ギャルゲー主人公の義妹もわたしを好きだと言っています。これは両思いですね   作:二葉ベス

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割と性格が悪いやつが、来るっ!


第8話:お察しの通り過労死です!

 夢、というのはだいたい泡沫と呼ばれるフワフワした存在だ。

 起きた後は基本的に覚えてないことが多い。

 

 だから目の前に存在している「いかにもな金髪天使っぽい見た目の女性」は、この夢から目覚めれば忘れてしまうのだろう。

 

「突然ですが! あなたは過労死しました!」

「……えっ?!!」

 

 わたしビックリ。目の前の天使はお腹を抱えて大爆笑している。なんて失礼な。

 

「いやぁ、予想以上の反応でカミサマの期待値急上昇!」

「かみさま? というかここはどこ?」

 

 あー、それはね。

 座っていた自称カミサマは立ち上がり、両手を組んで伸びをする。

 少し緩めで露出の高い白い服装が目に毒だが、それは置いておく。

 

「ここは神様であるカミサマが、あなたの夢の中でいい感じに介入したニューワールドだよ」

 

 ニューワールドだよ。と言われても、軽いノリで新世界を作られても困る。

 指先で撫でるように空間をなぞる。そうすれば世界は草原へと姿を変えた。

 ともすればもう一度。今度は見覚えのある街中に移動した。

 見覚えがある。そう、わたしが転生する前の街だ。

 

「過労死した、ってどういうこと?」

「んー、頑張りすぎちゃった、的な!」

「……え?」

 

 頑張りすぎた、とは?

 指をパチリと弾いて音を鳴らす。

 瞬間、場面が切り替わる。そこは光る画面を目の前にして倒れる女性の姿が一つ。

 

 間違いない。わたしだ。

 

「安心感から張っていた気力が一気に緩んで、そのままポックリ。見つかるまで数日かかったから、発見時はハエが集ってたとかー」

「やめてー!」

 

 その情報は絶対いらないと思うんだけど?!

 とはいえ、こうして見たら、幸せそうな顔で死んどる。死後の自分自身を見るだなんて体験、きっと転生時の特典でしか得られないだろう。

 

「じゃあ、今のわたしは?」

「まぁ、あの子だよね。清木花奈ちゃん」

「……そうなんだ」

 

 ある程度予想はしていたけれど、転生した先が清木花奈さんその人であった。

 割りこむ形でやってきたわたしは、彼女にどんな顔をすればいいのだろうか。

 

「本来はゲームの中の世界。だからカミサマが作ったもう一つの世界。あなたはその世界で第二の人生を歩んでいく。こんなに嬉しいことはないでしょ?」

「そうは、思わないかな」

「どうして? あなたにとって理想の人生じゃない?」

 

 何故。その疑問は清木花奈さんというもう一人のわたしを気遣ったものだ。

 

「終わったんだよ、わたしは。どんな形であれ、死者が生者に干渉するなんてよくないと思うし」

 

 不思議そうな顔でわたしを見る神様。

 悔いはある。でも生者を押しのけて生きようとは思わない。

 

「……なるほどねぇ」

 

 手のひらをパンッと叩いて、元の白い景色へと戻す。

 神様はニヤリと先程までの無邪気そうな態度から一変し、妖艶な微笑みを見せる。

 思わず警戒レベルを最大にまで跳ね上がった。

 

「ではあなたへの嫌がらせってことにしてあげよう。そういう奮闘する人間の姿は面白いからね」

「……性格悪いね」

「あーあー、人間の声なんて聞こえませーん」

 

 イラァ……。

 分かった。この人(?)は明らかにわたしをおもちゃにしようとしていることが。

 理解した。神様というのはこんな風に嫌な存在しかいないということが。

 あるか分からない次の転生には、親指を下に向けてバッドサインを出すことにすることにしよう。

 

「要するに、あなたはカミサマの娯楽として働いてもらうってことで! 幸芽ちゃんとも会えるんだし、Win-Winだね!」

「悔しいけど、そこは同意かも」

 

 イラッとは来るものの、幸芽ちゃんと会えるのはわたしにとっても利点はある。

 とはいえ、気になるところがないわけではない。それは人の心の問題。

 

「幸芽ちゃんの心をいじって、わたしを好きにさせる、とか。許さないから」

「しないしない! 神様って言っても人の心までは弄れないし」

 

 なはは、と笑う。

 どこまで本気かはわからないけれど、わかることがあるとすればたった一つ。

 おもちゃの恋愛を妨害するつもりはないということらしい。

 

「それじゃあまた今度ー! カミサマを楽しませてねー」

 

 体と意識がふわりと浮き上がる。あぁ、もうすぐわたしは目を覚ます。

 きっと今のことは覚えてないだろう。

 わたしはそれでいいと考える。今は余計なことを考えずに、この第二の人生を謳歌するしかない。

 それでも花奈さんには申し訳ないので、今度密かにお墓を作るとしよう。それがわたしができるせめてもの埋葬だと思うから。

 

 浮上する意識の中でわたしはぼんやりと考えていた。

 

「……朝、か」

 

 案の定なにも覚えていない。覚えていないけれど、不気味で不服な相手とエンカウントしたような気がした。

 

「ふあぁ……」

 

 ろくな夢を見た覚えがない。

 寝たはずなのに、精神的な疲れが妙に溜まっている。

 清々しい朝のはずが頭だけは重たいから間違いない。

 

「今日は……、学校か。後で幸芽ちゃんの家に行かなきゃ」

 

 なんとか楽しいことで考えを上書きしよう。

 よしっ! これから幸芽ちゃんと登校デートだ!

 楽しいことに切り替えて、わたしは学校の準備をすべくベッドから立ち上がるのだった。

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