対魔忍世界へ転移したが、私は一般人枠で人生を謳歌したい。   作:槍刀拳

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~まえがき~
 前回から沢山の応援・改善案の提示ありがとうございます!皆さんの感想や評価が一種のドーピングになっていて、おかげさまでメキメキ続編を書くことができております!

※現在、評価返信はEpisode78から、あとがきに移転しています。
 これまでの評価返信も同様です。よろしくお願いします。




Episode75 『本当の狙い』

「ゼェ……ゼェ……ゼェ……」

「にょほほほほほほほほ♪ そろそろ負けを認めては? 日葵ちゃんは麻呂には勝てぬのでおじゃるよ♪」

「誰が……誰が……っ」

「強情でおじゃるなぁ……。それもよきよき。いつでも麻呂は日葵ちゃんの肉便器奴隷宣言(敗北宣言)を受け入れるでおじゃるよ? グフっ♪ どれ、そろそろ味見として試食でも……」

「ぐぅっ」

「悲鳴を上げて麻呂を喜ばせまいとしておるのか? かわゆい奴め」

 

 約75ラウンド(15分間)ほど、私が一方的ながむしゃらの空中戦を試みるが……。最も有効射程の短い〈頭突き〉はもちろんのこと。〈こぶし〉〈キック〉〈組みつき〉、素手の〈近接戦闘(格闘)〉はすべて空を切り、奴に当たることはなかった。

 梅雨のシーズンという事もあってか、蒸し暑い湿気によって全身からは汗がにじみだし、にじみは他のにじみと一塊となって雫となる。スポットライトに照らされて仄かな温かみを帯びた背中のくぼみに汗が溜まっているのを感じる。私が暴れるたび、雨漏りをした天井のように汗が鋼人卿へと降り注ぐ。それを顔面に浴びた奴はぬぐうこともなく、えっちなお店で働いている方の蛇子ちゃんよりも長い舌でベロリと舐めとっていた。

 やがて息を上げながらガクリと首を降ろす私に鋼人卿は楽しそうに周囲を徘徊し始める。

 

「いぎっ?!」

「にょほほほほほっ♪」

 

 そこから更に奴は次元の蟲人/残虐な人攫いを顎で使うと、宙に浮いた私の両足を乱暴に掴み脱臼しない程度に広げさせる。でも、いくら痛みを緩和させるために薬漬けになっているとはいえ、患部を乱暴に扱われたらそりゃ糞痛い。

 でも鋼人卿。こいつアレだわ。アダルトビデオを見て、ガシガシGスポットをかき混ぜる方が女の子は喜ぶとか思って、実際の彼女にもやってブチ切れられる悪手をするパターンの奴だ。

 

 『馬鹿野郎! 膣は内臓だぞ!!! テメーのアナルや尿道に指ぶち込んで爪でズタズタに傷付けてやろうか!!!』ってヤられた方は思うやつ。

 

 まぁ、そんなツラと性格じゃ伴侶すら見つかりそうにねぇけどな。

 それにしても、まだ(・・)か? 6割の宛ては外れたか? ……味見はまずい。そろそろ処女膜を喪失しそうな流れなんだが。ブチ抜かれるのは、大喰いの泥濘による横隔膜だけにしたいのだが……。それはちょっと想定範囲外なのだが。

 

「ふふふ。胸部は板にも等しいのに、尻は大きいのでおじゃるな

「ヒんっ! ……や、め……ろぉ……っ」

「大きなお尻を揉めば揉むほど、日葵ちゃんの意に反して甘露の蜜が大量に滴るでおじゃる 身体は実に正直でおじゃるなぁ? もしかして被虐願望が強いのでおじゃるかぁ♥♥♥?」

 

 私の2つの尻が、奴の両手で鷲掴みにされ、そのまま乱暴にかき回される。足を閉じようにも次元の蟲人/残虐な人攫いの拘束は、革ベルトで固定されているかのようにピクリとも動かない。

 ここで、そんな状況で本当に濡れているの?と思ったら……マジじゃん。胸が平坦だからこそ下半身側や地面がよく見えるけど大マジじゃん。

 え? でも、去年のテロリストに捕まって人質にされた時にはこんな生理現象なかったんだけど? え? な、なんで? なんで興奮しているの? ど、どうなってるの!? 私の身体!?

 ……ま、ま、まずい。ちょ、ちょっとまずい。自分がというよりは、自分の身体がどういうわけか変態の道(マゾヒズム)に片足突っ込んでいることに対する動揺に加え、尻を鷲掴みにされて揉まれているこの状況。

 対魔忍世界では挨拶程度の感覚、日常風景なのかもしれないが、個人的には本当にまずい。

 次は絶対に……肛門か秘部に指か、舌か、鼻か、鼻息が刺さる。

 幸いにも1.5mの高さに浮遊しているから、奴の700mlコカ・コーラ級のペットボトルは突き刺さらないが、他のモノが突き刺さる。そんな気がする。

 それはまずい。声が震えてくるレベルでまずい。いろんな意味でまずい。語彙力が落ちる。まずい。

 

「では……ぎしゅしゅ……

 

 ……じゅるりっ

 

 あー!!! あー!!! 待って! 正直に申告します!!! 想定外の事態が起きてる!!!

 第二プランは発生しなかった! ならばただちに第三プランを実行する必要がある! 第三プラン(打開策)はあるけど!!! ちょっと今はできない!!! 鹿之助くんの救出活動の最中に見つけた『CALL of CTHULHU クトゥルフ神話TRPG』のサプリメント『クトゥルフ2010』にその第三プラン(打開策の記載)があったのだけど!!! それを実行できるのは両手・両足が自由でないと使えないことが前提条件なんです!!!

 しかも第三プランを阻害されたときの第四プラン(突破口)は、この状態に(【空中浮遊】)された状態じゃ人体の可動域の影響で実行できないの!!!

 あぁーッ!!! まずい! 対魔忍(にくべんき) 余計な事に首を突っ込んでいれば、いつかは対魔忍化(にくべんき化)は想定してたけど! 今じゃないの! 待って! 奴の! 奴の鼻息が!

 鼻息が~っ!!! まずいですよ! まずいですよ~! まずいですねぇ!!!

 情けない小娘みたいにヒンヒン言っちゃうっ! あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ゙!゙!゙!゙

 心寧ちゃんが気絶している今こそ代償(コスト)の重い第五プラン(緊急時の切り札)のチャンスだけど、代償が重すぎて使いたくないぃぃ~!!!でもこのままだと本当に対魔忍世界の洗礼に()っちゃう!!!あぁっ!行く往く逝くイクいくッ!!!先輩!!何してんすか!やめてくださいよ本当に!おまえのことが好きだったんだよ!お兄さん許して~~~!

 

「ほ、ほーっ、ホアアーッ!!ホアーッ!!!!!!!」(せいいっぱいの威嚇)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、お前。私の生徒に何をしている?」

「へぁ?」

 

 危うくスジや下半身の唇を押し広げられ、滴るよだれ(・・・)ごと舐め回されることによる——私の実況と解説つきのR-18禁な……まさに対魔忍世界ならでは(・・・・・・・・・)の通過儀礼を済ませる直前。

 何処からともなく凛とした女性の声が掛かる。

 

 ——私はこの声を知っていた。

 ——首を痛めることも厭わず、足元へと振り返る。

 ——そこに居たのは、初めての五車学園入院時に私の両手を掴むように握った人。

 ——悪質タックルでの顔面スライディングのあとに手を差し伸べてきてくれた人。

 

「——はぁぁぁぁぁぁあああああああああああっ!!!」

 

——ザスザスッ!!! バチバチバチバチバチバチバチッ!!!

 

 鹿之助くんの従姉(おねえ)さんこと上原(うえはら) (りん)先生だった。

 

「おぎょぎょぎょぎょぎょっ!?」

「ほう……まだ喋るだけの余裕があるとはな……! もっと激しいのが好みだとみえる!」

「がががっ!?! ——ッ! ————ッッ!!!」

 

 彼女は両手に電極の棒を両手に持ちそれを鋼人卿に突き立てていた。青白い電流が電極から激しく火花のように散り、漏電している。鋼人卿は感電しているようで激しく身体を上下に振動させて、人間の皮膚が焼けるような悪臭を充満させていた。やがて奴の口が大きく開かれ、そこからも激しい電流が天井へ向けて吐き出される。

 教師陣へ『鍵』の所持を示し脱出できる趣旨の情報の開示。その時に見せた食いつき具合から、保険として賭けていた第二プランの作戦が功を成した!(賭けに勝った!)と内心でガッツポーズを取った時、1つ疑問が沸き上がる。

 

「???」

 

 鋼人卿の背後には私の開脚を固定する役割を任されていた次元の蟲人/残虐な人攫いという神話生物が居たはずだが……。どうやって、燐先生は私の秘部にちょっかいを出そうとしている鋼人卿の背後を取ることができたんだ?

 次元の蟲人/残虐な人攫いを、興奮した鋼人に気づかれずに暗殺したとしても、奴の物理的な装甲を射抜ける電極を用いた雷撃技ならば脚を掴まれている私も感電してしまうはずだ。でも私は感電していない。となると、次元の蟲人/残虐な人攫いはその持ち場に居なかったことになる。

 残念ながら、首の可動域上の関係と燐先生の放つ雷撃の眩さで、肝心の対象の姿が確認できない。

 

「ギャッハッハッハッハ! 見たことねぇ魔獣だな! 面白れぇ! ぶっ殺してやるよ!」

 

 しかしその疑問は直ちに、室内で響いた豪快な笑い声と蛮族じみた声によって解決されることになった。

 続けざまに、私の脚を掴んでいるはずの次元の蟲人/残虐な人攫いが、1対の手首が千切れた状態で吹き飛び、地下倉庫の壁に突き刺さったのだ。コンクリートの壁がへこみ、劇場版第11弾「ドラゴンボールZ 燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦」に登場した「新惑星ベジータ」の山岳地帯にそびえたつ巨大な岩石のクレーターのように沈み込む。

 背後から聞こえてくる爆裂音、長物を振り回すかのような風を切る音、『オラオラオラオラ』という一方的に蹂躙しているような特徴的な声。その姿や顔を見なくても分かる。あの戦闘狂で有名な眞田先輩だった。

 狂気に打ち勝ち普段と変わりのない彼女の登場は、同時に私の中での燐先生に対するすべての疑問が解ける。そして形がどうであれ、連続した賭けに勝ったことを証明してくれた。

 

「……ははぁ…………」

 

 空中に全裸で浮遊した状態で、ほっと胸を撫でおろす。

 神村さんや陽葵ちゃんみたいに……撫でる胸なんかないけど。

 頭を重力に任せ、臀部側の状況を確認すれば、相変わらず鋼人卿は私の秘部を目前に燐先生に高圧電流が流れる2本の電極で焼かれている。頭を持ち上げれば、眞田先輩によって吹っ飛んでいった次元の蟲人/残虐な人攫いがボコボコに……まるで童話『うらしまたろう』の冒頭で、子供からリンチに遭っている亀のように叩かれている。

 

「——ッ! ——————ッ!? ——————ッ!!!」

 

 再び頭を重力に委ねた時。鋼人卿は青い電流で痙攣しながらも、最期に私を見ながら何かを言っていることに気が付く。コロ先輩が話している内容を〈読唇術〉で解読していたこともあってか、最期に奴が私になんて言っているか読み解くことができた。

 だからこそ、ここぞとばかりにニヤリと嗤う。先ほどの半分本気で甲高い声を出していた生娘のロールプレイから一転、低い声色でマフィアのボスが商売敵に一杯食わせてやったかのように言い返してやる。

 

「あぁ、何も違わないさ。“私と心寧ちゃんだけ” あれは勝手に鋼人ちゃんが言い出しただけだろう? 私は適当に相槌を打っただけで、チームデスマッチの仲間が1人だけ(心寧ちゃんだけ)だなんて言ってないね。2人だけだと思って、油断した鋼人ちゃんが悪いのさ」

——ッ!(小娘がァーッ!) ——ッ!(いやそれよりもッ!) ————————(なぜ私が体力を温存し呪文を)————————ッ!?(使用できないタイミングで増援がッ!?) ——ッ!(お前ッ!) ———————ッ!!!(まさか、まさかまさかまさかッ!!!) ——————ッ!!!(まさかお前ェーッ!!!)

「へっ……。今更、気づいても遅いんだよ。バーカ。次元の蟲人(Dimension Shambler.)と共にくたばれ(& Get fuck out of here.)

 

 中指を立て舌を出し、鋼人卿を嘲笑う。ちょうど、燐先生は鋼人卿の身体で私の姿は遮られていて何も見えていない。侮辱のオンパレードをやりたい放題だ。そして奴が私の真の正体(私と同郷であること)に気が付き、非常に悔しそうな表情で完全に白目をむいたところで唾も吐き捨てて……ここでやっと緊張状態を解いた。

 

「はぁー……疲っかれぇ」

 

 クソでか溜息を一息つき、全身の力を抜く。それから瞼を閉じて安堵する。

 だがしかし、私は一つ見落としていることもあった。鋼人卿は呪文を私に掛けていた。今その肝心の術者は死亡、あるいは気絶したのだ。

 つまり……この流れで何が起きたかというと……。

 

「……危うく対魔忍になるところだっ——タァッ!?」

 

ビタンッ!!!

 

「ぎゃふんっ!!!」

 

 呪文から開放された私は、車のタイヤで潰されたカエルのような姿勢でクッションも何もないコンクリート質の地面へと叩きつけられる。1.5mほどの高さの為、骨が折れる程でも怪我をするほどでもないが体の前面。特に額と鼻頭が凄まじく痛い。下半身から水っぽい音が聞こえる。

 

「うぐっ、うぐぐぐぐぐ……ぐふっ

 

 ……そうか、そうだったわ。

 空中浮遊されることは想定していたけど、第二プランがうまく行った時の降りるときのことを考えてなかったわ。私。

 

………

……

 

 




~あとがき~
 今回は隠語のオンパレードでしたね。
 これもR-18禁には進まなかった時に備えた工夫なりけり。
 R-15以上R-18未満を目指した結果なり。許されよ。

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