ラブライブ Start over 〜18人の物語〜 作:ジョリポン
下の名前で呼び合うのもいいけど名字で呼び合うのもいいよね。実在感が出る。
「アイドル部始めたいです!!」
「無理。」
「そんな!!!」
私、高坂穂乃果!!
通っている音乃木坂学院が生徒不足により廃校の危機に陥ったの!!
それを阻止するためにスクールアイドルを始めようと思い、生徒会室に部活申請をしに行ったら断られました。
「なんでですか!?」
「あのね。部活立ち上げは最低でも5人以上じゃないとできないって決まりがあるの」
淡々とそう答えるのは生徒会長の絢瀬絵里先輩。ロシアのクォーターらしく、金髪碧眼かつ美人。クールな振る舞いにより学内人気も高く、生徒の憧れの的だ。
「大体どうしてこんな時期に新しい部活を? 2年生よね?」
「廃校を阻止するために何かできないかと思って! スクールアイドルって最近流行ってて……」
「だったら尚更みt」
「偉い!!!!」
会長の言葉を遮り、褒めの言葉が飛んできた。
「ただの一生徒なのに学校のために活動してくれようとするなんて凄いじゃないか!」
副会長の
「会長、俺たちも廃校を止めたい者同志、協力できないか?」
「吉田先輩……!」
私、気付いちゃった……
この人、凄く良い人だ!!
生徒会が協力してくれるならきっと上手くいくに違いない!
しかし生徒会長はため息を1つ。
「貴方ね……今日理事長に言われた事もう忘れたの? 学校のために学生生活を犠牲にしてはいけないって言われたばかりでしょ?」
「それは……でも生徒たちは不安がってる! こうして行動を起こそうとする子も出てきたし、会長だって……」
「でも理事長はそれを禁止しました。高坂さん……だったかしら。そういう事だから諦めなさい。残りの時間、自分のためになる行動をすることね」
はあぁぁぁぁぁ。まさか廃校を止めちゃダメだなんて……でも吉田先輩、凄く悔しそうにしてた……みんなも不安がってるらしいし、どうしたらいいんだろ……
生徒会室からの帰り道、うんうん唸りながら歩いていると、後ろから駆け足が聞こえてきた。
「高坂さーん!」
「吉田先輩! どうしたんですか?」
「はい、これ。君に渡しておこうと思って」
そう言って吉田先輩は1枚の用紙を渡してくれた。
「これは?」
「講堂の使用許可申請書だよ。今度新入生歓迎会があるんだけど、その後にライブをしてみるのはどうかな? 歓迎会で生徒も集まってるだろうし丁度良いかと思ってね」
「わわ、ありがとうございます! でもさっき生徒会は手伝わない、諦めろって」
「会長はそう言ってたけど、俺はこのまま何もしないのは良くないと思ってるんだ。何もしないで後悔、なんてのは嫌だからね」
そう言う吉田先輩はどこか遠い目をしているように見えた。
「まぁ、何か困った事があったらいつでも連絡して。力になるからさ」
「いいんですか!? やったぁ! 助かります!」
「いいってことよ! この伊助さんに任せときな!」
そう言って吉田先輩は右手でグッドマークを作る。
「っと、そろそろ生徒会室に戻らないとな。じゃあまた! 頑張れよ!」
「ありがとうございます! また!」
もうダメかと思ったけど、応援してくれる人もいる。よし、スクールアイドル頑張るぞ!
──────────────
「と言う事でライブすることが決定しました!」
穂乃果ちゃんからそういう報告を受ける。やっぱり穂乃果ちゃんは凄いなぁ。結成翌日にもうそこまで話が進んでるなんて。外に出ることすらできない僕には絶対無理な事だ。
驚きつつ横の2人を見ると、何故か2人も驚いたような顔をしていた。あれ?
「穂乃果! 初耳なのですが!」
「あれ? まだ言ってなかったんだっけ?」
「聞いてません! また貴方は勝手に決めて……なにか予定があったらどうするんですか!」
「まあまあ〜、どうせ暇でしょ〜?」
「否定はしませんが……とにかく! 次からは確認をとってから動いてください!」
「はーい」
そこでことりちゃんがおずおずと手をあげながら一言。
「予定もそうだけど、曲が無いんじゃ……」
「あ」
どうやら完全に色々見切り発車だったみたい。
「……しかし、曲を作るなんて全くの素人である私たちには無理なのでは……?」
確かに。このメンバーの中に音楽に関わった事のある人なんていない。
でも穂乃果ちゃんは全然動じていない。
「ふふふ……それがなんと! 私には心当たりがあります!」
「それは?」
「最近ピアノが上手い一年の子と知り合ったんだ! だからきっと頼めば作曲はどうにかなると思う!」
「なるほど。では作詞の方は?」
「それは……ねぇ?」
そう言って穂乃果ちゃんとことりちゃんは暫し目を合わせた後、海未ちゃんの方を見つめた。
「海未ちゃん、昔ポエム書いてたよね?」
なるほど。そういえば僕も昔見せてもらったことがあったな。クオリティも高く、良かった気がする。
しかし海未ちゃんは不満そうだ。
「それは昔の話です! それにもう今は書いてません!」
「そんな事言わずにさぁ〜頼むよ〜」
「私、海未ちゃんのポエム好きだったなぁ」
「ぼ、僕も!」
「他に頼める人もいないし……ね!! お願い!!!」
「…………仕方ないですね……」
「やったーーーー!!!」
ということで作詞が海未ちゃんに決まった。
「ただし! そのかわりレッスン内容は私が決めます!」
「レッスン?」
海未ちゃんは人差し指をたて、話を続ける。
「アイドルというのは激しい振り付けを1曲分、ずっと息を切らさず笑顔でやり切らないといけないんです。穂乃果、腕立て伏せをしてみて下さい」
「こう?」
「その状態で笑顔を作ってみて下さい」
そう言われた穂乃果ちゃんは笑顔を作りながら腕立て伏せを────できなかった。腕立て伏せの辛さにつられて笑顔は歪み、そもそも腕立ては苦手だったのだろう。頭から倒れこんだ。
「いったーーーーい!!!」
「このように、アイドルにはスタミナが必要なんです。やるからには半端なものにはしたくないので、厳しくいきますよ」
「はーい」
「あと決めておかないといけないのは衣装と集客方法かな」
「楽人くん!」
「おかえり〜」
いきなり兄ちゃんが話に入ってくる。いつの間にか帰ってきてたみたい。
「あ、衣装といえば見て欲しいものがあって……」
そう言ってことりちゃんは鞄から1冊のノートを取り出す。開くと、中には衣装案のイラストがいくつも描かれていた。
「うわぁ! 凄い! 凄いよことりちゃん!!」
「これ全部ことりが描いたのですか?」
「うん! こういうの好きで、昔から憧れてたんだ〜。だから衣装の方は任せてもらってもいいかな?」
「うん! もちろん!!」
凄いなぁ3人とも。みんな何かしら役に立っている。僕だけまだ何もできてない。
あと決まってないのは集客方法だけだ。知らない人を集める……想像しただけで恐怖で動けなくなる。
「あと集客と言えばやっぱチラシ配りになるのかな」
「まあそうなりますね」
その間にも兄ちゃんたちの話は進んでいく。
「はいはいはい! 私いっぱい絵描きたーい!!」
「私も手伝うよ♪」
「私は苦手なのでお任せします」
「じゃあ海未ちゃん配る係ねー」
「ええっそんな無理です!! 待ってくださいそうだ文字なら書けますよだから皆で────」
そんなこんなでチラシは完成した。
これをコピーして学校で配るらしい。
いつもの事ながら僕には何もできなかった。
──────────────
♪〜
ポロンポロン
放課後の音楽室。
今日も室内にピアノの音が響き渡る。
私は西木野真姫。いつも放課後はここでピアノを弾いてから帰っている。この時間だけは勉強の事も、未来の事も、何も考えずにいることができる。なのに……
ピアノを弾き終わり、扉の外を見る。そこには満面の笑顔で拍手をする1人の生徒が。
バンッ
「西木野さん!!!」
扉が開かれ先輩が入ってくる。いつもの高坂先輩だ。
「……しつこいですね……作曲ならしないって言ってるじゃないですか」
頭を抱え、呆れ気味にそう答える。
先輩とは数日前ここで初めて出会ったのだが、私の曲が気に入ったらしく、それ以来毎日ここに来て作曲してくれないかと頼んでくるのだ。どうやらスクールアイドルとかいうものを始めるために曲が必要らしい。でも私には手伝う気なんて全くない。
「大体、アイドルの曲とか聞かないから。チャラチャラしてて薄っぺらいし……遊んでるみたいで気に食わないわ」
こうも毎日私の憩いの時間を邪魔されると流石にイラッとする。そのため少しキツく言い放ってしまう。
「そっか。確かにそう見えるのもわかるかも」
意外にもすんなりと聞き入れられた。少しポカンとする。
「でもね、本当は結構大変なんだ〜」
そう言いながら先輩はくるりと1回転。
「ね、腕立て伏せ出来る?」
「はぁ?」
「やってみてよ」
いきなり訳の分からない事を言われる。
「なんでよ」
「いいからいいから〜」
はぁ。ため息をつきながら従う。早く済ませたいからだ。
「これでいい?」
腕立てをしながら聞く。すると次の注文がきた。
「その状態で笑顔作ってみて?」
よくわからないけど笑顔を作ってみる。すると、思ったより腕立てに体力を使っていたのだろう。笑顔がひきつったものになってしまった。
「ほら、大変でしょ? だから毎日体力作り頑張ってるんだ〜」
「なる……ほど……?」
よく分からないけど、なんとなく言わんとすることは分かった。服を払いながら立ち上がる。すると、先輩からいきなり紙を渡された。
「これ、歌詞。1回読んでみてよ。返事はまた聞きに来るからさ……その時断られたらキッパリ諦める! でもさ、ダメだとしてもまた曲聞かせてよ! 私、西木野さんの曲初めて聞いた時から凄く好きで、感動して……だから作曲してもらえたら嬉しいなって」
「……ふぅん」
急な褒めに少し照れる。
「それじゃあ私もう行かないと! またね!」
そう言って高坂先輩は走って行ってしまった。
「……はぁ」
椅子に座り、貰った歌詞を読んでみる。ふーん割といいじゃない。字も綺麗で、この歌詞に込めた真剣な気持ちが読み取れる。
正直さっきの話により作曲の拒否感は大きく下がった。アイドルへの偏見も誤解だったみたいだし、私の曲で感動したっていうのもまぁ悪くないし?
けれど……
ピアノを弾き始めるが、集中できていないのか音を外す。
「今更言えないわよ……手伝うなんて……」
ぽつりと呟く。
これだけ毎日断った上に少し失礼な態度もとった。そんな私がいきなり「やっぱりやります!」なんて言いにくすぎる。そもそもここで折れたら押しに弱い人みたいになっちゃうじゃない。1回受けてしまえばそれ以降もまた色々頼まれてしまいそうだし断った方がいいんじゃ? でもせっかく私に目をつけてくれたのに────
ピン────
悩んでいると触れてもないのに鍵盤の音がした。
顔を上げると横から鍵盤に手が伸びている。
ピロロポロロピロポロン♪
軽やかな音が室内に響き渡る。
この指の動き、そして正面からでなくても綺麗に弾けるこの実力。顔を見るまでもない。昔からよく知っているアイツだろう。
「友田……」
ため息をつきながら見上げるとそこにはさらさらの髪を金髪に染めたにやけ顔の男子がいた。
「よ! 西木野〜」
「何の用よ」
少し睨みを効かせながら尋ねる。しかし友田はそれを気にせず明るい調子で答えた。
「いや〜偶然この辺通りがかったんだけど、今日下手だな〜って思ってさぁ! だから見本でも見せてやろうかなとか思ってね」
「下手で悪かったわね!」
腹立つわねコイツ。腕を組んでそっぽを向く。
「……で?」
「何よ」
「何かあったんだろ? 話してみろよ」
「……はぁ」
ホント、こう言うところで勘が鋭いんだから。
かくかくしかじか。今日の内容などをざっくり話す。
「あっはっは!! なんだお前そんな事気にしてるのか??」
「うるさいわね……」
聞くだけ聞いといてなんなのよ。言わない方が良かったかしら。
「バカにするだけなら帰ってくれる?」
「ゴメンゴメン」
片手で謝りのポーズをとる友田。
「で、要するに手伝いたい気持ちはあるけど自分とはバレたくないって感じなのかな」
「別に手伝いたいとは……」
「そんな君にアドバイスを授けよう!」
そう言って一言。
「バレたくないなら匿名でやればいい!」
なるほど。その手があったかと感心する。という事は朝机に入れておくとか先輩の家のポストに入れておくとかになるのかしら。
「たまには役に立つじゃない!」
「ははは、まあな!」
「じゃあまたね」
「え」
そう言って友田には退室してもらう。作曲作業は集中しないとできないからだ。扉の外から「せっかくお悩み相談してあげたのに」とか聞こえてきたけど気にしない。アイツの無駄に高いテンションが終始気に食わなかったし少しくらいいいだろう。いつもの事だし。
さてと、じゃあ早速やってやろうじゃない!
──────────────
「西木野さーーーーん!!!!」
次の日。廊下で高坂先輩に声をかけられた。
「これ! 作ってくれたの西木野さんだよね!?」
そう言って先輩はCDを取り出す。昨日帰りにポストに入れたあのCDだ。
「ヴェ!? な、何の事よ!」
「んも〜とぼけちゃってぇ!」
なんでバレたの!? CDには先輩の名前しか書いてなかったはずなのに!
その疑問は一瞬で解けることになる。
「だってあの歌詞知ってるの、私たちと西木野さんだけだもん」
あーーーそう言われるとそうかもーーー。完全に盲点だった。というかこうなる事をアイツが予想していなかったとは考えられない。
「みんなに紹介したいからちょっと来て!」
「ちょ、ちょっと!」
高坂先輩に腕を引かれ廊下を走る。その途中、視界の隅に友田の姿が映った。
「と、友田! あなたこうなる事分かって……!」
「はっはっは! まさかあの適当なアドバイスを間に受けて実行しちゃうなんてねぇ! いやー恥ずかしい子」
あーーもう!! これだからコイツは……!!
「なんなのよー!!」
私の声は廊下のざわめきの中に消えた。
吉田伊助副会長と友田くんが出ましたね。という事でその2人の見た目がキャラ紹介で解放されました!
次回もよろしくお願いします。