころか離れていく進路に陽葵ちゃんは困惑した顔をしているが、すぐに満足そうな顔に戻った。
一方で駒水ちゃんは気づいたと思われる。さすが対魔忍。
無言のままであるが顔が少し引き締まって、理解しておらず表情筋が緩んだ陽葵ちゃんを私との間に挟んで移動している。
恋敵を迎えに行かない事でホクホクになっている
モドキとは違うのだよ。モドキとは。
さて。この館内放送は明らかに誰かの差し金による、私をおびき寄せるための罠だろう。
しかしそれは蛇子ちゃんでも、エドウィン・ブラックでもない。
だから断言できる。
これは第三勢力によるものだ。
蛇子ちゃんは鹿之助くんを人質に敢えて選んでいないことを告げてきた。あの場には私達には誰も居なかった。つまり、その裏内事情を知るのは私と蛇子ちゃん、しいて言えばブラックのみ。
そしてブラックが東京まで追ってきていたと仮定するならば鹿之助くんの名など出さずに朧忍軍の斥候に位置情報を特定してもらった後に、あのワープゲートホールで油断しきっているところを強襲すればいいだけの話であるはずなのだ。
どんな奴が画策しているのか知ったことではないが、罠選択を誤ったな?
鹿之助くん検定初級未満が。
~作者の気持ち~
大人しく合流してくれませんかね?
2023年の私はどうして、シナリオにない短編寸劇をあとがきに展開させているんですか?
(これがなければEpisode179で〆て、五車勢との夏休み編に移行できたのに)
原作イベント:
パーカー姿の鹿之助くん、かわいいねぇ!!!!
でもサンタは男が定番なんだからはやくサンタ服を着るんだよ。オラ、あくしろよ。