対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。   作:槍刀拳

64 / 261
~まえがき~
 冷蔵庫はいつか書きます。※具体的にキャラシート保管庫が復活したら。
 あそこにね……対魔忍 冷蔵庫のキャラシートがあるんです……。

  _人人人人人人人人人人人人_
  >対魔忍世界に無機物の混入!<
   ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄




Episode53 『情報共有と渾名とだいしゅきな手記』

「今は少しでも生存率を上げるため、情報共有させて頂いてもよろしいでしょうか?」

「あ、あぁ。もちろんさ」

 

 窓の縁に掴まりながら……だが、なんとか……やっとの思いで健側の足を軸にして立ち上がる。ジンジンとした鈍痛は続いているが、この程度の痛みなら我慢できるはずだ。それに痛みはコントロールできるもの、コントロールできるはずのものだと自分に言い聞かせて堪える。

 そんな姿を見せられたなお先輩は、こちらの様子に少し引いたような様子を見せながらも快くこれまでにあった出来事を共有してくれた。

 

………

……

 

 どうやらあの後。洋館に入った先輩2人は2階を探索していたらしい。

 2階の構造としては寝室が2つ、子供部屋が1つ、バスルームが1つあったそうで、突き当りの寝室からバスルームにかけて奥から順にしらみつぶしに調査したとのことだった。

 彼等が探索した状況としては特に変哲もない一室と判断したらしい。たまに雨漏りや外部が豪雨ということもあっての窓が激しくガタガタと震えていたこと、染みのある鉄パイプ製のベッドがあったぐらいで……。ほかに特筆できるような部分と言えば、バスルームから水が出るかどうか蛇口を捻った所。血のように赤色に変色した液体がトロトロと流れ出て、バスタブの底面を赤く染めただけだったそうだ。

 『……その赤い液体って、ただの水道管の内部が錆びてできてしまっただけの錆じゃあ……?』と、こちらとしても思う部分はあったものの。その水が錆か血液かと言う情報はこの洋館から脱出する手段として重要性が低いと判断し、野暮なことは追加の探りを入れずに話を聞いておくだけする。しかし、その液体が血液にしろ、錆にしろ飲み水には適さないだろう。飲めば一時的な喉のうるおいは癒せそうではあるが、長時間脱出が叶わなかった場合の状況を考慮し、その上で飲料水と活用した場合。赤痢を発症して下痢で逆に脱水症状を引き起こしかねない。

 ただ……風で窓がガタガタ揺れていた現象については少し考え込む。少なくとも……私と心寧ちゃんがこの永遠に続く廊下へと迷い込む前の部屋では、そのような現象は一切見られなかった。

 それに神村のロケットランチャーの直撃を受けてもなお、その爆風や破片でピクリともしなかった窓がガタガタ揺れていた? ……そこだけは話の中で、明らかな怪しさしか感じられない。そこが、この洋館から脱出する唯一の脱出口なのか? いやでも、その場合。何故その場所のみ(2階にも関わらず)を脱出経路と指定している理由について検討が付かないし……。わざわざ人が来た時にガタガタと揺れたりするのはあからさま過ぎる。

 

 あるいは——? 

 

 ……なお先輩の話を聞く限りでは、2階の部屋は本当にそれだけだったようで再び1階へ降りてきたところで先の見えない廊下が広がっていたのを確認したようだ。やはり先輩方も、階段を下りた先は正面に玄関があったにも関わらず消失していること。2階へと戻ろうとしたところで今まで下ってきた階段すら消えてしまったことに気が付いて、洋館から脱出しようとしていたらしい。

 そんな洋館の廊下を歩いていたところ、単独行動に出た挙句。洋館で迷っているものの『まっすぐ歩いていればいつか外に出られるだろう!』の精神で、明るく元気よく玄関を目指して歩いている陽葵ちゃんを発見。一緒に神村と出口を探している際に、激しい砲撃音と首のない亡霊の声に驚いてこの部屋に息を潜めていたところに私達が合流してきたと言った流れだったようだ。

 彼の話を一通り聞いたところで、今度はこちらの顛末を話し、互いの状況についての情報共有は無事に終える。

 

「それで消火器(しょうかき)()妖精(ようせい)ちゃん(ちゃん)は、僕たちとは違って色々洋館に残された物品を回収しているようだけど、何か役に立ちそうなものは見つかったかい?」

 

 もうこの際、私の渾名(あだな)については突っ込まない。突っ込むまいとは思っていたが、やはり思うところはある。その消火器の妖精ちゃん(その愛称)は変わらないんですね。神村が私のことを『デスメタル花子』と呼ぶみたいにそんな渾名で呼ばれるのも……それはそれで嫌ですし、困っちゃうんですけど……。

 折角、心寧ちゃんや陽葵ちゃんが『日葵さん(日葵ちゃん)』って呼んでいるのだから、それに合わせてくれればいいのに……とは思う。

 ……それともアレかな? 女性のような見た目だが、なお先輩は股間にはイチモツが付いた御立派ァッ!!!男性だ。初対面の私をいきなり『日葵ちゃん』って呼ぶのは、気が引けるのだろうか? きっと苗字の『青空』を知っていれば、『青空さん』と呼んでくれるのかもしれないのだが……。

 あっ。そういえば、この場には私の事を『青空さん』って呼んでくれる人間がいないことに気づく。人のことを苗字で呼ぶ肝心の神村でさえ、私の事をデスメタル花子と呼んでいる。

 まぁ、デスメタル花子に比べたら『消火器の妖精ちゃん』はかわいい方なので良いんですけど。

 ……まだその渾名に馴染めない。

 

「こちらとしましては手記を2冊ですかね。1冊は暖炉に残された燃えかけた手記と、もう1冊はコンロの下に隠されるようにして残されていた手記です」

「なるほど、何者かが残して行った手記か……中身はもう読んだかな?」

「いいえ。安全地帯があるかどうかわかりませんが、安全地帯を見つけられたら読もうかと思っていたところなので……まだ確認できていません」

「では、ここで確認を済ませよう。幸いにも人手は充分にある。僕と妖精(ようせい)ちゃんで解読を進めるから、他のみんなは出入り口の防御を固めて欲しい」

 

 私の言葉になお先輩は、すみやかな行動でコロ先輩を引き連れ私を除いた1年生3人に対しテキパキと指示を与えていく。一同は解散し指示されたことを作業し始めていた。具体的に、神村は有事の際の攻撃役。心寧ちゃんと陽葵ちゃんはこの室内に存在するバリケードの設置。コロ先輩は首のない亡霊が接近してきていないかどうか索敵をしてくれるようだった。

 ところで、今。なお先輩が私のことを『妖精(ようせい)ちゃん』って呼んでくれた。『“消火器の”妖精ちゃん』って呼ばれるよりも、喜んでいる自分がいる。でも『消火器の妖精ちゃん』と『妖精ちゃん』それぞれバラバラに呼ばれてしまうと、なんだか“消火器の”という部分が二つ名や称号みたいな感じに聞こえてしまう。

 そんな渾名に関して内心葛藤している私だったが、なお先輩に拾ってきた手記を1つ渡す。1人で手記を解読するよりも、2人で読み込んだ方が早いのは確かだ。

 黙読の準備も整ったところで、陽葵ちゃんが私のために椅子を1脚持って置いてくれて……。

 

「そんなに落ちている手記を拾うなんて、日葵ちゃんは手記がだいしゅき(・・・)なんだね!」

「……」

「……」

「…………ごめん」

 

 なお先輩に暖炉で見つけた手記を手渡す私に、陽葵ちゃんは彼女なりのギャグもセットでぶちかまして行った。

 多分、彼女なりに緊迫した空気を少し和ませたかったこともあるのだろう。あるいは私の足を折ってしまったことに関して、負い目を感じ少しでも笑いで痛みを緩和させたかったのか。

 いずれにせよ真意は分からないが、彼女の渾身のギャグに対してすぐに反応を返すことができずに陽葵ちゃんを固まらせる。それから一言謝ってそそくさとその場を去ろうとしていた。

 

「……コホン。えぇ、そうですね。手記にはその人物が死ぬその直前に書き残した最後の記録が記されていることが多いので。この不可解な現象から逃れる鍵になりえるかもしれません。だから、手記はだいしゅき(・・・)ですよ」

「……!」

「陽葵ちゃんも今回に限らず次にも同じようなことがあったら、まずは先駆者の手記を探してみてください。彼等の手記を収集することで、それらは志半ばで倒れて行ってしまった彼等が築き上げた軌跡を犬死では終わらせない一種の供養にもなりますので」

「……うん!」

 

 私の言葉に陽葵ちゃんは自身の名前を呼ばれた犬のような顔で振り向いたのちに、少しだけ救われたような嬉しそうな顔をした。力強く頷いた後には、心寧ちゃんの元に駆け寄って空になった本棚やタンスを持ち上げて扉付近にバリケードを築き上げ始める。

 私は陽葵ちゃんが持ってきた椅子に座り、犠牲者の手記を広げて〈図書館〉ロールは用いずに全文書を読み上げ、必要な部分を箇条書きにして重要な情報の引き抜きの為の解読を始めるのだった。

 さて、ここで問題です。私が何故〈図書館〉ロールを行わなかったか。

 確かに〈図書館〉ロールは文書の束や図書館内から、重要な情報を的確に引き抜くには大事な技能ではあるのだが……。

 『CALL of CTHULHU クトゥルフ神話TRPG』82頁“図書館”における技能定義が根底に存在したからであった。『新クトゥルフ神話TRPG』71頁“図書館”の技能定義によって若干の緩和はされていたものの……。それでも私がここで〈図書館〉ロールをしてしまえば、情報の引き抜きに数時間~4時間も要してしまう。そんな悠長なことをして居ればドレスを纏った首のない貴婦人に襲われること、洋館に訪れる予定の蓮魔先生達と入れ違いになってしまうことは当然の流れだと判断した事にあった。

 

………

……

 

 




~あとがき~
 閲覧者兄貴姉貴達の中にも、犠牲者の手記とか、バイオハザードのかゆうま日誌がだいしゅきな人もいるでしょう?
 今回は3700文字でお話を展開しました。
 何か思うことがありましたら、感想で教えて頂けますと作者も色々練りやすいです。(ダイスの女神は相変わらず大暴走しているのですがね!)

 それと、なお先輩は見事にデストラップを回避しています。
 窓と壁のシミになる予定だったのですが、判断が良かった。
 君子危うきに近寄らず。モブの対魔忍だったら圧殺からの即死してました。
 コロ先輩には、『友人の非業な死を目撃』して正気度ロール判定があったかもしれません。死を回避できて、えらい。

 投稿ペースですが、昔のように3日に1度で行きたいと思います。
 これからも本小説をよろしくお願いします!


~評価返信~
 『アンドフリームニル様』
■ 一気読みしました。
 たぶん、性的嗜好が似かよってます。
 これからも楽しみにさせていただきます。
◇一気読みありがとうございます。と、言いますと……もしやリョナ寄りの性癖をお持ちで……? それともルール準拠型の性癖の方かしら~? いずれは汚ねぇ下ネタの方もぶち込みたいと考えていますが、付き合って頂ければ何よりです。
 応援・評価ありがとうございます! 執筆頑張っていきます!

 『寝過ごした猫様』
■ めっちゃ面白い
 言葉は不要
 読めばわかる
◇ありがとうございます。言葉は要らぬとはまるで、剣豪の死合のようなカッコイイ響きがあってベテランの反応みたいな感じがあって良かですね!
 読んで下さりありがとうございます!

ところで、閲覧者兄貴姉貴達。2月から、本小説を3日おきのぺースで投稿するって作者が言ってたけど、どれなら許容できますか? 締め切りは2022/2/3投稿日とします。

  • 3日おき、文字数5000前後
  • 3日おき、文字数3000前後
  • 7日おき、文字数5000前後
  • 7日おき、文字数3000前後
  • 文字数はいい、3日おき小説を投稿し続けろ
  • 文字数はいい、7日おき小説を投稿し続けろ
  • 自分のペースに合わせて、毎秒投稿しろ
  • 対魔忍“冷蔵庫”マダー?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。