DARK SOULS → SKYRIM でまったり()スローライフ()   作:佐伯 裕一

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感想返しで「一週間後くらいには上げる」とかほざいておいて、一ヶ月以上経ちました。例によって言い訳は活報でしますが、もう「いついつ上げる」とか言うのやめます。
それから、前回、アンケートにご協力いただき、ありがとうございます。このところ何度か立て続けでお世話になっているあたり、我ながら試行錯誤の感がありますね。
粗筋でボケるか真面目に行くかは、その回や前後の回の雰囲気からケースバイケースでやっていこうと思います。「玉虫色」「普通じゃん」って思われるかもしれませんが、相反するご意見をいただいた以上、どちらかを蔑ろにはしたくないので。

また、ぽんぽぽ様、麦茶太郎様、誤字報告ありがとうございます。大変助かりました。
ちなみに、私が感嘆符の後に空けている半角のスペースを全角に直す誤字報告をしてくださった方がいらっしゃいました。
お手間を取らせてしまい大変申し訳ありませんが、あれは私の癖で崩すと気持ち悪いので(初めて入社した出版社で教えられ、それ以来私は感嘆符の後は半角なのです)、少々読みづらいかもしれませんが、このまま半角スペースで行こうと思います。ご理解いただければ幸いです。

前回の粗筋。
私兵就任から四年が経過。思い出を振り返る。
1.魔術師をこき使って町の拡張工事。現在は一段落したため、港湾工事に駆り出されている。
2.オリ主の叙事詩と専用の触媒を用意し、転移奇跡完成。ついでに、スカイリム漂着以来、初死亡。


三四、四年経って(後)

 そういえば私の転移奇跡(名を『旅路』と言う)だが。これはあまり乱発できる類のものではないようだった。一度の行使で、酷く力を消耗するのだ。

 王の器を以て行使するのが本来の形。それを触媒と叙事詩(聖書)を用意したとはいえ、一人の力で行おうと言うのだから、さもありなん。これが準神と神の違いだと考えれば、それなりに納得もいく(ロスリックの王子殿は呪い持ちであり、また別の話だろう)。

 その代わり、「場所が近かろうが遠かろうが、一度は一度」という数え方のようで、転移先が遠くなるほど力の消耗が激しい、ということもないようだった。これに関してはかなり有り難い。そもそも遠出するときくらいでしか使わないのだから、益しかない。

 

 そしてこれは副次的な話だが、私にマジカ回復薬は作用しないことが判明した。単純な体力回復薬も同様だ。

 その他、毒や能力を高める類の薬は効果があった。あくまでこの体が回復薬を受け付けないらしい。

 ブレックス宅で起きた()()を繰り返さないように、『旅路』について試しているうちに判明したことだ。

 

 失った力の回復をと思いエストの灰瓶を傾けたのだが、ふと思い立ってマジカ回復薬を飲んでみた。折角大量にあるのだから、私が使っても罰は当たらんだろうと思ったのだ。それに、マジカ回復薬が私にも使えるのなら、強力な魔法を放ち放題である。そのうち起こるであろうサルモールとの戦争でも、一方的に蹂躙することが可能かもしれない。

 だが、そううまい話ばかりとはいかなかったのだ。先述のとおり、この体は二種のエスト瓶でしか回復しない。もしくは、それ用の装備でしか。

 

 魔術的原理だの理論だのはおそらく通用しない。「不死人の体とはそういうものなのだ」という、説明にならない説明しかできない話であるように思う。言ってみれば「かなり変わった体質」というだけの話であるしな。そのくせ毒はしっかりと効くのだから眉をひそめるくらいはした。

 まぁ、なんとなくそんな気はしていたので別にいいと言えばいい。

 ただ、ソウルの奔流を乱射して軍勢を薙ぎ払ったり、太陽の光の槍を投げ続けて敵の城壁を壊せたら楽しそうだな、とは思っていただけに、少し、本当に少しだけ残念に思わなくもない。

 というか、大学の連中はソウル体系の魔術の基礎を習得し、その回復にはマジカ回復薬を用いている。彼奴等が良くて私だけ駄目だというのは、少々不公平ではないかとそんな気分はする。別に、それほど気にしてはいないのだが。いや、本当に。

 

 そのあたりをブレックスやアグス師に話してみると、「普通、転移や漂着などという一大事に見舞われたら、まず何ができて何ができないのか、いの一番に確認しないか?」というようなことを二人から言われた。

 スカイリムに着いてすぐ後の友に出会った、だとか言い訳は浮かぶのだが、そのブリニョルフとて互いの事情を割りと早い段階で打ち明け合っている。要は色々と確かめる(いとま)はいくらでもあったのだ。私は吐きかけた言葉をぐっと堪えた。

 その様子を、場所も時間も別々に話したはずの二人は揃って同じように白けた目で詰って来る。

 私とて好きで愚者街道を往きたいわけではない。ないのだが、相手は特に面倒事を押し付けている二人であり、なおかつその言に全く以て反論能わず、やはり諸々の駄々は飲み込むしかなかった。二人はまたしても揃って、ため息をついた。なかなか、悔しい。

 

 

 

 

 閑   話   休   題   (気分の悪い話題はとっとと切り上げるに限る)

 マジカ回復薬で思い出したわけではないが、拡張工事が順調に進捗しているのを眺めていた頃、私に錬金術の弟子ができた。

 ……要らないが。

 名はコランドという。

 ……滅多に呼ばないが。

 

 いや、私以外の錬金術師自体は欲していたのだ。だから早いうちからサボスへ、「大学に錬金術の得意な者がいれば紹介してほしい」と頼んでもいた。

 私は私兵としての働きをしなくてはならないし、それ以外にも色々と用がある。いい加減、町全体の面倒を一人で見るのは限界に来ていた(とは言うものの、大学に入学が叶った者からすれば、何故わざわざ『町の錬金術師』如き存在に納まらなければならないのか、という話だそうで。「今なら漏れ無く『首長お抱え』の称号も付いてくる!」と宣伝したのだが、効果は無かった)。

 だから町に新しい錬金術師がやってくること自体は喜ばしい。しかし何度考えても、なにゆえ同業者ではなく弟子なのか。

 

 

 

 コランドは、聞けばわざわざリフテンから私を追って来たのだとか。

 リフテン下層に店を構える酔狂な御仁の下で修行に励んでいたらしく、少し前に一人前と認められたそうな。

 そうして、リフテンか、師の商売敵にならぬよう何処か適当な近隣の町や村で働こうと考えていたときに、私の噂を聞いたと。

 曰く、リフテン貴族のスノー・ショッド家や、遠くマルカルスの豪商が伝手を離したがらない腕前。曰く、ウルフリック・ストームクロークに懇願され、「一年だけ」という約束で困難な調合依頼を受けた逸材。等々。

 前者は盗賊共がでっち上げた全くのほら話であるし、後者は事実が捻じれに捻じれて伝わっている。あの横柄なウィンドヘルムのお抱え錬金術師は気にしないだろうが、私が受けたのは下請け仕事だ。

 

 コランドとしては、自分がリフテンで修行していた頃に同じ町で名を上げた錬金術師が存在する、という事実が我慢ならなかったらしい。「何故気づけなかったのだ!」と憤ったらしいが、存在しないでっち上げなのだから気付きようもない。

 

 そうとは知らぬ当人は私の館の戸を叩いて、自分と錬金術で勝負をしろと詰め寄って来た。

 正直なところ面倒だったものだから、私は「噂は所詮噂」と説いて、町の錬金術師を務めてくれるよう頼んだのだ。だが、噂の真偽がどうであれ、一度火が付いたからには白黒はっきりさせなければ収まりがつかない、のだとか。

 それで、まぁ、あまりにしつこかったものだから、不快感を全く隠さないまま勝負を受けた。何度かブロードソードを取り出しかけたが、私の手元にソウルの淡い光が宿る度に強張った顔の付き人が止めるので、堪えた。

 

 ただ少々予想外だったのは、それがどういうわけか町の催し物になってしまったことだ。

 町は復興の途上で、まだまだ物が少ない。やっと流しの鍛冶師が根を下ろしてくれることになり、急ぎ鍛冶場を作っている程度の規模なのだ。吟遊詩人も滅多に寄り付かない。

 要するに、町の住人は娯楽に飢えているのだ。

 そんな折、元々は錬金術師として住民に受け入れられた首長の私兵に対し、よりにもよって錬金術で喧嘩をふっかける向こう見ずが現れた。さあこれは見物しなくちゃ損だ、とかなんとか。

 普段、町の住民達には色々と世話をかけている自覚がある。勿論、その分町の暮らしは豊かにはなっているが、どこか人気商売の気がある私としては強く出づらい。そのため、最終的には「もうどうにでもしてくれ」という気になっていた。

 

 投げやりになったのがいけなかったのだろうか。いつの間にやら町の広場に錬金器具の作業台が二つ設置され、小規模な祭りの様相を呈してしまった。

 ほとほと面倒だとぼやきながらも、酔ってやかましい野次馬の輪の中で、私達の勝負は始まった。

 何が楽しいのか、大学からアグス師が来て審判に収まっている。曰く、デイドラロードが只人に翻弄されている姿が見たかった、とか。引っ叩いてやろうかと思った。

 

 

 

 開始時刻は朝餉が済んだ頃。日が中天に昇るまでの間に指定された数種の薬品を作り、その出来を競う。

 こんなものを眺めていても退屈だろうと思いきや、何をトチ狂ったのかハンが解説役として出張っている。素人にもわかる、丁寧な解説だ。例え話もうまい。

 だが、「今、それは必要なのか?」と私は聞きたかった。言いくるめられそうだったので止めたが。私と奴とでは頭の出来が違う。

 あの男、強面な相談役の腹心として、実はそれなりの立場を築いている。元々人心掌握に長けているうえ、人当たりの良い穏和な態度が、行政側の人間の持つ威圧感を覚えさせないのだろう。司会進行とアグス師を交えた解説を行う姿は、みんなに親切な区長のおじさん、といった風情だ。その溶け込みっぷりはある意味、盗賊の鑑と言える。

 それはそれとして、勝負自体は特筆すべきことも無く私が勝った。

 

 始めはアグス師の審判に唾を飛ばしながら食って掛かったコランドだが、師から私の作った薬を飲むよう言われて従った直後、膝から崩れ落ちた。いつの間にか料理まで持ち寄って宴会を始めている野次馬共が盛り上がる。

 だが、そこでコランドは諦めなかった。曰く、折良く昼を境に()()()()が終わった。昼餉を挟んで()()()()だ、と。今度は制限時間内での生産数で勝負だ、と。

 我がことでありながらおざなりになり、勝負の形式をきちんと決めていなかった私も私だ。しかし、あまりにしつこすぎないかと腹が立つ。もう、「殴って気絶させて解散」でいいのではないかと思い詰め寄ろうとしたとき、アグス師に「この手の馬鹿は有耶無耶にするとあとが面倒だぞ」と耳打ちされる。野次馬も、勝負を受けろ受けろとうるさい。

 

 しぶしぶ第二試合とやらも受けて……やはり私が勝った。

 私は盗賊連中に()()()()を受けて腕を磨いた後は、行く先々で実地訓練を積んできた。イーストマーチではあの横柄男の下請け仕事を熟しもしたのだ。寧ろ、質を高めるより数を揃えるほうが得意である。

 

 再び崩れ落ちたコランドは、恥も外聞も無く悔し涙を流した。そうして少し場がしんみりしたところで勢い良く立ち上がると、「弟子にしてください、師匠!」とよく通る声を張り、頭を下げてきた。

 いやその呼称は既に師弟関係にある者が使うべき、と疲れた頭でずれた物言いをしていると、野次馬共が盛り上がる。どうやら、潔さと、その道での向上心を失わない不屈さに感じ入ったらしい。弟子にしてやれしてやれとうるさい。

 酔っ払い共が「男を見せろ!」と好き勝手に騒ぎ立て、アグス師が意地悪く笑い、「これは承諾しなければ収集がつかないのでは?」「もう本当にどうにでもしてくれ」と思った私は、流されるままにコランドの弟子入りを許可してしまった。

 男泣きに泣いて我が手を握るコランドと、げんなりした顔の私と、馬鹿騒ぎを続ける野次馬共を見て、盗賊連中がげらげら笑っていた。妙にその声が耳に届き、ひたすらうるさかった。

 勝負には勝ったが、結果としては負けた気分である。

 

 

 

 それ以来、コランドは元気な挨拶をしに、私の館を訪れる。工房付きの家屋をちゃんと用意してやったのに、わざわざ毎朝大声で。

 その場で追い返すのも外聞が悪いので、朝の食事はコランドも共に卓を囲むことになった。丁度いいので、その際に溜まっている依頼を伝えることもある。

 

 意外だったのは、ラーナルクがこの何かと喧しい男に好意的な態度を見せたことだ。

 曰く、お父さんの仕事が減るのは好ましいこと。

 更には、仮に何か薬関係で不祥事があった際、厳密にはお父さんの責任となる場合であっても、罪を被せられる立場の人間を確保できたことは大変好ましい、とのこと。

 色々注意が必要な気もしたが、この頃には十五も過ぎていた。今更性根は変わらんだろうと考え、とりあえずこんな父を慕ってくれる愛息の頭を撫でた。

 ちなみに、ラーナルク自身も並の錬金術師程度には使える。盗賊連中から教わったものと、私の仕事を「見て覚えた」らしい。「『できないこと』のほうが少ないのでは?」と思える、恐ろしい子である。

 そのためコランドは、ラーナルクのことを兄弟子と捉えて、敬い接している。実年齢は壮年のコランドのほうがずっと上だが、その手の上下関係には自分を含めて厳しいらしい。まぁ、私の可愛い息子とうまく付き合っていけるなら、その点についてのみ今のところ文句は無い。

 

 

 

 

 

 そんな若干迷惑な弟子でも、いないよりは良かったらしい。コランドが来てから多少は時間に余裕ができたので、衛兵隊の訓練を本格化させた。有体に言えば強度を上げてしごき倒すことにしたのだ。衛兵隊には通常業務もあるため、基本的に訓練は日替わりである。

 

 訓練だのしごきだのと言っても、やったことは単純だ。毎日ひたすら走らせ、非番の訓練組は「へばってからが本番」とばかりに小隊同士の戦闘を繰り返させた。勤務に就く非訓練組は警邏ついでに行軍訓練だ。脱落者無く指定の地点を全て回るよう、指示してある。……そう考えれば、ずっと訓練だな?

 走り込みと行軍訓練だけは、私の私兵就任以来続けさせていた。そのため、最低限の基礎体力は既にできている。

 それに一応、五日に一度は休日を挟むようにはした。つまり四日訓練を行い、一日の非番。これらを班ごとにずらして行い、通常業務へ支障が出ないようにしている。闇雲にしごいても、疲弊するばかりで身体がついてこなくなるだろう。

 心も同様だ。気持ちが折れて立てなくなることがある、とは私こそが痛いほど知っている。ついでに、町で私の悪評を有る事無い事触れ回られても困るのだ。

 

 

 

 小隊同士の演習では、人員や装備を固定せず、流動性を持たせた。指揮官と隊員。前衛と後衛。剣と弓。全員が一通り経験し、全てに『精通』まではせずとも、連携における役割を『理解』するように。また、負傷などで欠員が出ても、すぐ役割を代われるように、という意図もある。

 私も正規の訓練を受けたわけではないので経験からだが、攻めるも守るも、仲間と呼吸を合わせることが第一だ。一人でも勝手な動きを見せれば、そこから崩されることはままある。

 あえて定石を外した動きで意表を突くこともあるが、それもまず基本を押さえての話。

 

 ある程度きりが付いたら、締めに私と順繰りで組手を行う。小隊でも、個人でも。連携と個人技能の更なる強化が名目上の主目的だが、本音は恐怖への耐性を付けさせるためだ。

 ここでは「殺しまではせずとも、別に重傷者が出たとて構わない」程度のつもりで揉んでやる。怪我は私が治せばそれで済む。そのうえで日常的に死にかけていれば、ユンゴル墓地でのような無様は曝さなくなるだろう。そう考えてのことだ。

 

 とはいえ私がいくら張り切ろうとも、衛兵隊がそれに付いてこられなければ意味が無い。誰もが強い克己心を備えているわけではないのだ。

 一応、演習での役割の入れ替えは、訓練への慣れによる意欲の低下防止も兼ねている。だが、そんな一工夫だけでは腑抜けた衛兵のやる気は向上しない。

 そのため、演習の結果や個々人の努力が見えれば、小遣い程度の手当を出すようにした。酒をまとめて買うなり、ひと月のあいだ汁物に入れる具を一品増やすくらいはできる額だ。元々衛兵隊の給金は、身体を作るために用途を「食材購入」と指定して増額してある。そこへ上乗せする形だ。

 更に、成績優秀者は給金の倍増と、隊長格への就任を言い渡した。最終的にはこの場の全員を小隊長以上の地位に就けるつもりだが、早い者勝ちで名誉と高い報酬を約束する。第一小隊長と第○十小隊長では、明確に扱いの差異がある、といった具合だ。

 尤も、それらの()だけでは到底足りない様子だった。

 

 

 

 そこで、ラーナルクを訓練に参加させてみた。

 あれは兜入手の一件からこっち、町全体から一目置かれている。同行した衛兵隊員は若い戦友の話を吹聴したし、付き人達はここぞとばかりに乗った。盗賊連中が動いたせいで、町であれを知らない者はいない。

 そんなラーナルクを参加させた目的は、自分達より上等な腕前の若人を見せて奮起させる…………ことではない。言い方は悪いが、見せしめだ。

 

 甚だ不本意な話なのだが、どうも私とあれとの鍛錬は『かなり大変多分に()()()()()いる』らしい。付き人の一人が相当に言葉を選んだ挙げ句、漏らした言い草だ。

 確かに生傷は絶えないが、無理はさせず回復の奇跡もまめに唱えてやっている。幼子の昔ならいざ知らず、今は手足もほぼ伸び切った。それに、あれのほうからせがんでくることはあれど、鍛錬を強制したことは一度も無い。

 ……無いのだが、彼奴等の言う()()()()ではそうらしい。

 私がその評価を面白くなく思おうがなんだろうが、()()見えるのならば利用しない手はない。別段、愛息との鍛錬を隠し立てする理由もないのだから。

 

 そうして、私は衛兵隊の前でラーナルクをひたすら転がし続けた。

 

 ラーナルクが訓練に参加した初日の組手の話だ。

 あれが盾で身体を隠しつつ吶喊。右へ左へ虚実を交えながら私の懐近くまで接近し、盾を私の剣の持ち手あたりから大振りに跳ね上げる。反動で、舞うように自らの剣を私の右足の付根内側へ刺し込んで来る。ここまで近づけるようになったとは、素晴らしい。だが遅い。私は真半身になりつつ一足分前進し、剣を鎧の草摺で受け、外へと流す。そして近づいた前足の膝でラーナルクの顔面を蹴り上げる。

 ラーナルクの体勢が崩れて盾が役立つ場面ではなくなってしまった。それを悟ったあれは瞬時に迷いなく盾を捨て、蹴られて仰け反った姿勢を利用し、私が剣を持つ右手に足まで使い絡みつく。ラーナルクはまだ剣を捨てていない。腕を極めつつ、急所への刺突を狙っているのだろう。首? いや遠い。肘……脇だな。

 そうはさせまいと極められた腕ごと地面に叩きつけてやろうと思うが、見れば背を下にしている。私の考えを読み、一度の衝撃ならば耐えて見せるとの意気なのだろう。天晴だ。だが事前にバレてしまっては意味が無い。私は身体ごと左手側へ倒れながらラーナルクを振り回し、大きく弧を描いて地に振り下ろす。ラーナルクは衝撃に耐えるどころか、遠心力で腕からすっぽ抜けそうになっている。これでは急所に一撃、とはいくまい。

 流石にそのまま腕に掴まっていては背どころか頭から落下しかねないため、空中で咄嗟に関節技を解くラーナルク。だがまぁ、離れるなら離れるで、顔面を蹴って目潰しを狙うくらいの置き土産があっても良かった。おかげで、ほら。宙へ浮いた身体へ私の蹴りが易々と入る。ラーナルクは土手っ腹を蹴られてそのまま十数歩分吹き飛び、練兵場の壁に激突した。後頭部はどうにか守ったようだが、衝撃で即座に飛び起きることは叶わないらしい。その一瞬が命取りだ。

 ラーナルクが起きてこないのなら、私から攻める番だ。滑るように移動し、速度を活かして壁際でくたばっている愛息へ蹴りを叩き込む。避けられず、直撃。ならばもう一度。今度は両腕で防いだ。防御ごと蹴り抜こうと、更にもう一度。だが今度は右肩で蹴りを滑らせつつ、どうにか壁際から転げ出た。

 私が追撃を、と思えば蹴り足の右太腿に短剣が刺さっている。右肩から背に流れる私の蹴りの威力を利用し、右肩を軸に腕を回転させて革鎧の薄い場所に短剣を見舞ったようだ。そう、相手の攻撃は、自らの攻撃の好機でもある。攻防は極力、一体の挙動であることが望ましい。いいぞ。

 ただ、無理に使ったせいで、右肩から腕がだらりと垂れている。関節が外れた……というより、肉が潰れて骨が割れたのだろう。血に濡れて裂けた服から傷が見えるが、徐々に皮膚がどぎつい色へと変色しつつある。出血しつつ鬱血しているとは。この手合わせ中はもう、使い物にならんな。

 

 さて、ラーナルクは右腕が使用不能になった。私は右足に短剣が刺さって動きが鈍っている(実際のところ支障は無いが、鍛錬故、そういうことにしておく)。お互い四肢の一部を損傷したわけだが、動きの基点となる足を取られた私のほうが不利であろう。

 折角の好機。活かさぬ手はあるまい。どう攻める?

 …………と待ち構えていたら、ラーナルクがふらりとよろけて、そのまま倒れた。どうも、無理に立ったはいいが、頭が衝撃で揺れていたらしい。これは仕切り直しだな。

 

 そんなわけでいつもどおりラーナルクへ回復をかけていると、衛兵隊の怯えきった表情が見える。どうも、私が愛息を殺しにかかっているよう見えたらしい。

 僅か十数えるかそこらの組手で何を馬鹿な。

 たしかに、ラーナルクの右肩は壊れたし、計三度蹴りを見舞った腹も臓器を痛めていたが、治るのだから問題あるまいに。実際、この程度で泣き言をいうようであれば、我が愛しの息子はユンゴル相手に殺されていただろう。

 鍛錬とは真剣に行うから意味がある。真剣とはつまり命のやり取りだ。多少の手心は加えるにせよ、骨が折れただの()が傷ついただのと喚いたところで、敵は止まってくれない。その状態でどう反撃に転じるかを身体に馴染ませるのだ。

 回復の奇跡が無くとも、効能の高い回復薬は少数とはいえ市場に出回っているし、何なら私が作れる。今は弟子もいる。死にさえしなければ、何の問題もない。我がウィンターホールド衛兵隊に、傷痍隊員はあり得ない(ちなみにだが、名誉除隊もない。此奴等には悪いが、平穏な生活へと逃がす気が私には無いのだ)。

 ラーナルクはそのあたりを正しく理解している様子である。回復をかけながら、あれは良かった、あれは甘かったと論評してやれば、充実した顔で耳を傾けている。

 

 

 

 その間も「次は自分達か」と戦々恐々しているのが大層鬱陶しかった。だが、誠に遺憾ではあるがここで衛兵隊を見限っては話にならん。ので、衛兵隊へは今までどおりの程度でしか組手を行わない、と告げた。但し、希望者は徐々に強度を上げていく、とも。

 

 手当や報酬などの飴は示した。自分達よりも厳しい鍛錬の様子も見せた。度し難い阿呆でなければ、欲と怯えからある程度真面目に訓練をこなすだろう。そして、常に限界を超えさせるような訓練に耐え続けていれば、必ずそれらは身につく。何せ怪我の類は漏れ無く私が治すのだ。戦線離脱の道は丁寧に潰してある。であれば、訓練は否が応でも血肉となる。私がさせる。

 

 すると今度は、新しい欲が出てくるだろう。実力が付けば、自信が付き、自信が付けば、更に上へという欲が。もっと強く在りたい。自分はそこいらの凡蔵とは違う、精鋭なのだ、と。そのための自己申告制である。

 

 ノルドの中には、ウィンドヘルムのガルマルのように剛の者も居るには居るのだ。奴が頭一つ抜きん出ていたとしても、近い実力を持つ戦士が皆無というわけでもあるまい。そして一年間かけて眺めた結果、イーストマーチの衛兵隊は総じて練度が高い(中には盗賊に始末された凡蔵の如き者も混じってはいたが)。

 同じノルドがその水準に至っているのだ。ウィンターホールドの衛兵隊がそうなれない道理はない。

 と言うか、私が直々にあちらより少人数を揉んでいるのだから、イーストマーチの上澄み程度にはなってくれなければ困るのだ。計画に支障が出る。

 

 まぁ、私だけではそうそう上手にことを運べはしなかっただろう。だが、盗賊連中の世論操作もあり、結果として四年間で衛兵隊の訓練はそれなりの成果を見せた。

 未だイーストマーチの衛兵隊には及ばないが、五大都市以外の者等であれば、ある程度渡り合えるであろうところまでは。あとは続けるだけだ。継続は力なり。既に四年続いているのだ。この先も然程問題なく継続できるはずだ。もう四年、ないしは五年あれば、使い出のある連中に仕上がるだろう。そうして基礎が出来上がれば、色々と備えている秘密兵器を加えた独自の演習を繰り返し、完成だ。そのときが楽しみで仕方ない。

 

 

 

 

 

 これまた衛兵隊の話題で思い出したわけではないが、散々しごいた面子の中には、ラーナルクにけしかけて試験にした『元“賊の頭”』の姿もあった。名は、レンドと()()()。私の考えた此奴の使い道とは、衛兵隊の中堅所に置くことだったのだ。

 

 今のウィンターホールド衛兵隊は、まだ全員を見張れる程度の人数しかいない。しかし順調に復興が進んだ数年後には、衛兵隊の規模は何倍にも拡充している予定だ。とてもではないが、私と盗賊連中だけでは見張りきれない。

 そこまで組織が大きくなればどうなるか。確実に不正を働く者が出てくる。何故いい切れるかと言えば、私ならそうするからだ。

 常日頃厳しい訓練に耐え、町の住民達からは尊敬の目を向けられている。そうなればある種の特権意識が芽生え、多少の甘い汁は当然の権利だと考えるようになる。

 極めて凡庸な私が『仮に衛兵隊の一員だったのなら』と真剣に考えた結果、そのような結論に至った。ならばそれは特別的外れなものではないはずだ。

 

 そして、それは此奴等『現衛兵隊』かもしれないし、此奴等の下に付けた『未来の部下達』かもしれない。

 私自身は不正を絶対悪だとは考えていない。衛兵隊の本分は、脅威からウィンターホールド地方の住民を守り、時には首長の剣として外敵を討つことにある。職責が果たされ、不正の程度が目に余る惨状でなければ、私からとやかく言うつもりは無いのだ。

 しかし、それが組織として健全かどうか、という話になれば別だ。そして不健全な組織では、属する人員の質そのものの低下を招くことになる。これは亡き友等から聞きかじった話と、私がスカイリムで見てきた人間の有り様(ありよう)から判断した。

 

 そのため持論と矛盾するようだが、衛兵隊の質を保つためにはどうしても不正に対して手を打つ必要がある。

 そこで考えたのが、不正に走る方向をこちらで操作するための()()()()()()()を用意できないか、ということだった。つまりレンドを不正の元締めとして置いておき、不正を働く者を把握したり、その程度を操ろう、という話だ。

 賊討伐から帰還した後にブレックスへ相談したが、珍しく良い考えだと太鼓判を押された。ただ、念のために顔は変えておいたほうがいい、とも。

 私もそれについては考えていた。そのため、以前、我が友ブリニョルフから伝え聞いていた顔面改造医の元へレンドを送り、人相を変えたうえで衛兵隊へ所属させた。レンドという名も偽名だ。

 

 本人は「男前にしてもらったうえに甘い汁まで公認で吸っていいとは、気前がいいな」と軽口を叩いている。だがこの男、それで気を大きくする阿呆でもない。

 こちらの力が単純な暴力や盗みの業に留まらないことをあえて見せつけた、ということには気付いている。そして前もって伝えてもある。「真の自由は生涯訪れない」と。

 はしゃいだ様子を見せるのは、言ってみれば服従の証だ。自分は馬鹿な考えを持ってはいない。与えられた環境に満足している。だから自分を危険視して早まったことをしないでくれ。目の奥底に怯えを隠して明るく振る舞う様からは、そんな声が聞こえる。

 安心してほしい。私も、使える駒は嫌いじゃない。監視や不正をどの程度見逃すかの線引は盗賊連中の感性に任せるが、私は此奴が裏切らない限り、大事にこき使うつもりだ。

 末永く仲良くしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 盛大に前置きが長くなったが、この四年間を振り返るきっかけになったラーナルクについて、である。

 心配事も増えはしたが、なかなか面白いことになっている。だからこそ、私は決意するに至った。至ることができた、と言ったほうが正確か。

 

 まず、訓練に参加させたことで衛兵隊と更に打ち解けることにはなった。というか、どうも同情されているらしい。私から虐待を受けているのではないか、と。本人は憤慨して自分から望んだことだ、と弁明したらしい。だが、折角仲を深める話題ができたのにそれを殺すのも勿体ない。せいぜい同情を引き出して、衛兵隊の心を掴め、と言ってやった。あれの顔には「甚だ不本意だ」と書いてあったが。()い奴。

 とはいえ、そろそろ私が絡んでも問題なく腹芸をこなせるようになってほしいと思っていたところだ。若干無理にでも納得させた。どうしても我慢できないときは、ハンを思い出せ、とも。かなり複雑な表情をしていたのが、これまた何とも愛らしくてたまらなかった。

 

 

 

 そうして何をやらせたかと言えば、この四年間は衛兵隊と共にひたすら仕事を押し付けた。

 衛兵隊との合同訓練の他にいつもの鍛錬も続けていたわけなので、ほぼ休み無しである。

 そのせいか、なかなか精悍な若者になったと思う。上背こそ私より頭半分低いが、平均的なノルドの中でも大柄だ。それでいて速度を殺さないよう引き締まっているのだから、なかなかの男ぶりと言える。

 流石は我が愛息である。外見には似つかわしくないのを承知のうえで、いいこいいこしてやりたくなる。

 

 ただ、ちと(かんばせ)が良過ぎる。度を越して、だ。女殺し、と言えるくらいには良過ぎる。

 ただでさえ腕が立ち、立場ある私の倅なのだ。更には、言うまでもなく、頭も切れる。本人が乗り気かは別として、甘い雰囲気を作ったうえでの小粋な冗談の一つや二つなど、造作も無く披露できるはずだ。

 そんな非の打ち所が無い我が愛息である故、何処の馬の骨ともわからぬ女に(そそのか)されないか、父は毎日、気が気ではない。『男』の先輩としての経験上、『男』とは時として畜生程度の知性しか発揮できないことがある。若いうちは特にそうだ。本能に負ける、ということが無いとも限らない。あれも男である以上、「(ウチ)のラーナルクに限って」とは言い切れないのだ。

 その心配から、自由な時間をなるべく削ろうと更に仕事を振ってしまったのだが……。あれはどうも面倒事に巻き込まれる星の下に生まれたのか、冒険に愛されているのか、上がってくる報告は興味深いものが多い。

 

 例えて曰く、(きた)る海上交易に備えての灯台整備、その前段階としての調査について。現地にて怪しげな物音を聞く。辿った結果、灯台地下に広大な空間を発見。そのほとんどがシャウラスの巣と化しており、高い危険度と有用性により、私兵殿の出陣を乞う。などだ。

 実際に私が駆けつけてみれば、報告通り、灯台の地下に掘られた空間にはシャウラスの卵がびっしりとあった。

 賊が住み着いてやいないかと軽い気持ちで(実際、主目的は行軍訓練であった)見に行かせて、まさかそんなものを見つけて来るとは誰も想像していなかった。ついでに言えば、それだけのシャウラスがファルメルとやらの世話も受けずに、何を餌にしてそこまで繁殖したのか、全くの謎である。壁に生えた茸では到底足りない。わからないことだらけだ。

 シャウラス自体は、生きていた個体の全てをラーナルクと衛兵隊で片付けたらしい。地を這う幼虫も、変態後の成虫もだ。

 普通なら、あとは卵を回収するか焼き払うかして話は終わりとなる。だが我が愛息は、私に錬金術師としての顔があることを忘れてはいなかった。

 

 私は灯台の様子を確認してすぐさま、ブレックス、エンシル、サボスと協議し、ウィンターホールドの地下にシャウラスの養殖場を増設することにした。

 管理を誤れば灯台の二の舞いに成りかねないが、そこは魔術大学の出番である。壁をシャウラスが掘り拡げられないほど硬い岩に変えて、完全に空間を固定した。岩石脆化魔術の応用、真逆の効果のものを用いたわけだ。

 シャウラスの卵はニルンルートのように特別高価で貴重な錬金術材料ではない。しかし労せず大量かつ消費地の至近で手に入るのなら、それに越したことはない。

 ついでとばかりに数種の茸の栽培にも着手している。シャウラスの餌になるうえ、逆にシャウラスの死骸を養分に茸が繁殖することもある。アグス師の執務室にも錬金術材料の養殖場はあるらしいが、種類は豊富でも規模は小さい。大量生産が可能な施設があっても良いだろうと判断したのだ。

 

 

 

 またあるときは、曰く、山賊が根城にしていた洞窟から、極めて珍しい貴石を発見した。当方、並びに付き人にもその価値は図り知れず、相談役殿の助言を乞う。ときたものだ。

 なおそれに続いて。古代ノルド墓地にて、先日同様の貴石を発見。物自体も、それを修める小箱も共通しており、関連性が高いと思われる。とも。

 

 余程状態の良いものであれば、閣下のサークレットを新調してもいいかもしれない、程度に考えていた私は度肝を抜かれた。

 後日ラーナルクが持ち帰った貴石をブレックスに見せてみれば、それは『バレンシアの石』と呼ばれる物だったそうだ。貴石は全部で二十四個あり、スカイリムのどこかにあるはずの王冠に全てを収めると、それを成した個人のみならず、個人が属する組織全体へ幸運を齎すのだとか。

 それがどれほど珍しいかと言えば、盗賊ブレックスでさえ文献や噂話でしか聞き及んでおらず、少なくとも盗賊ギルドには数世紀のあいだ存在しなかったのだ、という。

 紛うこと無い秘宝であり、そんなものを通常業務のついでにほいほいと見つけてくる我が愛息に溜息が出た。

 

 

 

 私は愛息をこき使っていたに過ぎない。海運のためには灯台が不可欠であるために、その機能を確保せよ。賊が出たとの陳情を受けたので退治して来るように。怪しげな集団が古代ノルド墓地に住み着いたらしいから、退治して来るように。それだけの話だ。

 これが普通の冒険者であれば、依頼をこなして、執政か、我がウィンターホールドで言えば相談役殿から報酬を受け取って終わり。それだけのはずだった。

 しかしラーナルクは、灯台へ行けば、僅かな異音から地下に蔓延る大型害虫の巣窟を発見し、町の益とする。洞窟や墳墓へ行けば、賊共の話を盗み聞きし、秘宝の存在に辿り着き奪取する。

 

 実を言えば他にも色々とあるのだ。デイドラ崇拝者らしき集団を発見。刺激した結果の被害を鑑み、報告を優先するためその場は口裏を合わせ離脱した。だとか。

 帰還途中にサルモール司法高官一行と遭遇。咄嗟にホワイトラン名家バトルボーンの名を騙りやり過ごす。行き先を確かめるために単独での追跡行に移る。だとか。

 

 何故かラーナルクが関わった案件は、冒険の色を帯びることが多い。そのせいなのか、衛兵隊の中でもラーナルクを英雄視するものが増えてきている。その手の騒動の主役になるのは、『ショール』の導きなのだとか。

 自ずと、あれへ下される指令へ同行したがる者が続出し、そんなに元気が有り余っているのならと訓練の強度を一段階引き上げたこともあった。

 まぁ、物語の登場人物になりたいと考える気持ちは、私にも理解できる。実際はそれほど良いものでもないというに。

 

 が、重要なのはそこではない。非凡なる我が息子は、その才を活かすに見合った身体と経験を十分に得た、と私が確信できたことが重要なのだ。

 もう、冬の寒さに恐怖する幼子でもなければ、狼の群れを相手に苦戦していた少年でもないのだ。今なお年若いが、どこへ出しても恥ずかしくない戦士に育った、と。

 

 そう判断した私はある日、ラーナルクを館の地下空間に設けられた第二の執務室へ呼びつけた。そこには、町の相談役であるブレックスとその陰ハンがおり、ほかにも盗賊ギルド幹部ブリニョルフ、ウィンターホールド魔術大学研究員エンシル、それに元盗賊ギルド幹部カーリアの存在があった。

 あまり一堂に会することのない面子に、何事か、と身構えるラーナルクへ私は事情を説明し、そのうえで言う。

 

「息子よ。お前は強くなった。今こそ、その力を父に貸してほしい。つまるところ、父はそろそろメルセル・フレイが邪魔なのだ。その排除の下準備を、お前に任せたい」

 

 告げられたラーナルクは、やや狼狽し、目を泳がせている。珍しいことではある。しかし予想していたことでもある。

 ホワイトランからこっち、至らぬ親ではあったが、私はこの子をずっと見守り続けて来たのだ。そして幼子は青年へと、孤児は戦士へとなった。私は()()()()だと考えたが、どうだ、ラーナルクよ?




いつ上げる、とは言えませんが、次回は閑話の形を取ろうかと思ってます(予定は未定)。
あと、まあまあ精神的にヤバいので、感想や評価なんかで慰めていただけると嬉しいです。
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