Escape from Aincrad   作:リンクス二等兵

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忙しすぎて筆が進んでいないですが、週一ペースを維持できるよう頑張っています!


11層-2 ULTRAでお買い物

Level 40 BEAR Operator "Rage”

Aincrad layer11 "Interchange”

 

 暗闇が晴れていく。俺たちは高速道路にいて、目の前にはでかいショッピングモールが聳え立っている。これこそ"ULTRA"であり、サンクトペテルブルクに元ネタのショッピングモールがあるらしい。

 さて、目的は目の前のショッピングモール。一階が駐車場になっており、何故だかここが地下。2階フロアが1階、3階フロアが2階として扱われている。

 

「して、どう進もうかね。お上品に正面からお邪魔するか?」

 

「そうは言うけど、他に入る所あるの?」

 

「幾つかな」

 

 バックヤードの搬入用スロープとか、正面入って右側には天井が崩落してスロープ状になっている部分がある。他にもあちこちにエスカレーターがあり、侵入路はどこにでもあるわけだ。

 

「まー、難しく考えなくていいんじゃない? PMCとは喧嘩にならないんだしさ」

 

 実際問題、フカ次郎の言うとおりだ。元のタルコフならば、他のPMCと侵入路が被るのは避けたい所だが、今は鉢合わせても殺し合いにはならないで済む。正面から行っても問題はないわけだ。

 

「だとすれば、IDEAのエスカレーターを上がるのが1番近いかな。レイジさん、それでいい?」

 

 レンのいうIDEAはモールの正面左にある大きなテナントで、アンティーク品などがスポーンする家具屋だ。元ネタはどこぞの青い家具屋なんだろうけど、そこは大人の事情というわけだ。

 ちなみに、そんなIDEAの買い物バッグから作られたチェストリグが存在する。手作り感あふれるそれを装備したSCAVは、遠くからでも結構目立つんだよな。

 

「ああ、オフィス漁ってから店巡りと行こう」

 

 Big saleで行くテナントは7つほどだが、どれも1階フロアに存在する。買い物気分と行きたいが、他の客が物騒すぎるので気は抜けない。SCAVはどいつもこいつもお行儀が悪すぎるんだ。

 もう一つ、Make ULTRA great againというタスクはInterchange全域でSCAV25キルなので、地道に進めるとしよう。

 

「ショッピングかあ。VRショッピングを思い出すよ」

 

「そういや、コハルはそのアバターをコンバートしたんだったな。顔変わってなかったから驚いたぞ」

 

「レイジは厳つい中年だったのに、気さくなお兄さんに早変わりだったね」

 

 少しドキッとしてしまった。笑顔で気さくなお兄さんと言われて悪い気はしない。クリーンヒットだ。出撃前から胸部壊死しそう。

 

「茶化すなよ。レン、フカ、IDEAのレジ周りはSCAVが隠れてるから気をつけろよ。ショットガンで頭飛ばされるからな」

 

「おやおや、照れ隠しかい?」

 

 フカ次郎め、ニヤニヤしやがって。分からせてやろうか?

 

「うるさい。キラ店長に万引き犯だと突き出すぞ」

 

 このInterchangeにももちろんボスはいる。黒地に白3本線のジャージと、同じカラーリングのマスカヘルメット、後はクラス5アーマーで身を固め、RPK軽機関銃を持つ”Killa”だ。PMCからは店長と呼び恐れられている。

 こいつに追いかけ回された時、リョーハの野郎が『なんてこった、もう助からないゾ』とか抜かしたのは忘れられねえ。

 

 重量の嵩む装備をしている店長だが、元々アスリートだったとかでかなりの俊足だ。おまけに目が良くて、俊足で距離を詰めて的確に撃ち抜いてくる危険な相手である。

 どこぞのスペツナズ隊員が元ネタという話だし、ウチの怨念マリモはこいつの劣化版とでもいうべきだろう。元ネタの方は鈍足だけどな。

 

「ち、ちょっと! 私逃げ切れないじゃん! レンでも怪しいのに!」

 

「私だってキラ店長から逃げ切るのは無理だよ。フカが何とかしてね」

 

 レンの武器はMP5。装填している”QuakeMaker”では店長のアーマーを貫通するのは不可能だが、威力が高いので足や腕を滅多撃ちにすればHPを削り殺せるだろう。

 それに対して店長はイゴルニクとかBSなどの高貫通力を誇る弾を使っているから、1番硬いクラス6のアーマーでさえ1発目からブチ抜いてくる。多分、リーテンも防げないだろうな。俺だって出来ない。

 

「当たればね。当たれば」

 

 対してフカ次郎の武器は"FN GL40”というグレネードランチャーで、当たればキラ店長だろうと一撃で倒せる。至近弾でも即死か、瀕死の大ダメージを与えられるだろう。

 ただ、弾が放物線を描く上に弾速が遅いので、当てるには相当の技術がいる。しかも1発ごとに再装填が必要なので、外したら一巻の終わりだ。サブで持っているM4A1に期待するしかなさそうだな。

 

「不安過ぎるんだけど。おい、間違っても俺らに当てるなよ?」

 

「大丈夫じゃよ、安全装置があるぞ!」

 

「M443は3メートルで起爆するんだからな!?」

 

 グレネードランチャーの弾には色々種類があるが、その中でもM443は発射から3〜5メートルで起爆するので、下手すると射手が自爆する。仲間を巻き込む可能性もかなり大きいので、気をつけて欲しいものだ。

 

 ……大丈夫だよな?

 

「……レイジ、アレって何かな?」

 

 コハルが指差す先、道路横の植え込みに何かが突き立っている。剣が立てられているのはまあいいとしよう。問題は、その柄の部分にマスカヘルメットが被せてあることだ。

 一瞬、タチャンカの墓標と思ったが違う。奴は緑のマスカヘルメットなのに対し、これは黒地に白で3本線が引いてある。キラ店長の生首かよ。

 

「先客がいたようだな。随分悪趣味だけど」

 

「本当に無法地帯なんだね……」

 

「いや、普通はこんなことしないからな?」

 

 不安は残るものの、俺たちはULTRAに足を踏み入れた。正面玄関入ってすぐの階段を上がると、レジ周りにいたSCAVが反応する。

 いつもみたいにスーカスーカやかましく叫びながらショットガンを撃ってくるが、あの中に店長はいないらしい。レジ打ちだけか。

 

「コンタクト、SCAV2つ!」

 

「右は私が!」

 

 ならば俺は左だ。右はレンに託し、左へ移動するSCAVを仕留めた。ヘッドショットだ。コハルにいいとこ見せられたかな。

 

「突っ込みます!」

 

「おいマジかよ、援護する!」

 

 見かけによらず、レンはアグレッシブなようだ。サブマシンガンは至近距離での戦闘に持ち込んでなんぼだし、正しいやり方であると言えよう。

 だから俺はそれを援護する。柱に隠れるSCAVに弾幕を浴びせて制圧し、動けなくなったところにレンが突っ込んでトドメを刺す。

 

「仕留めた!」

 

「フカ、お前の相棒肝が据わってるな」

 

「でしょでしょ? でもコハルちゃんの伝説には劣るなぁ」

 

「伝説って何!?」

 

 まあ、ボスを相手に真っ向勝負、挙句俺を踏み台にして大ジャンプからの一撃とか、アスナと肩を並べるレベルで伝説になっているもんな。

 アスナが神速の連撃で名を馳せるなら、コハルはその苛烈さと言えるだろう。一体誰に似たんだ?

 

「ほら、その件は打ち上げで話すぞ。さっさとオフィス漁って移動しよう」

 

 すぐ目の前にあるIDEAのオフィスはPCケースがあったり、棚にレアな電子部品がスポーンしたりする。グラフィックカードとかあったら狂喜乱舞ものだ。是非とも漁りたい。

 

「レイジ、私変なことしてないよね?」

 

「周りに変な奴しか居ないだろ? 気にしたら負け」

 

「ねえ、それフォローになってないよ!」

 

 笑いながら歩く俺をコハルが追いかける。まるで雛鳥のようで、レンとフカ次郎は笑っていた。噂話が出回ってるけど、うちのパートナーは可愛いもんだろ?

 可愛いコハルを補給できたのはいいが、オフィスの戦利品はクソマズかった。

 

 グラボとまでは言わないけど、せめてG phoneあたり出てくれよな。このあと電気屋でいいものがあるといいんだけど。

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