対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。 作:槍刀拳
著者:釘貫 神葬
◇『雨降洋館』⇦
┣◇『雨の日の夜に出現する洋館』
┣◇『洋館について』
┣◇『ドレスを纏った首のない貴婦人』
┣◇『壁田 鋼人』
┣◇『五車町新聞に載った事件(15年前)』
┣◇『生存した五車学園の生徒について』
┃┗◆『御守』
┣◇『実地調査』
┣◇『探索を終えて一言』
┗◇『あのハゲ、覚えてろよ』
◇『雨の日の夜に出現する洋館』
五車学園の北に位置する森の中に現れるとされる洋館。
タイトル通り『雨の降る中のみ』出現し、その姿は廃校であったり、城郭であったり その建物の造形に関する目撃情報は多種多様。しかし、噂される際に最も使用される形態というのは古ぼけた洋館らしい。
なぜ雨の日に限ってそれらの建物が出現するのかは、いまだ解明されていない。原因は遭難者による集団幻覚によるものとされていたり、それらの建造物がその雨の降った日に何らかの形で破壊され、当時の人の思念や亡霊たちの思いが強くなった雨の日にのみ出現するのだと言われていたり、雨の重みで草木の形を変形させ木陰がそのように見せているという説もあるし、理由は不明なものの魔族が五車町を侵略しようと中継拠点として拠点を構築している……なんという話もある。とまぁ、以上の通り理由は多岐に渡っている。
但し探索した情報を精査したところ、確実なことが1つだけわかった。複数人でこの洋館を目視した場合。その形状は、統一された1つの姿にしかならないという事だ。
◇『洋館について』
江戸時代 天保6年 吾妻国(現五車町近辺)で、かつて大繫栄を遂げた商人がいた。彼は当時、鎖国中であっても貿易交流を行っていた異国(オランダ)に渡り、そこで嫁を貰った。その嫁を連れて渡日……もとい帰国し、祖国を離れた嫁の為にと西洋式の洋館を建てた事が、悲劇の引き金だったようである。
この大繁栄をした商人だが……帰国してからというものの病を患い、幸せな家庭としては長くは続かなかったようだ。
そう。ある日、病かそれ以外の要因かは不明なままだが突然死去してしまったそうだ。この時の死因だが、商人の金銀財宝に目がくらんだオランダ人の嫁が、夫の財産目当てで毒殺したと村人達に噂されたそうだ。
また商人が死去した同年の11月、森の奥深くに存在し人目に付かないことが災いして、寒さと飢えを凌ぎ、財産を強奪するために “ある賊” がその洋館を襲撃したらしい。
洋館側は護衛を雇ってはいたものの戦力は賊の方が勝っており、冬が一層厳しくなる12月には賊に落とされた。オランダ人の嫁は賊たちによって散々嬲者・慰みものにされ、出産した子供は人買いへ出された。オランダ人の嫁も、賊の子種で妊娠できなくなったところで斬首され、その死体はしばらくの間は死姦の材料とされたそうだが……。賊たちの為の性処理道具として利用できなくなったあとも、埋葬されることはなく洋館へと通じる三ツ辻へ地元の農民たちを威圧する目的で飾られ、誰にも弔われることなく獣や犬畜生に食い荒らされて放置されていたらしい。
その死体が飾られた当時、オランダ人の嫁の首はなかったという。
賊の頭領の名は
藩主が当時この吾妻国近辺を根城としていた魔に対抗する忍びなるものである“対魔忍”を討伐メンバーに加えた本格的に掃討作戦である江戸時代 慶応2年まで、その洋館にて31年間の長きに渡り、のさばったとされている。
また付近の住民は、この屋敷のことを『
◇『ドレスを纏った首のない貴婦人』
天保6年に商人が異国で
享年は20代。天保6年 11月の賊の襲撃の際、斬首され死してなお嬲られ弄ばれたらしい。
夫の財産に目がくらみ、毒殺したとの噂が残されているが真偽は不明。裕福な生活をしている彼等に農民たちが妬み、風潮した出まかせの噂説が濃厚とされている。
生前は無残に嬲られ、死後も粗末に扱われたということから怨念化し、弱点である頭部を失った今 洋館に入るものを
また強姦され、斬首された際の死に装束が、赤と黒と白を基調とした中世ヨーロッパ時代のクラシックプリンセスドレスであったようであり、その衣装で不用意に洋館へ侵入してきた憐れなものを悲観するような悲鳴とも笑い声とも捉えられる叫び声を上げながら追い回すらしい。
◇『
かつて吾妻国にて、猛威を振るっていた賊。
最期は藩主の軍が放ったとされる火矢の雨によって焼け落ちる洋館と共に亡くなったとされているが、その死体は見つかってはいない。
彼に関しては様々な逸話が残されており、
・『空に浮かぶことができた』
・『藩主の武士を口先一つで同士討ちにさせた』
・『人間の部下の他に、付喪神の魑魅魍魎を手駒として加えている』
・『対魔忍でも歯が立たず、壁田の苗字にふさわしい 恐ろしく頑丈な(火縄銃や日本刀で切り付けても死なない。血の一滴すら零さない)肉体を持っていた』
・『側近の護衛として10フィートもある顎が4つに裂けた猿のような巨大な黒い人を従えていた』
・『血を好み、捕らえた忍びの女を拷問に掛け干からびるまで啜った』
・『不老不死であった』
・『第六天魔王 織田信長の転生した姿(『
・『
との文献が今も残されている。
大繫栄した商人よりも、名や逸話が残るとはなんとも皮肉である。
◇『五車町新聞に載った事件(15年前)』
五車学園の学生6人が、学園の北の森で失踪したというもの。
五車学園の教師や警察官総出で捜索活動を行い、茂みの中で身を潜めていた学生1人のみが発見され他5人は依然失踪したままである。(現在は死亡扱い)
当時の事件の際。保護された学生は『洋館に肝試しに友達5人と出かけた』と証言しており、その6人の中で唯一生還することができた学生は当時の出来事に関して
・『首のないドレスを纏った貴婦人がずっと俺を追いかけてきた』
・『洋館は生きているようで、壁がうねっていた』
・『出口である玄関の扉を開けたはずなのに、扉を開けたら別の部屋だった』
・『貴婦人は人の首を簡単に撥ねることのできる鋭利な鎌を持って、目で捉えられないほど素早く、恐ろしい力であらゆるものを刈り取った』
・『友人は食卓に乗った蟲の死骸を美味しそうに食べていた』
・『貴婦人は最初は泣き叫んでいるようだったが、自分が館から逃げた時は品の無い下劣な笑い声を響かせて嘲笑っていた』
・『みんな死んだ。首のない貴婦人に頭を奪われて殺された』
という証言を残している。
その後も行方不明者の捜索は引き続き行われたが、捜索隊の中から行方不明者が出る事態に陥ってしまったため捜索は中断。行方不明者は死亡したものとして処理された。
五車学園は今後の対策として、北の森に出現とされる洋館には絶対に近づかないようにと生徒たちに注意喚起をするとしている。
◇『生存した五車学園の生徒について』筆:
残念ながら不慮の事故に巻き込まれ故人と化しており、あの時 洋館で何があったのか話を聞きに行くことは叶わず。
彼の親族を見つけ出して、形式上の話を聞かせてもらったが……それでも最低限わかった事として、彼は生還してから4カ月もの間。自室は常に煌々と電気を付け、恋人の遺品であり託された御守を握りしめ、室内が暗闇に閉ざされることを極度に嫌ったそうだ。また光に照らされている間も寝ている時と、食事を食べている時以外は記事にもされていた証言を永遠とぶつぶつと早口で繰り返しずっと喋り続けていてとても正気であるとは言えない状況であったらしい。
しゃべり続けていた内容については親族に尋ねても、親族の方も既に15年前の出来事ということもあり記憶は風化してしまって進展するような情報は得られなかった。ここの情報に関しては、新聞記事に掲載されている情報の方が鮮明な記録として残されているようだ。
御守に関しても実際に見せてもらったが、〈鑑定〉の観点から言わせてもらえば、パワーストーンや数珠玉のような魔術的なアーティファクトでもなさそうに見えた。
〈クトゥルフ神話〉知識の観点から見てもあの御守にどんなご利益が秘められているのか見当も付かない。
ひとまず『遊戯用』として市販販売品で購入したクトゥルフ神話TRPGのサプリメント『クトゥルフ2015』掲載のアーティファクト記載形式に乗っ取って情報を記録する。
◆『御守』筆:
名称『御守』 カテゴリ『護符?』
外見、状態
巾着:ボロボロ。使用劣化による皮脂や汚れ、血痕で黒ずんでいる。
中身:梵字のような文字列が書かれたプラスチックによく似た板。
材質、大きさ
巾着:布製。御守の口が開かないようにする紐は切れている。
中身:プラスチック類の板?、クレジットカード大。
製作者・製作年代『不明』
出自・発見場所『生還した学生の恋人の遺品』
威力『なし』 耐久『粗末に扱えば破壊の危険あり』 希少度『不明』
特殊能力・呪い『不明』
来歴『15年前の雨降洋館で生還した学生(故人)が所有していたもの』
一言『中身に関しては、出されたお茶の継ぎ足しで親族が席を外した間に勝手ながら拝見し、得た情報。御守(巾着)に直接触れて良いかどうかは親族の了承を承諾済』
◇『実地調査』筆:
陽葵ちゃんに晴れ乞いをしてもらい、よく晴れた日。
午後の授業を休み、新兵器である改造を施した消火器を片手に直接現地に赴き、その地域の近辺調査を行う。図書館で調査した文献をもとに 三ツ辻の先。その洋館が出現するであろう場所を発見する。
発見はしたものの、その場は大火事で消失したチャペルのような大量の瓦礫が目立つ、瓦礫の中に立ち入って探索する必要もないと思うほど……どこにでもありふれた、取るに足らないような……膝下まで草が生い茂る残骸の残る原っぱであるように感じられた。一通り瓦礫近辺の森の中の散策は済ませたが……あの場所を除いて、その他の場所に洋館を立地させられるような十分なスペースがあるようには考えられない。
念のため近くの木々の表面に、星型の中央に横幅楕円の目玉のような記号である
また当日、私の制止行為が功を成さなかった場合に備え、視界の悪さによる遭難の危険性を事前に防ぐためあらかじめマッピングを行い、滑落死の予防のための警告色に塗装した簡易柵の設置を済ませる。
更に探索・調査を進めていく過程で、森の中で赤いバンダナを巻き付けた熊や蛇の骸が転がっているのを発見した。蛇は餓死したような状態で、熊は一見した様子では餓死のようにも見えたが……カラカラに干からびたような状態で見つけられる。
熊が学園近辺に存在していることも十分致命的な脅威情報ではあるが、干からびて死亡している状況も非常に珍しい。餓死が要因であると仮定するなら、山に食べ物が無ければ人里に降りて来て何かを探して食べるのものだと思ったのだが……。
……とにかく、この森では何かが起きているのに間違いない。
◇『探索を終えて一言』筆:釘貫 神葬
話のスケール規模がおおよそ
嬲り殺しにあったオランダ人の貴婦人には悪いが生々しい展開に大草原。
だが草を生やしている場合ではない。これは先生方に報告をして、何としても止めるべきだ。この場所には一般人の学生が立ち寄って良い場所ではない。
しかし、個人的に引っ掛かる部分もある。ここは対魔忍世界であること……つまり、エログロ凌辱NTRヒャッハー!な世界だ。首のない貴婦人に馬乗りにされてえっちな搾乳・搾精プレイの強要……もとい、絞り取られたという情報が何処を探しても見つからない。
……やはり、アレか?
世間一般に流布されるニュースとして、『えっちなこともされました!』なんて、変態で噂好きの馬鹿どもを引き付けるような情報は添削したのだろうか? それとも本当にそんなことは無かったのだろうか? 謎は増えるばかりだ。
Ps:
ヘッドホン両耳で閉館の音楽に気が付かなかった私も十分に悪いとは思うが、閉館時間と共にアナウンスもせずに図書館内の電気を消灯して、出入り口の扉を施錠する奴がいるか???
あってよかった非常ベル。教えて貰ってよかった非常ベル。ありがとう非常ベル。また頼むよ非常ベル。ズッ友さ非常ベル。
~あとがき~
気が付けば本作品を投稿して早くも半年が経過しようとしていました。時の流れは早いですね。
ここで本作品の時系列を公開したいと思います。
青空 日葵 15歳(中学3年)
・10月頃
1章 『占拠されたビル』
青空 日葵 15歳(高校生)
★【5月の物語】
・2章 『わくわく五車学園ライフ()!』
入学初日。『八津 紫』先生との基礎能力調査で消火栓を持って暴れまわる。
・3章 『日常と違和感』
神話生物の幻覚を見る。アレは居ない筈のものなんだ。
魔術に頼らないことを決意。筋トレを始める。
『青空 日葵の母親』が『青空 日葵』の肉体を得た『釘貫 神葬』の存在に感づく。
・4章 『群馬県まえさき市』
鹿之助、蛇子、ふうまの3人にTRPGを回す。
スネークレディとの邂逅
スネークレディとの乱闘
カルティストの殲滅
神話生物は現れないと思ったか?
・6章『入院生活』
五車学園の校医、『室井 光彦』先生と出会う。
ふうまを敵視している『二車 骸佐』と一触即発。
鹿之助の夢を応援する。
次の夏休みにスネークレディと彼女の親友と会う約束をする。
★【6月の物語】
・7章『つかの間の平穏な日常』
新しい友達ができる。
サプライズで、窓を叩き割って生徒指導の大乱闘
鹿之助くんの憧れを確認し、巨乳に絶望。
新しい友達から聞いた『雨降洋館』の調査を止めに行く。
ざっくりこんな感じです。
ええ、そうなんです。まだ、本小説は50話を越えながらも、物語の中身はやっと1ヵ月を越えたばかりなんですよ……!
そんなスローペース小説ですが、今後も楽しんで頂けたら何よりです。