無限転生 ~LOST REQUIEM~ 作:とんこつラーメン
最近になって色んな事が起きすぎて、疲労が蓄積しまくっているのです。
でも、ここらで頑張らないと絶対に後悔しそうなので、なんとか気合で頑張ります。
こちらに向かって手を振る響さん達の元へと歩いていく私とマーリン。
最初は笑顔を浮かべていた響さん達だったが、私の隣にいるマーリンの姿を見た瞬間に表情が固まってしまった。
「お待たせしました」
「う…うん。それはいいんだけど……」
「ん? 私がどうかしたのかな?」
当然ではありますけど、そりゃあ気にはなりますよね。
いきなり私が自分達の知らない男性と一緒に歩いて来てるんですから。
「その人……誰?」
「ま…まさか彼氏さんデスかっ!?」
「か…彼氏だぁッ!?」
「おぉ~…」
「いやいや…流石にいきなりすぎじゃ……」
切歌さんと調さんが案の定な反応をして、クリスさんに至っては何とも初心な反応。
そして、未来さんだけが冷静に判断してくれた。
きっと彼女はメンバーの中で一番の苦労人に違いない。
私のゴーストがそう言っている。
「彼氏なんかじゃありませんよ。冗談でも質が悪い」
「うん。確かに彼氏ではないけれど、それはそれで酷くはないかな?」
「え? どこが?」
「お願いだから素の反応は止めて」
素の反応というよりは純粋な疑問だったんですよね。
私のどこが酷いというんでしょうか? 失礼だな。
「彼は単なる知り合いです。そこまで皆さんが勘ぐるような深い関係じゃありませんよ」
「「「なーんだ」」」
「そ…そうだよな!」
「だと思った……」
クリスさんと未来さんはともかくとして、どうして響さんと調さんと切歌さんは残念そうにしてるんですか。
「んで、名前はなんていうんだ?」
「あぁ…私の名は……」
「セクシャルバイオレット悟朗です」
「そうそう。私はセクシャルバイオレット悟朗…って、なにそれっ!? 偽名を使うにしても、もうちょっとマシな名前をチョイスしてくれないかなっ!?」
「では、もぎたてハレンチカリカリ梅とどっちがいいですか?」
「最低最悪な二択!」
そうかな? 割と本気でどっちもいいと思うんですけど。
個人的にはセクシャルバイオレットを推奨。
「では、もう合体させて『セクシャルもぎたてバイオレットハレンチカリカリ梅悟朗』でいいじゃないですか」
「無駄に長い! 融合して悪化してるじゃないかッ!?」
「私のデッキは融合モンスターを活躍させる系ですので」
「だから何ッ!?」
むぅ…私の融合モンスターデッキを余り舐めない方がいいですよ?
少なくとも、あの城之内くんには圧勝してますから。
遊戯くんと海馬くんには完敗してますけど。
「息ピッタリだ……」
「やっぱりカップルなんじゃ?」
「だから違いますって調さん。有り得ませんから」
「そこまで強く否定されると、流石の私も傷つくな~」
「嘘つけ。笑いながら言っても説得力ないんですよ」
「バレたか」
テヘペロやめい。
どれだけ顔が良くても、男のテヘペロなんて誰特なんだよ。
「つーか、さっきから誰も言わないから言わせて貰うけどよ……」
「何だい?」
「今から本部に行くッつーのに、普通に部外者を連れてきてもいいのか?」
「「「「あ」」」」
…ですよね。はい。それこそが最も普通の意見です。何も間違ってません。
「その点については大丈夫かと」
「なんでだよ」
「どうせ、役目を終えればすぐに消えると思いますし、強ち『部外者』とも言い切れないですし」
「「「「「え?」」」」」
どうせ、後で話すことにはなるんだし、先に少しだけ言っておいても別に構わないだろう。
その方が話も切り出し易いし。
「実は、私の事について皆さんに非常に大事な話があります。本部に到着してから、他の皆さんも交えてお話ししたいと思ってます」
「ナナシちゃんからの大事な話って……」
「もしかして、記憶が戻ったの?」
「そうではないのですが、それと関係ある話ではあります。なので、向こうに到着したら弦十郎さんやエルフナインさんも同席して頂いた方が宜しいかと」
「師匠達もってなると……」
「本当に大事な話みたいだね…」
いや…大事な話というよりは、単純に私の事を話すだけなんですけど…。
そこまで畏まれると、こっちの方が悪いような気がしてくる。
「兎に角、まずは本部に向かいましょう。話はそれからです」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
…という訳で、本部へと到着したのはいいのですが。
「ここがS.O.N.G.の本部か~。まさか潜水艦の中にあるとは思わなかったよ。あそこといい勝負だ」
「それには同感です」
さっきからキョロキョロと興味深そうにあたりを見渡すマーリン。
どうせ千里眼で全部見てたんでしょうに。何がそんなに面白いのやら。
因みに、彼が言っている『あそこ』とはカルデアの事だ。
「んで、結局は普通に入れちまってるし…本当に良かったのかよ?」
「大丈夫だよクリスちゃん。ナナシちゃんの知り合いなんだし」
「何の根拠にもなってねぇし…」
どうやら、クリスさんも苦労人気質のようだ。
気が向いた時にでも栄養ドリンクをプレゼントしてあげよう。
修羅場モードすらも一気に駆け抜けられる代物を。
「まずは師匠の所に行く?」
「となると司令室だね」
「この時間帯ならいる筈だ。おっさんの事だから、事情を話せば一発で了承してくれそうだし」
「うんうん」
「マリアと翼さんはなんていうか分からないけど」
真面目なあの二人ならば、色々と苦言を呈しそうな気がするけど…。
そうなった時はマーリンお得意の口車に期待しよう。
なんて思っていたのですが、それは私の杞憂で終わってしまった。
「ナナシ君について重要な話…? 分かった。そういうことは司令室で話した方がいいだろう」
私達が司令室に行こうとしている途中で弦十郎さんと遭遇し、そのまま事情説明。
想像通り、二つ返事でOKサインを出してくれた。
それは良いのだけれど、もうちょっと警戒心を持った方がいいのでは?
「ということは、私もこのまま同行してもいい、ってことかな?」
「勿論だとも。ナナシくんの知り合いという事ならば、俺からは何も言う事は無い」
これだもの。良い人過ぎるのも考えようだ。
(彼…本当にこの部隊の司令官なのかい? なんというか……)
(言いたい事は分かります。ですが、私が彼に助けられたのもまた事実ですよ)
(世界が違えば、価値観も変わる…ってことなのかな)
マーリンが耳元で私にそっと囁いてきた。
ちょっとだけくすぐったいけど、これぐらいなら我慢できるので平気だ。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
今度こそ司令室へと到着。
そういえば、何気に私ってばここに入るのは初めてになりますね。
なんだか急に新鮮な気持ちになってくる。
「うん。まさに『司令室』と言った感じの内装だ。素晴らしい」
これまたマーリンが子供のように目を輝かせている。
どこまでが芝居で、そこまでが素なのか分からないが。
「来たわね皆」
「ナナシもよく来た。…で、その男性は誰だ?」
司令室には翼さんとマリアさんもいて、少し離れた所にはエルフナインさんの姿も見える。
どうやら、特に集合を掛けなくても話を聞いてほしいと思う人達はここに集合していたようだ。
これは呼ぶ手間が省けて助かった。
「マスター。そろそろ自分で自己紹介をさせてくれないかな? 流石にもう変な名前で呼ばれるのは勘弁だ」
「別にいいですよ。十分に面白かったですし」
本部に来るまでの間、マーリンはずっと響さん達から『悟朗さん』と呼ばれていた。
円卓の騎士の皆がいたら爆笑しながら転げまわっていたに違いない。
特にアルトリアやモードレットとかは。
逆にガレスちゃん辺りは目を丸くして慌てそう。
「えー…ごほん。では、改めて自己紹介をさせて貰おう。私の名はマーリン。この名前だけで分かる者は分かると思うけど」
「マ…マーリンッ!? まさか、あなたはあの『花の魔術師』のマーリンですかッ!?」
「その通りだよ。ホムンクルスのお嬢さん」
おやおや。エルフナインさんはコイツの事を知っていたようで。
正確には、伝承などを知っているんでしょうけど。
「エルフナインちゃん、この人の事を知ってるの?」
「知ってるも何も…マーリンと言えば、円卓の騎士たちが仕えていたアーサー王の居城『キャメロット』に勤めている宮廷魔術師であり、最上級クラスの魔術師なんです! アーサー王の誕生を予言し、導いた人物でもあるんです! 伝承では、アーサー王が生まれた時に父王であるウーサー王から譲り受けて、騎士エクターの元で育て、岩に突き刺さった選定の剣の前に姿を現してから王の運命を告げたとか……」
「よく知っているね。確かにその通りだ」
エルフナインさんは間違いなく、このS.O.N.G.の頭脳役だな。
ここまで詳しく知っているとは思わなかった。
私は特に興味も無いので調べようとはしなかったし。
「ど…どうして、そんな人物がここにいるんですか? マーリンは最果ての地『アヴァロン』にある塔に幽閉され、永遠に出る事も死ぬことも許されない身となっている筈じゃ……」
「エルフナインさんの言っている事は間違ってないですよ。ここにいるこいつは単なる分身ですから」
「ぶ…分身ッ!?」
「はい。彼の魔術によって作り出された分身です。本体はまだアヴァロンに普通にいますよ。こいつは千里眼を持ってますから、アヴァロンからでも普通に全世界の様子を伺えますし」
「せ…千里眼って……」
「まぁ…特に気にする必要はないですよ。彼については『顔がいいだけの胡散臭い男』って認識で良いと思います」
「はぁ……」
話している間に皆の視線がこっちに注目している。
これもマーリンって奴の仕業なんですよ。
「え…えっと、つまりマーリンさんは凄い人って事なんだよね!」
「そうだとも! それなのに彼女ったら、私の事をいつもいつも……」
「いいじゃないですか。いつもは自分が誰かを弄る側なんですから。偶には誰かに弄られる側になっても」
「それはそうだが……」
マーリンがツッコみをしている光景は本当に激レアですしね。
出来るだけ目に焼き付けるようにしないと。
「しかし、どうしてそんな人物とナナシ君が知り合いなんだ?」
「それを今から話したいと思うんです。このバカのせいで話が逸れちゃいましたけど」
「バカって…酷いなぁ…」
事実を言って何が悪いので?
首を切り落とそうとしないだけマシだと思ってくださいよ。
「皆さん……」
「『転生』って知ってますか?」
次回、ナナシちゃんに関する完全ネタバレ回。
といっても、読者の皆さんにはとっくに知られているので、あくまでシンフォギアキャラ達に向けてのネタバレって感じですけどね。