ラブライブ Start over 〜18人の物語〜   作:ジョリポン

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1話は少し地味な感じになってしまいました。まだ切らないでくださいせめて2、3話までは読んでくださいお願いします!



1章 スクールアイドル開始編
1話 廃校宣言 in 白瀬ハウス


ダッダッダッダッダッ

寂れた建物内を手を引かれ走る。

 

 

『待って……待ってよ! まだお父さんとお母さんが……!!』

 

 

このままだとお父さんとお母さんが死んでしまう。お願い、待ってよ。なんだってする。もう悪い事しないし手伝いだってする。

だから──────

 

 

 

 

「兄ちゃん!!!」

 

 

自分の声で目を覚ます。

心臓の鼓動がはやい。

気がつくと僕はベッドの上に居た。

 

 

「……またあの夢……」

 

 

ため息をつき起き上がる。時計を見ると朝の9時半だった。もう兄ちゃんは出てるかな。

 

階段を降りリビングに行くと机の上にサンドイッチとメッセージカードが置いてあった。

 

 

『おはよう。今日の昼ご飯は幸の好きなハンバーグだよ。冷蔵庫に入ってるからチンして食べてね。』

 

 

やった! サンドイッチは昼にまわすことにし、早速冷蔵庫からハンバーグを取り出してレンジにかける。兄ちゃんのハンバーグは絶品なんだよね。わくわく。

 

そして僕はハンバーグをペロリとたいらげる。美味しかった〜。よし、それじゃあ今日も──── ()()()()()()()()()()

 

 

僕、白瀬(しらせ) (さち)は高校2年生です。そして今は10時、学校では2時間目が始まる頃だと思います。

普通の人ならのんびりご飯を食べてる場合ではなく、起きた時点で急いで学校に向かっている事でしょう。でも僕は今こうしてテレビに向かいコントローラーを握っています。外に出る素振りもなく。

今日だけじゃない、昨日も一昨日ももっと前の日も。遅く起きた日も早く起きた日も関係なく、毎日毎日。

 

 

────そう、僕は引きこもっている。

 

 

 

 

 

ピンポーン

 

インターホンの音が鳴る。ふと時計を見ると午後4時だった。しまった。熱中しすぎて昼に回したサンドイッチを食べてなかった。

そんな事を考えつつ玄関の覗き穴から外をチェックする。まぁこの時間帯だとなんとなく誰か予想できるんだけどね。ほらやっぱり。早速僕は玄関を開けた。

 

 

「いらっしゃ」

「幸くうぅぅぅぅぅん! うぇぇぇぇぇん!!」

「うわぁ!」

 

 

扉を開けるや否や茶髪ロブカットでサイドテールの子が飛びついてきた。穂乃果ちゃんだ。

凄い勢いだったためバランスを崩し尻もちをつく。

 

 

「おじゃまします♪」

「穂乃果! いきなり入ると危ないでしょう! 幸くん、大丈夫ですか?」

 

 

後ろからベージュロングヘアーでサイドテールの子、ことりちゃんと青髪ロングの子、海未ちゃんが入ってくる。兄ちゃんを含めた僕たち5人は小学からの幼なじみだ。家も近いため彼女達は学校帰りによくうちに寄ってくれている。

 

 

「あはは、大丈夫だよ」

 

 

少し困惑しながらも海未ちゃんに笑顔を返す。そしてさっきからずっと僕の右側にひっついている穂乃果ちゃんに意識を向けつつ気になっている事を聞いた。

 

 

「それで何があったの?」

「それはでs」

「そう! 聞いてよ幸くん!!」

 

 

説明してくれようとした海未ちゃんを遮り穂乃果ちゃんが話しだす。少し不機嫌そうな海未ちゃんをよそ目に穂乃果ちゃんはとんでもない一言を発した。

 

 

「音ノ木、廃校になっちゃうんだって! どーしよーーー!!」

 

 

 

──────────────

 

 

 

「いや〜、今日もパンが美味い!」

 

 

場所を玄関からリビングに移し、話を続ける。ちなみに今穂乃果ちゃんが食べてるのは僕が昼食べるつもりだったサンドイッチだ。ここに移動した時凄い食べたそうに見つめていたため、わけてあげたのだ。さっきまで凄い悲しい顔をしてたのに今は満面の笑みでサンドイッチを頬張っている。その落差に思わず笑みが溢れた。

 

 

「それで、廃校ってどういうこと?」

「それが今年の1年生が予想より少なかったらしく、このままだと音ノ木は今年度いっぱいで廃校になってしまうようなんです……」

「お母さんにも聞いてみたんだけど、これを覆すには入学希望者が増えないとって……」

「そっか……」

 

 

ちなみに今話に出てきたことりちゃんのお母さんは、僕たちの通う音ノ木坂高校の理事長をしている。僕は通えてないけど。

その時、リビングの扉が開き白髪の青年が飛び込んできた。

 

 

「少し聞こえてきたんだけど音ノ木廃校になるの!?」

「兄ちゃん!」

「「楽人くん(さん)!」」

「ほはえい〜(もぐもぐ)」

 

 

彼は白瀬(しらせ) 楽人(らくと)。僕の兄で大学生。いつも僕の事を気にかけてくれる優しい兄です。

 

それから廃校の事を兄ちゃんにも説明した。

 

 

「……なるほど……それは困ったな……」

 

 

話を聞いた兄ちゃんは腕を組み、真剣な表情で何かを考え始めた。

 

 

「そうなんだよ! このままいくと別の学校に入らないといけないでしょ? 私頭良くないから受験とかやばいよーー!!」

 

 

いつの間にか食べ終わったらしく、穂乃果ちゃんが話に入ってくる。

 

 

「それは頑張ればどうとでもなります」

「そんなぁ!」

「それより楽人くんが考えてるのは多分……」

 

「僕の事……だよね……」

 

 

僕は何年も前から引きこもっている。それなのに高校に入学し2年生まで進級できたのは、理事長──ことりちゃんのお母さんのおかげなのだ。ことりちゃん一家は僕らの家の事情を知っているため、特例として対応してくれていた。でも……

 

 

「そっか! 今までは私たちが幸くんに勉強教えてあげてテストさえ通れば進級できてたけど、学校変わるとそれが通じなくなっちゃうのか!」

「穂乃果は教わる側の立場でしたけどね」

「えへへ」

「僕が普通に登校できれば解決する話なんだけどね……」

「幸……」

 

 

うっかり自虐が出てしまい、少し空気が重たくなる。しまった。後悔で俯く。

 

そう、僕も引きこもりたくて家にこもっているわけではない。昔の事件で負ったトラウマから、外に出ようとしたり知らない人と会ったりすると足が震えて動けなくなるのだ。最初の頃はそれでも学校に行こう、外に出ようと努力していたが、何日経っても変わらなかっためいつしか諦めてしまった。

 

暫しの沈黙の後、いきなり穂乃果ちゃんが立ち上がった。

 

 

「……よし! やっぱり私、頑張るよ!」

「何を?」

「実は今日廃校の話を聞いてから、それを阻止するために何かできないか3人で考えてたんだ!」

「なるほど。たしかにそれが叶えば一番だ」

「転校処理を考えなくていいというのもありますが、やはり今まで過ごしてきた学校がなくなるのは嫌ですからね」

 

 

また僕のせいでみんなに苦労をかける事になってしまった。さっきみたいにならないよう今度は心の中で呟く。

 

 

「それで、どうやって廃校を阻止するつもりなんだい?」

「それなんだよーー! 入学希望者を増やすために音ノ木の良いところを探して回ったんだけど、『これだ!!』っていうのが無くて……」

「何かいい案ないかな?」

 

 

ことりちゃんにそう振られ必死に考える。こういう時くらい役に立たないと。でも、そもそも一回も登校した事ないため全然思いつかない。すると兄ちゃんがアドバイスをくれた。

 

 

「こういうのは『どうやったら人気が出るのか』を考えるより『人気がある学校はなぜ人気なのか』を考えた方がいいかもね」

「なるほど。先人の知恵を借りる、という事ですね」

「さすが楽人くん! 伊達に二十数年生きてないね!」

「あはは、まぁね」

「この辺で人気の学校といえば……」

「「「「UTX!!」」」」

 

 

みんなの声が重なる。僕は外に出ないから知らないけど、みんなからパッと出るということはよっぽど凄い学校なんだろう。

 

 

「早速帰って調べてみる! ありがと楽人くん! 2人ともまた明日ね!」

 

 

そう言うと穂乃果ちゃんは玄関に飛んでいった。

 

 

「ちょ、ちょっと穂乃果! すみませんお邪魔しました!」

「またね楽人くん幸くん♪」

 

 

それを追い残りの2人もドタドタと出ていった。

 

 

「……みんな行っちゃったね」

「うん」

「いやぁ、それにしてもいきなり廃校だなんてビックリしたね」

「……うん」

「幸は心配しなくていいよ。僕とみんなですぐ解決するから」

「あ……ぇぅ……」

 

 

兄ちゃんは優しいからきっと気遣ってくれたんだと思う。でも今の僕には、お前は役立たずだと言われているように感じた。思わず顔が曇る。

 

 

「どうしたの幸」

「また僕のせいでみんなに迷惑かけちゃうんだなって……案も何も思いつかなかったし……」

「幸は悪くない。だからそう自分を責めないで?」

「…………」

 

 

兄ちゃんはいつもそう言ってくれる。それでもやっぱり僕は自分を責める事をやめられない。いつも僕のためにみんなが動いてくれる。それなのに僕はみんなに何も返す事もできず何の役にもたてず、ただただ甘え続けるだけ。

 

はぁ。

 

 

僕はこんな僕が嫌いです。

 

 

 

──────────────

 

 

 

「うわぁぁでかぁぁい!!!」

 

 

翌日、僕たち4人はUTX学園の下見に来ていた。あの後各自調べたけど、やはり実際に見た方がいいだろうということでいつもより朝早く集まって学校に行く前に来てみたのだ。

 

 

「ごめんね楽人くん。私たちの学校の事なのに手伝ってもらっちゃって……」

「大丈夫だよことりちゃん。幸の事もあるし、そもそも僕たちの仲でしょ?」

 

 

いやぁ、それにしてもことりちゃんは良い子だなぁ。つい撫でてあげたくなるけどそれは抑える。

 

それにしても朝早いのに人が多いな。周りを見ると男女関係なく多くの人が集まっていた。UTXの人気度合いがよくわかる。

 

 

「あれをみてください!」

 

 

海未ちゃんが建物に付いている大きなモニターを指差す。そこに映っていたのはこのUTX学園を人気たらしめている大人気スクールアイドル、A-RISEだ。

 

 

『みなさん、ようこそUTXへ! それでは早速聞いてください。Private Wars』

 

 

曲が流れ出し、モニター越しにパフォーマンスが始まる。さすが有名なだけあって凄いクオリティだ。元々これを見に来ている人だけでなく、偶然通りがかっただけの人も足を止めモニターに釘付けになっている。もちろん自分たちも例外ではない。

 

 

『ありがとうごさいました!』

 

 

曲が終わり、周りから歓声が上がる。

 

 

「ふわぁ……凄かったね……」

「そうですね……しかしこれは凄すぎて参考にはなりませんね」

「確かにね……さてどうしたもんかな……」

 

 

他のUTXの魅力といえば最新のカリキュラムとか、白と黒をベースとしたかっこいい制服とか色々ある。でもそれらは廃校が決まりかけている今の音ノ木で今更改革するのは難しいだろう。そもそも僕たちの力で真似出来るようなものでもない。まずいな、僕のアドバイスあんまり役に立ってないかも。

その時。

 

 

「これだ……」

「穂乃果ちゃん?」

「これだよ!! 私たちもスクールアイドル、やってみようよ!!」

 

 

穂乃果ちゃんが凄いことを言いだす。

 

 

「穂乃果……さっきのパフォーマンスを見ていましたか? 踊り未経験で素人な私たちではどうやっても敵うはずないでしょう」

 

 

音ノ木とUTXは割と近い場所にある。今回の廃校事件───音ノ木の志望者が減っている理由の1つとして、UTXに志望者をとられているからと言うのが少なからずあるはずだ。つまり音ノ木の廃校を防ぐ為にはUTXには無いもの、またはUTXに負けるにも劣らないものがないといけないのだ。ここで素人の集まりが真似っこでスクールアイドルを始めても効果は薄いだろう。

 

 

でも。

 

 

「やってみないとわからないよ! それに誰だって最初はやった事ないじゃん!」

「それはそうですが…… 」

 

 

穂乃果ちゃんは真っ直ぐに前を向いていた。その顔に迷いや不安は無く、自分たちもできる! と希望に満ちていた。その姿に、もしかしたら……という希望を感じる。

 

しかし海未ちゃんは反対のようだ。

 

 

「とにかく! 無理に決まってます! アイドルは無しです!」

「もう! 海未ちゃんの分からず屋! いいもんね私1人ででもやるもん!!」

「ちょちょちょっと2人とも落ち着いて!」

 

 

険悪な雰囲気になり仲介しようとするけど2人は「ふん!」と互いに顔を背け学校へ向かい始める。

 

残される僕とことりちゃん。

 

 

「はぁ……何回見ても慣れないなこの状況は……辛い……」

「大丈夫、きっと今回もすぐ仲直りしてくれるよ。まかせて!」

 

 

穂乃果ちゃんと海未ちゃんはのんびり屋と真面目という組み合わせなためよく対立する。その度に僕は仲介を失敗し、ことりちゃんが後から仲を取り持っているのだ。はぁ。

 

 

「いつも役に立てなくてごめんね」

「そんな! いつも2人が衝突しすぎないように最初に止めてくれてるでしょ? ありがと♪」

 

 

そう言ってことりちゃんは優しい笑顔を見せてくれた。

 

ああもういい子だなぁ!

 

 

──────────────

 

 

「という事で、私たち3人でスクールアイドルやる事になりました!! イェーイ!!」

 

 

大学から帰ってくると、そこには仲良く肩を組む穂乃果ちゃんと海未ちゃんの姿があった。その横には微笑みながらこっちにピースを向けることりちゃん。

 

 

いやはや。

 

やっぱりことりちゃんはすごいなぁ。

 

 




お読みいただき、ありがとうございました。続きは明日です。よろしくお願いします!
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