無限転生 ~LOST REQUIEM~   作:とんこつラーメン

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今回は自分語り中心です。

話は殆ど進みません。







おはなしたいむ

 『夢見る双魚』

 それが、私の持っているスフィアの名前。

 

 あれはいつだったか…いつものようにとある世界に転生した私は、テスラ・ライヒ研究所という場所で開発者兼テストパイロットを務めていた。

 その頃は丁度、地球は二度目になる異星人からの侵攻を受けていて、本当に大ピンチな状態だった。

 正直、その世界がどうなろうとも私にはどうでもよかったが、死ぬ前に職場を失うのは嫌だったので、仕方なく上からの命令に従う形でとある人型機動兵器の完成を急いでいた。

 それこそが、後に図らずも私の愛機となるPT『ケストール』だった。

 

 ケストールは、PTX-007-03C『ヴァイスリッター』の予備パーツを中心に、ビルトシュバインやゲシュペンストシリーズのパーツも流用されて開発された経緯がある。

 射撃戦重視であるヴァイスとは違い、ケストールは高い機動力で相手の懐に潜り込んでの近接戦を得意をしている。

 主武装は専用の剣『ダーインスレイヴ』で、モーションにはグルンガストのものをアレンジしたものが使われていた。

 

 PTとしては非常に高い性能を誇っていたが、そんな事が気にならなくなる程に懸念すべき問題があった。

 上層部から秘密裏に齎された謎の動力源『Pシーズ』の存在だ。

 後の調査でブラックホールエンジンすらも大きく上回る出力を出していたこれに、私は恐怖する以上に不気味さを感じていた。

 戦争中盤で、機体が暴走寸前にまでなった時、初めてこれが『スフィア』と呼ばれるものだと知った。

 その時に起きた巨大な次元震によって、スフィアを持っていた私だけが飛ばされて多元世界へとやって来る羽目になった。

 色んな勢力やアサキムから狙われまくって本当に大変だったが、そこは省略しよう。

 

 激化していく戦いにケストールはガタが来ていて、多元世界で知り合った仲間達に助けて貰う形で機体を強化、改造した。

 機体名に『平和』と言う意味の言葉を勝手に追加され『ピース・ケストール』という名になった。

 

 紆余曲折あり、私は最終的には死ぬことになるのだが、それでもスフィアは私の身体から離れる事は無かった。

 

 本来、スフィアは所有者が死ぬことでようやく離れてくれるのだが、その理由も私には分かっている。

 人間だけに限らず、全ての生き物の魂は一度死ぬと全てがリセットされて輪廻の輪に入る事になる。

 だが、スフィアは至高神ソルの魂の欠片とも言うべき存在。

 輪廻の輪に組み込まれる事は決して有り得ない。

 その時に、まるで振り分けられるかのようにして死んだリアクターの魂とスフィアは分離し、一番近くにいた相手…つまり、自身を倒したスフィアリアクターの所有物になる…のだが、その相手がスフィアを発動させる条件を満たしていなければ、そのまま何処かへと消え去っていく。

 

 だが、私の場合は例外で、輪廻の輪に入る事無く、そのまま次の世界へと転生しているので、スフィアが離れることが無いのだ。

 しかも、前の段階でサードステージにまで至ってしまっているので、更に離れにくくなってしまっている。

 

 本来ならば、スフィアとは機動兵器の内部に組み込まれているのだが、何事にも例外は存在しているのが常だ。

 例えば、メール・ピーターの命を救う為に体内へと入った『傷だらけの獅子』。

 例えば、機体本体ではなく武装の方に組み込まれた『悲しみの乙女』。

 

 転生をした際に、機体から私の身体…というか、魂の方に融合するような形でスフィアが入り込み、切除したくても出来ない状態に陥ってしまう。

 文字通り、一心同体になってしまったわけだ。

 

 一応、私のスフィア『夢見る双魚』についても話しておく。

 このスフィアの発動キーとなる感情は『夢』であり、アサキム曰く『君には自分でも気付いていない程に大きな夢の力が存在している』…らしい。

 夢なんて、今の私からは最も縁遠い言葉の筈なのにね。

 

 因みに、この『夢』というのは皆がすぐに思い付くであろう『眠っている時に見る夢』ではなく、何かを望む意志…即ち『将来の夢』などの事を指している。

 発動する条件が簡単な一方で、破綻する条件もまた簡単。

 夢を叶えられずに挫折したりなんかするとすぐにスフィアは反応しなくなる。

 

 夢見る双魚のスフィア・アクトは『未来予知』。

 未だに到達していない事柄に意識が向けられる、ということからこの能力が発現したんだと思う。

 要は、能力が発動すれば限定的ではあるがニュータイプのような超絶的な反応速度を得られるのだ。

 星座の配置的に対極に位置している『悲しみの乙女』の能力が悲しみという感情への同調、過去の出来事を力に変えるのに対して、この『夢見る双魚』は『未来を求める思い』を力に変えている。

 自分でも知らない内に未来を求めていると知った時、軽く鬱になりかけたが。

 

 セカンドステージに至った際に全てのスフィア・リアクターに訪れる反作用。

 私の場合は『想像力の大幅な減衰』だった。

 夢見る双魚は文字通り、夢を見る力があって初めて真の力を発揮する為、それを阻害する…つまり『想像力』が失われる事で私の心を苦しめる。

 実際、反作用が発現した時、想像力が失われつつあった私の自意識は殆ど無いに等しく、まるでロボットかアンドロイドのような挙動をしていたらしい。

 私にとっては完全なる黒歴史なので、自分でもよく覚えていないのが本当に災いした。

 

 スフィアには12個それぞれに異なる特徴を持っている。

 それは私の持つ『夢見る双魚』も例外ではなく、これの場合は私限定でかなり質が悪い。

 先程、『夢見る双魚』の力の源である『夢』とは将来の羨望などを指していると言ったが、睡眠中に見る夢も全く無関係と言う訳じゃない。

 『夢見る双魚』には12のスフィアの中で唯一、反作用が二つ存在している。

 そのうちの一つはサードステージに至る事で克服できるが、もう一つは何があっても絶対に逃れられない。

 それ以前に、もう一つの反作用は生きている内には絶対に発動しないのだ。

 もう一つの反作用…それは、『死んだ後にリアクターの存在がその世界から抹消される』というものだ。まるで最初から『夢幻』であるかのように。

 痕跡、記憶、記録、全てが完全に消滅する。

 これから逃れるたった一つの方法は、私が死ぬ前に別の並行世界へと移動すること。

 そうすれば、スフィアの反作用に巻き込まれずに済む。

 だからこそ、アサキムは私の事を覚えている唯一の昔馴染みになる。

 

 スフィアを手にしてから、私は今まで以上に世界に関わらないように心掛けるようにした。

 どれだけ仲良くなっても、どれだけ心を許しても、私が死んで次の世界に転生したら、私のことを全て忘却してしまうから。

 この反作用の事を教えてくれたのもアサキムで、とある世界にて並行世界へと移動する方法を見つけ、ちょっとした好奇心で以前いた世界に行ったことがあるのだが、その世界では私の存在全てが完全完璧に抹消されていた。

 直後、私は生まれて初めての自殺をした。

 

 この世界も一緒だ。

 本当ならば誰にも深く関わらずに一人でひっそりと死ぬまで生きていればそれでいいのに、目を覚ました瞬間から私は彼らと関わってしまった。

 全く…始まる前から詰んでいたら、抵抗しようという気すら失せてしまう。

 どうせもう遅いのならば、利用できるものは何でも利用してやろう。

 情報、衣食住、生きていくうえでは重要な事だ。

 可能であれば、色々と理由を付けて独り立ちできれば最高だ。

 その為には色々と用意するべきものがあるが…そこは彼らに頼らざる負えないだろう。

 もう何度も言ってきたが、何事にもまずは先立つ物が無ければ何も始まらない。

 まずは、そこからだ。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「どうしたんだい? 急にボーっとして」

「別に。少し昔の事を思い出しただけ。誰かさんが余計な名前を言ってくれたお蔭で」

「どういたしまして」

「…お前には皮肉ってのが通用しないの?」

 

 なんだか、随分と長く考え事をしてしまったような気がする。

 お蔭で、胸の奥でスフィアが大きく鼓動しているような感覚がある。

 

「その様子だと、まだ夢見る双魚は次元力を出し続けているみたいだね」

「余計なお節介だけど」

 

 夢…希望…私には不必要で、同時に無意味なものだ。

 だというのに、この私の一体どこにそれらがあるというのだろう…。

 

「いっそのこと、この世界では洗礼名である『バキエル』を名乗ればいいんじゃないのかな?」

「イ・ヤ・で・す。アレで呼ばれるの、あんまり好きじゃないんです。洗礼なんて受けた覚えはないし、そんなに信心深いわけじゃない。そもそも、バキエルって何なのか知ってるの? 『証聖者(コンフェッサーズ)』なんだよ? もはや天使どころが生き物ですらない。人間がいつか至るであろう霊的な境地の名称なんですよ? そんなのを堂々と名乗ったら、恥ずかし過ぎて死ぬわ」

「なら、それとは真逆の『不誠実な者(インフィデレス)』とか……」

「いい加減にしないと、マジでその顔に蹴りを一発お見舞いするぞ」

 

 アサキムの一番怖い部分は、その実力でも雰囲気でもなく、この天然ボケなのかもしれない。

 

「怖い怖い。では、そろそろ失礼しようか」

「是非ともそうしてくれ。こちらも人を待たせてるんでね」

「あの男達かい? 随分と仲が良さそうだったけど…」

「別に。単なる助けた側と助けられた側ってだけだよ」

「……そうか」

 

 それだけを言い残し、アサキムは目の前から足跡も出さずに消え去った。

 またぞろ、どこかの並行世界にでも行ったのだろう。

 私とは違い、あいつは自分の意志でいつでもどこでも移動し放題だから。

 

「…急がないと。余り待たせては流石に失礼だ」

 

 戻ったら、まず最初にこの世界に関する詳しい情報収集だ。

 本当は弦十郎さん達に教えて貰うのが一番手っ取り早いのだが、仮にも組織に属している彼らがそう簡単に口を割ってくれるとは思わない。

 なので、知れる範囲で情報を手に入れるしかない。

 今の私には、圧倒的なまでに情報が不足しているのだから。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 帰りの車の中。

 

「随分と遅かったが、何かあったのか?」

「それを私に聞くんですか? セクハラですよ?」

「む……すまん…」

「司令…流石にそれは……」

 

 適当に誤魔化したつもりだが、図らずも弦十郎さんに悪い事をしてしまった。

 戻ったら、お詫びに何か料理で振る舞おうか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




スフィアに関してはウィキを参照しました。

後は自分流の適当な設定ですね。
 
余り深く考えないでくれると嬉しいです。

じゃないと、恥ずかしくて爆発しそうですから。
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