無限転生 ~LOST REQUIEM~   作:とんこつラーメン

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冗談抜きでくったくた。

癒しが…癒しが欲しい……。







こんにちは。そして、はじめまして。

 宛がわれた部屋にて一晩を過ごし、体力は回復した…と思う。

 無駄にベットがフカフカで寝心地が良かったので、久し振りにゆっくりと熟睡出来た。

 そういえば、いつの間にか用意されてた着替え…誰が持って来てくれたんだろう?

 私がお風呂に入っている間に置いてあって、なんだか高級ホテルのルームサービスを彷彿とさせた。

 ホテルに泊まったのなんて物凄く昔になるけど。

 

「ふわぁ~…」

 

 体を伸ばしつつベットから起き上がる。

 コキコキと首や腕の骨を鳴らして体の点検。

 

「…よし。大丈夫」

 

 体の方は問題無し…と。

 洗面所で顔を洗ってサッパリしたら、用意して貰った服に着替えますか。

 パッと見ただけで詳しくは確認してないんだけど、そこまで変な物じゃないとは思う。

 

「ふぅ……」

 

 冷たい水で顔を洗って頭を再起動させる。

 さっきまで半分眠気があった状態から、完全覚醒モードに。

 ナナシちゃん、ウェイクアップ。

 

「さて…と。どれどれ?」

 

 綺麗に折り畳まれている服を手に取って広げてみると、目の前にはどこまで見た事があるような清楚系の服がありましたとさ。

 

「これは~……」

 

 なんだか、喉に魚の小骨が引っかかっているように記憶が微妙に引き出せない。

 軽く頭をポンポンと叩きながら記憶の引き出しを漁っていると、唐突にポコンと思いだした。

 

「あ…そっか。これ、桜ちゃんの私服だ」

 

 私がかなり前に転生をした冬木市。

 そこでもまた聖杯戦争に巻き込まれ、私は半ば強制的にマスターとなった。

 あの時は確か、第四次聖杯戦争だったな。

 召喚したのはキャスターで、真名は『メフィストフェレス』。

 色んな意味で一癖も二癖もあるサーヴァントで、一緒にいるだけで賑やかだった。

 ま、普通にアーチャーことギルガメッシュに惨殺されたんだけどね。

 

 その後、私だけが運良く生き残って普通に冬木市で過ごして、10年後の第五次聖杯戦争の年に彼女と知り合ったんだっけ。

 冬木の名門の一つである『間桐家』の養子である『間桐桜』ちゃんと。

 

「まさか、この服を私自身が着る事になろうとは……」

 

 これは一体何の因果か。

 私は彼女のように闇堕ちもしてなければ、白馬の王子様を待ってたりもしていない。

 かといって家庭的でもないし…共通点なんてそれこそ『女』しかないよ?

 

「…そもそも、ちゃんとサイズが合うんだろうか…」

 

 あの子…すっごい胸をしてたからなぁ~…。

 もしもこれで胸だけがブカブカだったら、普通に落ち込むかもしれない。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 私を捕まえていた錬金術師がいる収容所へと入れる許可が下りた。

 それを弦十郎さんから聞かされたのは、私が何気なく食堂にて自分の朝食を作っている時だった。

 因みに、今回の朝ご飯はお手軽にベーコンエッグとトーストにコーヒー。

 本当は炊き立てのご飯に味噌汁&焼き魚と納豆のセットが食べたかったけど、流石に図々しいかもと思ったので自重した。

 

「…で、どうして私は目隠しをされているのでしょうか?」

 

 慎二さんが運転する車に乗せられると、助手席に座っている弦十郎さんからアイマスクを手渡されたので仕方なく着けることに。

 なんとなく事情は察しているけど、念の為に尋ねてみた。

 

「これから行く場所は国家レベルでの機密がある場所なんだ。記憶喪失状態の君には余り意味が無いかもしれないが、それでも向こうがどう思うか分らないからな」

「なので、そうして形だけでも目隠しをしてらおうと思ったわけです」

「成る程」

 

 だと思ったよ。

 こういう場合、大抵は部外者には絶対に見せられないものがあるのがお約束だしね。

 この人達が言いたい事も凄く理解出来る。

 私だって、とある世界では逆に目隠しをさせる側だったりもしたし。

 

(この音から察するに、今は高速道路にでも入ったのかな? だとしたら、まだまだ時間は掛かりそうだ。暇だし……寝ようかな)

 

 こうして目の前を真っ暗にさせられると、完全に消えた筈の眠気が少しずつではあるが復活してくる。

 走行時の振動もいい感じに眠気を促進させてくるし、ここは素直に睡眠欲に逆らわずに従ってしまった方が楽かもしれない。

 

 つーわけで、おやすみ~。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「ナナシくん…ナナシくん。起きるんだ。到着したぞ」

「んん……?」

 

 体を揺さぶられる感覚で目を覚ます。

 この声は弦十郎さんだな。

 なんともいい所で目が覚めてしまった。

 あと少しで特大のにんじんハンバーグが食べれたのに…。

 

「ふわぁ~…。夜ちゃんと寝れるか心配になってきました…」

「それだけ言えれば上等だ」

 

 アイマスクを取り外しながら車から降りると、そこには見るからに『ザ・収容所』と言った感じの建物があった。

 

(どこの世界も、コレ系の場所は似たり寄ったりのデザインをしてるんだな…)

 

 いや、ド派手な収容所とかあっても普通に反応に困るけどさ。

 

「もう既に受け付けは済ませてある。行くとしよう」

「了解です」

 

 弦十郎さんと慎二さんの二人に先導されるようにしながら後ろから着いていき、警備員と思われる人に軽く会釈をする。

 向こうさんは私の顔を見て『なんだコイツ?』的な顔をしていたが。

 

 建物内は非常に殺風景で、文字通りの灰色の世界。

 一昔前の一人称視点型のダンジョンRPGを彷彿とさせた。

 ウィーザードリィは今でも神ゲーだと思っている。

 

「こっちだ」

「収容されている場所は分かっているのですか?」

「いや、今回は面会室に呼び出して貰って、そこで対面する手筈になっている」

「あ…そういう…」

 

 そりゃそうか。当たり前田さんのクラッカーだ。

 何故か自然と鉄格子越しに話をすることを思い描いていた。

 ちょっとだけ恥ずかしいな。

 

「面会時にはお二人も?」

「君はどうしたい?」

「…可能であれば、その錬金術師さんとは一対一で話したいですね」

「そう言うと思って、我々は別室で待機していることにした。室内には念の為の監視カメラがあるがな」

 

 そりゃそうだろうな。

 こうして廊下を歩いている間にも、軽く10個以上の監視カメラを発見してるし。

 

(これだけ厳重だと、出ようという気も失せるんだろうな…)

 

 国家機密系の収容所でこれなら、網走刑務所とかってどうなってるんだろう。

 今にして思えば、これまでの転生で余り刑務所とかに行ったことってなかったな。

 今回みたいに面会をしに来たことはあっても、捕まった事は一度も無い…と思う。

 だって、大抵の場合は捕まる前に殺されてるし。

 

「ここだ」

 

 考え事をしていると、いつの間にか目的地に到着。

 ドア一つとっても、何とも無機質な面会室ですこと。

 

「奴は既に中に入って待っているらしい。面会時間は最大で20分が限界との事だ」

「20分ですね。承知しました」

 

 それだけ時間があれば十分だろう。

 これでようやく、この世界での私の立ち位置が確認出来る。

 果たして、私は何らかの理由で生み出された人工生命体なのか。

 それとも、どこにでもいる哀れな一般人なのか。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「失礼します」

 

 相手がどんな人物であれ礼儀は大事。

 つーわけで、ノックをしてからドアノブを回して入る。

 

「お前は……」

 

 強化ガラスを隔てた向こう側にいたのは、囚人服を着ている頭を丸坊主にされた一人の男。

 彼が噂に聞く錬金術師たちの一人なのか。

 パッと見はそうは見えないが、それは単純に彼が身包みをはがされているからに過ぎない。

 ちゃんと髪を伸ばしてローブやら何やらを身に着けていると、きっとそれっぽく見えるのだろう。

 

(警備員は…いないみたいだな)

 

 私の方にも、彼の方にもそれらしき人影は見当たらない。

 普通ならば端の方に最低でも一人は待機していると思うのだが、それだけここの警備に自信があるということなのか。

 

(いや…違うな。その代りの監視カメラ…か)

 

 カメラがあるから大丈夫…ってか。

 傲慢と人件費削減を一緒にしてるってことか。

 

「こんにちは。そして、はじめまして。あなたが私の事を捕獲していたという錬金術師さんですね?」

「あぁ。にしても、ちゃんと目覚めたんだな…」

 

 ちゃんと目覚めた? これはどういう意味だ?

 まるで、私が目覚める可能性が無い。もしくは低かったと思われるような発言だが……。

 

「まず、話をする前に一つだけ言っておきたい事が」

「なんだ?」

「あなたの自己紹介などは必要ありませんし、私の方もまた自己紹介をするつもりはありません。どうせ、この20分が私達の出会う最初で最後の機会なのですから、あなたは私の事を『お前』とか『貴様』呼びで構いません。私の方もそちらの事は『錬金術師さん』と呼びますので。よろしいですか?」

「別に構わないぞ。こっちとしても、変にお前に執着なんてしたくは無いしな」

「結構。では、改めて楽しい楽しいお話を始めましょうか」

 

 本当はここで相手の警戒心を少しでも解く為に作り笑いでも浮かべられたらよかったのだろうが、生憎ともう笑い方なんて忘れてしまった。

 なので、何も言わずに普通に椅子へと座った。

 

「では最初に聞きますが、私は一体何者なんですか?」

「…それはどういう意味だ? まさか、からかっているのか?」

「違います。私が目覚めたのはついこの間の事なのですが、病院のベットの上で目を開けるまでの間の記憶が全く無いのです。それから色々と情報は聞かされましたが、なんでも私の身分を示すような物があなた方のアジトには全く無かったというじゃありませんか。でしたら、後はもう私の事を捕まえていた張本人に直接聞くしかないと思いまして」

「記憶喪失…か。お前の言いたい事は理解出来るが、かといってここまで来るか普通?」

「このまま根無し草のようにふわふわとした感じは嫌なので。自分の正体がどんなのであれ、知っておくことに越したことはないじゃないですか」

 

 なんていうのは単なる口実。

 本当は単純に情報が欲しいだけ。

 この面談が終わって本部に戻れたら、昨日はし損ねたネットを通じての情報収集もやっておかないと。

 

「…お前は怖くは無いのか?」

「何がですか?」

「自分の正体を知るのが…だ。俺なら怖い」

「私は別に。例え正体が何であれ、自分は自分でしょうに。正体を知ったとしても何かが劇的に変化する訳でもあるまいし」

 

 精神的には色々と変化はあるかもだが、別に死にはしないんだから気にするだけ無駄なのではないだろうか?

 知った途端に体が爆発するとかなら話は別だけど。

 

「で、教えてください。私は一体何なのですか? 錬金術にて生み出された『フラスコの中の小人(ホムンクルス)』なのか。それとも、其処ら辺を普通に歩いていた私を適当に拉致してきたのか」

「…残念だが、どちらも違う」

「違う?」

「そうだ。そもそも、俺達にはホムンクルスを生み出せる程の能力はないし、かといって街中で誰かを攫うような真似をすれば、すぐにS.O.N.G.の連中に嗅ぎつけられる」

 

 S.O.N.G.というのは、私が今お世話になっている組織…だよね。

 だとしたら、私はどこで彼らと遭遇したんだ?

 

「では、あなた方は私をどこで見つけたというのですか?」

「山の中だ」

「……はい?」

 

 今…なんて言いましたか? 山の中?

 

「拠点を次々と変えながらの逃亡生活を続けていたある日、我々は山の中で倒れていたお前を見つけ、そのまま新しく作った拠点まで連れてきたんだ」

 

 

 

 

 




次回もまたお話しパート。

そして、意外な人物が登場するかも…?
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