対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。 作:槍刀拳
どういうわけか後書きの部分に文字が入力できないので、こちらに記述したいと思います。
本小説から色々な
使い手がよければ随時、導入していきます!
「お待たせしました——なお先輩。それに陽葵ちゃんも。なんとなく、こちらも整理がつきました。もう起こってしまったことは仕方のないことなので、過去を振り返るよりも今後どうするか考えましょう」
「……日葵ちゃん」
「陽葵ちゃん、涙ぐむのは後です。その涙は脱出できた時のために取っておいてください。私は泣いている陽葵ちゃんよりも、この洋館から脱出する方法を探る前向きな陽葵ちゃんを見て居たいです」
「……うん……」
「なお先輩から聞きましたよ~? 陽葵ちゃん『まっすぐ歩いていればいつか外に出られるだろう!』の精神で、ループしている可能性のある廊下で玄関を目指して歩いていたんですってね」
「……あ。その話は……」
「思わず笑っちゃいました。でも、それこそ陽葵ちゃんらしいと思います。だから、ね? その明るさで私を励まして貰ってもいいですか? 陽葵ちゃんが元気で居てくれると、私も頑張ろうっていう活力が湧いてきますし、みんなも『脱出しよう!』って気力も湧いてきますから」
「うん……ありがとう、日葵ちゃん。泣きべそをかくのはやめる。うん! 脱出、するぞー!」
「ははは。その調子です。さて……陽葵ちゃんが明るくなったところで、なお先輩。私が皆さんに指揮することとしては、3つです」
陽葵ちゃんを励まし彼女が本調子に戻ったあたりで、こちらを微笑ましそうな顔で見ているなお先輩へと向き直った。私のスイッチの入った引き締まった表情に切り替わったことに釣られてか、彼も緩み切った顔が緊急時上級生として相応しい顔へと変わった時にこちらの指揮の内容を伝える。
指揮と言っても、伝えたものは非常にシンプルなもので、主に
・守ってほしい行動制約
| 【1つ目】 | 極力。大声や大きな物音を出す行為を控えること。 |
| 【2つ目】 | 室内を除いて“必ず”6人全員で固まって行動すること。 |
| 【3つ目】 | 当面の目標として洋館を脱出するための『鍵』を探すこと。 |
以上の3つを守ってくれるだけで、生存率は雲泥の差となる見込みだ。
それ以外の事についてはこちらから求めるつもりはない。
これはクトゥルフ神話TRPG世界線上での経験論だが、こうしろ、ああしろと口うるさく人に指示ばっかり出している軍師様って奴は嫌われる傾向にある。
その人物がどんなに他の探索者からは慕われていたという
そして『CALL of CTHULHU クトゥルフ神話TRPG』39頁“5段落目”にもあるように『次の世代へと託し。育て。自分達よりももっと強くなった世代に任せる』ことにもつながっていくことになる。
それに私達は軍隊や警察のような組織じゃない。五車学園という学校に集う、ただの一般的な何処にでもいる学生集団なのだから。
「……必ず
私のお願いに対し、向こう側で扉の警備を行っている神村を除く4人は希望のある表情で首を力強く縦に振る。これは、とてもいい傾向だ。皆がこの洋館から出ることに関して、出られる・出ようと思っているという証拠でもあった。
「……では
「えっと、鍵……鍵と言うと日葵ちゃんが纏めてくれた『犠牲者の手記2』に書かれていた鍵のことだよね? その鍵を探すのは大変そうだけど、6人で探すんだからきっと見つかるに違いないよね!」
「一体、どんな鍵なんでしょうか? 魔族が用いる鍵でなおかつ、このループする通路や洋館から抜け出すようなものですから、鍵穴に用いる金属製で棒状の鍵ではなく特殊な形状の場合も考えられますよね?」
「うーん……どんな形なんだろ……いざとなったらそれっぽいものを全部持って歩くとか?」
さらに、さっそく私のお願いを実践してくれているのか、先ほどまで賑やかな声色だった陽葵ちゃんもまた少しだけ声のトーンを落として、無謀とも思える『鍵』の捜索に前向きな姿勢を見せてくれる。
「………。……。」
「ん、分かった。頼むよ」
ここでコロ先輩はなお先輩にのみ聞き取れるような声で、何かを話しかけると一足先に神村さんの方へと駆け寄って行く。横目で確認する分に私の案をなお先輩の代わりに伝達……しに行ったわけではなく、何やら出入り口の一点を集中して見つめているようだった。
「あぁ、気にすることは無いよ。万が一を考え、彼女も神村さんの補助に向かったのさ。眞田先輩の舎弟という事もあるし、彼女1人だと何かと心配だからね」
私の視線に気が付いたのかコロ先輩の行動について、なお先輩が補足を入れてくれる。その後も神村の動向を観察するが、流石に3年の先輩に対してまで無差別に突っかかるようなことは無く、時々襟足をかき上げながら、ジロリとこちらに『話はまだ纏まらねえのか』と言いたげに見つめてくるぐらいだった。
ここで心寧ちゃんと陽葵ちゃんへと視線を移す。彼女たちはまだ鍵について話し合っている。いろいろ想像を膨らませてくれているところ悪いとは思ったが、私の中で既に『鍵』について検討はついていた。
おそらく……というよりも確定的なものとなるが、15年前この洋館から無事に脱出することができた学生が所有していた御守りの中身。あの梵字のような文字列が書かれたプラスチックによく似たクレジットカード大のカード、あの『カードキー』のことだろう。
親族の了承を得ることなく、危険を承知で形見の品を暴いたリスクが、ここでリターンとして帰ってくるとは……。これだから少し踏み込んだ探索は止められねぇな。
ひとまず、話が一段落ついた頃合いで、鍵の形状についても3人に情報共有する。
………
……
…
なお先輩が神村とコロ先輩に対し隊長間で話し合った内容を共有し、陽葵ちゃんもまた探す必要のある『鍵』の形状を彼女達へと伝達してくれる。
ひとまず鍵を捜索する進軍スタイルは、ドレスを纏った首のない貴婦人が消えていった方向へと進むものとし円陣型に展開した。
一番危険なポジションではあるが先頭に私、
本当であれば、私、神村、なお先輩の射撃武器型3人は後方で援護射撃することが望ましいが……
『…………』
誰も何も話さずに淡々と調査を進めていく。部屋に入るときは全員で侵入し、室内に置かれたベッドの下やクローゼット、時にはメモの裏まで細かく鍵らしきものを見落とさないように〈目星〉を付けながら調査をしていく。
またその際に、亡霊からの襲撃に備えて室内側から神村となお先輩は廊下と出入り口の警戒にあたっていた。
最初は慣れない様子で、クローゼットの中身やタンスの引き戸、本棚の中を調べる陽葵ちゃんと心寧ちゃんの2人だったが、次第に私が〈目星〉をつけて探しているポイントも分かってきたのか部屋の調査を重ねるごとに探索の手際もよくなっている。
彼女達が
——いいや。私はなんてことを酷いことを考えているのだろうか。探索者なんて毎度厄介ごとに巻き込まれ、いずれは……最後は狂気に侵食され世界から乖離した存在となるのだ。そんな人生なんて、送らない方がきっと幸せに違いない。
彼女達が
………
……
…
…
……
………
「ぐっ……」
しらみつぶしに室内の調査を始めてから、少なくとも60部屋を越えた辺りでズキリと脚が痛み始める。怒りによるアドレナリンやドーパミン物質を分泌できるような状況が無かったせいか脳内麻薬も切れかかっているようだ。
……まずいな。……でもよかった。今の呻いた声は一緒に鍵を探している3人(陽葵ちゃん、心寧ちゃん、コロ先輩)には聴かれなかった様子で、彼女達は黙々と室内の家具を事細かに調べ上げている。その隙を見計らって、部屋の隅に寄って頭をひねり考える。
——考えろ。考えろ、私。
————いつもはどうしていた?
マフィアに掴まった際。尋問として受けた顔側面にゴルフ用のドライバーを叩きつけられたあの時にはどうしていた? そうだ。顔面の骨と頭蓋の一部を叩き割られたときだ。他にも狂気に陥った仲間の放火で逃げ道が飛び降りる選択しかなかったとき、私はどうやって痛みを耐え凌いでいた? 深海に潜む亜人/奇妙な皮膚病患者から槍を突き立てられたときは?
……駄目だ。この思い出は参考にならない。厄介ごとに巻き込まれたときには、他の
こんな時には『新クトゥルフ神話TRPG』選択ルール:幸運を消費して意識を保つ 121頁は役には立たない。あれは、あくまでも気絶してしまうような肉体的損傷を受けた場合でも、意識を無理矢理にでも保ち続けるような荒業であり、この耐え難い肉体の苦痛を緩和させるような効果は持ち合わせていない。最悪な事にそんな都合の良いルールは存在しないのだ。クソッ…………
~????~
探索者として歩みを始めたものは
死んでもなお
いつ壊れるとも終わるとも知れぬ世界で、“代償”支払い懸命に最悪の破滅の運命に抗い続ける。
今あなたの探索者は幸せですか?
私の
でも私は必死に足掻く彼女が大好きなので、完全に
探索者とは私達が物語を楽しむゲームの駒であり、普段はただの
あぁ、そうだ。最後に1つ。
その探索者に課せられた理不尽ともいえる