対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。 作:槍刀拳
前々回のお話の段階で
祝! お気に入り数800突破、総合評価1400突破することができました!
応援ありがとうございます。引き続き執筆活動の方を頑張りたいと思います!
「先生、もう退院しても良いですか!?」
「こらこら、これは何度目のやり取りなのか……もう数えるのも止めましたが、君は何者かに背中から貫かれるようにして肺を一突きされているのですよ? いくら
入院から1週間。蛇子ちゃんとふうま君が、お見舞いに来た翌々日の朝の出来事。
まだ私は入院生活を余儀なくされている。もう傷は十分に治っていると思うのだが、この病院と五車学園で校医を兼任している室井先生が退院を認めてくれなくて困っているところだ。
それどころか、病室の出入り口には監視のような男女を2人も付けられる始末。一昨日までは誰も居なかったのに……。
ちょっと気分転換がてらに散歩へ行こうと病室を抜け出すため、昨日、私の服に付けられた警報装置が作動しないよう〈電気修理〉で細工を施して無事に取り外して……扉を開けて出ようとしたところで2人を見て初めて存在を知った。
事前に何も知らされていなかったし、『お疲れ様です』とだけ笑顔で友好的に告げて目の前を通り過ぎようとしたら特に理由を告げられる訳でもなく2人はこっちを取り押さえようとしてくるしで……。看護師でもなかった服装だったため、顔面への
だから、こうして経過観察の度に自主退院の直談判を穏やかに毎回を行ってはいるのだが、まぁこの通り……のんびりとした口調で入院継続のお達しを告げられる。現状そんな状態。
室井よぉ……。自主退院を認めず、ガッチガチの警報装置が鳴り響く拘束具を付けて、病室に閉じ込める行為の事をなんつーか教えてやろうか?
監禁っていうんですよ。監禁。処すぞ? お?
「あの方の顔面を蹴り飛ばしたことは申し訳なく思います。……ですが先生。去年こそ私は鉛玉を至近距離から十数発ブチ込まれ、あの時は脳と心臓を除いて全身の内臓と腱をやられ、適度なリハビリが必要な程度には追い込まれましたが、なんとかなっています。大丈夫です。退院しても激しい運動はしませんし、体育の授業は見学します。私は
「そうは言ってもですね……魔科医療を応用しているからと言っても、最低2週間は本来入院するような大怪我だということを理解していますか? ……それを1週間と3日で退院というのは……あと4日なのですからもう少し我慢してください」
とまぁ、こんな感じで一昨日の夕方から平行線上で退院の目途は立っていない。
以前入院した際には私の説明書の『CALL of CTHULHU クトゥルフ神話TRPG』の64頁“治癒”に関する技法を使っていたが、今回はそれに加え『新クトゥルフ神話TRPG』(117頁)“通常のダメージの回復”を併用している。
しかし、
これは社会人になってからの理解ではあるが、何と言ったって学生生活が一番楽で楽しい。家に帰れば、温かいご飯や、清潔な洗濯物が準備されている。学校で勉強するだけで良いというのは本当に大きい。過去に戻れるなら、私は間違いなく事件にも巻き込まれたことが無く、ただ“純粋”で楽しかったモンキーだった頃の学生時代に戻ることだろう。
「おい、ここに“目抜け”の友人がいると聞いたが、それはお前か?」
そんな退院の交渉をしていると突然、乱暴に扉が開かれた。私の病室に五車学園の制服を着崩した6人ばかりの男生徒達がズカズカと入ってくる。ちょっとまって、今 室井先生と大切な話をしていたところなのに。
集団の中央先頭には“メヌケ”と発言した熟れたザクロの果肉色をした赤髪に、右目には自分だけはカッコイイと思っていそうな厨二病真っ盛りの時期によく見られる……ふざけた黒色の眼帯を付けた身長180㎝ぐらいの細身でやや筋肉質な男が現れた。左目は翡翠色の光彩がキラキラと輝いていてまるで白目に浮かぶ星のようで見惚れるものではあったが、人を睨みつけるような三白眼が些か彼の人相に圧を作り出してしまっていた。
残念だが、私は彼との面識はない。だが、彼にくっついて歩いている取り巻きの数人は顔を見たことがある。私が消火栓片手に正当防衛を行った翌日から、私の顔を一目見ようとクラスに訪れた他のクラスの生徒や上級生だ。
またこのグループのリーダー格をしていそうな黒眼帯を付けた男からは、私に対する僅かな殺意のような感情がくみ取れる。
はて……? 何か恨まれるようなことを学校ではした覚えがない。……消火栓事件関連だとしても…………あれから少なくとも約3週間は経過しているはずだ。いったい今更、私に何の用だろうか?
それに彼は『メヌケの友人』とも言っていた。メヌケとは、マヌケ的な罵倒の類の秘境グンマー五車町の方言か何かだろうか? マヌケな友人……。
・
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3人の顔が思い浮かぶが……。
……いったい誰の事を指しているのだろうか?
「ああ、はい。それはたぶん……私ですけど……?」
ベッド上で布団によって下半身を隠しながら、長座位を取る私のもとまでその男と取り巻き達は歩み寄り、ベッド脇に佇む室井先生を押し退けた。そしてベッドから逃げられないようにぐるりと取り囲んだのちに、取り巻きどもはニヤニヤとした様子を見下ろしながら こちらを眺めてくる。なんだろう、この光景。まるで私がカルティストに生贄に捧げられる光景を連想してしまう。
カルティストなら殺さなければ。
不幸にも私がいるこの場所は地下だが……いくらでも武器はある。腕に刺さっている点滴針を引き抜いて眼球に突き立て、血液感染と激痛で怯ませたところに そいつを窓に頭から突っ込ませて割れたガラスで首を撫で切りにすれば1人は殺せるし……違う。彼等は同じ学校に通う五車学園の学生だ。でも、ワンチャン 学生の服を纏ったカルティストという可能性もあるし……?
カルティストなら殺していいよね……?
「
押し退けられたとはいえ、室井先生が仲裁に入ってくれる。流石先生。女1に男6は分が悪すぎますよ。……対魔忍の世界線ですし、今回の来訪がレイプが目的だとしても
だが彼等は、室井先生の仲裁で引いてくれる様子は見えない。……これは先生も買収されたら、口か尻にもう一本……二本刺しになるのだろうか? だが校医に止められているのに引かないのは、やはりカルティストなのかも。よし、殺すか。殺そう!
このまま一般人枠で人生を謳歌するなら、目撃者が残らないように皆殺しにしなければならない。そうだ。室井先生がどちらに付くか見当も付かないが……彼等を殺す必要性が出たときには全員を気絶させて、床とベッドの間に頭を挟んでベッドを降下させて頭蓋骨を砕いてしまおう。これなら全員事故として殺すことができる。完璧だな。さすが私。
「そうですよ。喧嘩が目的なら後日にお願いします。先生の忠告を聞くことは、手負いの獣を追い詰めず。平穏な生活を送ることができる“人生の分岐点”になるかもしれません」
自ら手負いの獣と称したのが彼等にはよほど滑稽だったのか、ゲラゲラと取り巻きが笑う。
私は優しい。にっこりと優しく嗤って、うっすら目を開けて脅迫混じりの警告はしてやる。今は笑ってればいい。手を出した瞬間が、血液感染の開始のゴングだ。感染症への将来の不安と失明、激痛のコンボ……最悪脳挫傷で二度と親族もろとも乾いた笑い以外で笑えなくしてやる。
「お前等は黙れ!」
だが彼の一喝で周りのモブが水を打ったように黙った。
それから
おもむろに私はベッド柵に掛けられているベッドリモコンを操作し始める。
「……怪我人と喧嘩する気なんかねぇよ。今回はお前に警告をしに来た」
「はぁ……。警告です、か?」ウィィィィィン……
「3週間前、非常ベルを起動させて大暴れしやがって。おかげで俺達の計画がおじゃんだ。次、邪魔をしてみろ。お前も“目抜け”と同じようにタダじゃ済まされなくなるぞ」
「それ警告じゃなくて、脅迫って言うんですよ。警告なら『邪魔するなよ』で止めないと。でもそれでいいと思います。わかりました。次は気を付けますね?」
ほう。1週間と3日ぶりのカルティスト掃討戦になるかと思ったが……その線はなさそうだ。
しかし揚げ足を取られたことにと、こちらがベッドの高さを調整して、逆に見下すことができるの高さまで持ってきた事に少し苛立ちが増したのか、その眼付きが更に鋭いものと化しジロリと見上げながら睨みつけてくる。だがこちらはニタリと見下しながら微笑みで嗤い返してやる。同じ一般人同士の争い事なら、相手を殺す目的が無い場合に限り、先に手を出したほうの負けだ。
あとは法廷で会うなり、示談に持っていくなり、……そのまま相手が気絶するまで自由にタコ殴りにしたって良い。こっちには点滴針だけじゃない。ベッド柵だってあるのだ。……だが、ひとまずは正当防衛を成立させる必要がある。
血液が付着した点滴針で相手
~あとがき~
ほのぼのしてますね~。
やっと日常が帰ってきた感があります。
そして今回は、言わないのも問題かな…。と個人的に思うところがあるので今回は言いたいことがあります。言わなきゃ想いは伝わらない! 許して!
毎回 いつも感想(時に考察も)くれる寂私狩矢兄貴姉貴、誤字の修正してくれる語彙力マスターの三日月歯車兄貴姉貴 ありがとうやで。
寂私狩矢兄貴姉貴は
もちろん、本作品を見てくれる、口には出さずとも陰ながらにも応援してくれている閲覧者兄貴姉貴にも感謝しています。
ここまで上ってきたのは、皆さんがお気に入り登録して、色んな人から感想を貰って、評価を付けて頂いて。元気づけられて、作者のモチベが上昇して、悪いところを修正できて 続けることができたからだと身に染みておりますので。
いつも、ありがとうございます。
これからも続けてお楽しみいただけるのであれば、今後ともよろしくお願いします。