対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。   作:槍刀拳

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Episode192 『目指せ!本物つよつよギャル』

 

 神村をおでかけメンバーに加えて、神村が服を買った店に私達は訪れていた。

 無事に陽葵ちゃんのトップスは購入できた。

 流石は神村のスイカ級の爆乳も合わせられる服屋!

 谷間を強調するキャバ嬢みたいな服装が大半を占めているが、わずかな真面な服を陽葵ちゃんに合わせたら丁度いい感じにはなった。

 

 神村が陽葵ちゃんの最終的なコーディネートを見て『ダセエ』との暴言を吐いたが、これが50年前では普通の格好だったし……。きっと神村の目線では、私が昭和中期時代の服装を見たような感覚なのだろう。もんぺ服みたいな。

 されど何よりもあの痴女みたいな露出をしている今の価値観が私にとってはかなりヤバい。

 そもそもあんな恰好、東京キングダムでたくさん見て来たぞ! 東京キングダムの娼婦どもがあんな格好をしているってことは、だ! 露出度が高い服は大半の異性からそういう目で見られるし、それを平然と着こなすのはおかしいんだって!

 

「青空、お前、俺を騙しやがったなッ!」

「騙したなんて人聞きが悪いですね。騙してなんかないですよ。いつまでも恥ずかしがってないで早く試着室から出てもらえません?私達は15時半には五車行きの電車に乗るんですよ?あと1時間しかないんだから早くしてくださいよ」

 

 さてはて……。

 陽葵ちゃんの服もコーディネートが終わったあとは、神村の服もみているのだが……。最終的なコーディネートは決まったはずなのに、彼女が試着室から出てこない問題が発生していた。

 試着室のカーテンから頭だけをすっぽり出して、涙目で私に対して躾のなっていない駄犬のようにキャンキャン吠えている。私も彼女の真正面に立って半分キレ散らかしながら、右手に付けている腕時計を左指で叩きながら早く出てくるように催促する。

 

「まぁ、神村さんがそんなに『嫌だ』って言うなら私はあのキャバ嬢コーデに戻すのは構いませんが。あくまでも私はちゃんと神村さんにギャルコーデを整えましたからね? 私の言うことを聞かないなら後は知りません。勝手に自己流のキャバを貫いていればいいんじゃねえですか?」

「あ゙お゙ぞ゙ら゙ァ゙!゙」

「絶対に似合いますから!ほらさっさと出てきてくださいよ!時間が無いんです!服装だけでギャルコーデは終わんないんですよ!!」

 

 腕時計を力強く素早くペシペシ叩きながら催促を強める。

 

「うぐっ、うっ、うぅぅ……

 

 やっと神村が試着室のカーテンを開ける。

 まるで攫われた生娘が、今宵初めての競売に掛けられるような艶っぽいうめき声のような声を上げながら御開帳して身体と服装をみせてくる。

 

「陽葵ちゃん、陽葵ちゃん」

「♪?」

 

 私だけでは信じないだろうから、服が一式揃ってご機嫌な陽葵ちゃんを手招きして呼び神村の服装を見てもらう。

 ……おお。陽葵ちゃん、そのテキサス系統の服装どこで見つけてきたの? 西部劇のテンガロンハットとカウガールっぽい衣装、露出度の低いお姉チャンバラの格好みたいで似合うね。

 

「神村さんの服装どう思います?」

「いいとおもうよ!」

「ですよね!」

「……日ノ出は青空全肯定なんだから、悪いっていうわけねえだろ……!」

 

 神村が噛み締めたような声で、何か言っているが聞こえないふりをする。

 ちなみに神村に着せている服は決して変な服装ではない。私もやると決めたからには真面目に考えて着用させている。

 トップスには白色のクロップドTシャツ*1。ボトムズには薄青の繊維が見えるダメージジーンズ。足元は厚底ハイヒールサンダルのオシャレなベージュのサンダル、バッグは合皮製品の暗い色をした単色無地のハンドバッグを持たせている。

 

 むしろ、このコーディネートの何処が変なのか逆に教えて欲しい。

 

 あのキャバ嬢みたいな頃と比べて、胸の谷間や乳房への露骨で過度な露出は抑えられて、今は腹部の綺麗な臍だけが露わになっている。ちゃんと下乳対策もバッチリだ。

 ダメージジーンズの隙間からうっすらと白い大腿部を透かしているように魅せ、彼女の美しいくびれと大きな尻を強調するように整える。

 あのクソデカのダサイーグルベルトも無難な細い黒革ベルトへ入れ替えて、誰がどう見ても2020s風ギャルだ。

 特に革ベルトのバックル部分なんて仕込み銃でも作る気が無ければ、女の子は小さめでデザインは控えめでいいんだよ。ギャル感を出したいならバックル部分はシルバーじゃなくて、キラキラしたゴールドバックルとか疑似宝石がバックルに散りばめられたベルトとかをほんのり添えたりしてさぁ。

 それをなんであんなチャンビオンベルトみたいな極太ベルト、クソデカのイーグルを選んだのか……。わからない……。今の子の感性が、私にはわからない。

 でも初めてのギャルコーデで、参考文献を確認しなかった我流の結果がアレならギリわかる。

 

「スカートに切り替えたいなら、先ほど選んだ黒のフィッシュテールスカートに変えてください。大人の女性っぽいレディなギャルコーデになりますし、その組み合わせなら靴はブーツへ。色は焦茶色にすると似合います」

「……本当だな? 本当にこれがギャルコーデなんだな……?」

「ええ、服装はそれで合ってます。信じられないなら、後でコーディネート参考画像(2020年代)を見せますよ」

「……くうぅぅぅっ」

「時間が押してるんです!まだ買い物があるんです!その服のセット買うんですか!?買わないんですか!!」

「買う……買います……」

「おっしゃあ!毎度ォ! 店員さん、お会計!」

 

 アパレル店員よりもゴリ押しのセールストークで、既に本業が愛想笑いを浮かべながらタジタジになっているが時間がないのだ。

 お金は立て替えてさっさと支払う。レシートを回収し、領収書には神村と書いてもらう。

 奴は恥ずかしがって、右手で左肘を掴みながら直立立ちだがその仕草も少しギャルっぽくていいと思う。

 とはいえ、まだギャルコーデは完成ではない。新品のタグを切って神村を試着室から引っ張り出す。

 

「はあっ!? 待てよ着替えさせ——」

「その服、どうせ五車じゃ着ないでしょッ!!! 今着なくていつ着るんですか!!!」

「ッ」

「今でしょっ!」

「陽葵ちゃん良いこと言った! ほめて遣わすし、そのテキサスコーデも買いましょう!」

「やったー!やったー!」

「でも、次の店に行くので撤収しますよ!!」

「はーい!」

 

 神村に喝ッを叩き込んで、森先生による流行語大賞も陽葵ちゃんにおまけしてもらう。

 もう一度会計を済ませてから、右手に神村の手首、左手で陽葵ちゃんの手のひらを握りながら神村のギャルコーデ完成のため次の店に向かう。

 

………

……

 

「神村さん! 長いのと短いのどっちがいい!」

「お、おお?」

「長いのはギャルっぽさ大アップ、短いのはギャルっぽさ小アップ効果があります!」

「えーっと、日葵ちゃん……これは何?」

「ネイルチップです! 着け爪ってやつですね! 本当はネイルサロンとかが良いんですけど、時間とお金がないので着け爪で代用します。今回は店舗をピックアップできていない部分もあるので。千里のギャルも一歩から! オシャレは足元から、ギャルコーデは指先からというでしょう?」

「き、聞いたことねえよ……」

「それは神村さんが五車町で聞いたことがないだけです! 都会じゃ普通ですよ!」

「お、おぉう」

「転校生の日葵ちゃんが言うと説得力があるね!」

「くっ。……一理あっちまうのが()れえ……」

「そもそもギャルの定理なんて世代によって日々変わって来るものなんですよ!でもあのキャバ嬢みたいな服装だけそれっぽくしたのはギャルとは言いません!絶対に言いませんッ!あれはキャバ嬢です! 誰が! 何と言おうと! あれは! シマウマ柄の痴女! もしくは風俗側のキャバ嬢です!」

 

 神村が私の胸倉をつかんで脅してきたように、私も神村の顎先に人差し指を突きつけて露出度の高いキャバ嬢コーデをとことんこき下ろす。

 神村に反論の余地を与えない。

 まくし立てながら腕時計をペシペシ叩き、時間に追われていることを強調しながら引き気味の彼女の目にガンを飛ばす。

 ネイルチップを決めたら次に用意するのは、まつ毛エクステンション、略称まつエク、もしくはエクステ! 幸いにも神村の瞼は二重でアイプチはいらねえ! もしかしたらまつ毛は充分長いからまつエクの必要性は無いかもしれないが、あって困るものではないので買う!

 

「あと、神村に足りないギャル要素……ギャル要素……」

 

 ぽんっ。と、手槌を打つ。

 

 そうだ。アイシャドウとアイブロウあたりも揃えておこう。

 アイシャドウで瞼に煌めきを入れて、アイブロウで涙袋の形成。

 神村は自分が美人なのをいいことに、ノーメイクだしな。化粧とかそもそもやったことあるのか? 五車学園の学生を見ていて毎度思うんだが、生徒の半分が美人か可愛いか愛くるしい容姿の奴しかいないせいで、ほとんどが化粧してないんじゃないか疑惑があるんだよな。

 陽葵ちゃんもメリハリのあるかわいい系の顔つきだし。

 腕時計を見ながら神村のギャル化計画に必要なもの、化粧していない疑惑も含めて化粧初心者セットを買い物カゴの中に突っ込んでいく。

 

「ネイルチップ決まりました!?」

「こ、こっち……」

「短い奴ですね! いいと思いますよ! 短い奴は長い奴に比べて外れにくい利点と、指先を問題なく扱える利点があるんですよ! 長時間な遠出でも安心です。 でも大事! 指先は大事ですからね! 陽葵ちゃん行きますよ!」

「は、はーい!」

 

 サクサクレジを通して、金を立て替える。神村名義で領収書も受け取る。

 五車の列車まで残り15分!!! この電車に乗り遅れたら次の電車は当分来ない!!!

 めまぐるしく動き回る。

 神村からの資金の徴収は電車の中でやるものとして、2人を電車に引き込む。

 

………

……

 

 まえさき市から五車町まで、電車とバスで約3時間。

 すくなくとも五車駅までの電車で1時間。連続して乗っていなければならない時間と同時に電車内に誰も乗客がいなくなる時間が発生する。

 そのチャンスを利用して、私のギャルコーデ(服)で固めたのに恥ずかしがる神村へ私のスマホを見せつけ、今の服装——ギャルコーデが間違っていないことを確認させる。

 陽葵ちゃんが神村を挟み覗き込む形で、神村も目を皿のようにして私のスマホを確認していたが、何枚か写真を確認したのちに納得した様子をみせる。

 

「そ、それでよ……さっきの約束……本気(マジ)なのか? からかってるんじゃねえんだよな……?」

「神村さん。神村さん? いくら私があなたのことを目の敵にしているからと言って、約束を破る女に見えると? 中途半端で投げ出すと? そう仰ってらっしゃられる?」

「い、いや。守るっつうなら別に俺はこれ以上は……お、怒んなよ」

「怒ってません、キレてます。ガチでキレてます」

「お、怒ってんじゃねえか!」

「大丈夫だよ!神村ちゃん! 日葵ちゃんは約束を守ってくれるよ! あの洋館事件のあと、稲毛屋に行こうって約束したことがあるけど守ってくれたし! 今日だって午前中は2人っきりで一緒にデートしてくれたんだよ!」

「……繰り返しますけど、デートではないですからね?」

「デートだもん!」

「デートじゃないです」

「デートだよっ!」

「違いますってば」

「デートっ!」

「まだ告白も、恋人繋ぎも、キスも、えっちもしてないでしょうが!」

「告白はしたもん! 恋人繋ぎもしたもん! えっちだってやったもんっ!」

強姦(レズレイプ)はえっちのジャンルですが私のえっち許容範囲外ですッ!」

「そうでもしないと日葵ちゃんは奥手なんだもん!貞操観念が半世紀以上前だもん!」

「違ッ……! わ、私の貞操観念は普通ですよ!」

「わかったわかった!電車で俺を挟んで痴話喧嘩を繰り広げるんじゃねえ!」

 

 電車に揺られながら、神村の仲裁ありきで今後の日程も話し合う。

 神村が私に取り付けた約束だが、これは最初にギャルコーディネートを完成すると行ったときからの内容にしか過ぎない。

 腹が立つことに、この(アマ)……化粧をしたことがない、少ししかしたことがないと、美人特有の化粧人生舐めプをほざきやがったので最後まで私がガチガチのギャルとしてのメイクを最後までケツ持ち*2するわけだ。

 

 私はこんな女に鹿之助くんを取られようとしているのか……?

 腹が立つどころかグツグツと沸騰した鍋窯みたいに煮えくり返るんだが?

 今日は午後の服選びの時から、私の眉間にシワが寄りっぱなしなんだが?

 まるで社会人の頃みたいに、業務の邪魔をする奴ぶっ殺しモードみたいな顔つきになっているんだが?

 

 ひとまず、五車に帰ったら神村のギャルメイク用のマニュアルも作らないといけないな……。

 えーっと、動画のURLを添付して、化粧の順番をまとめて、次に会える日を定めて……。

 

 どうして私は恋敵にここまで手回ししているのでしょうね?

 

 …………鹿之助くんにとって、外面も最低限は相応しい女にはなってもらうからか……?

 だが少なくともふうまの奴に神村が介入するスペースはないことは自覚してもらう。彼には正統派の幼馴染と恋愛クソ強女とクラスの委員長が既にいるのだ。

 

 もちろん、私も鹿之助を渡すつもりなんか…………そんなに、ないけど。

 

 

*1
へそ出しTシャツ

*2
最後まで責任を取る意




~あとがき~
 なんか本人が知覚していないところで、勝手に黒幕側のレイドボス化計画をぶち壊してますね。

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