Escape from Aincrad   作:リンクス二等兵

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タルコフサバゲーにUSECとして参加してました!
読者の方に会ってびっくりでしたが、それ以上にSCAVの大群が検問所を襲撃していて、腹抱えて笑いましたw


11層-3 服屋巡りの最中に

 IDEAを出て少し歩けば、そこには目的の服屋がある。紫のランプで照らし出される”tRent”で、マネキンが時々的に見えるから心臓に悪い。その横のエスカレーターから2階に上がることも可能だ。

 

「よし、タスク進んだよ!」

 

 フカ次郎はそう言いながら店内を見回すが、まあ碌なものはない。畳まれた服とか布地はあるけど、どれもありきたりな代物だ。いいものは紛争初期に略奪されたんだろうな。

 

「レイジさん、この先はどう行きます?」

 

「近くの店漁りたいところだけど……特にこの先のエマーコムとか」

 

 Interchangeに行くと知って、使える鍵を幾つか買ってきた。その一つが"EMERCOM medical key"であり、この近くにある医療区画を開けることができる。

 

「いいね、LEDXとかグラボ狙っちゃおうぜ!」

 

「フカ、開けるのレイジさんなんだから横取りはダメだよ」

 

「いやまあ、早い者勝ちでいいぞ?」

 

「本当? やった! 今すぐ行こうぜレン!」

 

 もう、とレンが苦笑いを浮かべるが、俺は1人だけ戦利品を独り占めしようとは思わないし、儲けが欲しけりゃソロで来る。慣れたマップだし、PMCと交戦にならないんだからタルコフの時よりは安全だ。

 同じ危険を背負ってるなら、しっかり分前は渡したい。鍵の金を出しているのは俺だが、今の環境ではそれ以上に命を賭けているのだ。

 

「ここだ。コハル、援護するから鍵開けてきてくれ。レン、フカ、周辺警戒!」

 

 コハルに鍵を預け、俺たちは周辺を警戒する。ここはSCAVの巡回ルートではないのだが、今の環境でそれは確実ではない。SCAVが今までと違う行動を取ることはよくあったし、その可能性を考えて動くべきだろう。

 

「開けたよ!」

 

「全員中に! 窓は弾抜けるから気をつけろよ!」

 

 コハルがまず中へ飛び込み、レンとフカ次郎が突入。俺は最後だ。お行儀よくドアも閉めるいい子だぞ。

 

 中はまるで集中治療室のようにベッドやモニター、点滴台の他、医療機器が並んでいる。ショッピングモールというより、病院と言われた方が納得できそうだ。

 

「レイジ、ここって病室だよね? ショッピングモールなのに何でこんなのがあるの?」

 

「ああ、その経緯を説明すると長くなるが……」

 

 このショッピングモールは紛争初期、EMERCOMによる救出作戦の拠点に利用されており、あちこちのテナントが救護所として活用されていた。この鍵はその一角、集中治療室として使われていたであろう区画の鍵だ。

 故に、ULTRA内では薬局のほかにこういった医療施設に使われていたテナントで高価な医療品のスポーンがあったりする。そこは大抵激戦区となる場所だ。

 

「へぇ、だからショッピングモールなのに病院みたいな場所があるんだね」

 

「さっきの高速道路も、黄色い医療テントとかあっただろ? モールに目が行きがちだけど、ここ南インターチェンジはポートランド港と工業地帯を結ぶタルコフの主要地点なのさ。救出作戦の拠点にはもってこいってわけだな」

 

 俺は適当なベッドに腰掛け、マガジンに予備弾を詰め込む。まだ予備のマガジンはいくつかあるけども、店長が出たら厄介すぎる。こまめに弾を込めないと、いざという時に俺が死ぬ。

 

 それに、漁り場所なら腐るほどあるから焦らなくていい。DKBもALSもSAOプレイヤーばかり集めたせいか、タルコフマップに突入するのをめちゃくちゃ躊躇う。

 だから、他のPMCとブッキングしていない限りは漁り放題だ。一定時間後にアイテムのスポーンも復活するしな(箱の中身や棚とかに湧くアイテムは変わるが)

 

 タルコフマップにMobも出なくはないが、大半はSCAVだからSAOプレイヤーにはきつい相手だろう。銃を使われるのは当然だが、見た目人間なのを剣で斬り殺すのは辛いらしい。

 だからこそ、野良のPMCとかアトラスの連中が護衛として雇われるのだ。PMCらしく雇われ仕事というのも悪くはないが、俺は自由にやりたいものでね。

 

「お、レン! グラボ! グラボだ!」

 

「よく見て、それプリント回路基盤(サーキットボード)だよ」

 

「ノォォォォォォ!」

 

 うん、これには笑い転げた。コハルにはわからないようで、首を傾げているが当然か。

 グラフィックカードもサーキットボードも見た目は回路基盤だから、特に暗いこの室内では見間違えなくもない。

 グラフィックカードは上面にファンがあるからそれですぐわかるのだが、机にスポーンしているときは意地悪なことに、下面の回路部分がプレイヤーを向く。本当にひどいトラップだと思うよ。

 

「ドンマイ、フカ。次は自分で開けることだな」

 

「うう、まずいよぉ……旨味は何処に……」

 

 そんな事もあるさ。グラフィックカードやLEDXがスポーンするが、それはその確率があるというだけで必ずあるわけではない。必ずあったらそもそもレアアイテムではない。

 俺だって、何回か開けて1回しかグラフィックカードを見たことないしな。まあ、大抵先に開けられてるからなんだが。

 

「一回IDEA裏の搬入口から外に出て、発電所の電源を入れに行こう。流石に俺も破産しちまう」

 

 IDEAの裏を出てすぐのところに発電所があり、そこの電源盤から電力を復旧することで、いくつかの鍵が開けられるようになる。

 特に、ULTRA医療倉庫とキバストアの2箇所が開けられるのはかなり美味しい。片方は高額な医療機器がスポーンし、もう片方はガンショップだけあって武器のパーツの他、カスタム済みの武器がスポーンするのだ。

 

 この2箇所の鍵はビックリするほど高額だから、俺1人では買い揃えられなかった。

 それでリョーハと折半して買ったのだが、それでも足りずに必死に金策したのを覚えている。リシャラ軍団を銀行扱いしたのはいい思い出だ。

 

「レイジ、でも私といろいろ食べに行ったよね……?」

 

「ああ、カードキーの在庫何枚か売った。ラボが見つかってない現状、そこまで高くならなかったけど」

 

 それでも数十万コルになったし、まあまあの儲けだ。しばらくコハルと飲み食いしても困らないくらいだけど、攻略の資金には足りない位なので、この辺で儲けておきたいものだ。

 

「よかったの? レアアイテムでしょ?」

 

「ラボがまだないから役に立たないもん。それよりコハルと飯だ」

 

「もう、レイジってば……」

 

 コハルが凍りつく。フカ次郎がニヤニヤ笑っていて、その後ろではレンが微笑ましいものを見るかのように微笑んでいた。

 たちまち顔が真っ赤になっていく。その七変化を見ていて、やはり笑えてきてしまう。本当によく表情が動いて可愛いものだ。

 

「熱々だねぇ。ねえねえ隊長殿、噂の副官殿を私に紹介してくれたりしないかなぁ?」

 

「いいけど、奴は某スナイパーの下僕になってるぞ」

 

「問題ないない。私がよしよしと癒してあげればイチコロだぜ!」

 

 まあ、紹介するのはタダか。奴が修羅場になろうが俺は知らねえ。シノンに始末されるか、フカに沈められるか、俺はポップコーンを持って静かに眺めるとしようか。

 この後は一回IDEAのバックヤードから外に出て、発電所の電源を復旧するとしようか。

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