『夢か現実(うつつ)か幻か!? 天使な悪魔の、危険な啓示。』

悪魔短編シリーズです。

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次の作品に心を動かされて、書きました。 
イラスト:RED:XXX https://www.pixiv.net/artworks/89721572
How You Like That https://www.pixiv.net/artworks/88726982
動画:Shock out, Dance!!  https://www.youtube.com/watch?v=7DbwUGvQai8

イラストについては、ほぼそのままで想像が膨らみましたが、
動画の方は、愛らしさと生真面目さ、妖艶さを兼ね備えた、
キャラや衣装、舞台の美しさに強い印象を受けました。
素敵な刺激を与えてくれる文化的作品に、感謝します。

悪魔の台詞(せりふ)だけで終わる超短編も考えていましたが、
アモンは『Lucifer(ルシファー)』でも活躍する子なので、
ただ恐いだけの役では終わらせたくないと思いました。

今回は文明論とも絡(から)めていますので、
ご興味がおありの方は『文明の星』シリーズなど、
関連のエッセイもご覧いただけましたら幸いです。

皮肉なことに、地球に余裕があり、広い世界で多くの国々が争う時代には、
文明の持続可能性を保ちやすい面もあったのかもしれません。
資源不足や格差拡大が起きたら植民地に出ればよく、開拓や戦争の過程で、
私のような虚弱者や不適切な制度も淘汰されたかと思います。

しかし今や地球は限界、世界も一体化、文明活動は複雑化し、
環境・経済・(人間含む)社会・政策の、根本的な持続可能性が課題です。
富の生産と配分に加え、人の向上と活用も助ける、
次世代技術と人間的政策に期待したい、という気持ちで書きました。


啓示

信じられないかも知れないが、

私は政治家になってからも、

趣味の魔術に傾倒していた。

 

魔王アモンを召喚(しょうかん)する儀式で現れたのは、

衣装も翼も光輪も、全てが白く光り輝く、

美しい少女の姿をした天使だった。

 

そこで私は彼女から、

不当に遇されている我国の優秀性と、

世界を支配する運命についての啓示を受けた。

 

その後私は、人々を扇動し、

邪魔になる者達を弾圧し、

戦火も(いと)わず領土拡張政策を()し進めた。

 

……そして私は今、

爆撃で崩れた政庁の中で重傷を負い、

死に(ひん)している。

 

そこへ、天使が再び下りてきた。

ただし当時と異なって、

その輪も翼も舞い散る羽根も、

鮮血のように赤かった。

 

『ごめんなさい……実は私は貴方ではなく、

人類全体のためにこの戦争を始めさせたの。

あってはならない〝戦争の効用〟って、

ご存知でした?

それはもう本当に、驚くほど沢山、

良いことがあるのよ』

 

『工業・情報・AI技術といった、

科学・技術の発達。

政治体制から行政、民事法制にまで及ぶ、

制度・政策の改革。

経済・社会活動の統合・活性化や、

格差の縮小、犯罪抑止。

国土条件や国民の水準、国際関係など、

国家を取り巻く自然・社会環境の再認識と、

それに対する改善や適応。

生活や産業、輸送、通信のための

社会基盤(インフラ)や必要物資など、

物的資源の建設・備蓄や更新。

そして何より重要なのが、貴方のような独裁者や、

それを生み出す腐敗、衆愚、無責任、粗暴者など、

人的資源の淘汰(とうた)なの……』

 

もはや声も出せなくなっていた私は、

心の中で絶叫した。

(なぜだ! そんなことならなぜそれを、

最初から教えてくれなかったんだ!)

 

……そこで私は、目が覚めた。

私は急いで、部屋を出た。

 

昨夜の儀式に使った部屋を見ると、

床にはまだ、魔法陣が残っていた。

そしてようやく、

儀式では何も起きなかったことを思い出した。

 

彼女は一体何だったのか? 

天使か悪魔か、ただの悪夢か? 

今後も分からないかもしれない。

だが重要なのは、その言葉の内容だ。

 

私は色々と考えた末、

将来必要になると思って書いた

周辺国への宣戦布告の草案を、

細断機(シュレッダー)にかけた。

 

そして、戦争によらずとも国家発展を

実現できる手段を思い浮かべてみた。

先進技術の開発・普及や産業振興、社会保障、

人々の保健・教育や国際・国内協力……。

とにかく私は、あらゆる平和的方策を

検討し直すことにした。

 

 

アモン:

ソロモン王が使役した、72大悪魔の中の一柱(ひとはしら)

過去と未来の知識を教え、人間同士の不和を招いたり、

和解させたりする能力がある。


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