『――
鬱蒼とざわめく図書館の一室、行き交う人々を傍目に、私はふと目についたその一文を何度も読み返した。裏表紙を見る。どうやらある宗教の聖書らしい。
『――――たる聖書』
削れたように風化し、磨耗しきったそれは、重みすら感じるほどの年月を感じさせた。
一旦、手離しがたいそれを目の端に捉えながらもどうにかしまい、隣の本に手を伸ばす。題名を指でなぞり、ゆっくりと棚から取り出す。どこか軽く感じるそれを、両の手に持ち開く。なじるように文字を追う。
だがその最中にも、頭の中にはあの言葉が反芻し続けていた。こびりついた汚れ様に、引っ付き犇めき離れない。
そして本日四冊目にのぼる本をぼんやりと手に取りながら。その奇妙な苦悩の中、ふと私は思い付いた。
なら、やってみよう、と。
◆◇
『定時報告書
以前の報告の通り、第一位禁書の開放確認後、総勢二十名の祭祀官、司祭を動員し探索、排除を試みたが全て失敗に終わった。
目的を調査へ変更し市街からの道筋を辿り、探索を続行。二十日目に進展が見られたが、同日午後、『禁忌』の開眼を確認。
視認した祭祀官八名は眼球を喪失、司祭一名は自失の症状が発現。即時回収をした後、一名の異端審問官を動員し『禁忌』の破棄へ向かわせた。
私含む祭祀官七名、司祭五名が補助に付いたが、市街地の半分を呑み込みつつあった『禁忌』は予想外の成長を見せ破棄は失敗。
この時点で破棄はふ可能として、『第十二偽者』と対象を認定し、それを申請する。また、第十二偽者の情報として小柄であること、そして《一文》を取得した可能性が高いことを進げんる。
禁書の性質は開放と開眼のみを確認したこちらからは不明であったが、能力から推測することは出来た。
黒を基調としたヘドロのような物体が、物を人を呑み込み喰らい尽くす様相は見ていて気持ちのよいものではなかったが、十分な情報は得られた。
恐らく、『淘汰された神々』の聖典である可能性が高い。中でも最も悪質で悪辣な『尊き神』の聖書では、と私は推測する。『尊き神』の口伝では、『黒き空が海を覆い、夜は夜でなくなった。海は淀み黒く染まり、そして大地は敵へと変貌した』(1)とのようで一文が存在したが、第十二偽者の使用するものだヘドロのような物はそれられはどうなのだろう連想さた。
著者:第二いさい官 ラート・アラート』
『追ううこ書 ラーとアらーと
直せんでいが付たため間に合わなかもれないがいぎ速す。これでにおたじょほはべてあああああああああ』
〈2021年12月追記〉
今これを見てる人がいるかは分かりませんが、一応報告書を書いている人と最初の地の文の視点の持ち主は同一人物の設定です。