ラブライブ Start over 〜18人の物語〜 作:ジョリポン
前回言い忘れたのですが評価や感想、お気に入り登録ありがとうございます! やる気がupします!
「今日はチラシを配ります!」
「うぐ」
西木野さんの協力によって曲を手に入れた私たち。これで本格的な振り付けの練習や、歌の練習ができるようになりました。
しかし、それらの技術的な上達も大切ですが、見てくださる方がいなければ意味がありません。ということで今日は校門前でチラシを配ることになりました。ですが……
「どうしたの海未ちゃん?」
「いえ……やはり私も参加必須ですか……?」
「あ〜海未ちゃん人前苦手だもんね〜」
そう、私こと園田海未は少々人前に出る事が苦手なのです。
「でも克服しないとライブなんてできないよ〜はいチラシ」
「それはそうですが……」
分かってはいるのです。しかし……しかし!! 恥ずかしいじゃないですか!! 私は知っていますチラシ配りというものがいかに難しいものか勇気を出して渡そうとしてもサッとスルーされるんですよすると1人でお辞儀をしている変な人になるんですあぁもうなんてことで
「大丈夫だよ♪ みんな優しいからきっと受け取ってくれるよ♪」
そんな私の心を知ってか知らずか、ことりが励ましてくれます。この子は昔からこういう時丁度欲しい言葉をかけてくれてくれるんですよね。
「じゃあ今日はこれ全部配り終えるまでね! よーいスタート!!!
そういって穂乃果は人がいる方に駆け出していきました。ことりも違う方に歩いていきます。
「明日講堂でライブしまーす!」
「おねがいします♪」
穂乃果はその元気で押し切ってチラシを配っていく。ことりはなぜか手慣れているようで、早いペースで捌けている。私も早く配らなければ。丁度こちらに来る人がいます。あの人に渡しますよ! 勇気を出すのです私!
「あ、明日ライブをするのでよかったら……」
そう言いつつチラシをおずおずとチラシを差し出しますがスルーされてしまいました。
挫けずもう1度違う人にも挑戦しますが結果は同じ。やっぱりこうなるんじゃないですか!
はぁ。どうして2人はあんなに上手くできるんでしょう。手を止めて2人の方を見る。2人のように明るく振る舞うことができれば上手く配ることができるのでしょうか。しかし私ではあのようには……
「大丈夫ですか?」
不意に声をかけられる。振り向くとそこには青髪の男子がいました。クラスは違うはずですがなんだか見覚えがあります。
「もしよければ、配るの手伝いましょうか?」
「い、いいんですか!? ぜひ!!」
思い出しました。彼は
という事で手伝ってもらう事になりました。紀伊山さんにチラシを半分強(本当は全てお願いしたかったですが)渡し、チラシ配りを再開します。
「ラ、ライブします!!」
「お願いします」ニコ
紀伊山さんが道ゆく生徒に微笑みかけると、どんどんと人が集まってきました。
「あれ? 紀伊山君なにかやるの?」
「紀伊山〜何それ」
「彼女たちのチラシ配りをお手伝いをさせてもらってます。明日ライブをするそうです」
「また手伝い? ほんと優しいよね〜」
「じゃあ1枚貰ってあげる! 頑張ってね!」
「ありがとうございます!」
そんなこんなでチラシは減っていき、彼のチラシは私の半分以下になりました。
……そう、
いや、まあ彼の持ち分が減るスピード早いのはわかりますよ? 優しいし今までの手伝いの過程でたくさん知り合いもいるでしょうし。でもこんな短時間でここまで捌けるなんて!! 私もちゃんと少しずつは配る事ができましたが、こうも差を見せつけられるとガッカリします。
「どうかしましたか?」
「いえ! 別に!」
いけませんいけません。顔に出ていたようです。さあ! やるからにはやりきりますよ!!
そう気合を入れ直したその時。
ビュォォォォ
「ああっ!!」
急に吹いた強風により持っていたチラシが飛んでしまいます。
「ま、待ってください!!」
急いで追いかけますが広範囲に散らばって飛んでいくため全て拾うのは無理そうです。
どうしてこんな事に……いや、ですがこれはこれでアリかもしれませんよ? 手で配るより地面に落ちている方がなんだろうコレと興味が向くのでは?? しかもそれが風により広範囲に配られる事でより多くの人が目にするのでは??? これはこれで配ったと言っても過言ではないのかもしれません!!!(過言)
そんな事を考えながらもちゃんと追いかけます。少し遠くまできてやっと1枚目に追いつきそうになった時、目の前にあったチラシが正面にいた人に拾われました。
「拾ってくださってありが」
「なんだコレ」
感謝を述べながら顔を上げるとそこにいたのはあのオレンジ色の髪をした男子でした。
「へぇ〜? 最近高坂達と何かやってるとは思ってたけどさ、まさかオマエがアイドルやるなんてなぁ」
「さ……皐月……さん……」
最悪です。この活動中に1番遭遇したくない人に出会ってしまいました。
「遠くから見えてたけどあんまり受け取られてなかったよね? ライブする本人がこんなのじゃ客も来ないんじゃないか??」
「ぐ……!」
「そもそも僕の方が何倍も上手くチラシ配れるし。オマエ向いてないんじゃないの」
責めるのにいいネタを見つけたからか嫌味を放ってきます。
分かってますよ私には向いてないんじゃないかって事くらい……それでも私は穂乃果や学校、幸くんのために頑張ってみると決めたんです!
「まぁ、どうs」
「あなたには関係ないでしょう!! 私だって頑張っているんです!」
「……へぇ? じゃあ踊ってみせなよ今ここで」
「そ、それは……」
こんなまわりに人がいる中一人で踊るなんて……考えただけでも恥ずかしい……!
すぐに返事を返せず、少し俯いてしまいます。
「ハッ! 踊れないんだろ。まあチラシ配りであの状態なんだ、そりゃ無理だろうよ」
「う、うるさいですね!! 大体何なんですかさっきから!! 喧嘩でも売りにきたんですか!?」
「はぁ? 別にそういう」
「人の気にしてるとこばかりついてきて……私のことが気に食わないのは知ってますが、わざわざ正面からこんなに言ってくるなんてヒマなんですか!? まあそうでしょうねいつもあなたは一人ぼっちですもんね!!」
「なんだとテメェ!」
睨み合う。とはいえ最初に言ってきたのはそちらですからね! これくらい言い返されても当然です!!
そこに紀伊山さんが小走りで近寄ってきました。
「おーい園田さーん、チラシ全部拾ってきましたよ……って何してるんですか!?」
そう言って私と皐月さんの間に割って入ってきます。
「だめですよ喧嘩なんて! お、落ち着いて……」
「あ? 1組の紀伊山か。聞けよ、コイツが」
「さっきからコイツだとかオマエだとか……私には園田海未というちゃんとした名前が」
「うるさいな! 今僕は紀伊山と話してるんだよ!!」
「ふ、2人とも……」
紀伊山さんには悪いですが悪いのは皐月さんです。彼が引くまで私も引けません!
「海未ちゃーーん、ちゃんと配れてるーー?? ってげ、皐月くん」
「け、喧嘩はよくないよぉ!」
チラシを配りきったのか穂乃果とことりもこっちにやって来ました。
「……はぁ。セコいよな大勢でさ……まぁいいや。せいぜい頑張ればいいさ」
そう言って彼は持っていたチラシを捨て、立ち去っていきました。ふう。
「大丈夫だった?」
「私は大丈夫ですよ穂乃果」
「それにしても本当仲悪いよね〜なんで?」
「そうだよ! 喧嘩なんてしちゃダメだよ」
「そ、それは彼が───」
そこまで言ってハッとします。今私たちはライブの宣伝をしているんでした。そんな中その本人が喧嘩をした……これでは怖がられてイメージダウンになってしまったかもしれません……
「す……すみません……」
「わわ、分かってるなら大丈夫だよ!」
「きっと酷いこと言われたんだよね? 真面目な海未ちゃんから喧嘩をふっかけるなんて考えられないもん!」
「ふ、2人とも……ですが、私のせいでグループのイメージが……」
「大丈夫だよ! 校門から離れてるしあんまり見られてないって! それより早く戻って残りの分配ろ?」
「……はい」
励ましてもらって少し情けなくなります。このミスを取り返すため、より一層頑張らないと……!
「ところで彼は? 紀伊山くん……だったよね?」
「あ、どうも。チラシ配りを手伝わせてもらってます紀伊山零です。宜しくお願いします」
「ああ! あの紀伊山くんだったんだ!! すごーい本当に人助けして回ってるんだぁ」
「いえ、このくらい当然です……むしろまだまだだと」
「またまたそんなご謙遜を〜」
そんな事を話しながら校門まで戻り、紀伊山さんからチラシを受け取り宣伝を再開します。
やはり配るのは恥ずかしいですが、先程の件もあり、もう無様な姿は見せられません。気合を出すのです、私!!
「お願いします! 明日新入生歓迎会の後、講堂でライブを行います!! 是非、足を運んで下さい!!」
勇気を出してはっきりと喋りきりながら手渡しを行なっていきます。すると、最初の恐る恐る喋っていた時よりも受け取ってもらえる率が上がったように感じます。
「あ、あの……!」
その時、メガネのショートの女子に声をかけられました。
「スクールアイドルの方ですよね……! それ、1枚下さいっ!」
「は、はい!」
向こうから話しかけられるとは思っていなかったので少し焦りながらチラシを渡します。
「ふわぁ〜……あ、あの! 絶対明日見にいきますので……! 応援してます! 頑張って下さい!」
「かーよちーーん、どこ行ったのーー?」
「あぁっ! で、では失礼します!!」
そう言って彼女はそそくさと去っていきました。
「海未ちゃん、今の子って……」
「もしかして私たちのファン!? いいな〜話しかけてもらえて……ズルい!」
すぐに2人が駆け寄ってきます。
まさかもう私たちにもそんな方がいただなんて……彼女のような方のためにも明日のライブ、絶対成功させなければ……!
──────────────
「よし、衣装の仕上げ完成です!」
「お疲れさま、ことりちゃん」
「ありがとう楽人くん♪」
「できたんだ! 見せて見せてー!」
「す……凄い……!」
「えへへ……」
ライブ前日の夕方。毎日ここや自分の家で作っていたライブ用衣装がついに完成したみたいです。衣装を担当したのはことりちゃん。昔からこういうのが得意だっただけあってクオリティの方は抜群です。
……でも海未ちゃんは不満そう。
「こ……ことり! 聞いていません! こ、こここここ」
「ニワトリ?」
「違います! こんなにスカートが短いと足が!!! ハレンチです!!!」
「ま〜た海未ちゃんたらそんな事言うー」
「言います! 膝下に直してください!」
「もう明日だしそれは難しいんじゃない?」
「そんな卑怯な手を……!」
「ごめん、海未ちゃん。私がミニでいこうって言ったんだ……」
「穂乃果……!」
「でも、絶対成功させたいんだもん! 今までみんなで頑張ってきて、西木野さんから曲ももらった。このライブの話も吉田副会長のおかげだし、チラシ配りも紀伊山くんに手伝ってもらった。……色んな人に協力してもらったんだ、絶対無駄にはしたくないんだもん!!!」
「穂乃果……」
海未ちゃんのことを見つめながら穂乃果ちゃんが思いの丈を喋る。横から聞いてるだけでもこの熱量だ、目を合わせている海未ちゃんはこれよりもっと凄いパワーを感じているだろう。
「そのために、より良いライブができるようにできることは全てやっておきたいの!!」
「……仕方ありませんね」
「海未ちゃん!」
そうして穂乃果ちゃんたち3人は和解した。これできっと明日のライブもみんな全力のパフォーマンスをすることができるだろう。
それにしても、いろんな人に協力してもらっている……か。穂乃果ちゃんたちの報告でなんとなくは知っていた。けど、改めて聞くとみんな頑張っているのにいまだ僕は何の役にも立てていないという事実に嫌気がさす。事の発端の1人なのにこのままではみんなに迷惑かけるだけの存在になってしまう。なにかできることはないかとあれからずっと考えていた。でも結局何も思いつかずにライブ前日になってしまった。うう。
「あ、そういえば楽人くんって明日見にきてくれるの?」
「丁度予定は空いてるんだけど部外者だからなぁ……難しいんじゃないかな」
「そうですね……たしかに基本的には生徒以外立ち入り禁止でしたもんね」
「そんな〜! 手伝ってもらったんだし本番、2人にも見てもらいたかったなぁ」
そう言われ、少し苦しくなる。僕もできるなら見に行きたい。みんながこれだけ準備した結果を見届けたい。僕なら音ノ木の生徒だし見に行くことも可能のはずだ。でも、僕は外に出ることができない。いつまでもあの事を引きずって閉じこもって……僕はどうしようもないやつだ。
「まあまあ、3人はこれからスクールアイドルとしていろんなところでライブしていくんでしょ? まだ見に行くチャンスは沢山あるよ」
「うん……でもせっかくの初ライブなのになぁって」
「そんな事言っても校則なのですから仕方ないでしょう! 楽人さんも困っていますよ!」
「わかってるよぉ!」
「ごめんね楽人くん。幸くんも困っちゃったよね、大丈夫?」
「……うん」
大丈夫ではないけど全部自分のせいなので心配をかけないように大丈夫と言っておく。
しかし僕の具合が良くなさそうなのに気付いたのか兄ちゃんが3人に提案をする。
「それより本番に向けて今日は早く帰って休んだ方がいいんじゃない?」
「そうですね。ここで騒ぎすぎて明日力が出せなかったらいけませんもんね。ありがとうございます、行きますよ穂乃果」
そう言って海未ちゃんは一瞬で荷物をまとめ玄関に向かいだした。
「海未ちゃん行動が早い!」
「またね2人とも、明日頑張るね♪」
「頑張ってね」
「お……応援してるよ!」
そうして3人は帰っていった。
「……さっきは大丈夫って言ってたけど、無理してない? 外に出れないのは幸が悪いわけじゃないんだ、気負う必要はないんだよ」
「でも…………うん……」
やっぱり兄ちゃんは優しい。でも僕はこの自己評価を変えることはできなかった。
──────────────
翌朝、僕は久しぶりに玄関に向かった。
扉に近づくたびに冷や汗が増していく。手足の震えが止まらない。
扉の前に立つと足が動かなくなった。呼吸も荒い。力を振り絞りなんとか扉を開ける。
そこから覗いたのは知らない人、人、人─────
そのまま僕は意識を失ってしまった。
紀伊山くんと皐月くんの絵が追加されました!
次回1章ラストです!よろしくお願いします!