IS インフィニットストラトス 〜The beginning of the end〜   作:クローサー

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活動報告等に通知した大規模修正に伴い、プロローグを統一。再投稿しました。

かなりの修正がかかっており、実質的にリメイクに近いです。

P.S.
誤って第一話まで消去してしまいました。申し訳ありません。


序章
プロローグ(改訂版)


人間。

 

 

 

ある者は、人間は平等な存在であると言った。

 

 

 

 

しかし、それは間違いだ。

 

 

 

 

人間という存在は、傲慢で、愚かで、どの生物より優れていて、そしてどの生物より狂っている。

 

 

 

 

もし人間が平等ならば、人種は?言語は?文化は?宗教は?

 

 

 

 

”人間”という要素のカテゴリーにおいて、”平等”という言葉は存在しない。

 

 

 

 

そして、全ての有機物に共通する”命”というカテゴリーも極めて曖昧である。

 

 

 

 

”命”は、一体何がその根元だ?脳か?心臓か?神経か?内臓か?細胞か?

 

 

 

 

そんなものは、誰にもわからない。

 

 

 

 

しかし、自分自身の”答え”は、自分自身で見つけられる。

 

 

 

 

最終的には、自分自身がその決定権を持つのだから。

 

 

 

 

世界には、自分自身しかわからない”答え”が幾多にあるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《さあ、第二回モンドグロッソ大会決勝戦!!日本代表、織斑千冬の登場です!!!》

 

 

(な、何で…………?)

 

 

場所はドイツ某所。建物内に監禁され、寝転がされている少年”織斑一夏”は、テレビに写っている事が信じられなかった。

 

 

そこに映っているのは、機械の装甲を纏って美しく飛んでいる自身の姉の姿。

 

 

 

 

織斑一夏は、世界最強のIS操縦者として名高い織斑千冬の”弟”。

 

世間からは”姉”の織斑千冬、そして自身より才能がある”弟”の織斑真也から常に比べられ続け、幾多の他人から心無い暴言を浴び続けられた。

 

それを見ていた織斑千冬は、傷付いた織斑一夏の心を癒し続けた。

 

いつしか、織斑一夏にとって(織斑千冬)はいなくてはならない存在になっていた。

 

 

そして第二回モンドグロッソ大会にて、織斑一夏は誘拐され、監禁された。

 

 

誘拐犯の目的は、織斑千冬のモンドグロッソ大会の辞退。

 

 

しかし日本政府は、それを織斑千冬に伝える事はなかった。

 

 

こうして誘拐犯の目論見は叶わず、織斑千冬は決勝戦に出場してしまった。

 

 

 

 

「…失敗だと?」

 

「チッ、こいつを攫えば必ず辞退すると思ったのによ‼︎」

 

近くにいた誘拐犯の一人が、一夏の腹を蹴る。

 

「ッ…‼︎」

 

その衝撃で一夏は床を転がり、同時に腹部に強烈な痛みが走る。

 

「…にしても、なんで織斑千冬は決勝戦に出てやがる?」

 

「恐らくだが、”家族”より”名誉”を取ったんだろ」

 

「こいつはどうする?」

 

「もう用済みだから殺してもいいが、憂さ晴らしにはなるだろ」

 

 

 

(なんで…なんで…千冬姉…)

 

 

 

そして、誘拐犯達は一夏に近づき。

 

 

一斉に、一夏に暴行を加え始めた。

 

 

腹部は勿論の事、頭部、腕部、胸部、足部。

 

 

身体のありとあらゆる部位に暴行が加えられてゆく。

 

 

(なんで…なんで見捨てたんだよ…千冬姉………なんで………!!!)

 

 

暴行を加えられる中、一夏はその感情の膨らみを止めなかった。いや、正確にはそれしか考えられなかった。

 

 

(俺は…)

 

 

 

 

(俺はッ…!!!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バシャア、という音と共に一夏の身体に大量の水がかけられる。

 

「ゲホ、ゲホッ……」

 

重ねられた暴行により意識を失っていた一夏は、突然全身に掛けられたその水によって強制的に意識を覚醒させられた。

 

全身が痛み、更に縛られている為身体を動かせない。

 

「おう、起きたか。どうだ、気分は?」

 

「最、悪だ………それで、俺はどうなる?ここ、で死ぬのか?」

 

「ああ、その通りさ」

 

誘拐犯の一人が、一夏の頭に銃口を向ける。

 

「最後の言葉くらいは聞いてやるよ」

 

それを聞いた一夏は、ゆっくりと口を開く。

 

「なら、千冬姉に……いや、千冬に伝えろ」

 

 

 

一夏は、一度口を閉ざして、そして叫ぶ。

 

 

 

 

「クソッタレってな!!!!!」

 

 

 

 

 

「…わあったよ。伝えといてやる。それじゃあな、織斑一夏」

 

「…」

 

一夏は、ゆっくりと目を閉ざす。

 

 

 

 

 

そして、誘拐犯が銃の引き金を引かれる。その時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然の爆発。突然の壁の破壊。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なん──」

 

 

周囲に響く銃声。何かが崩れ落ちる音。

 

 

「…ギリギリ間に合ったようね」

 

「…?」

 

突然聞こえた大人とは違う、まだ幼さが残る声。その声に応えるように一夏は重くなった瞼を開けると………

 

 

 

 

 

「大丈夫?酷くやられたみたいね…」

 

 

 

 

 

全身に白き装甲、背中に白き翼を纏いし少女が目の前にいた。

 

 

 

 

「お前は…?」

 

「貴方を助けに来たの。色々と聞きたいだろうけど、話は後。今は逃げましょう」

 

そう言って少女は一夏の体の拘束を解き、抱きかかえて飛翔を始める。

 

 

「………」

 

 

その言葉は、少女に届かなかった。

 

そしてその数分後。

 

 

 

 

「一夏ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」

 

織斑千冬の叫びが、織斑一夏の監禁場所に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…?」

 

一夏は、何かの音が聞こえるのを引き金に意識が覚醒し、目が開く。

 

 

まあ当然と言うべきか、視界いっぱいに天井が映る。どうやらベッドに寝かされているようだ。

 

 

(確か俺は…誘拐されて…その後……)

 

 

少しづつ思い出されてゆく記憶。

 

(…そうか、俺は…)

 

思い出した一夏は、身体を起き上がらせようとするが。

 

「いっ⁉︎」

 

突然、身体に痛みが走る。

 

 

「ゆっくり起きようとしなきゃ駄目よ、傷はまだ完全に塞がりきれてないんだから」

 

「?」

 

突然聞こえた幼さが残る声に反応する様に、一夏は視線を向けると。

 

 

 

 

 

「おはよう、織斑くん」

 

 

 

 

 

黒髪を背中まで伸ばした、紅い瞳の少女がそばで椅子に座っていた。

 

「お前は…確か俺を…」

 

「そ、貴方を助けた張本人。貴方、3日も寝てたからずっと目を覚まさないかも思ったわ」

 

何処か大人びた雰囲気がある少女。しかし、一夏は気に掛けなかった。

 

「…名前は?」

 

「あ、まだ自己紹介してなかったわね。私は”セレン”。名字は無いわ」

 

「…織斑一夏」

 

「知ってるわ。世間からは「織斑家の落ちこぼれ」とか言われてるけど…」

 

 

セレンと名乗った少女の紅い瞳が、一夏の瞳を覗く。

 

 

「私からは全くそう見えないわね」

 

「…そんな事はどうでもいい。ここは何処だ?」

 

「慌てたりしないのね?」

 

「…」

 

「ま、そういうのは本人次第だし、どうでもいいわね」

 

セレンは立ち上がり、一夏のベットの横に置いてあった四葉杖を手に取って一夏に差し出す。

 

「実際に見た方が早いわ。案内してあげるから」

 

「…そうか」

 

一夏は四葉杖を手に取り、ベットからゆっくりと立ち上がって、四葉杖を右脇に挟む。

 

 

「それじゃ、ついて来なさい」

 

「…ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、セレンと一夏は施設の出入り口に辿り着いた。

 

「ここが出口か?」

 

「ええ」

 

次の瞬間、外に繋ぐ出入り口の隔壁が稼働音と共にゆっくりと開き始める。

 

「っ…」

 

隙間から溢れる紅い光に、一夏は左手で隠す。

 

数秒経てば目が慣れ、左手を戻して外の光景を見る。

 

「なっ…」

 

そこには、いくつからの木々。そして水平線からは太陽が覗いていた。

 

「ついて来て」

 

セレンはその先へと歩いてゆく。一夏は慌ててついてゆく。

 

木々を抜けた先は小さな砂浜が広がっていた。セレンは砂浜にいる。

 

一夏はセレンの横へと辿り着き、太陽を見つめる。

 

「ここは、”シークレットアイランド”。面積は約300㎡の小さな島よ。何処の国にも属さず、周囲20km内を航海するルートはゼロ。世界地図にも載せられていないわ」

 

「…」

 

「ああ、安心して。貴方は傷が完治次第、貴方の家族の元に送り届け──」

 

 

 

 

「やめろ」

 

 

 

 

突然、一夏はセレンの言葉を断ち切る様に重い声を上げた。セレンは視線だけを一夏に向ける。

 

「…いや、すまない」

 

そして、一夏はセレンへ身体ごと向く。

 

「こんな事を言う立場じゃないのは分かってる。だけど…頼む」

 

 

 

 

 

「俺を、此処に置かせてくれないか?」

 

 

 

 

「…理由を聞かせて貰うわよ」

 

そして、セレンも一夏に向き合う。

 

「…誘拐された時、最初は千冬が助けに来てくれると思っていた。何も知らない他人から、ずっと俺を守り続けてくれていた。だから、あの時も助けにきてくれると信じていた」

 

「だけど…あいつは俺を見捨て、モンドグロッソ決勝戦に出場した。”家族”を見捨てて。俺には、もう何にも残っていない」

 

「だから…」

 

そして、一夏は頭を下げる。

 

 

 

「頼む。俺に”戦い方”を教えてくれ」

 

 

 

セレンはその言葉を聞いて、僅かに眉が動いた。

 

「…貴方の言っている”戦い方”は、”遊び”?それとも”殺し”?」

 

「”殺し”、だ」

 

「なら貴方は、何の為に戦うつもりなの?」

 

一夏な頭を上げ、セレンと再度向き合う。

 

 

「”俺”の様な人間を、2度と生み出さない為に」

 

 

「その為なら、世界を相手にしても構わない。何だって相手にしてやる」

 

 

一夏の瞳は濁ってこそいるものの、確かに、そして強固な決意を決めた目だった。

 

 

 

「…それが、貴方の”答え”ね」

 

 

 

その瞬間、セレンの右腕にある白のブレスレットが発光。次の瞬間にはセレンの身体を包み。

 

 

 

そして光が消え、そこには──

 

 

 

一夏が意識を失う直前、セレンが纏っていた、背中に白い翼を生やし、複眼の青いカメラアイを持った機械の天使がそこにいた。

 

 

そしてカメラアイが動き、セレンの素顔が現れる。

 

 

「IS…?」

 

「いいえ、これは”アーマードコア”。ISから生まれ、ISを超える力を秘めた機体」

 

 

「貴方には、この”機体()”を私が作る」

 

 

「そして、”戦い方(暴力)”を私が教える」

 

 

セレンの鋭い瞳が、一夏を貫く。

 

 

「”世界”を相手に戦う。この言葉に訂正は無いわね?」

 

「無い」

 

 

即答。それを聞き直すことさえ、この少年には愚問だった。

 

 

セレンはアーマードコアをブレスレットに戻して、そして一夏に始めて微笑み、左手を差し出す。

 

 

 

「《ORCA》にようこそ、一夏。貴方を歓迎するわ」

 

 

「…ああ。よろしく、セレン」

 

 

そして一夏も左手を差し出し、セレンと握手をした。

 

 

 

 

 

 

 

これは、”運命”という”必然”に抗う者達の物語。

 

 

 

 

彼等が、自分自身の”答え”を見つけたその時。

 

 

 

 

”答え”に従うか、それとも否か。

 

 

 

 

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