モルガンと行く冬木聖杯戦争   作:座右の銘は天衣無縫

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3ヶ月半ぶり
FGOからサ終感が漂ってきてちょっとブルーな今日この頃

それにしても配布石1000個はヤバかったですね
大量の餌に引く猫の気分を味わいました
まあ、エクストラクラス、大統領と水着の3連ピックアップで全部持っていかれましたが……


24話

倒れ伏した言峰の四肢を切り落とし、右腕だけを拾い上げる

そこに刻まれているのは幾つもの令呪が絡まり合った監督役の予備令呪

持ち主が死んだ今、暫くすれば令呪に宿った魔力は一度大聖杯に回収され、その後マスターの枠が余っていれば適当な人物に新たな令呪が発現する

 

その令呪の回収と再発現自体は起こり得るだろう

なにせ大聖杯に刻まれたシステムの中でも特に機械的な部分だ

そこが汚染されて何が起こるというものでもない

だが、マスターの再選別には汚染された影響が間違いなく出る

だから回収が発生するよりも先に令呪を奪い、その後再契約という形でランサーのマスター権を正式に獲得

令呪で先ほどの言峰の命令を打ち消す

 

マスターを失ったサーヴァントとの再契約には新たなマスター候補が実際に言葉を交わしてサーヴァントに認められる必要がある

ライダーの固有結界内にいるランサーは魔力の供給ラインやマスターという現代世界へのアンカーが無くなったことで、言峰が倒された事に気付くだろう

だが、その変化を自己申告してくれるかは分からない

分からない以上はこちらの方でエルメロイ2世とライダーと情報伝達手段を用意する必要があった

 

ズボンのポケットにしまっておいた一枚の紙片

これと対になる様に作った紙片をエルメロイ2世に持たせている

後はこれを燃やせば対の紙片がゆっくりと熱を持ち始め、やがて燃える

熱くなった事にエルメロイ2世が気付かなかったら火だるまになるが、それは気付かなかった方が悪いという事で話がついている

というか仮にも時計塔のロードなのだから、それくらいはなんとかして欲しい

 

腕の皮を剥ぎ、それを腕に貼り付け、モルガンが用意した包帯で固定

 

「っ、」

 

正規の手順で令呪を受け取っていないためか、魔力回路との拒否反応で腕が痛む

だが、その内に馴染む筈だ

馴染まなくても一晩大聖杯のシステムを誤魔化せればそれで問題はない

 

準備は大方完了した

あとはランサーが戻ってくるのを待つだけ

 

と、考えた途端に空間が揺れる

固有結界を作り出す時同様、通常空間と固有結界が互いに強く干渉し合っている時特有の反応だ

つまり……来る

 

腰を落として身構える

どこから現れてもすぐに逃げられる様に

 

そして目の前に現れる人影

空中に現れたそれが地面に降り立つまでには既に構えを解いていた

 

「なんだお前らか。」

 

「なんだとは何よ。

あなたたちが言ってきた通りにしっかり勝ってきてあげたわよ。」

 

「ご苦労さん、じゃあ次の仕事だ。

本格的な戦闘がまだ可能なら洞窟の奥に行け。

無理ならここで待機。」

 

そう指示を出せば、セイバーと士郎は互いに向き合い、頷きあうとすぐに走り出した

それに続こうと遠坂も動き出すが、肝心のアーチャーがそれを遮る

 

「なに、どうしたのよ。」

 

「先ほどの無茶な投影で霊核にヒビが入っている。

軽い戦闘なら可能だが、無茶はできん。

悪いが私はここまで、マスターの君も同様にリタイヤだ。」

 

「……アーチャーって見た目の割に意外とひ弱よね。

筋力ステータスもDだし。」

 

「おっと英霊と言えど心はガラスだぞ?」

 

そんな仲の良い漫才を見せている弓主従

 

「いや、仕事がないとは言っていないだろ。

これからランサーとライダーが固有結界から現れる。

万が一、ランサーがこちらに向かってきた時、数合で良いから時間稼ぎを頼む。」

 

「……人の心とかないのかね?」

 

「残念だが魔術世界ではサーヴァントの扱いは人ではなく使い魔、その上他人のサーヴァントとなれば、俺の中では完全に人の心の適用範囲外だな。

諦めろ。」

 

「……マスター?」

 

「やりなさい。」

 

「……了解だ、精々こっちに来ない様に祈るとしよう。」(幸運E)

 

心底嫌そうな顔をしながら、自分の調子を確かめる様に手を握ったり開いたりするアーチャー

そんな事をしているうちにまたもや空間が揺れ始める

 

「来るぞ。」

 

いつもの双剣を作り出しながらアーチャーが呟く

その言葉を聞いて遠坂とカイも身構える

 

「リン、君は離れていろ。

狙われる相手を絞りたい。」

 

冷や汗か、あるいは脂汗か

額から流れるその汗を見て遠坂は大人しくその言葉に従い、すぐそばの林の中に飛び込み隠れる

状況がわかる様に視線が通る場所にしゃがみ込んだ

 

「……そこから大体左右60°、後ろに2mの地面は俺の操作可能範囲だ。

壁でも落とし穴でも作れる。

必要ならすぐに下がれ。」

 

「それはありがたいな。

人の心の適用範囲に入れてくれたのかね?」

 

「いや?」

 

「……」

 

なんとも言えない様な微妙な顔をするアーチャー

それでも構えを崩さないあたりに根の人の良さが滲み出ている

そして再度人影が空中に現れる

内訳はイスカンダル、エルメロイ2世、クー・フーリン

体の大きさからイスカンダルは即座に分かる

残りの2人はスリムなところは似ているが、戦闘特化のクー・フーリンとフィールドワークに良く出るとはいえ、所詮は教師

肉付きは全く異なる

 

着地するまでにランサー、クー・フーリンを特定

アーチャーは即座に向き直り、カイはアーチャーの背後に隠れる様に位置を調整

対するランサーは周囲の環境を把握するためか、視線だけを動かし、カイとアーチャーを捉える

 

「行くぜ、精々気張れよキザ野郎!!」

 

着地……と同時に姿が掻き消える

気がついた時にはアーチャーの目の前で槍を引き絞っていた

 

一手目、突き

アーチャーは上体を反らし、なんとか回避

しかし体勢を崩している

イスカンダルが即座に助けに入ろうと駆け出すが、恐らくは二、三手分はかかる

カイが令呪を構えて口を開く

 

二手目、薙ぎ払い

右の双剣を合わして槍の軌道を逸らすも、ギリギリの状態で投影したそれは容易く砕ける

 

「ー告げる

汝の身は我が下に、」

 

カイが契約のための一節を唱え、即座にランサーがその意図を理解する

イスカンダルはまだ遠い

 

三手目、伸ばした手を引き即座に神速の三連突き

これは防げないと判断したアーチャーは即座にバックステップで槍の間合いの外に逃れつつ、残った左の剣で受け流そうとするも初撃を何とか逸らした程度で剣が砕けちり、残りの二撃で右腕と左肩を貫かれる

 

「我が命運は汝の槍に」

 

四手目、空いた距離を詰めての蹴り

カイが地面を操り、壁を作り出すも一撃で容易く砕かれる

しかし、これで一手稼ぐことが出来た

イスカンダルが間合いの内側に入った

 

「聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従うならばーー」

 

契約の文言は残り二節だが、それなら次の一息に言い切れる

だが、令呪による命令の打ち消しにもう一手必要だ

イスカンダルが2手分稼いでくれれば良いのだが……

 

五手目、背後に迫ったイスカンダルの方を振り向き、振り下ろされた剣を槍の柄で防ぐ

 

「我に従え!

ならば我が命運、汝が槍に預けよう!!」

 

「応よ!

あのスカした金ピカに一泡吹かせられんなら上等ォ!!」

 

クー・フーリンが応えて契約が成される

これにより言峰による令呪の効果は大きく減衰する

しかし、契約に成功したことで生まれた僅かな気の緩みが次の一手への反応を遅らせた

 

六手目、フリーになったカイの懐にクー・フーリンが潜り込む

先ほどアーチャーに迫った時よりは遥かに遅い

極度の緊張状態に近かったとはいえ、カイが接近の様子を認識できていたほどしかない

だが、反応が追いつかない

槍は既に引き絞られている

狙いは心臓

 

令呪……どうしたってタイムラグが出来る

迎撃……不可能

回避……地面を操り、自分の体を打ち上げれば……間に合うか……!?

 

やるしかない

そう判断し、実行する

しかし地面がひび割れ、足元から揺れが伝わってきた時には間に合わないことを認めざるを得なかった

ランサーも何とか穂先をズラそうとするも、効果は薄い

精々、狙いが心臓ではなく肺になった程度

アーチャーもイスカンダルも間に合わない

 

穂先が布を裂き、皮膚を破る

骨の隙間を抜け……

 

「ガンドッ!!」

 

後方からの魔力弾

槍の動きが止まる

しかし、Cランクの対魔力のスキルを持つクー・フーリンには効かない

着弾する直前で掻き消される

だが、その一瞬でイスカンダルが一手を差し込む

 

「相棒ォォォォ!!」

 

イスカンダルの『王の軍勢アイオニアン・ヘタイロイ』の応用による英霊召喚

呼び出されたのはイスカンダルの生涯の相棒、イスカンダル以外を背に乗せず、人在らざる獣の身でありながら英霊として座に登録された存在

ブケファラス

 

その後ろ脚による蹴りが放たれる

心臓を掠める所だった槍が引き戻され、その蹴りを受け止める

それを認識すると同時にカイが令呪を使う

 

「お前の主は俺だ!

大人しく従え!!」

 

そうして漸く完全にランサーから言峰の命令の効果は無くなった

それを確認する間もなくカイが胸を抑えながら蹲る

バクバクと跳ね回る心臓の動きに笑みを浮かべながらも、すぐには動けそうにない

 

「……悪ィ、だがなんとか心臓には届いてねぇから……これとこの後の働きでチャラにしてくれや。」

 

ルーンを蹲ったカイの背中に描き、治癒を行う

胸の痛みや、言峰との戦いで負った傷が消えていく

大きく息を吸い、遅れてドッと流れてきた汗を拭う

 

「ああ、そうしてくれ。

エルメロイ2世、ライダー、まだ戦えるな?」

 

「派手に宝具を使われると厳しいが……そもそも宝具の相性が悪い。

だが、戦車や騎馬、召喚で場を乱すことが出来る。

それと奴の宝具、『天地乖離す開闢の星エヌマ・エリシュ』も一発ならば『王の軍勢アイオニアン・ヘタイロイ』で防御できる。

まあ、何とかしてみせるとも。」

 

「うむ、相性なぞ戦場では勝敗を分ける1つの要素でしかない。

不利であろうと喰らい付かねば拾えぬ勝ちもあろう。

何よりもこのような心踊る戦いで仲間外れなぞ許さん。

余は止められても行くぞ。」

 

知ってる、と第四次聖杯戦争に参加していたカイとエルメロイ2世の心の声が一致する

だが、1人でも多くの戦力がいるのは事実

なにせ、倒してしまったヴォーティガーンの代わり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・が召喚される可能性がある

それどころか最悪の場合、汚染された泥が流れ出してくる可能性がある

そうなればギルガメッシュによる質と量を兼ね備えた攻撃、大量の泥による魔力汚染、さらには泥が出てくるあのの3つに手を割く必要がある

 

最悪の場合は後方に控えさせたグレイに本物のロンゴミニアドを撃たせて全てを吹き飛ばして終わらせるが……諸々の事後処理が面倒くさすぎる

今回の聖杯戦争の関係者全員が時計塔に追われる可能性すらある

柳洞寺を完全に破壊しつくし、現在進行形で円蔵山の内部を破壊している身で言えたことでもないが、これでも一番穏当な手段を取っているのだ

 

関係の薄い思考を通して精神面をリセットさせる

 

「……よし、行くか。

遠坂凛、お前は俺の家に向かえ。

アーチャーは遠方からここを監視、泥が流れ出してきたら遠坂に伝えろ。

遠坂凛はアーチャーから念話が届いた場合、リビングに置いた手鏡を使って連絡、相手に泥のことを伝えろ。

魔力を流せば対の手鏡と繋がるようになってる。」

 

「相手は誰なの?」

 

「その状況をどうにかできる人物だ、今それ以外の情報が必要かね?

それとこれは善意からの忠告だが……あんまり連絡相手と深く関わらない方が良い。」

 

もちろん、連絡の相手はライネスだ

彼女に散々振り回されている第一人物としてエルメロイ2世が心の底からの忠告をするが……肝心の遠坂はイマイチそれが伝わらなかったのか怪訝そうな表情をしている

精神的にかなりチョロい彼女が悪魔の毒牙にかかるかどうかは五分五分といった所だろう

 

「ダラダラしゃべくってても仕方ねぇ。

そろそろ行こうや。」

 

ランサーの一言に全員が頷きを返し、いよいよ最後の一団が円蔵山の大空洞の奥へと向かい始めた




純然たる獣の英霊とかいう稀有な存在、ブケファラス
赤兎馬はなんか混ざってるし、ヴァナルガンド(フェンリル)は神話の存在だし、ロボも混ぜ物がある

他にただの獣が英霊になった例とかあるんですかね?
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