機動戦士ガンダム外伝 サイド7最後の銃声   作:震電みひろ

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互いに夜の内に準備を整えていたエイタとオダワラ。
次の攻撃の一手は?


11,戦闘(前編)

時刻はもうすぐ正午になろうとしている。

エイタはコックピットの外で、コロニーの南側ブロックを見つめていた。

彼はずっと迷っていた。

それは『いつ、どうやって、住宅街近くの秘密補給倉庫に行って、100ミリ・マシンガンを取って来るか』だ。

 

明日の夕方には、宇宙巡洋艦エインズワースが迎えに来てくれるはずだ。

だからその時には北側にある宇宙港まで行っていなければならない。

 

……だがあのジオン兵が、そこまで無事に行かせてくれるとは思えない……

 

エイタはガンダムの持つビームライフルを見た。

残りのエネルギーは三発分。これだけでは心もとない。

そこで考えているのは『住宅街近くの森林地帯にある秘密補給倉庫で、100ミリ・マシンガンを取って来ること』なのだが。

 

……あそこまでどうやって行けば……

 

エイタはそれを悩んでいた。

ガンダムを置いて、電動トラックでマシンガンを取りに行くか?

だがその往復で敵に攻撃されたら、エイタにはどうする事もできない。

そもそも武器もないトラックなんて、モビルスーツからすれば敵にすらならない。

 

……だからと言ってガンダムを動かして、あそこまで敵に見つからずに行けるとも思えない……

 

さらに言えば、補給施設のどこに100ミリ・マシンガンがあるかは知らないのだ。

 

……探すとなれば、夜じゃダメだ。昼間の明るい内でないと……

 

エイタは昨夜の『無人コロニーの夜の暗さ』を思い出した。

ふとその時、行きに見た『大型資材専用道路』を思い出した。

 

……あの自動運転トレーラーが使えないか?……

 

自動運転トレーラーを何台か続けて発車させる。その中の一台にガンダムを乗せる。他はオトリだ。

もちろん、敵は攻撃を仕掛けてくるだろう。最初の一発でやられる可能性もある。

 

……だがリスクを恐れていては何もできない。そもそも今は何もしない事もリスクだ……

 

エイタはそう思った。彼は急速に『戦士』としての考え方を身に着けていたのだ。

エイタは視線を『大型資材専用道路』に向けた。

その先には自動運転トレーラーがの格納庫、通称『駅』があった。そこにはまだ火の手は回っていない。

 

「あそこに行けば、何とかなるかもしれない」

 

エイタはガンダムのコックピットに潜り込むと『スタンバイ・モード』で起動した。

工場の建物や、火事の煙を利用しながら、派手な音を立てないように『駅』に移動していく。

 

昨日からの一昼夜でエイタは敵に対して分かった事がある。

それは『無駄弾は極力撃たない』『モビルスーツの接近戦は避けている』という二つだ。

つまり敵は『遠距離狙撃が得意な兵士』なのだろう。

相手はまだ二発しか撃って来ていない。『無駄弾を撃たない』のは『弾が十分にはないので、無駄弾を撃てない』のではないか。

接近戦を避けているのは、おそらくガンダムの性能の高さを恐れてだと考えられる。

 

そして『相手も一人らしい』と言う点だ。

複数のザクがあるなら、一台が狙撃、もう一台がザクマシンガンでの中距離戦闘を挑んでくるはずだ。

それに昨夜、PXに行ったエイタを一人で襲ってきた点から見ても、相手も単独行動としか考えられない。

 

エイタはガンダムの身を低くした体勢で『駅』に向かった。

モビルスーツの腰を低くした姿勢など、外から見たら滑稽だろうが、そんな事を気にしている場合ではない。

『駅』は工場区でもかなり南側にある。

そのため周囲には建設用の資材や土砂が大量にうず高く積まれていた。

おかげでガンダムは割とスムーズに自動運転トレーラーの格納庫に入る事が出来た。

 

格納庫の中には六台の自動運転トレーラーがあった。

エイタはそれらの内、四代目の空荷のトレーラーに、ガンダムを横たわらせる。

他に空荷のトレーラーが二台あったので、それらにはクレーンを操作して、近くにあったコンテナを載せる。

そして全てのトレーラーに、荷物を隠すためのカーキ色の荷台カバーをかけた。

これで遠目には、どのトレーラーにガンダムが積み込まれているかは判別できないだろう。

全ての準備が出来たエイタは時計を見た。

もう時刻は午後三時近い。暗くなるまであと三時間ほどだ。

エイタは大きく深呼吸をした。

 

「よし、行くか」

 

 

 

オダワラは双眼鏡で工場区画を監視していた。

昨日までいた『小型宇宙艇製造工場』には、既に連邦のモビルスーツは居ないようだ。

 

……火事に紛れて場所を移動したか。中々抜け目のない奴め……

 

オダワラはさらに双眼鏡で工場区画全体を見渡した。

 

……そんなに遠くには行っていないはずだ。あの辺りでモビルスーツが隠れられそうな場所と言うと、軍艦の兵装を整備する工場か、コロニー公社の工場になるかと思うんだが……

 

その二つの場所を念入りに双眼鏡で覗いている。

だがどちらも工場の敷地を取り囲むようにビルが建てられていて、中の様子を覗く事は出来ない。

 

とその時、コロニーを縦に貫通するように走っている『大型資材専用道路』に、一台の大型トレーラーが走って来るのが見えた。

 

……資材運搬用の自動運転トレーラーか?だがこの無人のコロニーでなぜ今頃?……

 

トレーラーの荷台にはカーキ色の荷台カバーが掛けられていた。

 

……待てよ、あのトレーラーの大きさなら、荷台にモビルスーツを十分に乗せられる……

 

オダワラの目が光った。

 

……もしやトレーラーで宇宙港に脱出しようとしているのか?……

 

オダワラはザクのコックピットに戻ると、マゼラトップ砲を構えてトレーラーに狙いを付けた。

 

……まだ距離がある。ここで撃ってもコリオリの力のせいで当たらない。だがもっと近くに寄れば……

 

そう思った時、そのトレーラーから少し遅れて二台目の自動運転トレーラーがやって来るのが見えた。

 

「二台目?どういうことだ?」

 

……連邦軍の新型モビルスーツは二機あったと言う事なのか?それとも別の何かを運び出そうとしているのか?……

 

オダワラが混乱していると、さらに『駅』であるトレーラーの格納庫から三台目が発車しようとしていた。

続いて四台目。

ここでオダワラは悟った。

 

「なるほど。自動運転トレーラーで移動しようとしているが、モビルスーツが乗っているのは一台で、他はオトリって訳か。中々考えたじゃねーか、連邦の新米将校さんよ」

 

だが……とオダワラは思う。

ザクのマニュピレーターを操作して、マゼラトップ砲を構えた。

 

「まだまだ考えが浅いぜ。先頭の一台を破壊してしまえば、後ろのトレーラーは動けないだろ。そうしたらオマエは姿を現すしかなくなる。その時はこの森林地帯だ。距離は短い。絶対に外さないぜ」

 

オダワラは軽く唇を舐めた。

やがて先頭を走る自動運転トレーラーが森林地帯に入った。

距離は三百メートルほどだ。しかもコロニーの回転と同じ向きに撃つ。

今度は外す事はない。

オダワラの指がトリガースイッチを引いた。マゼラトップ砲から175ミリ弾が発射される。

その弾は狙いとは少しズレたが、自動運転トレーラーの後部に命中した。

トレーラーは荷台の資材を撒き散らしながら、道路を塞ぐように横転する。そのまま爆発炎上した。

 




この続きは、本日夜8時頃、投稿予定です。
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