紅魔館に住み込みで働くことになりました。そして咲夜さんの先輩メイドです 作:ライドウ
「くぁ・・・」
ふと、あくびが出てしまう。今日は二回目の地下攻略作戦の日だ。
新人を雇ったために育てるという事と、この地下室の開放を同時にしなければならないという二つの面倒ごとが来ているため、つい昨日徹夜をした。
「大丈夫ですか?メイド長。今日はお休みになられた方が・・・」
「・・・大丈夫よ、心配かけたわね。問題ないわ。」
またでかかったあくびをこらえて、心配そうにこちらを見つめてくる副メイド長補佐の頭をなでて安心させる。
むぅ。という顔でおとなしく撫でられているが相変わらず心配している。
眠らないこと自体は一日を長く感じて私自体は好きなのだが、どうしても周りに心配をかけるということも、まず自分自身にとってもかなり良くないということは重々承知だ。
大急ぎでこの、地下室戦争を終わらせる必要があるのだが・・・
「それに、今日攻めないとどーも面倒くさい予感がするの。」
つい昨日攻めたばかりだが、あの時は妙だった。
最初のころは、ただ襲い掛かればいいというぐらいの量だったが。
段々とゾンビの奴らが前衛、スケルトンが後衛を務めはじめやがてこっちを完全に押し留めたのだ。
「まさか、敵に指揮官が?あいてはアンデッドですよ?」
「そんなことはないっすよ~?アンデッドにも頭のまわるやつはいるっす。」
どこかに行っていた副メイド長が。
どうやら武器であるロングソードを取りに行っていたみたいだ。
「そういえば、副メイド長の髪色と目の色って、珍しいですよね。」
副メイド長補佐がそんなことを言う。
きょとんと副メイド長と私が見あい、そういえばそうだと二人して納得した。
通りで、どこにいても私が副メイド長を見分けることができたわけだ。
「よ、429年も一緒に働いて今気づいたんですか!?」
「いやーそういえば自分の容姿が珍しいだなんて、前の職場で言われて以来っすからね~」
「というより、私も気付かなかったわ。確かにそう言われてみれば珍しいわね。銀髪に青い目だなんて。まるでお人形さんみたい」
「うへぇ、やめてくださいっす。それ前の職場の上司に体触られながら言われたんっすから。」
「えっ、その上司どうしたんですか?てかその上司って聖職者ですよね?」
「ぼっこぼこに殴って大司教の前に蹴とばして事情説明してやったっす。」
まあ、そのあとお説教を喰らったっすけど!とケラケラと笑いながら話す。
・・・副メイド長に言われて初めて気づいたけど、銀髪に青い瞳なんていえばあの原作メイド長ぐらいしか思い浮かばない。まさか変なかかわりが~・・・なんて思ったけど、能天気な副メイド長だ。そんなことはありえないだろう。ありえたとしたらこいつ何者なんだ。
「さて、今日も頑張りましょうっす!!メイド長~、開門っすよ~!」
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「こひゅ・・・こひゅ・・・」
つい先ほどまで、元気だった副メイド長の体が剣山になる。
その様子を見てしまった新人メイドたちが恐慌状態になり指示も受け付けずに撃ちまくっている。
いくら副メイド長が死なない存在だとは言え、この光景を見せられた方はそりゃたまったもんじゃない。
「副メイド長。ふざけてないでさっさと抜け。」
「あっ、ばれたっすか?ちぇ~もうちょっと遊んでたかったのに」
いやな音ともに、身体から大量の剣を抜く副メイド長。
正直そんなになっても遊び心を忘れないところを見れば尊敬に値する。
・・・まあ、普段からフランドールお嬢様の専属メイドと言えばわかるが、フランドールお嬢様の能力でもこの能天気メイドを殺しきれないんだから末恐ろしい。
まあ、お嬢様方の能力とかそういうのは置いておいて・・・今はこの状況をどうにかしなくちゃいけない。
「危ないっす!!かはっ・・・」
私がボーっとしていたせいでスケルトンたちに狙われていたらしい。
大量の矢が割り込んできた副メイド長に突き刺さる。副メイド長の着ている服が赤く染まっているが本人はまだぴんぴんしている。
「あーもう!!血って落とすの大変なんっすよ!?どうしてくれるっすか!この骨野郎ども!!」
矢が刺さったままスケルトンたちに向けて罵声を浴びせる副メイド長。
その様子にさすがのゾンビもスケルトンも若干引いており私は可愛そうな目で副メイド長を見ていた。
「なんでアンデッドから引かれなくちゃならないっす!!てかメイド長!!その眼はただのご褒b・・・じゃ、な、く、てぇ。惨めな気持ちになるからやめていただきたいっす!!!!」
ツッコミながらも自身に刺さっている矢を抜いていく副メイド長。
「・・・ともかく、妖精メイドたちとは分断。後方のメイドたちも混乱状態で弾幕の嵐。行くにしたって二人じゃ突破できない。引くにしたってすでに包囲されている。万事休すね。」
「今日はやめとけばよかったっすねぇ~・・・というより、メイド長が寝てないのが悪いっす。」
「そりゃ、悪かったわね。」
ハルバートを構える私と、ロングソードを器用に双剣で構える副メイド長。
背中合わせにしてはいるが周りの敵が多くて嫌になる。
「っ!?メイド長、すまないっす!!」
げしっと、私が副メイド長に蹴られる。
何をするのと怒ろうとした途端、副メイド長が爆発する。
「っ!?爆発魔法!?」
魔力の流れを感知し、副メイド長が相手に爆発させられたということを理解する。
辺りに黒い煙が立ち込め、僅かながらも魔力の元を見つけた。
「り、リッチー?!」
まさか本当に居るだなんて思いもよらなかった。
どうやら湧いて出たゾンビの中でも特に知識を貪欲に求めた個体がいたらしい。
それがあのリッチーの正体というわけだ、というかなんで地下倉庫に魔導書なんて置いてあるんだよ!!あのリッチーが持ってる魔導書の表紙に”猿でもわかる最強呪文『爆発魔法!!』"って書いてあるんだけど!?てか猿でもわかるってただの禁書じゃねぇか、なんでそんなもんがここにあるんだよ!!
「あーあ。やっちまったっすねぇ。」
煙が晴れてくると、メイド服はボロボロだが今まで怪我していた部分が完治している。
ということは、今ので”一回死んだ”と言う事だ。
「できれば、アンデッド相手には一回も死にたくなかったんすけど。」
ジリリとあたりに重苦しい空気感がのしかかる。
ふと、副メイド長のこちらを見る目が見える。
”赤い”。
・・・それじゃあまるで、”十六夜 咲夜”みたいじゃないか。
「我は教会の墓守人、葬送の施行執行者。」
ロングソードに青白いオーラがまとわりつく。
びりびりと伝わってくるそのオーラの正体は・・・きっと人間が”聖なる光”と呼んでいるもの。
「我が使命は、死の運命から逸れた者に、安らかなる眠りを与えること・・・。」
聖なる光を纏ったロングソードを十字に構える。
その姿は、まるでおとぎ話に出てくる聖騎士の様。
「
そうして、葬儀屋による血と肉片の舞う物騒な葬儀が始まったのであった。
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「いやぁ~おわったっすねぇ~」
私は、副メイド長におぶさりながら帰還する。
どうやら私たちが最後に脱出したみたいだ。すかさず入り口にタンスを置いて封鎖する。
「・・・貴女。新人からの目が怯えてるわよ?やりすぎたわね。」
「あっちゃぁ~・・・やっちゃったっす。いくらイラっと来たとはいえ。前の職場の力と口上なんてやらなきゃよかったっす~・・・」
オロロ~とわざとらしく泣きまねをする副メイド長。
ちなみにあの後聞きただした話なのだが、副メイド長自体は元々イスカリオーテー?の葬儀屋と呼ばれていて結構上位の方の存在だったらしい。
それを聞いても私にとっては同期の副メイド長に変わらず、それを伝えると少し照れていた。
さてと、新人たちのケアをしないと。
「あ、あのっ・・・お、お姉様って呼んじゃだめですか?」
どうしてこうなった。