DARK SOULS → SKYRIM でまったり()スローライフ() 作:佐伯 裕一
謝っておいてなんですが、お待ちいただき、また更新が途絶えている最中にも応援の感想やメッセージをいただき、本当にありがとうございます。再開の原動力になりました。そちらへの返信も、時間を見つけてさせていただきます。
また、宝船の船頭様、ばんだみんぐ様、Lucille Felix様、アカギ様、誤字報告ありがとうございます。大変助かりました。
※地理や方角を示す際、古い言い方では東西を先に持ってきます(天気予報「午後からは北西からの風が~~」 三国志演技「諸葛孔明は東南の風を~~」 日本地理「東北地方」)。オリ主のキャラ付的に、そちらを採用しています。
前回の粗筋。
鰤がラーを慰め、助言。
オリ主含め大人組は悪巧み。
ウルフリック、最近調子が良くて油断していたら色々予定をひっくり返された。
── リーチ攻略一日目。
私は出来物と評判の先人に倣い、出来事や考えを手帳へ書き記すことにした。
とはいえ、毎日まめに書く保証も無い。先人の日記とは違い、手記、とでも表するのが相応しいように思う。
そも目的からして、『自分の考えを纏めるため』『見落としや計画への悪影響が無いかの確認のため』という趣きが強い。何なら、これをそのままブレックスへ見せながら中間報告を行ってもいいと考えている。
そういう意味でも、基本的には他人に見せることの無い日記とは違う気がする。
それに、日付に関してはかなりいい加減だ。『リーチ攻略一日目』としたが、実際のところ、私は未だリーチへ足を踏み入れていない。いい加減な物なのだ。覚え書き、程度の物だとするのが妥当であろう。
一応それらしく書くなら、まずは天候からだろうか。
スカイリム西北部から西部にかけて、つまりはハーフィンガルからリーチの空模様は曇天。
まるで、起床時に欠かさずあった愛息の挨拶が聞こえなかったため何となしに落ち込んでいる私の胸中を映し出しているかのようだ。初日から気が重い。
── 二日目。
天候は相変わらず曇天。鬱陶しいことだ。
前日に引き続き、ハーフィンガルを適当に散策してみた。
……初日から早速、自分の行動を書き損ねている。やはりこのような覚え書きを残すこと自体が性に合っていないのか。それとも、ラーナルクのことが行動に支障を来すほどにこたえているのか。
前者ではどうにもならんが、後者であれば気を引き締めなければならない。私が言い聞かせて見送ったのだ。その当人が弛んでいるようでは、今頃、使命に燃えているであろう愛息に申し訳が立たんというもの。やるぞ。やらねば。やるのだ。
して、肝心のハーフィンガル散策行である。
別に強行軍で最終目的地のマルカルスまで駆け抜けても良かったのだ。しかしハーフィンガル地方の空気と、遠巻きにでもソリチュードの様子を見ておきたかった、という理由があった。未だ、このスカイリムに知らない土地は多い。
実際ハーフィンガルは、なかなか面白そうなところであった。
それなりな規模の賊が砦を築いていたし、噂によれば海賊も現れるらしい。そしてそれらを衛兵隊が見つけ次第、潰して回っている。そして潰されてはまたどこからか湧いてくる。そんな土地だとか。
私自身の目でも見かけたし、山中で出会った狩人に食事を振る舞いながら聞きもした。なんとも賑やかな場所である。
つまり、それだけの富がスカイリム全土からこの地に集まっている、ということなのだろう。そしてそれは首長の座すソリチュードへ、と。本丸を目にする前から、相手の大きさが感じ取れるというものだ。
また、地理的にはスカイリム西北部に位置するハーフィンガルではあるが、北側の山や崖が風を遮っているためか冷たい海風はあまり感じず、南部は比較的温暖でさえあった。
植生も豊かで、とてもウィンターホールドやウィンドヘルムと同じ北部地方とは思えない。スカイリム中央部のホワイトランに似ている。錬金術の素材収集には困らなそうだ。
── 三日目。四日目。
一両日かけてソリチュードを偵察した。天候は曇天が悪化し、雨。
しかし偵察するには動きやすく、願ったり叶ったりとも言える。
尤も、偵察自体は肝心の町の中までは入れていないため、ほとんど城壁と崖壁しか目にしてはいない。
元々そのつもりではいたのだが、情報は多いに越したことは無いので、少々悔しい気もある。
しかし……、何と記すべきか……。
話には聞いていたが、この町は、大変、独創的な立地だと思う。
普通、町というものは拡張性を考慮して平地に作ることが多い。山城やその城下町であっても、山肌へ沿うように。それがどういうわけか、崖、というか巨大な岩のアーチの上に町が作られている。
天変地異とも言える自然災害に見舞われた町を復興しようと尽力しているこの身には、何を考えてこんな危機管理のなっていない場所に町を構えたのか、不思議で仕方がない。もっと直截に言えば「馬鹿ではなかろうか」とも。
政争による一時的なものとはいえ、このソリチュードから帝国皇帝が誕生したなど、崖の上の危うげな町を見るだけでは
本当に、何を考えてこんな立地にしたのか。
……とはいえロードランやロスリックにこの手の『安全性をまるで考慮しない町』が無かったかと言われれば、正直返答に困る。
寧ろ私の古巣のほうが酷かったのでは? とすら思える。どの世界でも、世は複雑怪奇である。
閑話休題。
ソリチュードの出入り口は、基本的に上り坂を突き当たりまで行ったところの正門一つのみ。
当然の如く衛兵の数も多いが、単純に人の出入りが激しい。忍び込むのは難しい。
攻める際にも、急な斜面を駆け上がらなければならない都合上、正攻法で攻め落とすのは極めて困難であると思われる。
おそらく、私一人が突撃したとて、巨大な門を破壊する前に射殺されるだろう。軍勢を率いても、相当な犠牲を覚悟しなければならない。
上り坂を途中右に折れて降った先には、港湾施設が整っている。
東帝都社の倉庫があることからも、規模はかなり大きなものだ。色々と立派な様子を見せつけてくれるその景観を、いずれは我が町にも、と目に焼き付けた。
もしかすれば、この海側のどこかから町の内部へ侵入するルートがあるかもしれない。土中に階段でも拵えれば距離的には不可能ではない。
ただ、あれだけ立派な正門を擁しているのだ。後ろ暗い者は避けたがるはずで、なればこそ衛兵隊の裏口への警戒は無いはずがない。
よしんばその手の裏口が使えたとしても、賊を数人潜入させるのがやっとな小規模なものと思われるし、それ自体が極めて困難だろう。
一応ブレックスにも相談してみるが、おそらく友のこと。潜入が可能かどうか、既に調査くらいはしているのではなかろうか。それで何も言って来ないのだから、やはり望み薄だろう。
結局、多少被害が大きくなろうが大手門に攻撃を集中させるほか無いのでは、と思う。
一応、市井の民や町への被害、それに付随する悪評を気にしないのであれば、多分、おそらく、町を破壊することは可能だ。本当に、可能不可能のみに主眼をおけば、だ。
やることは単純。岩のアーチ上に町があるのなら、そのアーチを崩してしまえばいいのだ。
それだけでソリチュードは壊滅し、ウィンターホールドと同じ道を辿るだろう。
……いや、『現上級王の座す地』という政治的価値を鑑みれば、その凋落ぶりは更に悪いかもしれん。
しかしそれを現実のものとする手段が極めて限られる。私の頭で思いつくのは、太陽の光の槍をひたすら岩のアーチの根本へ投げつける、というものだ。
石の鱗を持つ古龍を討ち取る奇跡であれば、岩石を砕くこと自体は可能なはず。
問題は、「一体何投すればアーチを崩すことができるのか」ということと、「轟音を撒き散らす奇跡を連発していれば確実に衛兵に見つかる」ということだ。
殺されても殺されても毎日毎日投げ続ける、のも手ではあるが、私の不死性の露見や労力、実現性を鑑みれば、工夫も何もなく正面から大手門を攻略すべきだと思われる。
岩石脆化魔術や火薬を使うことも考えたが、魔術は町側でも対応しているだろうし、それら工作は絶壁を登るなり町側から降りるなりしたうえ、作業地点にしばらく留まる必要がある。やはり衛兵に見つかるだろう。
一応、最終手段かつ九割冗談の策と前置いたうえで、ブレックスへ提案してみる。
── 五日目。六日目。
ソリチュードの馬屋にて丸一日暇を持て余した後、マルカルス行きの乗合馬車に乗った。
これは、予めブレックスからも通達されていたことだ。私がそれを、うっかり忘れたりはしなかった、という証をここに残しておく。
なんでも、マルカルスのあるリーチ地方では『フォースウォーン』と名乗る者達が隊商などを襲撃する事例が頻発しているため、余程自らを腕利きだと吹聴したい者以外はこうして馬車を利用するらしい。
私としてはその手の賊は、個人であれば「容易い相手だ」と、馬車であれば「獲物が多いぞ」と判断して、どの道襲いかかるように思えるのだが。
とはいえ今回はことを起こすまではできるだけ目立たない行動を、という話になっている。馬車が無難であろう。
上記理由から、現在マルカルス行きの馬車は便数を減らしているらしい。私としては馬車を待つあいだソリチュード周辺を偵察できたので、別段不満は無い。
などと呑気に構えていたら、案の定襲われた。
突然矢が降って来たかと思えば、「リーチはフォースウォーンのものだ!」との主張と共に四方八方から攻め手が寄せてきた。
襲撃がそれだけを理由にしているのかは流石に不明だが、だとするならば「このリーチにフォースウォーン以外の人種(厳密には、フォースウォーンとはブレトンの中の一部族であるらしい)が存在していることそのものが気に食わない」という話になる。
身を守るために身を寄せ合うのは生物としての本能でもあるが、やはり連中相手では徒歩だろうが馬車だろうが襲われるものは襲われる、ということだ。
結論から言えば返り討ちにしたわけだが、連中、なかなか優れた戦士であった。装備は極めて軽装であり、武器とて如何にも蛮族めいてはいたが、そうとは思えない戦闘力を有していた。
そもそも、私を含めて馬車の乗客は襲撃の有無を念頭に置いていた。そのため、誰が言わずとも自然に全員がそれぞれの目線で警戒していたのだ。しかし私を含めて、襲撃が起こるまでその存在に感付いた者はいなかった。
優れた戦士であると同時に、優れた隠密術を身に着けている。厄介な連中だ。
相手取ると決めたのなら、先手先手を打っていかなければ、何度か死ぬ羽目になるかもしれん。要注意である。
余談ではあるが、乗客から数名の犠牲者が出た。
私は御者の安全以外に興味が無かったので、特に同乗者を護衛しようとは考えなかった。が、結果的に助かった面々からはそれなりに感謝された。
犠牲が出たこともあり素人目に見ても襲撃者が手練であると理解できたらしいので、私への不信感は起きなかったようだ。
その点に関しては、連中の力量が役立った、とも言える。まぁ、町での情報収集にでも利用させてもらおう。
── 七日目。八日目。九日目。
その後は襲撃に合うこともなく、マルカルスまで辿り着いた。
馬車にはフォースウォーン御手製の矢が刺さり、犠牲者の血痕も付着したままだ。にも拘わらず馬車が町を目指して走っているということは、襲撃は失敗したということ。
仲間を撃退した戦力を警戒したのだろう。やはり、蛮族めいた見た目に似合わない連中である。警戒度を更に上げる。
── 十日目。
マルカルス到着。別地方を偵察し、リーチでも襲撃に遭った割には、中々順調な行程だと思われる。
── 十一日目。
『マルカルス市警隊』と揉めた。
というか、一度目をつけられてからは延々と難癖をつけられ、あまり言いなりでも不自然だろうと軽く抵抗したら、問答無用で牢へ入れられた。
一晩経って自由の身となる際には、「次は『シドナ鉱山』行きだからな」と脅された。
おかしい。これでも私はリフテンからウィンターホールドまで旅をした経験がある。
少々非常識な面を曝した自覚はあるが、少なくとも錬金術師として村々を回っていたときの様子に問題は無かったはず。
その私が『多少、腕に自信のある傭兵』を装い行動して、何故市警隊に目をつけられるのか。
断言できる。今回のこれは、私の世間知らずさからではなく、連中の異常さから起きた出来事だと。
── 十二日目。
シルバー・ブラッド家雇われの傭兵達と揉めた。
前日の市警隊との一件で腹を立てつつも、これがマルカルスの土地柄なのかと考え、警戒を更に強くしていた。
そのうえで町を見て回っていたら、件のシドナ鉱山の付近に来ていた。そこからの流れは昨日を繰り返すような不気味さすらあった。
傭兵達に怪しまれ、こちらが何を口にしても不審であるの一点張り。終いには私刑にかけられた。
前日と違ったのは、曲がりなりにも公権力である市警隊に逆らうのは不味いと思い我慢したのだが、傭兵共に遠慮は無用だと考え、物陰で処理したことか。
武具の類は戦利品としていただき、死体は細切れにして町内部を流れる川に流した。
権力者の子飼いである傭兵共のそのままの死体が複数見つかれば大事件であろうが、行方不明なら疑惑で済む。傭兵共がさほど時間をかけず私を物陰に押し込めたこともあり、目撃者は少ないはずだ。
とはいえ、二日連続で異なる権力者の下っ端連中と揉め事を起こしてしまった事実は、少々私の使命感を削いだ。目立たないためにも、数日は大人しい調査に従事しようと思う。
── 十三日目。そこから二十二日目まで。
市警隊や傭兵との揉め事は、思ったより私のやる気に影響を与えていたらしい。手記を書くことすら怠ってしまった。これではいけない、と自分を奮い立たせた。
というか、報告に一度戻ったウィンターホールドで、ブレックスに心配された。友に気を揉ませるようではいかん。ここからは気を引き締めていく。ちなみに、日付はブレックスに教えてもらった。
ブレックスへ話す際、その日その日に起きた出来事を時系列で一つ一つ話していったため、報告自体に不備は無い。無いが、それをまたこの手記に書き起こすのは面倒だ。
だが、何か行動を起こすときに私が自身の行動を把握できていなければ不備があるやもしれん。略式ではあっても、記しておくべきだろう。
一つ。町内部で生計を立てている少数のフォースウォーンと協力関係を築くことができた。曰く、偏見なく接し、公平な取引ができる人間は少ない、のだとか。
一つ。宿屋で下働きをしている女を味方に付けた。情報も入ってくるし、身を隠す必要があれば便宜を図ってもらえる。潜入調査において安全地帯を敵地に構築できたことは成果と言って良いだろう。
一つ。首長に謁見が叶った。が、その手腕に期待できるかは微妙なところだ。
一つ。ギルドの外部協力者でもあるカルセルモ師に更なる協力を取り付けるため、ドゥーマー遺跡への護衛を引き受けることとなった。面倒といえば面倒だが、私も鬱憤が溜まって体を動かしたい気分なのだ。丁度いい。
── 二十三日目から四十日目まで。
カルセルモ師とドゥーマー遺跡探索を行った。疲れた。その一言に尽きる。
往路も復路も、探索自体も問題は無かった。
遺跡に当然配備されているドゥーマーの衛兵達も、巣食っていたファルメルも、それに飼育されているシャウラスも、師に傷を付けることは私が許さなかった。
しかし、鏖殺することは師が許さなかった。曰く、研究のため、だそうだ。
師は何にでも興味を示したし、私はそのあいだ師を護衛するため戦闘しどおしだった。師はすぐそばで剣戟の音が響いていても、全く気にしていない様子だった。ウィンターホールドの連中と、似た人種の臭いがした。
更に、「ドワーフ製の罠がどのように稼働するのか、それによりどのような結果が得られるのか見たい」と言われ、捕獲したファルメルやシャウラスを罠に投げ込むよう指示を受けた。同じ罠でも獲物の条件を変えたり、同種の罠でも試してみたり。場所を変え別種の罠で似たことを繰り返したり。
私はつくづく思い知った。私は、研究者には向かない。疲れた。
一応、師はギルドへの協力よりも強いそれを約束してくれた。私を友と呼び「多くのことで君の力になれるだろう」とまで言ってくれたのだ。多大な疲労感を味わった成果はあったはずだ。
── 四十一日目。
フォースウォーンの王なる男と出会った。
カルセルモ師の口添えもあり、首長の態度が軟化した。元より敵愾心を抱かれていたわけではないが、何ぞ頼み事があれば聞くだけは聞いてやる、そうな。一歩、前進である。
しかし余所者が大きな顔をしていると感じたのか、市警隊に再び難癖をつけられた。
どうせ逆らったところで牢に入れられるか、袖の下を要求されるか、宣言どおりシドナ鉱山とやらで労役刑に処されるのだろう。「ならばいっそ」と考え、散々逃げ回った挙げ句、日没を待って鉱山へ逃げ込んだ。犯罪者として閉じ込められる鉱山へ好き好んで入る人間がいる、とは考えづらかろう。入り口の市警隊は指輪の力を使えば造作も無く突破できた。
そして、その最奥とでも言える小部屋でマダナックという男に会ったのだ。人を呼ばれそうだったので、即、自害した。遺言のように「人に喋れば気を違えたかと思われるぞ」と言い残してやった。
── 四十二日目。四十三日目。四十四日目。
連日マダナックの元へ訪れ、話をしようと持ちかけた。
始めは魔術の類で惑わせようとしているのだと疑われたので、その誤解を解くのが大変だった。やったことと言えば、回らない頭で言葉を尽くし、いよいよ形勢が悪くなれば自害、という流れを繰り返しただけだが。
初めて顔を合わせてから四日目。「いい加減、頭がおかしくなりそうだからやめてくれ」とマダナックが降参した。
別に勝負をしていたわけではないが、建設的な話ができる状態に進展したことは喜ばしい。やればできるではないか、私。
マダナックによると、奴はシルバー・ブラッド家と取引をしているらしい。
しかしその現状に満足はしておらず、長い時をかけてでも脱獄し、フォースウォーン再興に尽力するのだとか。
正直、ノルド至上主義の気運が高まる現在のスカイリムで、やや辺境とはいえフォースウォーンが一地方を支配する、という変事を許容するノルドがいるとは思えない。計画以前に、主義主張の段階からほぼ不可能だと思える。
だが、何事もやってみなければわからないもの。奴がその大願成就に生涯をかけるというのなら、私があれこれ嘴を挟む話でもなかろう。
というか、手間暇かけてかなり込み入った話もできるようになった貴重な情報源なのだ。下手なことを言って臍を曲げられても困る。ここは適当に相槌を打っておくが吉であろう。
── 四十五日目。
マダナックの勧めにより、シルバー・ブラッド家内部を探ることにした。その際、奴が家中に潜り込ませた女中が諸事の手引をしてくれた。マダナックと会い、ある程度の協力関係を結べたことは、僥倖であったのかもしれない。
そして調べれば調べるほど、黒いものが吹き出てくる。ブラック・ブライア家といい勝負ではなかろうか。前者は直接的な暴力を用い、後者は謀略を好む、程度の違いだ。尤も後者とて、謀略の助勢としての暴力を用いることに抵抗を覚えはしないのだが。……やはりどちらもろくなものではない。
しかし市警隊から身を隠し続けるのも憤懣が溜まる。町に到着して早いうちに宿屋の女と良い仲になっておいて良かった。一線は越えていないが、こういうときに助けてくれるのは有難い。
── 四十六日目。四十七日目。
シルバー・ブラッド家が市警隊の大部分を抑えていることは既に判明している。ならば、首長府のいくらかも懐柔されていたとて驚かない。そのあたりを調べるためにアンダーストーン砦にも調査の手を広げる。
このとき、町内のフォースウォーンやカルセルモ師の協力が思いの外助かった。何事も、一人で為そうとするものではないな、と再確認した。
足りない私は、それを補う人員を確保すべきなのだ。このあたりの教訓は、これからも活かされることだろう。
反対に鬱陶しいのが、市警隊と傭兵共だ。
どちらに見つかっても面倒なことになるので、調査は専ら夜間に行うか、指輪の力を最大限活用しつつ陰から陰へ動くようにしている。はっきり言って鬱陶しいことこの上ない。しばらく、町の外の調査に重きを置いてみようか。
── 四十八日目。四十九日目。
リーチ全体の調査は二日で終わった。というか、切り上げざるを得かなかった。
色々と見て回れる箇所は多く、観光で訪れたいと思う場所もあったのだが……。如何せんフォースウォーン共の襲撃が鬱陶しい。しかも、予想以上に幅を利かせている。
これは私なりの統計だが、リーチを歩いて砦を見つけたら、まず十割の確率で戦闘になる。
砦が見えた段階でフォースウォーンの戦士が付近に潜んでいるため戦闘になる。これが八割。残りの砦は漏れなく賊の塒になっているのだが、フォースウォーンに比べて与し易い馬鹿共は鬱憤晴らしに丁度いい。私が嬉々として襲いかかるため、戦闘になる。これが二割。ろくな土地じゃないな。
ラーナルクがリーチでの任に就くときには注意するよう、ブレックスから話を回してもらおう。
── 五十日目。
別に狙ったわけではない。本当にそういうわけではないのだが、区切りのいい日数の本日、あらゆる調査を打ち切り、力づくでの攻略に乗り出すことにする。
別に私とて確実性の低い強硬策を好んで取りたいわけではない。本当だ。嘘ではない。友に誓ってもいい。ただ、私の堪忍袋の尾が切れてしまったのだから仕方ない。
リーチ全体の調査から戻り町へ入ってすぐ、市警隊の愚図共と傭兵の馬鹿共、この両者と立て続けに揉めた。あの、性根の腐った、何の生産性も無い、害虫にも劣る、唾棄すべき、善性の欠片も見いだせない、塵芥の如き、醜悪で、矮小で、卑しく、下賤な……。ああ、書き連ねて少しは憤懣が抑えられるかと思ったが駄目だ。思い出して余計に腹が立ってきた。
幸い、私の報告を聞いたブレックスも私の意見に賛同してくれた。『快く』とはいかなかったが、眉間に手を当て長く黙り、「それしかねえんだな?」と念を押すように言い、私がそれに是と答えたなら「わかった」と。荒んだ今の我が胸中に、暖かな友情が染み入るようだ。
一つ、「やるなら徹底的にやれ。遺恨を残すな」との注文は受けたが、言われるまでもない。存分にやらせてもらおう。お誂え向きというか、
連中に、目にもの見せてくれる。私は、シルバー・ブラッド家と、その息のかかった存在を、リーチから根絶する。
活報も色々書きますが、後書きでは要点だけ。
マジで感想ください。切実です。運営の定める最低文字でいいので、お願いします。