しばらくは更新ペースが落ちると思いますが、よろしくお願いします。
呪詛師、夏油の宣戦布告から幾日か経ち、ついに訪れてしまった12月24日。
大半の教師、二年以上の生徒が出払った呪術高専東京校に、貴丈と乙骨、真希の姿があった。
「……なんで俺まで待機なんだよ」
その三人以外に誰もおらず、教師陣不在のため授業もない教室に、特に意味もなく集った中、貴丈の悪態が放たれた。
「あ?」と彼の声に反応した真希は「そりゃ当然だろ」と机に頬杖をつきながら告げた。
「オマエは術式、憂太は里香。街のど真ん中で暴走したら、敵も味方も関係なしに大惨事だろうが」
「そうだけどよ…」
彼女の言葉の意味を痛いほど理解している貴丈は何か言い返そうとするが、肝心の言葉が何も出てこずに唸るばかり。
あははと乾いた笑みをこぼした乙骨は「でも」と前置きしてから二人に言う。
「なんか、とんでもないことになっちゃったね」
椅子の背もたれに寄りかかり、ぼんやりと天井の染みを眺めながらの一言はどこか他人事で、現実味を感じていないのがわかる。
数ヶ月前までただの青年だった乙骨に、未曾有の危機が迫っていると説明したところで、訳もわからずに首を傾げるのは当然と言えば当然だろう。
貴丈は溜め息混じりに額の傷跡を掻くと、早朝の事を思い出す。
「パンダは学長に着いていって、棘は一年唯一の二級術師だからついでに連れてかれて、俺たちには待機命令。せめて
夏油が言うには、彼が放つ呪霊にはスマッシュ──つまり貴丈の被害者らが含まれている筈。
それの対処のために連れていけと五条や夜蛾学長に頼んだのだが、やんわりと断られてしまった。
おそらく、生徒が背負う家族殺しの罪を少しでも軽くしようという気遣いなのだろうが、そこにいるとわかっていて何もできないというのも辛い。
はぁと深々と溜め息を吐いて机に突っ伏した貴丈に、乙骨が何か言いたげに口を開いたが、何も言わずにすぐに口を閉じた。
聞いていいのか、聞いてはいけないのか、その判断がつかないのだろう。
「……聞きたいことがあるなら、さっさと聞いちまえよ」
そんな乙骨の反応を視界の端で捉えていた真希が急かすと、彼は「でも」と踏ん切りがつかないのか言葉を濁すが、
「
誰でもない貴丈が、自ら話題を切り出した。
彼の問いに乙骨が一度だけ頷くと、貴丈は「そうだな」と僅かに思慮してから口を開いた。
「俺は物心つく前から施設にいてよ。そんで、そこで弟とか妹とかと一緒に普通にでかくなって、学校行って、その内父さんや母さんに恩返しできればなって思ってた」
「でも、あの日になんでか知らねぇけど俺の術式が暴走しちまってよ。そんで、その施設にいた人たち──俺の弟妹や両親、あと施設の手伝いの人とか、色んな人を
淡々とした声音で、ただ事実のみを口にした彼は、無言のままに目を細めた。
「それを全員
黒い筈の瞳が紅く染まり、冷たい輝きを放つ中、握りしめた拳に無意識の内に呪力が込められていく。
家族を道具同然に使うあの男の姿が脳裏によぎるだけで殺意を抱き、奴が宣戦布告に訪れたあの日の内に殺せなかった事を後悔もしている。
その後悔を払拭する最大の好機たる決戦さえも、参加を許されないとは。
無言のまま虚空を睨み、凄まじい
ゴッ!と鈍い音と共に殴られた頭を傾け、先ほどまでの迫力を霧散させながら殴られた場所を擦る。
そして少々の怒気を滲ませながら彼女を睨むが、当の彼女は気にせずに笑うばかり。
「悟がどうにかすんだろ。あんなだが、最強なんだしよ」
「それはそうだけどよ」
彼女の言葉は確かにその通りで、余程のことがなければ五条がどうにかするだろうし、自分よりも彼が夏油と戦えばまず間違いなく勝つだろう。
それが確実だし、何より自分も安全ではあるが、それを納得できるかと問われれば答えは否。
できるなら、自分の手で決着を着けたかったというのが本音ではある。
「でも桐生くんは家族の人たちを全員祓ったら、どうするの?」
そして聞くなら今の内と判断したのか、乙骨がそう問いかけると、貴丈は途端に困り顔になった。
「さあ?まだ決めてねぇ」
苦笑混じりに、どこか誤魔化すように告げた言葉は、彼の本心だった。
目の前のことへの対処で必死なのに、その先の事までを考える余裕はない。
何より、今は夏油とのことで余計に頭が一杯なのだ。
「色々と一段落したら、考えれば──」
そして苦笑のままに言葉を締めようとした間際に、彼の視界にノイズが走った。
「あ……?」
思わぬ事態に間の抜けた声を漏らした彼は、何度か目を擦って具合を確かめるが、ノイズは治まる様子を見せない。
教室にいる筈なのに、ノイズの向こうでは呪術高専の校門が見え、最低限の警備として残っている呪術師たちが、視界に入ったと同時に火だるまとなり、その命が燃え尽きていく。
そして道を開けるように脇に退いたかと思えば、すぐ後ろを歩いていた袈裟を着た男──夏油が何か言っているのか、ぱくぱくと口が動いた。
生憎と音の情報までは流れてこないため、何を言っているのかはわからない。
「……っ」
その光景に表情を強張らせた貴丈だが、この視界にノイズが走る感覚に覚えがあった。
そう、これは
そして、相手を一瞬で焼き尽くす力を持ち、夏油と共に行動している
「貴丈、どうした?」
「桐生くん?」
突然言葉を止め、神妙な面持ちとなった貴丈を心配してか、真希と乙骨が彼に声をかけるが、貴丈は「ヤバい」と漏らし、二人に告げた。
「──本命は、ここだ」
「あ、お兄ちゃんが近くにいます」
片目を閉じ、虚空を見つめながら焔が告げた言葉に、夏油は少し意外そうな表情を浮かべた。
「彼のことだから、私を殺すと息巻いて新宿にいると思っていたんだけど、読みが外れたね」
ぽりぽりと頬を掻いた彼は、前で次々と現れる呪術師を焼き払う焔の背を眺めながら、「他には誰かいるかい?」と問いかけた。
あらかたの呪術師を焼き払った焔は立ち止まり、じっと凝らして虚空を見つめると、「あ……」と声を漏らして僅かに不機嫌顔に。
「乙骨って人と、あとあの真希とかいう女の人もいます」
そう言った彼女の視界に映るのは、激しいノイズの向こうに辛うじて輪郭が見える人影が二つ。
貴丈がそうして見えるように、彼の術式によって彼と繋がっている焔もまた、ある程度の制限はあれど彼の視覚を覗くことができる。
それを知らない貴丈は、友人二人とどうするべきかを話し込んでいるようだが、ノイズ越しでは舌を読むこともできない。
夏油の目的たる乙骨と、焔の目的たる貴丈。そして二人にとって共通の排除対象である真希。
何か策があるにしても、乙骨は夏油が説得するだろうし、貴丈も自分が説得するが、真希は味方にするつもりもなければ、生かしておく理由もない。
夏油の言葉を借りるなら、唾棄すべき猿でしかないのだ。
「それにしても、ここまで上手いこと策が嵌まるなんて、意外と呪術師の皆さんも馬鹿なんですかね?」
だが焔にとってそんなものはどうでもよく、彼女は夏油に今回の作戦について問いかけた。
東京、京都を標的とした呪術テロ。
今回の作戦に騒動、表向きはそうなのだが、夏油が掲げる本来の目的は違う。
「彼らだって、やれることをやっているだけさ。私たちは身構えている彼らの脇をすり抜けて、さっさとやることをやって逃げればいい」
「私はお兄ちゃんの説得。夏油さんは──」
「乙骨くんを説得するけど、無理なら彼を殺して里香を奪う。そうすれば、私の夢に一歩前進さ」
焔と夏油。二人はそれぞれの目的を再確認し頷きあうが、焔は途端に困り顔になると、深々と溜め息を漏らした。
「ここにお兄ちゃんがいたからよかったですけど、いなかったらバックレて新宿に直行ですよ、全く」
「あはは。そこは我慢して作戦通りに動いて欲しいんだけどね」
彼女の愚痴とも言える言葉に夏油は困り顔になり、乾いた笑みをこぼした。
本来であれば貴丈がいる筈の新宿に彼女を配置し、彼女の望み通りに兄妹対決をさせてやるのが道理かもしれないが、夏油とてそこまで鬼ではない。
愛する兄妹同士で
怒りの矛先である自分と、愛する家族である焔がいなければ、二人に引き合わせることを条件に多少の話し合いもできたかもしれないが……。
「
「大丈夫ですよ。
夏油の問いかけに、焔は自信満々な表情と声音でそう返し、呪術高専の校門を見上げた。
ぱっと見た限りでは神社の門のようにも見えるが、じっと目を凝らせば結界か何かの呪力が込められ、一歩踏み込めば警報が鳴り響くことだろう。
「さあ、ここからは時間勝負だ。始めるよ」
夏油は懐かしむようにその門を見上げながらそう言うと、片手で印を組んだ。
「『闇より出でて闇より深く、その穢れを禊ぎ祓え』」
彼がそう詠うと共に青空に黒い染みが生まれ、呪術高専の敷地を覆うようにに闇が広がっていく。
本来であれば呪霊を閉じ込め、呪術師たちを支援するための『
「ふふ。お兄ちゃん、今行くからね」
帳の闇に包まれる中、焔は片手でフェニックスフルボトルを弄りながら怪しげな笑みを浮かべ、悠々と校門を潜った。
勇み足で無警戒に突き進む彼女の背を眺めながら、やれやれと首を振った夏油は彼女に続いて校門を潜り、その足取りのまま校舎を目指すのだが、
「おや、もう来たか」
もう逃げ場なしと覚悟を決めたのか、侵入者たる夏油と焔を待ち受けるように、ドリルクラッシャーを構えた貴丈と、薙刀を構えた真希が立ちふさがった。
戦える者が誰もおらず、文字通り無防備になった呪術高専。
夏油の手で帳を降ろされ、侵入も脱出も容易ではない。
だからこそ、貴丈と真希は自ら討って出ることにしたのだが、
「乙骨くんはいないようだね」
そんな二人をとりあえず無視して、夏油が辺りを見渡しながらそう問うた。
焔は思いの外早かった兄の登場に目を輝かせ、開戦のタイミングを今か今かと待ちわびている様子。
貴丈は相手を殺さんばかりの視線を夏油に向けながら、彼の問いに返す。
「あんたの術式──呪霊操術って奴が、どこまでやれるのかよくわかんねぇからな。里香を操られたら、文字通り詰みだ」
「悟から聞いたのかな?でも残念ながら、私の術式だと乙骨くんと里香のように、主従制約を結んである呪霊は操れないよ」
貴丈の言葉に、夏油はさながら後輩を導く先達のような優しい声音でそう返すと、貴丈は「え……」と間の抜けた声を漏らした。
ちらりと真希に目を向ければ「悟が言ってたぞ」と溜め息混じりに淡々とした声音で返され、貴丈の頬を冷や汗が垂れた。
「あいつも連れてくれば良かったな……」
そして思わず敵の前で本音を漏らしながら項垂れてしまうが、夏油は僅かに目を細めて彼の判断がある意味で正解だったと胸の内で誉めてやった。
確かに彼の術式では主従制約がある限り里香を操ることができないが、逆に言えばその制約を切ってしまえば里香を操ることもできるのだ。
手っ取り早く言えば、乙骨を殺してしまえば里香を呪霊操術の管理下に置くことも十分に可能。
ここに乙骨がいないというのは、戦力としては不足だろうが、乙骨の敗北と里香の暴走いうリスクを考えれば、どこかに隠れてもらうというのも妥当な判断だ。
彼の性格からして、じっとしていられずに飛び出してくる可能性もあるが、しばらくは大丈夫だろう。
「さて、話はここまでにしよう」
そうして思慮ばかりしている貴丈に夏油はそう言うと、自身の影からドラゴンスマッシュとスパイダースマッシュを出現させた。
夏油が指示を出す前に前者は拳を構え、後者はガチガチと牙を鳴らしながら、威嚇するように頭から生えた蜘蛛の足を蠢かせる。
「私は乙骨くんに用があってね。桐生くんとも話したいが、乙骨くんの後ということで」
夏油は貴丈を見ながら申し訳なさそうに言うと、焔が一歩前に踏み出し、フェニックスフルボトルを見せつけるように差し出す。
「それじゃ、いくよ、お兄ちゃん」
彼の指示に頷いた焔はフェニックスフルボトルを振ってボトルに封じられた呪力を活性化させると、蓋を開けた。
『《フェニックス!!》』
同時にこの場にいる全員の耳に響く陽気な音声。
彼女はニコリと万人を魅力する優しげな笑みを浮かべるが、纏う呪力は相当なもの。
凄まじい
途端に彼女は炎に包まれ、辺りを橙色の光で照らす。
『ハッ!』
締めに気合い一閃と共に右腕を薙げば、現れるのは赤い鳥の異形──フェニックススマッシュだ。
ドラゴンスマッシュ、スパイダースマッシュと並び立つその姿は、まさに怪物の軍団だ。
「それじゃ、ここは任せたよ」
その背後で三体の背中を頼もしそうに見つめた夏油はそう言うと、乙骨を探すためかその場から跳び、空中でエイのような呪霊を呼び出してその背に乗った。
「あ、待て……っ!」
貴丈はすぐさまドリルクラッシャーを銃モードに切り替えて撃ち落とさんと構えるが、
『グルゥオオ!!』
蒼い炎を全身に纏ったドラゴンスマッシュが、爆音と共に貴丈に肉薄。
獣じみた唸り声と共に、炎に包まれた拳を振るった。
「ッ!」
数十メートルはあった間合いを瞬時に詰めてきたドラゴンスマッシュの速度に目を見開いた貴丈は、反射的に身を捩った。
放たれた拳は紙一重で避けられるが、纏う炎が彼の衣服諸とも肌を焼き、生物が焼ける嫌な臭いが鼻につく。
「づ……うぅ゛……!」
その痛みに唸った彼は、それでも男の意地としてドラゴンスマッシュの顔面にドリルクラッシャーの銃口を突き付け、躊躇なく零距離射撃。
バチュン!と呪力が弾ける音が辺りに響くが、ドラゴンスマッシュはお構いなしに蒼い炎を纏った蹴りを放った。
轟!と炎が爆ぜる音と、蒼い軌跡を残した一閃は、寸分と狂いなく貴丈の脇腹を捉えた。
「──かはっ」
咄嗟に呪力で脇腹を保護し、ダメージを最小限に抑えようとはしたものの、その衝撃たるや一瞬意識が飛び欠ける程。
そのままサッカーボールのように蹴り飛ばされた貴丈は勢いのままに塀をぶち抜き、呪術高専の周辺を囲む森の中を転がっていく。
「貴丈!」
そのまま追撃に走らんとしたドラゴンスマッシュを止めようと、その背に真希が斬りかかった。
ドラゴンスマッシュは振り向くことなく半身になってその一撃を回避。
間髪入れずに放たれた反撃の裏拳を上体を後ろに逸らすことで避けるが、それに対して反撃を打ち込む余裕はない。
真希は舌打ち混じりにその場を飛び退くと、彼女がいた場所に蜘蛛の糸が放たれ、地面にへばりつく。
『シャアアア……ッ』
いつの間にか塀の上に移動していたスパイダースマッシュは「外した」と言わんばかりに唸ると、次の糸塊を放たんと口に呪力を溜めるが、
「俺を、無視すんな……!」
がさがさと草木が揺れる音と共に、赤い光を纏った貴丈がスパイダースマッシュに踊りかかった。
スパイダースマッシュは振り向き様に口内に溜めた糸塊を放つが、貴丈はドリルクラッシャーでそれを切り払い、手に握っていたラビットフルボトルをドリルクラッシャーのソケットに叩き込んだ。
『《レディ・ゴー!ボルテック・ブレイク!!》』
ドリルクラッシャーの刃を赤いエネルギーが包み込み、それが最大限にまで溜まった瞬間に一閃。
スパイダースマッシュは両手の平を合わせて大きく腕を開くと、手の平を繋ぐように数十本の糸が絡み合った極太の糸が編み出される。
ゴムのように弾力のあるそれは、柔らかくしなりながらドリルクラッシャーの刃を受け止め、その勢いを殺しきった。
「マジか……っ」
その結果に思わず声を漏らした貴丈はドリルクラッシャーを引くが、大量の糸に巻き付かれたそれがびくともしない。
舌打ちと共にラビットフルボトルを回収すると、名残惜しくもドリルクラッシャーを手放し、その場から飛び退いた。
追撃に備えて身構えていた貴丈だが、意外にもそれはなく無事に石畳の上に着地。
武器を失った貴丈はラビットフルボトルをしまい、ゴリラフルボトルを取り出し、数度振ってから蓋を開けた。
『《ゴリラ!》』
状況に反して陽気な音が頭の中に響き、茶色のエネルギーが彼の両腕を包み込んだ。
ゴリラフルボトルの能力で腕力を強化して肉弾戦に備えるが、スパイダースマッシュは糸を吐き出さんと構えるのみで動かない。
「なろっ……!」
じっとスパイダースマッシュの隙を伺っていた貴丈の耳に、僅かに焦りの色を感じる真希の声が届いた。
弾かれるようにそちらに目を向ければ、そこにはドラゴンスマッシュの猛攻を紙一重で捌いている彼女の姿があった。
薙刀を巧みに操り、長柄で拳を払い、反撃を放とうとしたタイミングを見計らうように蹴りが放たれ、それを防ぐことを余儀なくされる。
瞬きさえも許されぬ猛攻の中、真希は一切の余裕はない状況に置かれていた。
頬を伝う脂汗を拭うことも忘れ、無意識の内に瞬きしそうになる瞼を気合いで捩じ伏せ、ひたすらにドラゴンスマッシュの攻撃を捌く。
彼女を助けんと貴丈は駆け出すが、その隙を待っていたと言わんばかりにスパイダースマッシュが糸を放ち、彼の進路を妨害。
彼がバク転でそれを避けると、体勢を整えるよりも早くフェニックススマッシュが飛びかかった。
貴丈は底上げした腕力で地面を叩き、砕いた石畳を彼女にぶつけるが、相手もただ者ではない。
『ほい』
気の抜けた声と共と放たれた火炎弾が石畳を砕き、その勢いのままに貴丈に襲いかかる。
彼は慌ててその場を飛び退いてそれを避けると、彼がいた場所に火炎弾は着弾。
至近距離で爆弾が爆発したような衝撃に貴丈の身体は容易く吹き飛ばされるが、今度は上手く受け身を決めてすぐに体勢を整えた。
『いっくよ~!!』
それと同時にフェニックススマッシュは一気に上空に飛翔。
両手に炎を纏わせると、流星群の如く次々と貴丈に向けて火炎弾を放った。
火炎弾が地面に着弾するまでのほんの僅かな時間、貴丈の脳は状況を打開するべく高速で思考を回し、即座に答えを叩き出す。
ゴリラフルボトルをしまい、代わりに取り出したのはダイヤモンドフルボトル。
それの蓋をすぐさま開け、音声が鳴る間も与えずに握りこんだ拳で地面を叩いた。
同時に彼を覆うようにダイヤモンドの形をした壁が現れ、次々と降り注ぐ火炎弾を全て防御。
『流石、お兄ちゃん』
爆発の轟音の向こうから聞こえる賞賛の声を無視し、攻撃が止んだ頃を見計らってダイヤモンドフルボトルを煙の中に返す。
空を飛ぶ相手に対して有効なボトルはなかったかと、次の一手を思案しながらフェニックススマッシュを見上げるが、仕掛けてきたのは彼女からだった。
上空から一気に急降下し、その勢いのままに貴丈に蹴りを放つが、彼は直線的な軌道のそれを危なげなく避け、ラビットフルボトルを手元に取り出した。
着地共に始まった、攻撃を当てようと必死になって振り回される拳を避けながら、ラビットフルボトルを数度振る。
先日の顎を砕いてくれたあれは、文字通りがんじ絡めに拘束されていたからこそ直撃したが、拘束なく自由に行動できる状態であれば当たることはない。
──そもそも暴力を嫌っていた焔に、武術の心得なぞ欠片もありはしないのだ。
赤い軌跡を残しながら彼女の乱打を避けきった貴丈は、無防備となった彼女の腹に蹴りを放ち、強引に間合いを開く。
苦しげな呻き声をあげながら、蹴られた腹を押さえて後ろに下がるフェニックススマッシュ。
貴丈は赤い疾風となって瞬時に間合いを詰め、全力の呪力を込めた拳を叩き込まんとするが、その直後、フェニックススマッシュが炎に包まれたかと思うと、焔の姿に戻った。
そして満面の笑みを浮かべながら、彼の拳を受け入れるように両腕を広げた。
──お兄ちゃん、大好き!!
その刹那、まだ幼い頃に突然自分への好意を示してきた焔の笑顔が、脳裏に過った。
穢れを知らない純粋さと、太陽を思わせる明るい笑顔は、その頃の貴丈にとっても活力となる大変ありがたいものだった。
「……っ」
だが今の彼にとって、それは大きな障害でしかない。
彼女の笑顔、彼女との思い出が、そして愛する家族との思い出が脳裏をよぎり、ほんの一瞬攻撃を躊躇い、動きを止めてしまう。
そしてその一瞬が、勝敗を分けた。
貴丈が動きを止めた一瞬の内に焔はフェニックススマッシュに変化し、拳に溜めたありったけの呪力を炎に変換。
彼がハッとして身構えるよりも速く、フェニックススマッシュの拳が彼の腹部を打ち抜いた。
身体をくの字に曲げられた貴丈は、声も出ぬほどの衝撃と痛み、そして熱さに血を吐き出しながら、吹き飛ばされる。
そのまま近場の塀に叩きつけられた彼は、ずるりと塀に血痕を残しながらその場に倒れてしまう。
「貴丈?!」
ドラゴンスマッシュと押され気味とはいえ、一進一退の攻防を展開していた真希が、視界の端に映ってしまった彼の名を呼んだ。
そして、その無駄な行動が原因となってギリギリ保っていた均衡が破れた。
防御を固めていた真希の薙刀を払いのけたドラゴンスマッシュが、彼女の顔面に蒼い炎を纏わせた渾身の右ストレートが放ったのだ。
彼女は完全な回避は不可能と即座に判断すると、僅かに後方に飛ぶことでクリーンヒットは避けつつ、薙刀を拳と顔の間に割り込ませた。
だがその程度で殺しきれぬ程に、ドラゴンスマッシュの一撃は凄まじい。
辺りに響いた快音と、蒼い炎が爆ぜる轟音と共に吹き飛ばされた彼女は、さながら水切りの石のように地面を数度跳ね、ごろごろと石畳の上を転がる。
「く、くそ……が……っ!」
だがすぐに立ち上がった真希は、寸での所で割り込ませることに成功した薙刀を見つめ、舌打ちを一度。
凄まじい力で蹴り抜かれた刃はヒビだらけになり、あと数度打ち合えば容易く砕けてしまうだろう。
だが、まだやらねばならぬ。
「おい、貴丈!まだやれんだろうな!!」
そして、遠くで倒れ伏したままの同級生を声を荒げて煽るが、肝心の彼から返答はない。
鼻につく生物が焼けた臭いと、彼の周囲に広がっていく血の量からして、致命傷をもらったのは確実だろう。
それ程の傷をフェニックススマッシュ──焔が与えたという事実に目を剥いた彼女は、フェニックススマッシュを睨みながら言う。
「テメェ、貴丈には死んでほしくねぇとか言ってなかったか!?このままじゃ、死んじまうぞ!!」
先日の彼女の発言を引き合いに出し、その行動の矛盾を突き付けるが、当の彼女は不思議そうに首を傾げるばかり。
『私は
「……は?」
そしてさも当然のように告げられた言葉に、真希は思わず間の抜けた声を漏らした。
確かに焔は他の誰か云々と言っていたが、そこに自分は含まれていないとでも言いたげな、むしろ確かにそう告げてきたのだ。
『あれ、お兄ちゃんと一緒にいたのに知らないんですか?お兄ちゃんって、殺したスマッシュを取り込むじゃないですか』
フェニックススマッシュは不機嫌そうに、更に心底面倒臭そうにそう言うと、真希は僅かに目を細めながら、ちらりと貴丈に目を向けた。
確かに彼は
それを相手方も知っているのは仕方がないにしても、それがなぜ自分が貴丈を殺してもいいという結論になるのか……。
『それ、私たちも同じことができるって思わないんですか?殺した相手を取り込んで、私の力の一部にしてしまうんです』
そんな口には出さずとも頭を過った真希の疑問に、フェニックススマッシュは跳ねるような声音でそう告げて、気絶でもしているのか、微動だにしない貴丈に目を向けた。
『お兄ちゃんを殺して、私が余さず取り込んじゃえば、ずっと一緒にいられるんです。それって、とってもいいことじゃないですか?』
「……っ!オマエ、ふざけてんのか……!」
そして告げられた、彼女の最終目標。
真希は純粋なまでの狂気を感じる彼女に畏怖しながら、砕けかけた薙刀の刃を向けた。
「そんなこと、させるわけねぇだろうが!!」
真希はそう吼えるが、フェニックススマッシュは面倒臭そうに溜め息を吐き、肩を竦めた。
『あなたは殺しても取り込まないで、夏油さんの呪霊の餌にしましょう。あの人はそれも嫌がりそうですけど』
彼女がどこか適当に決めたことを教えるようにそう言うと、ドラゴンスマッシュとスパイダースマッシュが前に出た。
状況は三対一。相手は全員格上ときた。
「やれるもんなら、やってみろよ!!」
だが彼女は折れることなく、好戦的な笑みを浮かべながら吼えた。
『オォォオオオオオ!!』
『キシャァアアアアア!!』
それに対し、ドラゴンスマッシュとスパイダースマッシュも威嚇するように唸り声をあげ、彼女への攻撃を再開した。
『ハザードレベル2.8。まあ、良いところまではいったんじゃないか』
聞き覚えのない声が耳に届き、消えかけていた貴丈の意識が僅かに浮上。
先のダメージが響いているのか、碌に身体も動かせず、瞼を持ち上げることもできないが、自分はどこかに横たわっているのだけがわかる。
目が開けられない以上、先程の声の主を見ることもできないが、誰かいるのは確かなようだ。
『この際、こいつの身体ごとあいつに取り込ませて鞍替えするか?ハザードレベルだけで言えば、あいつの方が上のようだ』
その声の主は物騒というべきか、無責任とも言える内容のことを口走るが、「いや、まだここからでしょ」と少女の声がそれに待ったをかけた。
その声には聞き覚えがある。あの日、術式の暴走に巻き込まれた妹の一人の声が、聞こえたのだ。
「お兄ちゃんなら立てるよ。こんくらい、どうってことない」
『……内臓焼かれてるんだぞ?じきに死ぬ』
「あなたが治せばいいでしょ」
『現状、器の強度で言えば向こうが上だ。乗り換えられるのなら都合がいい』
「む、むむ……」
二人は何やら口論しているようだが、どうやら自分を見殺しにする方向で纏まりつつあるように思える。
貴丈は身体が動かない中、深々と溜め息を吐くが、妹の小さな手が頬を撫でた。
「でも、お兄ちゃんなら勝つよ。昔からそうだもん」
どこか懐かしむように、そして誇るように、妹の声は自信に満ち溢れている。
彼女は知っているのだ、例え勝ち目がなくとも挑むのが兄なのだと。
虐められていた妹や弟を守るために、学生とはいえ年上数人相手に殴りかかり、文字通りボロボロになりながらも殴り倒したこともあるのだ。
「大切な人を守りたい。大切な家族を守りたい。そう言ってお兄ちゃんは何回でも立ち上がれるんだもん。このくらい、何てことないでしょ?」
ぷにぷにと頬をつつき、ついでに頬を摘まみながら告げられた言葉に、貴丈の意識が僅かに覚醒する。
力が入らない拳を無理やり握り、歯を食い縛って身体を起こさんと腹筋に力を入れる。
「お兄ちゃんは誰かを倒したいとか、誰かを殺したいなんて思うのは似合わないよ」
鉛のように重い身体はびくともしないが、それでも彼は立ち上がらんと足掻き続けた。
腹を穿たれた痛みに息が詰まり、焔にそれを許したしまった自分の覚悟の甘さを呪いたくもなるけれど。
「立ってお兄ちゃん。あの女の人だって、まだ戦ってるよ」
「……ま……き……っ」
妹の言葉に貴丈は掠れた声で彼女の名を呼び、ゆっくりと瞼を持ち上げた。
霞む視界に映るのは、妹の輪郭と蛇を模した複眼を持った異形の姿だった。
異形は深々と溜め息を吐くと、『仕方ねぇなぁ』と心底嫌そうな声でそう言うと、貴丈の腹に手を当てた。
『前と同じように、まともに動けるのは短い間だけだ。それを越えたら、動けなくなる』
淡々とした声音でそう言いながら、異形は貴丈にエネルギーを注ぎ込む。
死にかけの身体に活力がみなぎり、意識がより鮮明になっていく。
「頑張ってお兄ちゃん。私たちの
そして完全に覚醒する間際、妹の声が彼の背を押した。
貴丈は不敵に笑むと拳を床に叩きつけ、ゆっくりと立ち上がる。
その背にも、瞳にも迷いはなく、あるのは覚悟を決めた呪術師の姿だった。
ずるりと湿った音と共に、自分の血でできた血溜まりに足をつけた貴丈は深呼吸と共にゆっくりと立ち上がった。
『あれ、まだ立てたんだ』
そんな彼に目を向けたフェニックススマッシュは意外そうな声音でそう言うが、でも──と前置きしてから楽しそうに笑った。
『ふふ。でも、お兄ちゃんらしい』
彼女はそう言うと、ドラゴンスマッシュの攻撃で手足を砕かれた挙げ句、スパイダースマッシュの糸で壁に貼り付けにされた真希に一瞥くれた。
「……ぁつ……ひろ……?」
ボロボロになるまで殴られたのか、左腕と右足はあらぬ方向に折れ曲がり、顔を含めて身体中が腫れ上がってはいるものの、かろうじて息はあるようだ。
彼女は掠れた声で貴丈を呼ぶが、その声が彼には届いていない。
彼は深く息を吐くと無手の右手を握り、呪力を込めていく。
だがフルボトルなしで行われるそれは、先程の攻防の際に感じた呪力量からは段違いに弱く、警戒する必要も感じないほど。
それを肌で感じたフェニックススマッシュは肩を竦めると、『無理は禁物だよ』と告げて彼女も拳を握った。
紅蓮の炎を拳に纏わせ、次の一撃をもって兄に引導を渡そうとしているのは確かなようだ。
一歩一歩、ゆっくりと貴丈に向けて歩を進めながら、拳に込めた呪力をより強大なものへと変えていく。
対する貴丈も一歩目を踏み出し、爪が滲むほどに握った拳にありったけの呪力を込めた。
己の覚悟を、後悔も、死への恐怖を呪力に変換し、右手に込めていく。
『いっくよ~!!』
そして勝ちを確信している焔が呑気に聞こえる声音でそう言うと、翼を広げて急加速。
加速の勢いのまま拳を突き出すと、貴丈もまた動く。
身体を傾けてフェニックススマッシュの拳が頬を掠め、紅蓮の炎が彼の頬を焼いていくが、その程度で今の貴丈を崩すことはできない。
痛みも感じぬ程に次の一撃に没頭し、文字通り己の全てを込めた一撃を、フェニックススマッシュの顔面に叩き込んだ。
瞬間、黒い閃光が貴丈の拳とフェニックススマッシュの顔面との間で爆発した。
『へ……?』
フェニックススマッシュが間の抜けた声を漏らした瞬間、彼女は凄まじい勢いで吹き飛ばされ、塀や建物数棟をぶち抜いていった。
放った本人さえも驚きの表情を浮かべているが、一応五条からは知識として聞かされたことがある。
呪力を用いての戦闘において、極稀に起こると言われている現象。
打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した際に生じる空間の歪み──『黒閃』。
その威力はおよそ通常時の2.5乗とまで言われ、本人でさえも意図しないまでの威力を叩き出す。
だがその厳しい条件も相まって、狙って起こせる者がいない為、『技』ではなくあくまで『現象』として認知されている。
そして黒閃を発動した者は、呪力の核心に迫れるとも言われている。
スポーツにおける『ゾーン』状態となり、普段であれば意識して行う呪力操作を、呼吸するも同然に行うことができ、より複雑な操作さえも容易く可能とする。
『ハザードレベル3.0!!ははっ、ようやく至りやがったか!!!』
頭の中に響いてくる興奮気味の声を振り払い、同時に湧いてきたイメージのままに呪力を操り、あるものを一から形作っていく。
黒く弾けた閃光がベルトのように腰に巻き付き、バックルには小さな箱が、その右側にはレバーが生えた。
『あ、おい!まだパーツが足りて──』
『はい、シャラップ。お兄ちゃんの邪魔しない』
頭の中でやいやいと騒ぐ異形と妹の声を無視し、貴丈はベルトのバックルを叩いてとりあえずの完成とした。
黒い呪力が晴れたと同時に姿を現したのは、まさにベルトそのものだった。
フルボトルを装填するための二つの溝──ツインフルボトルスロット。
バックルの右側から生えるレバー──ボルテックレバー。
ベルトの左側にはフルボトルを填めておけるフルボトルホルダーがあるものの、今は何も填められておらず、どこか寂しい印象もある。
だが貴丈はそれを気にする素振りもなく、手元に生み出した煙から二本のフルボトルを取り出し、左右の手にそれぞれを持つ。
カチャカチャと音をたてながらフルボトルを振り回し、中身に充填された呪力を活性化させていく。
今から何が起こるのか、自分はどうなるのか、それは何もわからないが、やってみなければ何もわかりはしない。
「──さあ、実験を始めようか」
これから行うことを『実験』と称した彼はフルボトルの蓋を開けると、ツインフルボトルスロットの右側に一つ目を嵌め込んだ。
『《ラビット!》』
頭の中に響く音声をいつも通りに聞き流し、続けざまにツインフルボトルスロットの左側に二つ目のフルボトルを押し込む。
『《タンク!》』
『……』
「……あれ?」
そしてそこで途絶えた音声に形容できぬ違和感──強いて言えば、物足りなさ──を感じた貴丈は首を傾げるが、まあいいかと匙を投げて表情を引き締め、ボルテックレバーを掴み、回転させる。
レバーの回転に合わせて捻出された呪力が、ベルトから貴丈の前後に向けて伸びる透明な管へと変わり、その中をフルボトルに込められた呪力が流れていく。
前面にはラビットフルボトルの成分から生み出された頭の左半分、右腕、左足を模した赤い
『──Are You Ready?』
「……」
その問いかけに貴丈は動きを止めると目を閉じ、返答に僅かだが時間をかけた。
その間もずっと頭の中をその問いかけが木霊し、
『過去の自分が許せないのなら、変わるしかないよ。よくも悪くも、人間は変わる生き物だからね』
『変わればいいんだよ。歯ぁ食い縛って、舐めんなって唾吐いて、大っ嫌いな自分から、変わればいい』
そして脳裏によぎるのは、少々残念なところもあるが恩人である五条と、今となっては勝手に思っているだけだろうが親友とも言える真希の言葉だった。
そう、変わるのだ。
兄として家族を殺すだけではない、呪術師として皆を影ながら守る、顔のない
「――変身!!」
その宣言と共に、フルボトルから生成されたそれぞれの
ウサギの横顔を模した左目、戦車を模した右目。
シンプルながらも重厚な雰囲気を滲ませる青い左腕、左腕ほどゴツくはないが、軽そうな印象を受ける赤い右腕。
バネを思わせるものが足首に巻き付いた赤い右足、足首から下に戦車のキャタピラを思わせる飾りが施された青い左足。
一見ごちゃごちゃしているように思えて、よく見れば統一感があるようにも見えるなんとも不思議な姿だが、それは人間からは遠く離れた姿なのは間違いない。
「貴丈……っ!」
真希が思わずスマッシュのようにもなってしまった彼の名を呼ぶと、貴丈はそっと額を掻く素振りを見せると、それを誤魔化すように、ウサギの横顔を模した左目の耳部分を撫でた。
「大丈夫だ。あとは任せろ」
いつになく自信に満ちた声で、貴丈はそう告げた。
ドラゴンスマッシュとスパイダースマッシュは戻ってくる気配のないフェニックススマッシュを心配はすれど、助けに行くつもりはないのか、目の前にの標的──姿を変えた貴丈を睨んで唸り声をあげている。
壁に貼り付けにされたままの真希にはどうすることもできないが、彼に向けて挑発的な笑みを向け、ただ一言煽る。
「負けたら承知しねぇぞ」
「ああ。今の俺は、負ける気がしねぇ……!」
彼女の言葉に貴丈は仮面の下で不敵な笑みを浮かべると、胸の前で右手に左拳を叩きつけ、そのまま右手を前に、左拳を顎の前に構えた。
『オォォオオオオオ!!』
『キシャアアアア!!』
「ウォオオオオオオオ!!!」
それを合図に、ドラゴンスマッシュとスパイダースマッシュが彼に突撃し、二体を迎え撃つように貴丈も駆け出した。
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