「おおおおお!」
『ヒヒヒ!』
競り合うドリルクラッシャーとカトラスが火花を散らし、森の中を進む。
海賊スマッシュが踵をめり込ませて踏ん張り、ビルドがタンクハーフボディの出力に任せて押し込む。
「るぅお!!」
ビルドが気合い一閃と共にドリルクラッシャーを振り上げ、カトラスを上に弾く。
甲高い金属音を響かせながら体勢を崩す海賊スマッシュの腹にビルドの蹴刀が突き刺さり、後ろに吹き飛ばす。
背中から木に叩きつけられた海賊スマッシュは呻吟の声を漏らす。
だが怯まない。背中を木に預けたまま、右手のピストルを連射。
呪力の爆ぜる炸裂音を響かせ、呪力の礫が放たれる。
ビルドはすぐさま横に跳んでそれを避け、走り出す。
ラビットハーフボディが紅の残像で尾を引き、森の薄暗闇の中を疾走。
呪力弾が次々と木や地面を爆ぜさせ、飛び散る破片がビルドに当たり、四散する。
仮面の下で鬱陶しそうに目を細めながら、手元にダイヤモンドフルボトルを取り出し、ベルトに装填。
『《ラビット!ダイヤモンド!》』
タンクハーフボディがダイヤモンドハーフボディへと換装され、左腕を突き出すと共にダイヤモンドの障壁が出現。
海賊スマッシュは連続で呪力弾を放つが、その全てが障壁に阻まれる。
連続する爆発の中にビルドは姿を消すが、爆煙を突っ切る形で出現。
そのまま直進してくるビルドに、海賊スマッシュは射撃を続けながら障壁ごと切り裂かんとカトラスを構え、刃に呪力を込め、両脚を地面にめり込ませた。
そして障壁が間合いに入った瞬間、
『ヒャハ!!』
嗤い声と共にカトラスを振り抜くが、振るわれた刃はするりと障壁をすり抜け、後ろのビルドさえもすり抜ける。
『ッ!?』
ダイヤモンドフルボトルによる幻影による撹乱だ。だがそれを知らない海賊スマッシュが驚愕に体を強張らせたその瞬間、その顔面にダイヤモンドの拳が突き刺さった。
快音を響かせながら殴り飛ばされた海賊スマッシュは後ろの木を粉砕し、破片と共に吹き飛ぶ。
地面を転がりながら体勢を整えた海賊スマッシュは、ピストルを乱射。
次々と吐き出される呪力弾はダイヤモンドの障壁に阻まれ、ビルドには届かない。
そしてビルドは再び障壁を張りながら海賊スマッシュへと接近。海賊スマッシュは牽制の射撃をしながら距離を取ろうとするが、
『《ラビット!ガトリング!》』
それを見たビルドは木の影に飛び込むと同時にダイヤモンドフルボトルをガトリングフルボトルへと交換。
ダイヤモンドハーフボディがガトリングハーフボディへと換装され、左手にホークガトリンガーが出現。
ドリルクラッシャーの刀身を取り外し、ガンモードへと変形させると共に木の影から飛び出してドリルクラッシャーとホークガトリンガーを同時に射撃。
吐き出された数十の呪力弾が海賊スマッシュへと襲いかかり、着弾。
大量の炸裂音を森に轟かせながら海賊スマッシュの肉を貫き、抉り取り、濁った色の血を吐き出させる。
海賊スマッシュもそれでも木に隠れ、肉体の損傷を修復すると同時に走り出す。
「逃すか……!」
ビルドもそれを追って走り出し、二人は並走しながら互いの火器に火を吐かせる。
呪力の炸裂と共に呪力弾が飛び交い、哀れにも射線に入ってしまった木々の幹が吹き飛ばされ、次々と倒壊していく。
『ヒィヤッハ!』
海賊スマッシュは自分に向けて倒れ込む木をカトラスで両断すると、その勢いのままに斬撃を放ってビルドを攻撃。
ビルドは素早く前転することでその下を潜り、カトラスを握る右手をドリルクラッシャーで狙撃。
吐き出された呪力弾は寸分の狂いなく右手を撃ち抜くが、手と一体化しているその手から落ちることはない。
抉られた手の甲を素早く修復しながら、遠距離戦は不利とようやく悟った海賊スマッシュは被弾上等の突撃を敢行。
接近を阻止せんと放たれるビルドの弾幕をカトラスで切り払い、進路を切り開きながら直進。
ビルドは射撃を続けながら樹上まで跳躍すると、枝の上に着地。
手元の武器を両方とも煙に収納すると、代わりに紫と黄色のフルボトルをそれぞれ取り出した。
それをベルトに装填したものと交換。レバーを回して呪力を行き渡らせる。
『《忍者! コミック! ベストマッチ!》』
『《Are you ready?》』
「ビルドアップ」
彼の掛け声ともに紫と黄色のハーフボディがビルドに装着された。
ラビットハーフボディと交換されたのは、紫色を基調とする忍者ハーフボディ。
手裏剣を模した複眼から伸びるアンテナが鋭く輝き、肩から伸びるオンミツマフラーが風に靡く。
そしてガトリングハーフボディと交換されたのは黄色を基調とするコミックハーフボディ。
漫画のページとペンを模した複眼。手足にはペン先を思わせる装甲が追加され、肩は漫画を思わせる装甲で覆われる。
『忍びのエンターテイナー! ニンニンコミック! イェーイ!』
呪力の蒸気と共にビルドアップが完了し、手元に4コマ忍法刀が出現。
それを逆手に持ち直したビルドはふわりと枝から飛び降り、落下の勢いをのせた一閃で海賊スマッシュを一閃。
袈裟懸けに切り裂かれた体から血が噴き出し、ビルドの仮面を汚すが彼の連撃は止まらない。
4コマ忍法刀を右へ左へと持ち替えながら、流れるような連撃を海賊スマッシュへと見舞い、彼を体を傷つけていく。
無論、海賊スマッシュもやられっぱなしではない。斬られながらもカトラスでビルドに斬りかかるが、それも予期しているように4コマ忍法刀であっさりも防がれ、反撃の一閃で胴体を斬られる。
『ギィ!?』
海賊スマッシュは悲鳴をあげ、それでも反撃を放とうとするが、ビルドの右足が──ペン先を模したあまりにも鋭利な爪先が脇腹へと叩き込まれ、その胴体を貫いた。
ごぼりと血を吐く海賊スマッシュ。ビルドはその姿に一瞬目を伏せるが、すぐに顔を上げて海賊スマッシュを睨みつけた。
「はぁ!」
海賊スマッシュの脇腹に右足を突き刺したまま跳躍し、左足で相手の胸を蹴ってダメージを与えると共に右足を引き抜く。
地面を転がされる海賊スマッシュはふらつきながら立ち上がりピストルをビルドに向けるが、引き金を弾くよりも速く4コマ忍法刀のトリガーが弾かれた。
『《分身の術!》』
どろん!とビルドの周囲に三人のビルドが姿を現す。
分身含めての四人。同時に走り出した彼らに海賊スマッシュはピストルを乱射するが、彼らはその全てを時には避け、時には4コマ忍法刀で弾きながら肉薄。
四人それぞれが4コマ忍法刀のトリガーを二度弾き、刀に込められた呪力を活性化。
『《火遁の術!火炎斬り!》』
戦闘中には不釣り合いな陽気な音声が流れ、刀身を炎が包む。
紅の尾を引きながら四人は疾走し、海賊スマッシュを撹乱する。
海賊スマッシュはピストルを乱射し、カトラスから斬撃を放ってビルド達を蹴散らさんとするが、ビルドは木々の間を跳び回ってその全てを回避。
「フッ!」
「ハッ!」
「セイッ!」
前後左右。三人のビルドが四方から迫り、炎の斬撃を海賊スマッシュへと見舞う。
『ギ!?ガァ!?』
右手のカトラスを破壊され、左手のピストルを斬断され、右足を切断される。
海賊スマッシュは悲鳴をあげながら片膝をつき、すぐに損傷した部位を修復せんと呪力を高まらせるが、
「ダァ!!」
海賊スマッシュの死角──真上から本体のビルドが強襲。
大上段からの一閃が海賊スマッシュの脳天から股座までを駆け抜け、次の瞬間には炎が噴き出し、翻った。
爆炎に照らされながら分身達は消え、残されたビルドが4コマ忍法刀に血払いを暮れると共に構えを解いた。
海賊スマッシュは両膝をついて崩れ落ち、カトラスから解放された右手を彼へと伸ばす。
『あに、き……?』
「ごめんな」
伸ばされる手を見つめ、仮面の下で目を伏せる貴丈。
海賊スマッシュの全身が燃え盛り、呪力の灰となって消えていった。
風に吹かれて舞い上がった呪力の灰がビルドの手元に集まり、マリンブルーを光を宿す海賊フルボトルとなった。
祈りを捧げるようにそれを額の前に持ち上げた彼は、すぐに気持ちを切り替えて真希達と合流せんと走り出した。
森の中を電車が走る。
言葉にすれば普通かもしれないが、目の前にある現実は少しそれからはズレていた。
『ギ……ギギ……!』
電車スマッシュが電子音混じりの声をあげながら、指揮棒を操るように両手を振るう。
それに合わせて彼の背中から複数本のミニチュアの電車が射出され、空中だろうと関係なく呪力で線路を引きながら森の中を爆走。
真希と真依が退避した瞬間、二人がいた場所に電車が着弾。そして爆発。
爆風が木々を揺らす中、木の影に隠れた真希が舌を弾いた。
「くそ!玩具の爆弾か」
「見ればわかることいちいち言わないでくれる?」
「っるせ!」
木の幹から顔を覗かせながら吐き出した悪態に真依が嘆息しながら煽るような言葉を吐き出し、真希が額に青筋を浮かばせる。
その声に反応してか、再び射出された電車の大群が二人が隠れる木に向けて邁進。
複雑な軌道を描いて右へ左へ。あるいは上へ下へと進路を取り、遮蔽物を迂回しながら二人を付け狙う。
真希と真依はそれから逃れるべく走り出し、真希は電車スマッシュへと接近。真依は背を向けて全力で退避。
真希は
真依につけられた傷から激痛が走り、包帯を真っ赤に染めながら表情を歪め、それでもなお止まる気配はない。
「フッ!」
鋭く息を吐きながら刀を一閃。電車スマッシュの首を刈り取らんとするが、電車の車体を模しただろう装甲に覆われた腕によって阻まれ、刀身にヒビが入る。
「くそ!」
真希は悪態を吐きながら後方に跳躍。
直後頭上から降り注いだ電車爆弾が地面を抉り、舞い上がる砂塵が電車スマッシュの姿を隠す。
真希はもはや使い物にならない刀を一瞥し、それでもこれしか武器がないと舌を弾く。
刀を構え、深く息を吐き、砂塵を突き破って現れた電車爆弾を睨みつける。
左右から弧を描いて迫るそれを、やはり前に進むことで回避。背後で巻き起こる爆発に再び全身の傷を殴られながら、吹き飛んだ砂塵の中から電車スマッシュを睨む。
呪霊とはいえ元は人間。物理的な攻撃でもある程度は効果があるだろう。
先程と同じ軌跡を描くように刀を一閃し、今度も腕の装甲に阻まれる。
甲高い金属音を共に刀が砕け、電車スマッシュが喜ぶように肩を揺らしたその瞬間、真希の拳が顔面に突き刺さった。
金属がへしゃげる異音を響かせ、電車スマッシュが体を仰け反らせる。
装甲の一部を歪ませ、火花を散らしながら体勢を整える電車スマッシュ。
すぐさま電車爆弾を射出し、真希へと差し向ける。
彼女は避けようと腰を落とした瞬間、激痛が脚を駆け抜けた。
真依との戦闘で蓄積されたダメージが今になって彼女の脚を壊し、がくりと体が沈む。
「くそが……っ!」
真希があまりにも脆い自分の体に悪態を吐く。
傷から血を吐きながらそれでも回避動作に入らんとするが、電車爆弾の速度の方が速い。
真希が衝撃に備えようと全身の肉を引き締めた瞬間、全ての電車爆弾が空中で爆発した。
空中で巻き起こる爆発に真希と電車スマッシュが驚愕していると、そんな電車スマッシュに呪力弾の弾幕が襲いかかった。
大量の火花を散らしながら吹き飛ぶ電車スマッシュの姿に、真希はため息混じりに胡乱な目線を横に向けた。
「『ありがとう』が聞こえないんだけど?」
「お前のせいでこうなってんだろうが!」
ホークガトリンガーをくるくると回しながら不敵に笑う真依と、そんな彼女に食ってかかる真希。
普段なら余裕で避けられたと言って聞かない姉を、妹ははいはいそうですかと適当に受け流す。
電車スマッシュが立ち上がり、怒りを示すように激しい電子音を響かせながら歪んだ碗部を振り回す。
「うるせぇな。ったく」
「いい加減、静かにしてもらいましょ」
真希は足の包帯を巻き直して立ち上がり、真依はホークガトリンガーを電車スマッシュに向ける。
武器は折れた刀とホークガトリンガー。前者は心許ないが、後者でなら仕留めることもできるだろう。
「援護任せた」
「はいはい」
目配せもなく、姉妹の作戦会議はそれで終わった。
直後、真希が走り出す。刀を逆手に持ち直し、一撃に全てをかけんと柄を万力の如き力で握り込む。
電車スマッシュは彼女を迎撃せんと複数の電車爆弾を放つが、
「もう慣れたわ」
真依は余裕の笑みと共にホークガトリンガーの引鉄を弾き、正確無比な狙撃によってその全てを迎撃。
ガトリングで狙撃というのも変な話ではあるが、必要最低限の消耗で最大限の成果を出すのは彼女が得意とするところ。
電車スマッシュは更なる電車爆弾を放って真希と真依を同時に狙おうとするが、真依はすぐさまホークガトリンガーによる射撃を開始。
吐き出される呪力弾が電車爆弾を次々と撃破し、空中で爆発が連続で巻き起こる。
電車スマッシュ自身でさえも加減なく爆弾を放ち続けた弊害か、周囲に充満する爆煙の中に真希と真依が飛び込んで姿を隠す。
『……?……!』
電車スマッシュは焦ったように電子音の不協和音を鳴らしながら周囲を見渡し、煙の中を動く影を発見。
すぐさま電車爆弾を走らせ、すぐさま起爆。
爆発によって煙を吹き飛び、その人影も爆発の衝撃によって吹き飛ばされる。
これで前衛は潰したと真依を見つけるべく視線を巡らせるが、吹き飛ばされた人物が小さく鼻を鳴らした。
「外れよ、馬鹿!」
額から出血しながら、真依は電車スマッシュを嘲笑した。
そのまま背中から木にぶつかり、呻吟の声を漏らす中、電車スマッシュの背後で身を潜めていた真希が飛び出した。
『ッ!?』
電車スマッシュは驚愕の中、歪んだ腕部装甲で彼女を殴りつけようとするが、真希はギリギリで身を翻してそれを回避。
歪み、尖った装甲が彼女の頬を掠めて切り傷をつける中、真希は首の装甲の隙間に折れた刀身の切先を叩き込んだ。
ずぶりと呪霊とは違う生物の肉を貫く嫌な手応えに、けれど真希の表情は変わらない。
刀をさらに押し込んで刃を骨にまで届かせ、捻って肉ごと骨も砕く。
パキッ……と乾いた音が真希のみならず真依の耳にも届き、それでも二人はその姿を目に焼き付けた。
真希が刀を抜くと電車スマッシュはビクビクと体を痙攣させながら膝から崩れ落ち、体を霧散させていく。
「真希!真依!」
そこに遅れてビルドが駆けつける。
霧散していく電車スマッシュと血塗れの真希。額から出血している出依へと目を向ける。
もう決着がついていることを理解し、変身を解く。
装甲が霧散し、貴丈の姿に戻った彼に、電車スマッシュが手を伸ばす。
別れの言葉もなく、けれどオルゴールにも似た優しげな電子音を漏らしながら、その肉体を崩壊させた。
霧散する体と呪力は貴丈の手元に集まり、黄緑色のフルボトル──電車フルボトルとなって彼の元に残される。
貴丈はそれを握りしめながら、ボロボロの真希と真依の元へと足を進める。
「悪い。俺がもっと早く来てりゃ……」
「それは怪我させたことを謝ってんのか?それとも家族を殺させたことを謝ってんのか?」
「怪我に関しても家族を殺したことに関しても、謝まられる筋合いはないわ。私達の意思でやったことだし」
初手で謝ってきた貴丈に真希が半目になりながら睨み、真依は気にする素振りもなく額を拭って見せた。
べったりと手についた血に眉間に皺を寄せ、「やっぱり文句言うかも」と前言を撤回。
ため息を吐く彼女に、真希は「あいつのことは気にすんな」と貴丈の肩を叩く。
彼女も満身創痍。身体中に巻いた包帯にも血が滲み、赤く染まっていた。
貴丈は目を伏せ、何かを言おうとするが、
「私のことも気にすんじゃねえ。たまにはこっちにも背負わせろ」
真希は笑いながらそう告げ、貴丈が握る電車フルボトルへと目を向けた。
「なんか言うことねぇのか?」と貴丈の額を指で弾いてやれば、彼は駆け抜けた鋭い痛みに小さく呻いた。
そして顔を上げ、真希をまっすぐに見つめながら言う。
「……ありがとう」
「おう。それでいい」
「私には何かないの?」
「真依もありがとう」
「そ……」
二人にするべきは謝罪ではなく感謝だ。
自分が背負うべき罪を背負わせたことへと謝罪ではなく、共に背負ってくれた友人達への感謝。
「あとは俺に任せて、二人は休んでろ」
「あ?まだまだこっから……」
次は謎の大木への対処だと意識を切り替える貴丈と、彼に着いて行こうとする真希。
「お前はいいかもしれねぇけど、真依がフラフラだろうが。家入さんのことに連れてけ」
だが貴丈が木に寄りかかって呼吸も苦しそうにしている真依へと目を向けた。
呪力切れの状態でさらに戦闘した挙句の負傷だ。見た目以上にダメージがあってもおかしくはない。特に頭の怪我は今は大丈夫でも後が怖い。
真希もそんな真依に目を向けると、真依の方から「心配無用よ」とさっさと行くように急かされるが、真希は真依が反応できない速度で彼女を肩に担いだ。
「ちょっと!?」
「家入さんのとこに連れてく。貴丈!パンダ達は任せたぞ!」
「おう!」
真依が抗議の声をあげる間も無く、真希と貴丈は逆方向へと走り出す。
あっという間に遠ざかる貴丈の背中に、真依は小さくため息を吐いた。
「あんたはこれでいいの?」
「よくねえ。けど、お前も大事だ」
真希に担がれ、高速で過ぎ去っていく木々を眺めながら投げかけた問いかけに、真希は即答した。
「……そう」
真依はなんとも複雑な表情を浮かべながら、姉に身を任せるように体を預けた。
──で、どっちの方が大事なわけ?
口から出かけた問いかけは静かに飲み込む。
その答えは決まっている。真希から同じことを聞かれても、同じ答えを出すに決まっているから。
「本当、最悪ね」
──双子って、これだから嫌なのよ。
彼女の胸中の呟きは誰にも届かず、消えていくのだった。
感想等ありましたら、よろしくお願いします。