処女作になるので、拙い部分があると思いますが、よろしくお願いします!
勇者が魔王に至った日
______あぁ、まったく。どうしてこんなことになったんだ?
頭上で輝く太陽と、それを僕から包み隠すように立ち尽くす巨大な人型の影。そして、その人影のちょうど心臓に位置する部分に突き刺さるように存在する棒状の
全身に走る激痛に耐えつつ、それを眺めながら僕はどうしてもそう考えざるを得なかった。
剣道にのめり込み、気が付けば全国一位を取ったこと?
異世界に召喚され、言われるがまま勇者として聖剣をふるったこと?
それとも、異世界に残してきた聖剣に似た物が見たくて、世界の刀剣展を見に行ったことか。
いや、きっと全部だ。要は
僕の身体を乗っ取ったあいつにとって、剣の才能に恵まれていて、剣をふるった経験があり、戦い慣れていた身体を欲していたところに______僕が現れた。
あいつにとっては幸運な、そして僕にとっては不運なことに。
______なら、こうなったことは僕にとって幸運なのだろうか。
「…ふふふ、嗚呼。まったくこれだから人の子は面白い!」
人影が笑う。心底面白いものを見た幼子のように。
「さてさて、人の子が我を、神を殺した!さすれば来るのは、ただ一人。
______そうであろう?パンドラよ」
気が付けば、人影がもう一つ増えている。
この人影がパンドラなのだろうか。対面にある、巨人に比べたら随分と小さいように見える。
「えぇ、その通りですわ、フレイ様。私は神と人のいるところに必ず顕現する者。あらゆる災厄と一握りの希望を与える魔女ですもの。
ふふ、あなたね?私の新しい息子になるのは。…あら?この子、もしかして」
「うむ、そなたの思う通りじゃ。我ら神が真にある場所。不死の領域を超えた先、次元すらも超えた異世界に召喚された経験を持つものじゃ。異世界の勇者が、元の世界では魔王となる。______これほど面白いことはあるまい?」
どうやら、彼らにとって自分はある意味での有名人であったようだ。まあ、異世界に召喚されたことのある人間なんて、そうそういないのだろう。
「こんなこともあるのですね…あら?これは______異世界の女神の祝福?少し邪魔ね…えいっ」
パンドラが指を振った瞬間。
「いぎぃっ!!!???ぎぃ、がああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
先ほどから全身を苛んでいた激痛を、優に超えるさらなる激痛が全身をめぐる。
まるで、全身の皮を無理やり剥がされていくような、こうして意識を保っていることすら奇跡に感じられる、そんな痛みだった。
「あら、少し無理やりすぎたかしらね。ごめんなさいね、でも我慢しなさい。
その痛みはあなたを最強の高みへと導くための代償______まあ、異世界の女神の祝福をすこぉし改変するから、その辺の痛みとかもあるのはあなただけだけども。でも、その代わりに私がこの祝福も一緒に導いてあげる。だから、甘んじて受け入れなさい!」
段々と意識が朦朧としてくる。正直、なぜ彼らの会話を聞き続けられているのかがわからない。
あぁ、やばい。意識が、もぅ、保て…。
「さあ、皆さま、祝福と憎悪をこの子に捧げて頂戴!六人目の神殺し______歴史上、最も若き神殺しとなる運命を得た子に、聖なる言霊を捧げて頂戴!」
「ふむ、よかろう______では、異世界の勇者にして、この世界において魔王として新生する者よ。暖かき陽光とともに豊穣と勝利を運ぶ我から権能を簒奪せし貴様に、祝福と憎悪を与えよう。
強く生きよ。この後に待ち受ける我が愛しき妹と、隻腕の軍神との死闘をまずは生き抜くのだ。そうして、神殺しとして生き抜いた先に我との再戦があるだろう。それまで、誰にも負けてはならぬ、貴様は我が獲物ゆえに、ほかのどの神にも負けられては困る。あれだぞ、妹にだけは絶対負けるなよ?不死の領域にある我の肩身が狭くなるからな。絶対に、妹にだけは負けてはならぬぞ、よいな!!!」
なんというか、非常に情けない言葉を最後に、僕の意識は完全に手放されたのだった…。
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