対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。 作:槍刀拳
本作品は評価に一言を必須に設定しているため 本作品は評価するのも送る文章を考えなければならないため面倒だと思います。それでもその中で、一言を考えて評価を送ってくださる皆様には頭が上がらない想いであります。
引き続き本作品をよろしくお願いします!
「あの人が神村さんだよ」
「あの、人が……? 神村さん……?」
私は鹿之助くんに連れられながら、校舎裏までやってきていた。
……彼女が教室ではなく、こんな場所にいると即知っている以上……。彼は……。彼は彼女のことが好きなのかもしれないが、今は私が果たさなければならない目的のために感情を抑える。
物陰から顔の半分を覗かせて鹿之助くんと2人きりで覗き込み、私は私が探していた女の顔を確認した。
……視線の先には1人の女子生徒が壁に寄りかかって、未成年にも関わらずタバコを吸っていた。髪は鮮やかなオレンジ色をしており、その毛先は地面に付くほどの長髪でところどころ跳ね上がった癖っ毛な様子が見受けられる。どちらかと言えば、昨日。拳を交えた眞田先輩と雰囲気が似通っており、ハチマキと特攻服、エナメルブーツ、そしてバイクが似合いそうな気の強そうな女性……と言った雰囲気を纏っている。
光彩はピンクトパーズ色で やや吊り上がった目と眉。何よりも彼女の特徴として挙げられるのは
Hey. 尻。お前の検索結果は間違っていなかったよ。
『
……いつかは大きくなるはずだ。はずなんだ……。隔世遺伝的な観点から見ても、私の将来は保障されているはずで……。
やめよう……。凄まじく虚しくなってきた。そう。将来的には『青空 日葵』だって大きくなる。まだ……。まだ、多量の女性ホルモンの発達が来ていないだけであって……。
「おい、さっきからチラチラこっちを見やがって、俺に用があるってなら堂々と来やがれ!」
「……!」
彼女がこちらを見ながら睨みを利かせてくる。急いで首を引っ込めるが、鹿之助くんは目が合ってしまったらしい。憧れの存在に声を掛けられたからか、それとも彼女の〈威圧〉に萎縮してしまったのか分からないが、緊張してその場で硬直してしまう。
……こりゃ駄目そうだ。彼をこのまま、お姫様のように抱き上げて逃げるのも良いが……。今回は鹿之助くんの憧れの人の偵察。……と、『雨の降る中のみ出現する洋館』に行くことを止めるための有効的なアプローチ方法を探ることが目標だった。だが彼女がこちらを認識してしまい、その状態で逃げ帰るのは芳しくはないだろう。陽葵ちゃんの口ぶりから、主催者ではないだろうが……彼女のタイプからグループが解散したとしても1人でも行ってしまうに違いない。
まぁ、だからと言ってこちらが止めたとしても「はい そうですか」と二つ返事で調査を取りやめてくれるタイプにも見えないが……。少なくとも鹿之助くんがいる状態でいろいろと話すより、彼が居ない方が腹を割って話せることに違いはない。
「出て来ねえってんなら、俺から——」
「……おやおやおやおや、これは失礼致しました。あなたが『神村 舞華』さんですね」
「おっ、お、おっ、お、お、て、てめえは……」
小声で鹿之助くんにお礼を言って表校舎側の奥に追いやる。それから校舎の角からジャージのファスナーを完全に開き紫色の肌を露出させた状態で、利き手を真っ平な胸に手を添えて、もう片手ではマスクを外して裂けた口を見せ口角を上げながら姿を現わした。丁度、彼女は壁に寄りかかるのを止めて、こちらに殺気を放つ戦艦クラスの眼孔を携えながら数歩進んだところに居る。
だが彼女は姿を現わした途端、瞳を大きく開いて一歩、二歩、三歩と後ずさった。……これは奴も私の噂を知っているパターンか。反応から察するにたぶん碌な噂じゃないことは確かだ。
「お初にお目にかかります。『青空 日葵』と申します。実はあなたにお会いしたくて、友人に連れて来てもらっていました。驚かせてしまったのであれば、申し訳ございません」
「べっ、別にビビッてねーよ! ただてめえのツラがあまりにもっ……。あまりにもナスみたいでひどいから引いちまっただけだ!」
「おやおや。おやおやおやおやおやおやおやおやおや」
「それで俺に何の用だよ」
彼女はそのまま、先ほどまで寄りかかっていた定位置に戻ってタバコを咥えたまま、こちらを睨みつけてくる。あまり友好的なタイプでもなさそうだ。先ほどまでのリラックスした状態とは異なり、彼女の形相と姿勢からこちらを警戒しているようにも見える。しかしその様子は何処か狼狽した様子で、第一印象はこちらの方が
「今週の週末に速水 心寧さんと、日ノ出 陽葵さん、3年のなお先輩とコロ先輩、あなたの5人で『雨の降る中のみ出現する洋館』に遊びに行くというお話を耳にしまして」
「あ゙? なんだァ? てめえ、先公にチクろうって気か?」
「いいえ? その気なら初めから恐ろしい蓮魔先生辺りに報告を行っています。ですので、今回お会いしに来たのは洋館へ向かわれることを考え直して頂きたく思ったためです」
「は?」
「雨の日の夜に森の中に入るだなんて、滑落の危険性や遭難、雨風に晒されて低体温症で凍死の危険性があります。洋館の調査を取りやめて頂けませんか?」
なるべく丁寧な言葉遣いをしながら、悠々と近づいて彼女に理論的な調査への危険性を告げて解散を促す。本当であれば彼女の様子だけ見てさっさと引き上げ、情報を集めた上で止める予定だったのだが……こうなってしまった以上、仕方がない。
「へっ……。ンだよ。非常ベルをノリで押し、頭にカバンを被ってギターを奏でた挙句に他クラスのあらゆるガラスを頭で叩き割るやべえ女が入学してきたって聞いたけど、所詮は
うん。本当に酷い噂だなぁ。誰がそんな噂を立てているのだろうか。
「……聞いては頂けないでしょうか」
「そりゃ無理な相談だな。日ノ出には『幽霊なんてぶっ飛ばしてやる』って言っちまったし、ここでシッポ巻いて逃げるなんて そんなシャバいことなんかできっかよ! 俺は1人になっても行くぜ、その首のない亡霊をぶっ飛ばしてまやかしってことを証明してやっからな!」
予測通りこれは何を言っても無駄なタイプだ。むしろ こちらが静止するだけ激しく燃え上がって絶対に現場へ行くことを諦めることはないだろう。
……ステゴロで無理やり
それに昨日の今日で面倒ごとを引き起こすのは……少し面白そうだとは思ってしまったが、蓮魔先生の仏の顔も三度までだろう。次は黒田先輩同伴の元、本当に殺されてしまうようなそんな気がする。
「……かしこまりました。お昼休みの貴重な時間を割いて頂きありがとうございます」
彼女に一礼して、マスクを着けなおし、ジャージのジッパーを引き上げそのまま立ち去る。
チッ……命拾いしたな。
そうだ。私はこの限られた貴重な時間をこれ以上余計な事に割く訳には行かないのだ。
それから……。やはり途中で私の事を心配して待っていてくれた鹿之助くんと共に、次の授業の準備のため教室まで戻ってきた時この時点でやはり彼女との接触は誤った判断だったかもしれないと後悔する。
……確かに彼女はこちらが否定すれば否定するほど燃え上がるヤンキータイプかもしれない。だが、あのタイプは彼女より上の立場の人間。教師や親のような存在ではなく、彼女が自分より格上だと慕う存在からの鶴の一声が掛かれば、その矛先を丸く収めたかもしれない……と気づいたのだ。
また私の言葉によって彼女は『雨の降る中のみ出現する洋館』へ向かうことの決意を固めてしまった。その状態で、彼女より格上の存在に行くことを止めさせるように仕向けても、よほど彼女が尊敬するような存在でもない限り、彼女は意地を張ったままで首を縦に振ることはないだろう。
それどころか、今回 私が彼女を窮地に追いやってしまったかもしれない。このまま『穂稀 なお先輩』『死々村 狐路先輩』に会いに行き 解散を促し、彼女たちが解散したとしても彼女は先ほどの言葉通り『雨降洋館』目掛けて突撃してしまうだろう。単独で危険地帯に向かうことは、集団で雨の降る森の中に入るよりも危険な行為だ。私が余計なことをしてしまったことには違いない。何とかして彼女を安全に追い返す方法を考えなければ……。
確実なことは、洋館に向かうまで時間はまだ残されている。洋館に向かうメンバーは現状5人。先輩方2人には神村さんと洋館に向かってもらうものとして、何としてでも陽葵ちゃんと心寧ちゃんには諦めてもらうように仕向けよう。
3人なら、きっと警戒心も高まって1人だけはぐれて遭難してしまうような状況は防げるはずだ。
そして現地に紫先生を呼び寄せて置いて侵入を止めてもらうと……。
……それにしても、鹿之助くんは一体彼女の何処に憧れているのだろうか?
確か彼は彼女のことを『正義の
現状、おっぱい、ヤンキー、おっぱいぐらいしか頭に入ってこなかったが。やっぱり、おっぱいか? ……おっぱいなのか? 男の子はおっぱいが大好きだもんな! わかるよ! 前世で痛いほどよく知っている! どいつもこいつもおっぱい星人め! ……でも、本当におっぱいだとしたら勝てねぇなぁ……。
……最近、儲けた株のお金を使って女性ホルモン剤を打ちに行こうかな……。
………
……
——放課後————
……
…
「えーっ! 日葵ちゃん、今日は一緒に帰れないの!?」
「えへへ。すみません。今日も学校にお泊りなんです。ほら、こんな顔じゃぁ……お母さんやお父さんに心配かけちゃうので……」
「うぅ……。懸賞金が入ったから、今日こそ日葵ちゃんに稲毛屋のアイスを奢ろうと思ったのにぃ……」
放課後 いつもの4人で教室に集まるも私が一緒に帰れないことに関して、残念そうに蛇子ちゃんが机に胸部を突っ伏してシクシクと泣きそうな顔をしていた。それでも3人を昇降口まで見送ることはできるため、廊下は行動を共にして普遍的な会話を交わす。
………
……
…
「それじゃあ、また明日ね!」
「じゃあな 日葵!」
「安静にしろよ」
「はい。また明日。明日は我が身ですからね! 皆さんもお気をつけて!」
別れ際、半身をこちらに向けて手を振る3人にこちらも大手を振って笑顔で見送る。
……3人が見えなくなったところで私も真顔へと戻った。ふと背後を振り返ってみれば室井先生が廊下の端からやや険しい表情でこちらを見つめている。流石に夜は逃げられそうにもない。だが地下へ降りて、風呂に入って病室の空きベッドで休むまでもう少し私には時間が残されてもいる。
ゆえにこの残された時間を有意義に使い、少しでも『雨の降る中のみ出現する洋館』について調査するため。探索者として。室井先生からは逃げるようにして。学校に備え付けられている広大な図書館へと走り出した。
だいたいこのぐらいの怪我は病院なんかに入らなくても、魔界医療と自然治癒力の併用で十分に治るのに室井先生は大袈裟なんですよ! 大袈裟!
………
……
…
「青空ァ……」
「すみません。蓮魔先生。本当にすみません。廊下は走りません。歩きます」
「それ以外にも改める部分はあるだろう?」
「すみません。二度と階段の手摺りを滑り台の代わりにもしません。すみません。階段は踊り場での衝突事故を避けるため、
「……『すみません』を連続利用して本当に反省しているのか?」
「申し訳ございません」
「違う、そういうことが言いたいのではない。まったく。お前という奴は——」
「はい……すみません、はい、おっしゃる通りでございます……」
本当についてない。廊下を全力ダッシュして、階段に備え付けられた手すりを滑り降りているところを蓮魔先生に見つかってしまったのだ。寄りにもよって、こんな急いでいるタイミングで。
トホホ~! 生徒指導はもうこりごりだよぉ~!
~あとがき~
~宣伝~
Episode42でも紹介させて頂いた私が対魔忍にハマるきっかけになった
新クトゥルフ神話TRPGシナリオ『濃度3000倍』を執筆されていたレルタナ様が、ついに『感度3000倍キャンペーン』を投稿されました!
本当に11月中の毎日シナリオ投稿をやり切った時には、『やりやがった! まじかよあの野郎ッ! やりたがった!!!!』ゴールデンカムイの杉元の様に思いました。
ラスト1週間でキャンペーンシナリオ(計12本)を書きながら、毎日新シナリオ投稿を継続して、挿絵を80枚以上 1人で書いているんだもんなぁ……。私にはできないかも。
てか、作業量が正気じゃねぇ(誉め言葉)
クトゥルフ神話TRPG/新クトゥルフ神話TRPGシナリオ
レルタナ様 作:キャンペーン『感度3000倍』
https://3000-times.booth.pm/items/3452223
レルタナ様のTwitter:https://twitter.com/Relutana
私は購入しました! 挿絵に草を生やしながら回すぞぉ……!
レルタナ様、11月毎日シナリオ投稿企画完了 お疲れ様でした!
ささやかですが私からは対魔忍繋がりとして、感度3000倍シナリオを宣伝させて頂きます!