機動戦士ガンダム外伝 サイド7最後の銃声   作:震電みひろ

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エイタの乗るRX-79T『プロト陸戦型ガンダム』。
オダワラの乗るMS-06ザク。

双方ともマシンガンの弾は尽き、近接戦闘用の武器を手に戦う。


13,決戦(後編1)

「危なかった……」

 

エイタは全身から、ドッと汗が噴き出るのを感じた。

ガンダムのシールドは、既に限界近くまでマシンガンの弾を受けていた。

そこにザクが走り込んでヒート・ホークを振り下ろしてきたのだ。

辛うじてシールドで受けたが、ヒートホークの刃はその部分を貫通して、ガンダムの胸部上側、コックピットハッチの部分にガツンと当たったのだ。

幸いにしてそこを突き抜けるほどではなかったが、もう少しシールドが痛んでいれば、エイタはコックピットごと焼き切られている所だ。

 

コックピット・ハッチは二重になっているが、その衝撃は内側ハッチに取り付けられた『上方視界用モニター』まで破損していた。

 

「だけど前方視界に影響が無ければ問題ない!」

 

エイタはシールドごと相手の右手を跳ね上げると、すかさずビーム・サーベルを突き出した。

だが相手は瞬時に後ろに飛び下がる。

サーベルの刃は相手の腰のパイプを傷つけただけだ。

エイタのガンダムは右マニュピレーターにビーム・サーベルも握って仁王立ちになる。

既にアテにならないシールドは捨ててある。

 

……負けられない……

 

エイタは目の前にザクに、全身の闘志を燃やしていた。

 

 

 

白と深緑の巨人が戦っている。

白い巨人はピンク色に輝く光の剣で。

深緑色の巨人は刃が高熱で赤光する斧で。

それぞれの得物を振り回し、相手の得物を躱す。

一瞬が永遠にも思えるほどの緊張の中。

二体の巨人が互いに距離を取った。

 

 

 

エイタのガンダムは既に全身が傷だらけであった。

頭部のV字アンテナは片方が破損し、顔面左側部分に大きな傷があった。

左腕マニュピレーターはヒートホークの一撃を受けて、肘から下が切り落とされている。

その他も胸部・腹部・腰部アーマーの予備電池など、至る所にヒートホークによる傷を受けている。

 

だが一番マズかったのは、ジェネレーターの異常だった。

エイタは戦闘が始まる前、ジェネレーターのリミッターを解除した。

そのためRX-78に匹敵する戦闘出力を維持できたが、この機体に使われている余剰部品・テスト部品では耐える事が出来なかった。

連続的に高出力を出し続けるジェネレーターは、既に計算上の耐熱温度を超えていた。

ガンダムの機体から熱気で陽炎が立ち上るほどだ。

 

コックピット内のエイタも、ノーマルスーツの体温調節機構があるにも関わらず、既に全身が汗でぐっしょりと濡れている。

コックピットの内部温度も50度を超えていた。

しかしエイタの目は戦意に燃えていた。

今のエイタは慎重で戦い嫌いの技術士官ではない。

戦うためだけの獣となっていた。

だがエイタの身体もガンダムの機体も、既に限界に達していたのだ。

それはエイタ自身にも解っていた。

エイタが操作レバーを握る。

ガンダムの右手が同じようにビームサーベルを握りしめた。

 

「いよいよ最後の時か?」

 

 

 

オダワラのザクも、既に満身創痍の状態であった。

オダワラの操縦技術で辛うじて直撃だけは避けていたが、ザクの全身いたる所がビームサーベルで抉られている。

左腕は肩の下、上腕部で斜めに断ち切られていた。

 

そして何より致命的だったのは、最初の一合で腰の冷却パイプを切られている事だった。

既に小型核融合炉の温度は危険域を越えている。

このままでは大爆発を起こしかねない。

さらには連続的に高温を発し続けているヒートホークの刃の部分が、物理的に弱くなってきているのだ。

オダワラは敵モビルスーツを睨んだ。

 

……今の状態のヒートホークでは、敵のあの装甲は簡単には破れない……

 

オダワラは先ほど、ガンダムの左腕を断ち切った事を思い出した。

 

……関節部までは頑丈な装甲で覆えないと言う事か。狙うとすれば足の膝関節だな……

 

オダワラのザクがヒートホークを構えた。

 

「次が最後の一撃だろうな。俺はこの一撃に、軍人人生の全てを賭けるぜ」

 

 

 

「うおぉ!」「いやぁっ!」

 

ガンダムとザクが、ほぼ同時にダッシュした。

だが先に仕掛けたのはガンダムだ。

ビームサーベルはヒートホークより間合いが長い。

ガンダムの右腕がビームサーベルを横殴りに払った。

ザクの頭部が切り飛ばされる。

 

だがそれはオダワラにとって計算済だ。

頭部には各種センサーや運動コンピューターもあるが、それで即座に全体が停止する訳ではない。

 

身体を屈めて頭部を無くしたザクが、やはり横殴りにヒートホークを振るう。

ガツン!という固い音と共に、ヒートホークの刃がガンダムの左膝に半分以上食い込んだ。

ガクンとガンダムの体勢が崩れる。

ザクは素早くヒートホークを引き抜くと、今度は上からガンダムの頭部目掛けて振り下ろした。

だがガンダムもほぼ同時に右手のビームサーベルをザクに向かって突き出していたのだ。

ガンダムのビーム・サーベルはザクの胸部中央を貫き、

ザクのヒート・ホークはガンダムの左肩にめり込んでいた。

 

そして、ほぼ同時に、エイタのガンダムも、オダワラのザクも

『活動不能』の警告をモニターに映し出していた。

 




この続きは、明日正午過ぎに投稿予定です。
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