DARK SOULS → SKYRIM でまったり()スローライフ()   作:佐伯 裕一

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二週間は経っていないので、実質一週間前後です。予告通り。
また、粗筋の書き方についてアンケートを設置しました。ご協力いただければ幸いです。


前回の粗筋。
ユンゴル墓地から凱旋。閣下が盛り上げ、煽り、なし崩し的に宴会へ。
※粗筋のノリに関してアンケートをまた設置しました。ご協力いただければ幸いです。


三三、四年経って(前)

 私の私兵就任から、早四年が経とうとしている。

 別に特別大きな出来事があったというわけではない。急激な変化も、だ。町の復興の進捗は、順調と言えば順調なのだが、多少の誤算もあった。

 友等曰く、これほどの大事業にも拘らず恐ろしいほどの早さで進んでいる、とのこと。私が先の通り、変化は然程急ではない、というようなことを言うと、眉根を寄せるか、虫の居所が悪いときは説教をくれる。

 しかし私としては、防げそうな話で移住希望者に待ちぼうけを食らわせていることもあり、あまり満足の行くものではないのだが。

 私は、基本的には『人』さえいえば大概の話は成ると思っていた。だが、それを受け入れる町という『器』も大切なのだと思い知った。人だけでも駄目。器だけでも駄目。双方揃って始めて物事は成るのだと、(よわい)……いくつかわからないこの歳になって始めて実感を得た。今後の教訓にしたい。

 

 閑話休題。

 大きな出来事も急激な変化も無かったが、私が時に思いを馳せる理由について強いて言うなら、ラーナルクであろう。あれに何か変化があったり、それに気付いたとき、流れた年月を数えているのでは、と思う。つくづくあれは、私に忘れ去った人としてのあれこれを思い出させてくれる。

 あれが成長するように、町もまた四年であちこちが少しずつ変わった。というか、町は復興途上なのだから、少しの変化も無ければ困ると言えばそうなのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 まず、変化の一つとして町が物理的に規模を増した。これが誤算によるもの、というあたりが面白くない。

 住民が増える度に廃屋の撤去や立て直しを行って来たが、それでは家も、それを立てる土地も足りなくなってしまった。そこで、拡張工事を行ったのだ。

 私からすれば、家など雨風を凌げればそれで構わんだろう、という思いがある。なんなら、篝火一つあれば十分なくらいだし、無くても夜通し警戒していればいい。

 

 しかし、復興に浮かれる住民達からすれば、そういうわけにもいかないらしい。

 いずれはほかの都市と同じく権威を取り戻すであろう我が町。そこに住む自分達の家が見窄らしいなど、我慢ならない。それに、どうせあとから移住してくる者達のせいで家も土地も足りなくなるのだから、今のうちにそれなりの家を確保しておきたい。のだとか。

 初めにそれを聞いたときには、馬鹿らしくて()()()やろうかと思った。しかし相談役殿や首長閣下も同意見であったため、私兵たる私は呑むしかない。

 もう一ついやらしいのが、住民が駄々をこねる際に持ち出した理屈というのが、私が町へ来た際、閣下に願い出た条件だったのだ。つまり、費用は住民が持つため望む家と土地を与えられたし、というヤツだ。

 ウィンターホールドではここ数年、普請場にはことかかない。住民達は別段裕福なわけではないが、肉体労働で金を稼ぐことはできる。盗賊連中は、どうせ巡り巡って自分達の懐に入る金だ。と金払いがいい。そしてその金を使い、現在の住居を拡張するなり、狙っていた廃屋を建て直すなりしている。

 逞しいというかなんというか。

 

 ただ、それに際し大学の魔術師達が大いに役立ってくれたことは、今後を見据えれば大変に嬉しい事実だった。もっと言えば、「『魔術師が既存の働き以外にも有用だ』と判明したことが唯一の成果」、と言って良いものである。禍福は糾える縄の如し、とはこのこと。

 

 ウィンターホールドの町は、街道と大災害で削られた結果の崖に南北を挟まれている。門をくぐって西を見れば岩山、東を見れば巨大な外壁だ。

 そのため、単に町の拡張と言っても、現実的には岩山を掘削する必要に迫られる。街道を潰すような真似をすれば、他地方の首長達から顰蹙を買うのは言うまでもないからだ。

 安全性が確保できないために外壁の外への拡張は今回見送った。だが、いずれは岩山の掘削だけでは足りなくなるのも明白。

 というわけで、街道を潰さないよう外へ拡張する工事も並行して行っている。使える人員を総動員したところで、全員を岩山の掘削工事に回しては余剰人員が生じ、非効率だからだ。

 

 街道の向こうへ出るには、街道の地下を掘る、ないしは街道自体を掘り下げ隧道化させる、またはアーチ上の橋を作って住民が街道の上を移動する方法が考えられる。

 最も手間が無いのは橋を作ることだが、その向こうが急勾配な下り斜面であることを鑑みれば、街道の地下を掘ってしまうのが将来的にも良い気がする。

 いずれはホワイトランよろしく「何々地区」と区画整理を行い、外壁の中を行政区と首長に近しい者達の住まい、街道を跨いだ向こうの下り斜面を一般区画、と差別化を図っても良いかもしれない。

 

 

 

 私がこれだけ色々と考えを巡らせられるのも、先のとおり魔術師の力、その中でも『氷の精霊』召喚魔術が土木作業に()()()適していることがわかったからだ。

 召喚術師達が使う主な召喚魔術は三つ。炎、氷、雷の精霊を呼び出すものだ。高位術者ともなればデイドラである『ドレモラ・ロード』を呼び出すことさえ可能らしいが、こいつらは糞の役にも立たない。

 炎も雷もドレモラも、戦闘の役にこそ立つが工事には向かない。前二者は作業員が近寄るだけで被害が出るし、口ばかり偉そうなドレモラは戦いにしか興味が無く、建設的な作業に従事しようという気が一切無い。挙げ句作業員を襲おうとしたので、腹が立ち紛れに叩き潰してしまったほどである。二度と湧いてこないよう、念入りに潰した。呼び出したのはこちらだ、などとは言ってはいけない。

 

 閑 話 休 題(私のやらかしはどうでもいい)

 そこにいくと、氷の精霊は大変素晴らしい。あれらも素手で触れば皮膚が貼り付く程度には危険だが、その度合は他の精霊に比べて圧倒的に低い。この極北のウィンターホールドで、素肌を曝している人間のほうが少ないからだ。というか仮に曝していたとしても、その場合体表は冷え切り乾燥しているため、皮膚が貼り付く、という事故も起きづらい。

 側にいるとやたら寒いのが欠点だが、元々スカイリムの民は寒さに強い。ノルドでなくとも、この地に移り住んで長い者にはある程度耐性が付いている。寧ろ、私が最も寒がりかもしれない。生き死にと好き嫌いは別の話だ。舐められるので表には出さないが。

 

 

 

 氷の精霊だが、導入当初はそのまま岩肌を殴らせていた。それだけでも硬い氷によって少しずつは岩を削れていたのだが、盗賊砦の地下拡張工事を行った私からすれば、進みの遅さが我慢ならなかった。

 そこで始めに私がルッツエルンで岩肌に亀裂なりを入れて、そこを起点に掘らせてみた。すると岩が崩れる崩れる。そこからの工事は段違いの進捗を見せた。

 普請場に居る他の作業員は、精霊が出した岩を運び出したり、精霊同様に自ら鶴嘴を振るった。こうして作業を共にし、同族意識を高めるため、私は町に来て早々に大学を訪ね、復興への協力を仰いだのだ。

 

 術者の力量によって進捗度合いに差がでたが、それは仕方がない話だ。精霊の召喚時間や精霊そのものの頑強さにも、術者の力量差が出る。ただでさえ延々岩肌を殴り続けるため、それが精霊への負担となり、召喚して存在させ続けるよりは早く消滅するのだ。

 しかし私は、氷の精霊の有用性を目にしてすぐ、大急ぎでマジカ回復薬を量産した。これらを、元々他の作業員に比べて高額な賃金を支払っている魔術師に対し、極めて良心的な価格で提供している。どれだけ精霊が消滅しても、何度だって召喚し直してくれればいい。

 こちらは工事が捗って嬉しい。あちらは魔術の熟練度が高まり、賃金を得て、更には町の住民にも好感情を与えられて嬉しい。両者が得をする、素晴らしい取引である。いくら術を唱え続ければ心身が疲弊するとはいえ、その労に対しての益は余りあると考える。

 ので、術師の目元にできた窪みや隈も、こけたように見える頬も全て無視して、私は付き人にマジカ回復薬を気前良く配らせた。サボスからも、「素行不良者や成績不振の聴講生を送るから、存分にこき使ってくれて構わない」と言われている。問題があれば()()()()()で裁定して良いとも。だから私は何も悪くない。

 

 氷の精霊は、安全管理の面でも役立ってくれた。正確には、人であれば大惨事になる事故であっても全く問題ない、という利点があったのだ。

 この手の工事には付き物だが、掘削中に頭上から岩が落ちてくることがあった。幸い作業員に怪我人はおらず、氷の精霊が数体、落石を食らって消滅したくらいだ。何の問題もない。

 既に何度も精霊を召喚して顔色を悪くした術師が恨めしげな目をしていたが、何が不満なのか全くわからない。魔術師にとっての鍛錬の良い機会ではないか。

 

 

 

 町の拡張工事が一段落した今は、崖をつづら折りに削って港を造る作業に入らせている。逆に、崖を下った海岸からは掘削で発生した土砂等を用い、少しずつ埋め立てを進めている。こちらは拡張工事以上の大事業である。そのため、この先大学への入学希望者がどれだけ増えようが、少なくとも召喚術師が金に困ることはないだろう。

 

 そしてこちらでも、氷の精霊は大活躍するはずだ。何せ、工事の主力でありながら崖から落ちても全く問題ないのだから。

 術者は安全な場所に居て、作業員である氷の精霊のみを危険な斜面に立ち入らせる。大きな体躯の精霊が作業できる足場が作れているのならば、人がその分進んでも差し支えない、という安全確認の役まで負ってくれている。

 表情が無いのもいい。落下して潰れようが、罪悪感を抱きにくい。海岸で作業する人足に死傷者が出なければ、何体落下しようが知ったことではない。その点も素晴らしい。

 精霊の手の届かない細かな作業だけ、人足が念入りな安全確保の元で作業に取りかかればいい。大規模な工事の参加者全員にそれだけの万全な装備や意識を持たせるとなると一苦労であるが、要所要所だけ、と思えばそうでもない。それでも人為的事故を起こす馬鹿は知らん。

 

 更に望外であったのが、あれらは牛馬の代わりにもなる、ということだ。氷の精霊に荷車を引かせてみたのだが、何の問題も無く引けていた。

 精霊にそのまま綱や鎖を巻き付けては冷却により破損しかねないため、(くびき)を石で作製するなどひと手間かけたが、労を鑑みても余りある出来だった。満足である。

 これで普請の進捗は加速するし、行商の馬代わりに使っても良いかもしれない。本当に素晴らしい精霊だ。

 

 このあたりで幾人かの大学関係者が眉をひそめていたが、使えるものを使って何が悪いというのか。

 ……とはいうものの、普請場から普請場へ土砂や岩石を運ぶ程度ならまだしも、町から町へと移動するのに精霊を使っていては、術者が保たないだろう。あくまでこれは、マジカ回復薬をほぼ無尽蔵に用意できる環境があっての話だ。ちと無理があるのは理解している。

 ただまぁ、既存の行使に囚われない可能性を示すくらいはできたのではないかと思う。何でも使いようである。

 

 

 

 都市計画を練っていたブレックスなどは、氷の精霊の利便性についての反応が私よりずっと露骨だった。

 崖から転げ落ちて消滅する精霊と、召喚し直さなくてはならず肩を落とした術師を見て、「笑いが止まんねえな」とケタケタ楽しそうだったのだから。

 曰く、これが町に根を張る住民であったのなら、本人や家族への手当で余計な出費が嵩んでいただろう、とのこと。しかし精霊であれば消費されるのは実質マジカ回復薬のみである(食べて眠れば回復する術者の体力は考慮しないものとする)。実質的な行政の長としては、楽しい話なのかもしれない。我々一党は割りかし金満とはいえ、資金が無限にあるわけではない。抑えられる費用は抑えておきたいのだろう。

 本質的にはお人好しなのだろうが、こと利害の話になれば途端に厳しい面を見せ、効率を第一に考える男だ。そこに優しさを期待してはいけない。身をもって洗礼(錬金術修行)を受けた私が言うのだから間違いない。

 

 

 

 ちなみに大学では現在、鉱石変化の応用で、岩石を一時的に脆くする魔術を開発中である。

 これができたなら、私が一々岩肌に亀裂を入れて回らなくても済むため、是非がんばってほしいところである。言うまでもなく、工事の進捗が格段に速くなる。

 

 が、予想外の方向から開発研究へ「待った」がかかった。各地の首長達だ。何処からか話を聞きつけた彼奴等は、「その岩石脆化(ぜいか)魔術は広めず、教える人員もよく選定してほしい」と強い要請が送られて来ている。「それが為されなければ腰を据えて話をする用意がある」とも。実質的な強制と脅迫である。

 まぁ、わからないでもない。多くの町は、外壁や首長の砦に石材を用いている。それを脆化させられるとなればどうなるか。攻城戦のありようが一気に変わる。権威の象徴であり、住民の安全を確保するための外壁が、でかいだけの無用の長物に成り下がるのだ。それどころか、敵の動きを察知しにくくなる分、無いほうがマシな障害にすら成りかねん。

 独立組織である大学がこれらの要請に従う謂れは無いのだが、それを口実に町が責め(攻め)られては敵わない。

 我々としても工事が捗ればそれで満足なので、要請を承諾することに否やはない。

 アグス師を筆頭とした魔術師連中も、研究によって新しい魔術を完成させられればそれでいいのだ。悪用を考えるくらいなら、魔術新開発の手順や方式を他の魔術にも試したがるだろう。

 

 しかし私は指摘されるまでそういった用途に全く気が付かなかった。私の思考の根底には、邪魔な障害物は壊すか迂回するか、しかない。「壊せるようにする」という発想は無いのだ。

 この件に関してブレックスなどは、「何で気付かねえんだよ。利便性が高いってことは、それだけの劇物だっつー話だろうが」と呆れていた。解せない。悪いのは私ではなく、十中八九そのあたりの機微に気付いておきながら素知らぬ顔で研究を進めていた、大学の魔術師達だ。

 

 そうは言っても、実のところ各地の首長等の恐れはほとんど杞憂というものである。アグス師曰く、脆化魔術は遠からず完成するが、首長等が懸念するようなことにはならない、のだとか。

 脆化魔術発動のためには、その対象である岩石の組成、つまりどのような鉱石から成る物質であるのかを正確に把握する必要があるらしい。しかも、その組成を崩さないまま剛性だけを変化させるには、多大なマジカを必要とし、対象への理解が不完全であれば、マジカを消費したうえで不発に終わるのだとか。

 要するに、仮に首長等が恐れるような使い方を試みられたとしても、前もって外壁に他地方から仕入れた石材でも用いていれば、あとはマジカを浪費して疲弊した魔術師(間抜け)を射殺せばいいだけの話なのだ。

 

 師は魔術の完成と共にその欠点も首長達に公布する予定だ。そうすれば大学も町もあらぬ疑いをかけられることもなく、各地で土木工事が活性化するだろう。

 首長等は今まで手が回らなかった場所に対処できて嬉しい。魔術師は雇用機会が増えて嬉しい。ついでに土砂の運び出しなどで人足が雇われ、その日暮らしをしている比較的下流の人間も食い扶持が確保できて嬉しい。皆が幸せになる素晴らしい結果だ。数少ない、誰から見ても真っ当な魔術の活かし方であろう。

 

 スカイリム魔術の総本山たる大学、その長に就くアグス師がその手の社会貢献に目を向けているかは不明である。

 全くの好奇心から研究に取り掛かった可能性は大であると思うし、多少の義侠心や仁愛の精神を持ち合わせている可能性は『無』ではない。というか、「利便性の高い魔術を開発せしめたあかつきには、入学希望者や各地の首長からの依頼等、多大な権威と実益を得られる」という至極打算的な理由であるかもしれない。あれでも海千山千の首長達と渡り合っている御仁なのだ。

 まぁ、人の内心など考えても仕方あるまい。寧ろどれか一つが理由であったというよりは、全て本当のこと、というのが一番ありそうである。

 人の心とは、一種類の顔料を溶かした絵具のようにはできていない。

 

 

 

 

 

 大学について思いを馳せているうちに思い出したが、以前より開発を進めていた私の転移魔術は、一応の完成を見た。

 いやまぁ、正確に言えば、魔術というか奇跡だ。発想の転換というか、できてみれば「そんな手段で良かったのか?」と拍子抜けした次第である。

 

 簡単に言ってしまうと、『私』という準神の軌跡を物語として綴り、それを神の奇跡として成立させた。それだけだ。

 これにより、私の行動範囲は格段に広がり、相談役殿からせっつかれている問題に取り掛かる()()()の準備もできた。

 ちなみに、当然ながらスカイリムでこれを用いられるのは私だけであるし(私に対して強い信仰心を抱く奇特な人物でもいれば別だが)、ロードランにおいても習得できるものはいないだろう。

 そして、私自身は準神としての矜持は持ち合わせているものの、自らの軌跡を文字通りの『奇跡』として認識できるほど厚い面の皮をしていた、という事実に少々堪えた。

 

 

 

 発動にはまだ慣れず少々時間がかかるうえ、原理についてあやふやなところもあるので、自分なりにおさらいしておく。

 

 まず魔術での切り口を諦めた理由であるが、単純に理論構築が難解に過ぎた。

 初歩的な召喚魔術の習得は叶った。何十年何百年と時間をかければそのうち、オブリビオンから軍勢を呼び寄せ動乱の再来を起こすことも叶うことだろう。しかし、転移魔術には結びつかなかった。

 当初はその召喚魔術への造詣を深めば、いずれはサイジック僧兵の扱う地点にまで辿り着けるだろうと考えていた。

 だが、如何せん私の認識は甘かったようだ。どれだけ文献を読み漁っても、僧兵へ何度と無く実演を強請ってみても、いまいち成果と呼べる感触は得られなかった。

 点と点が繋がる感覚というか、道が拓けた感じがせず、延々と躓きを見せた。

 

 連中の魔術体系は、私の想像以上に高度なものだったらしい。あの傲慢な態度も頷けるというものだ。許容するかは別の話として。

 例えるのなら、スカイリムの民が使う魔術の程度が地を這う獣なら、奴等は鳥なのだ。

 同じ空間を共有してはいるし、鳥に触れる機会が無いわけではない。しかし、その機会は主に鳥の都合である。獣の意思で鳥の居場所である空に上がることは叶わない。

 

 私は空いた時間(私兵、錬金術師、父親業、町の表裏の運営を除いたもの)は全て大学の蔵書室での知識の獲得に努めてきた。

 魔術の才能がそれほどあるわけでもないため、実践となるとまだまだ素人の域を出ないが、知識量や理論の構築にはそれなりの自信がある。何せ、非不死人が忘れては覚え直すところを、忘れる暇もなく覚え続けるのだから。休息の不要な体はこういったときに便利だ。ついでに言えば、『記憶力』だけは妙にいいのだ、私は。

 そんな私の出した結論が、「別の観点が必要」というものだった。諦めた、というよりは終着点への経路が間違っているのではないか、という考えだ。

 なまじ僧兵の転移魔術やマヌスの魔術的次元転移法を見て体験したがために、「『転移』とは魔術によって齎されるものである」という固定観念がいつの間にか生まれていたのかもしれない。

 

 

 

 そこで思い出したのが、暗月の彼だ。

 彼はソウルの矢や月光の弓矢を多用しており、また彼に纏わる戦闘技能にも魔術に関するものが多々有ったため、てっきりあの転移も魔術によるものだと考えていた。

 しかし思ったのだ。「彼は神である。ならば奇跡の類でもおかしくないのでは?」と。

 思い出してみれば、ロスリック王子とて転移を使っていたが、あれは相対した感じ奇跡の部類だ。であれば、奇跡を用いての転移も可能なはず。

 そもそも、大王の太陽の光の槍もそうだが、神々は己の得意とする奇跡を容易く用いていた。おそらく、彼等にはそれが奇跡だという認識すら無かったはずだ。『奇跡』という感覚は、どこまでいっても我々人間のものである。

 で、だ。肝心なのは、「その奇跡のような転移を、神々よろしく私でも奇跡と思わず使えるのかどうか」という話だ。

 

 結論から言えば、単独では力不足であった。私は準神であり、神の如き力も使える。おそらくロードランやロスリックであれば、精進の結果として私にもできることが増えたかもしれない。

 だがここはスカイリムだ。世界が、違うのだ。その成り立ちも。神と人間の関係も。そのせいでスカイリムの民では奇跡の行使が叶わないと判明してしまったのだが、今は置いておく。

 

 

 

 さて、ではどうするのか。足りないのならば、補えばいいのだ。つまりは専用の触媒と、私自身の物語を綴った叙事詩の作成である。

 私の手持ちの武器に『火継ぎの大剣』というものがある。最後の火継ぎを行う際、立ち塞がった王達の化身が持っていたものだ。数多ある篝火の軸たる螺旋剣を、そのまま大きくした物だと言えば間違いではない。

 篝火に用いるため、これ自体が祭具ではある。しかし、スカイリムに来てから(おそらく正確には火の時代を終わらせたそのときから)は格段にその力を落とし、僅かな熱を宿すだけの棒と化していた。

 捻じれた螺旋の形状をしており、切れ味が極端に悪い。ほぼ鈍器である。腕のいい鍛冶師に打たせた名剣に高度な火炎の付呪を施した品のほうが、余程使える真っ当な武器に仕上がる。

 

 閑 話 休 題(武器としての性能は置いておく)

 問題は、この(なまく)らをどう触媒に仕立て上げるか、という話だ。

 スカイリムの修道院にて祈祷を行ったところで、どうにかなるとは思えない。寧ろ、祀っているエイドラの怒りを買うのではないかとすら思える。

 

 そこで閃いたのだが、ひとまずはどういう理屈でか力を落としたこの螺旋剣に、己が篝火の軸であったことを思い出させてやることにした。

 用いたのは、私が大量に所持する不死人の骨だ。我々不死人が一時の安らぎを得る篝火とは、不死人の骨を薪に燃えている。

 私は館の中庭に、王の器に見立てた金製の大きな盆を設置し、そこに剣を突き立てた。あとは骨を通常の焚き火のように組んで剣の火の力を発動させれば、篝火らしい体裁は整った。

 しかし、まだ外見だけだ。この傍らで休息を取ったとしても、体力の回復や傷の治癒どころか、この場を死した後の帰る場所と認識できるかも怪しい。

 

 そこで再び閃いたのが、これを千日続けてみては? というものだった。

 別に『千』という数字に特別な意味があるわけではない。おそらくは、ロードランでもスカイリムでも。だが、あの忌々しき蛇めは私を「千年待った英雄」と言った。そこから何となく、『千』という数字が浮かんだのだ。

 私があれを心底嫌っていようが、大王に近しい存在であったことは確かであるし、最初の火の炉の入り口を守っていたのも奴だ(尤も、カアスなる立場を異ならせる同種も、同様に入り口への立ち入りは可能らしいが)。あの世界の根源たる『火』について、何かしら縁があってもおかしくはあるまい。

 というか、奴が千年待ち、私が火継ぎを成した事実が、『千』という数字に意味を持たせた可能性はある。私はこれでも一応、最初の火継ぎを遂げた王なのだ。

 

 この方法が正しい保証などはどこにも在りはしない。そも、私は魔法についていくらかの知識を持ってはいても、祭具や呪具を作成する専門家ではないのだ。思いついたことをやってみるしかあるまい。

 一方で、「これは成功するだろう」という半ば確信めいた思いもあった。太陽を求道し続けた友は、手製のタリスマンを用いていた。そしてそれは、拙い出来とは裏腹に、有象無象の聖職者が保つ物と比べても、強力な力を秘めていた。要するに、気持ちが大事なのだ。

 あちらの魔術の総本山たる竜の学院では、何よりも知識を求められる。あまり良い印象の無い組織ではあるが、必要性は確かだ。

 呪術では『火』への畏れと理解を求められる。だからこそ、『火』を御した気でいる文明社会とは、やや距離を置くことになる。

 だが奇跡に最も必要なのは、知識でも畏れでもない。誓約を守る固い決意と、己がそれを為せると信じる心だ。だからこそ、誓約を交わした神に対し不敬であろうとも、己と己が誓いに背かぬ限り、力を行使し続けられる。

 少なくとも私はそう考えている。

 

 螺旋剣を火で包むようになってから、日に夜明けと日没の二度、骨を薪として()べる習慣ができた。

 念のため、人の館を勝手に自分達の縄張りにしている不届き者達に、火が消えそうにならないか監視を命じた。私があまり頓着しないからと言って、ここには年頃のラーナルクも住んでいるのだ。それくらいの言いつけをしても罰は当たるまい。

 というか、連中には確実に夜番がいる。定期的に中庭の火を見張る程度、さしたる負担でもあるまい。

 

 

 

 物語の作成は、そのあいだに行った。ブレックスに頼んで、ソリチュードの吟遊詩人の大学から人を派遣して貰ったのだ。高額な給金を約束したかいもあってか、大学の中でも高名だというインゲなる中年の女性がやってきた。

 彼女はかなりの凝り性であった。また、時間的猶予がかなり存在したこともいけなかった。前者が原因としては大であろうが、書き直しに次ぐ書き直しが起こる。出来上がったのは、題材がどうとかは別として、一個の大作である。

 何度も逃げたいと思いつつ、「主人公がいなきゃ文字どおり『お話にならない』じゃないかい」と自分の足跡を大長編に仕上げるあいだずっと拘束された私の苦労を、是非察して欲しい。

 

 しかし、それが出来上がったとなったら話は別だ。おそらくスカイリムでは受けないだろうが、彼女は達成感に溢れていたし、私も満足感に溢れていた。

 これが私を賛美するだけの話であったのなら、気恥ずかしくて一度だけ目を通すのが限界であっただろう。だが、それだけではなかった。

 一人、道に迷って右往左往したり。巡礼を進めるために必要な道具の入手のために東奔西走したり。サイン蝋石を用いた、私と、友や名も知らぬ戦友との交流であったり。そういった私の巡礼の色々が、そこには記されていたのだ。

 私は彼女の前で何度もそれを読み返した。時には涙も流れた。

 一大叙事詩となったそれは、読むにしても時間がかかる。だが彼女は、私がそれを読むあいだ、リュートを弾きながらずっとその様子を見守ってくれた。

 

 私がある程度満足して礼を言うと、彼女は「大金を頂戴しながら間違いがあっちゃあいけないからね」とおどけてみせた。私は追加報酬を提案したが、彼女は私が詩に対して見せた態度で十分だと言って遠慮した。

 それならば、と。私は、彼女に何か困り事があった際、必ず力になると約束をした。彼女は「困り事なんて無いに越したことは無いんだけどねえ」と皮肉げにまたおどけた。私は、彼女に好感を抱いた。

 こうして人と打算抜きで友誼を結ぶのはいつ以来であろう。勿論、『友』と呼ぶにはまだお互いを知らなさすぎる。ただ、いつからかと考えてみれば、アーチル以来ではなかろうかと思う。

 最近は人心を惑わすような真似ばかりをしていた。それに罪悪感を覚えるわけではないが、特別その手の暗躍を好んでいるわけではない。

 そんな日々に訪れたインゲ女史との交流は、私の心に温かいものを運んでくれた。

 

 

 

 そうこう準備を整え迎えた千日目。何の偶然か手持ちの骨が丁度尽きた。これで「何の成果も得られなかった」では拍子抜けもいいところだが、物は、きちんとできた。偶然どころか、ある意味必然だったのかもしれない。私が私の奇跡を行使するために作る触媒だ。物語めいた偶然は、神話を彩る一要素である。

 期待を胸に、螺旋剣を引き抜く。と同時に、模造品の王の器が割れた。「砕けた」と表現したほうが相応しい壊れ方だ。これもまた、役目を果たした、ということなのだろう。

 手にした瞬間にわかる。これは触媒足り得ると。火の力は然程強まりはしなかったが、元より武器としての役割は期待していない。それよりなにより、これを用いて転移の奇跡を行使したくて堪らなかった。可能かどうか、などは気にしない。できる、のだ。

 

 そんなわけで、一番差し障りの無い人物を選んで跳んで見た。この時間なら、相談役殿も自宅にいるだろうと思い、執務室へ転移する。

 視界がぼやけ暗転する。体感では数拍、といったところだが、実際は一瞬なのだろう。

 順序をそのまま逆にしたように視界が安定した途端、ブレックスが半回転した振り向き様、両手に握った短剣で私の首と胸を狙う。

 しまった。執務室の中央へ出るはずが、背後に立ってしまったらしい。それは誰だって驚く。私だって驚く。

 後手に回ったため、大きな武具は邪魔になる。両手に『バックラー』を装備し、短剣を二本とも弾く。剣を出さなかったのは刺激しないためだ。

 ……と思いきや、背中と肩に矢が刺さる。背後と、天井か? 毒も塗ってあるな。だが残念だったな友よ。私は毒には強いぞ。ほぼ反射で攻撃に転じたであろうブレックスが、この段階で相手が私だと気付いたようだ。焦ったような顔をしている。

 ……と思いきや、床が抜けて落とし穴に落ちた。思いの外、深い。しかも、暗くてはっきりとは見えないが、落ちた先には尖った木杭まで用意してある。先の友の表情を見るに、仕掛け罠は最初の一つが発動すればそのまま他の罠も連動するようにできているのだろう。止められないのなら、それは焦るな。仕方ないのでスモウハンマーか『デーモンの大槌』を足元に生成して盾にしよう。

 ……と思いきや、長い落とし穴の壁に仕込まれたありとあらゆる魔術の罠が作動し、火炎と氷の礫と電撃の嵐に巻き込まれた。たった今、大槌を生成したばかりで、打つ手がない。ついでに、火炎と氷はまだ我慢できるが、電撃は肉体の行動を阻害するようで、身動きが取れない。いつぞやリフト地方の砦でも思ったが、殺意が高過ぎやしないだろうか。

 

 結果、私は死んだ。気づけば自分の館で目覚めていた。スカイリムへ来てからの、地味に始めての死であるように思う。

 ラーナルクや友を残して逝かずにすんで良かったような気もするし、始めての死が強敵との戦や権謀術数を用いられた末の処刑ではないことに、何とも言えない情けなさを覚える。しかも動機は「新しい奇跡を試したい」なのだ。救いようがない。

 

 

 

 反省した私は、徒歩にて友の屋敷を尋ねることにした。転移奇跡開発の報告と、先の詫びをしなければならない。

 そうして宅の戸を叩き、驚いた顔の(そういえば実際に死んで生き返るのを見せるのは始めてだった)盗賊に迎い入れられ、執務室へと案内された。

 室内には、屋敷に詰めている盗賊全員と、今日は普請場にいるはずのハンと、先にも見た顔の相談役殿、いやこの面子なら頭目殿のほうが相応しいか? がいた。

 私としては詫びる立場であるので相手が高圧的に出たとしても致し方ないと思えるが、それにしては厳戒態勢に思える。まるで初めて出会ったときのような……。

 あぁ、もしや私が乱心してブレックス殺害を企んだ、とそのように思われているのかもしれんな。頭目殿の一安心した顔を見るにそうは思っていないようだが、部下達は相変わらずこの男に首ったけである。やはり、盗賊達は過保護だ。

 

 見当違いならそれはそれで。ぼんやりとだが相手の心情がわかったために、事情を説明した。

 転移奇跡開発に成功したこと。喜び勇んで友であるブレックスに見せようと考えたが、屋敷の応接間等ではなく、執務室の、それも主の椅子の背後に転移してしまったこと。非は完全にこちらにあるため、償いをせよ、というのなら全面的に飲むつもりであること。

 そこまで一息に語ったが、盗賊達の警戒は完全には解けない。これは私との信頼関係云々というより、奴等にとってブレックス以上に優先するものなど一つたりとも無い、ということなのだろう。聞きようによっては、奇襲に失敗した私が、取り繕うための言い訳を披露しているようにも思えるのも確かだ。

 頭目に危害の及ぶ可能性が完全に払拭されない限り、警戒心を緩めはしない、か。この場にラーナルクがいなくて良かった。あれは私のこととなると、やや盲目的かつ攻撃的になる節がある。相手になる面子が今まで世話になってきた連中となれば、人知れず涙を流してしまうかもしれない。というか、賊側もやりづらくて仕方ないだろう。

 

 さてどうするか、と思案していたら、頭目殿自らが「やめやめ」と阿呆臭そうに手を振る。「散れ」という合図だろう。盗賊達は渋々退室し、一部が部屋の隅に下がる。退室した者もこっそりと室内を伺うつもりであろうが……。ハンだけは堂々とブレックスの後方に控えている。この男は本当にブレないな。

 友曰く、私の言い分を信じる、とのこと。触媒作成の千日に及ぶ儀式は、一味の者達に夜番を頼んだほど。奇襲を企てているのなら、その手段を明かす意味が無い。それに、このトンマが俺を殺したきゃ、真正面から押入ればいい。等々。

 それを聞いて者共はある程度納得したようだが、トドメに「お前等、こいつはとびきりの抜作だぞ? 最近ボロを出さないから忘れてたろ」と来た。次いで「あぁ、なるほど」と納得してしまう者共も者共なのだが。

 ただ、一つ気になったので一応言っておこうと思った。「友よ、私はお前を殺したりしないぞ」と。当の友は明後日のほうを向きながら「あぁ、そうかい。そいつは有り難くて涙が出るぜ」と宣う。照れ隠しだな。私にはわかるのだ。

 

 して。誤解が解けたなら弁償の話だ。ここは誠意を見せるために私から切り出すべきだと考えた。背後や天井からの矢はまだいい。しかし落とし穴にあれだけの魔術を仕込むのは、並々ならぬ額が動いたにそういない。おそらくはエンシルに頼んだのであろう。それら全てを台無しにしてしまった。気持ちの面を除いても、やはり実利の面で償いは必要だ。

 ……と思いきや(今日何度目の予想外だろう)、その類は一切要らん、と断られてしまった。

 曰く、魂石の充填と流通。最近、かなりの質を保つようになってきた(わたし)作成薬品の輸出販路拡大。私の武力を下敷きにした、ブレックスの現在の地位の構築。それに伴う利権。その他諸々数えると、まだだいぶ私に借りがある状態らしい。

 ついでに言うと、私を必殺の罠へと嵌めた事実に対し、どうも苦々しく思っているようだった。

 私としては自分の不注意から友を驚かせてしまったので謝意しかないのだが。ブレックスからしてみれば、友人を殺した、という負い目があるのだとか。言われてみれば、死んで生き返るところを初めて見せるのは、この男も同様なのだ。話には聞いていたとしても、事実かは不明のまま。信じる疑うの話ではなく、確証が無ければ普通安心はできない。

 

 ………………その話を聞くと、なおのこと申し訳無さが際立つ。

 私が矢を食らって落とし穴に落ちる時、ブレックスは手を伸ばそうとしていた。表情は……この格好付けの名誉のために伏せておくが。

 私には、少なくともラーナルクの存在がある限り死に切ることはない、という確信がある。しかしそれは他者にはわからない感覚だろう。いくら私が平気だと思っていても、友はそうではなかったのだ。

 弁償云々ではない。私は友へ、心を傷付けたことを謝罪した。あえて金品や貸し借りの話はしなかった。ただ、謝りたかった。

 友はいつぞやよろしく「もういいっつってんだろ」と私の足を蹴る。ハンも、「あのエンシルなる男。頭やガルスの大将の友人ではありますがね。私は今一つ信用できませんで。そんな折に旦那が罠をきっちり試してくれたわけじゃないですか。いやぁ、助かりました。罠の性能を試すために罪人を使うってのも、どこからか話が漏れれば外聞が悪いもんで」と朗らかに言う。

 友には、ただただ感謝の念しかない。この男は本気で私の身を案じ、無事を喜んでくれている。

 ハンは……冗談めかして場の空気を和ませるのはいいが、目でも笑え。「もし本気で襲いにきたらタダじゃおかねえ。うっかりでもしばく。というか、殺そうと思えば一応死ぬんだな」という本音が透けるどころか丸見えで、肝が冷える。




書きたいことを書いてたら、一話にまとまりませんでした。ラーナルクや衛兵隊の話は(後)で。
七割方書き上がってるんじゃなかったかって? ホントすみません。加筆してたら割合は減るんです。

前書き粗筋についてのアンケートです。私は本文は固くとも、活報や前書き後書き、あとは作品粗筋なんかではある程度フランクだと思うんです。まぁ、あまりふざけず端的に書いたつもりですが。でも、実際そのあたり読み手としてはどうなのかなと。有無の前に、書き口で迷ってます。ご協力くださいまし。例によってそのとおりにするとは限りません。ご了承ください。

  • 雰囲気が崩れるから、本文と同じく固めに。
  • 完結であればどっちでも。
  • 積極的にポジティブに北京だってボケてけ。

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