IS インフィニットストラトス 〜The beginning of the end〜 作:クローサー
銀の福音撃墜作戦失敗。白式の撃墜。そして白式の操縦者、織斑真也は意識不明の重体。
何れも、教師達や専用機持ちの心を揺さぶるのに十分な威力を持っていた。
旅館内。真也の安静の為に与えられた個室。
そこには複数の医療機器。身体の至る所に包帯を巻かれ、チューブを数本繋がれて眠っている織斑真也。
そして、真也の側に正座で座り、悲痛の表情を顔に浮かべている篠ノ之箒。
(…私が、油断したばかりに…真也は…)
そして、箒は自分自身を責めていた。
数時間前、福音撃墜作戦に出撃した真也と箒。
紅椿の超音速飛行により福音を追跡、捕捉するまでは順調だった。
しかし、後方からの零落白夜による奇襲の直前に気付かれ、間一髪で回避された。
そこからは、紅椿が福音に張り付いて隙を作り、そこに白式の零落白夜を叩き込む作戦に移行。苦戦しながらも、隙を作る事に成功する。
しかしそこで判明した、封鎖した筈の海域にいる不審船の存在。
そこで2人は急遽、不審船を守りながら福音を撃墜する作戦に変更する。
しかし、防衛側と攻撃側ならば、必然的に守りながら戦う事となる防衛側が不利となる。対象を守りながら戦う為、どうしても動きは制限される。その中で第3世代軍用ISを墜とすのは、実力者でも困難だろう。
それが実戦経験が皆無な学生ならどうなるか。
その未来は、敗北以外にはない。
防衛側に回った白式と紅椿のエネルギーシールドはぐんぐんと減ってゆき、遂には福音との激しい戦闘を繰り広げていた紅椿のエネルギーシールドが尽きる事となる。
そこにトドメを刺そうと、福音は広域破壊兵器《
雨の如く振り注ぐ光弾から箒を庇う為、真也はそこ光弾の雨を自身の身体で受け、墜ちた
そして箒は真也を抱えて辛うじて撤退に成功し、現在に至る。
(すまない、真也………私が無茶をしたばかりに、お前は…)
膝の上に置いてある両手を目一杯握り締める。爪が皮膚に食い込み、赤い液体が流れ出すが、箒は気付かない。
(お前を守ると誓っておいて……私は……私は……!!!!!)
左手で、紅椿の待機状態である金銀の2つの鈴が付いている紅い紐を掴もうとして…
(…?)
左手から流れる血に気付いて、それを見つめる。
流れる血は手から腕へ、腕から肘へと流れ、床に敷きつめられた畳に落ち、赤い染みを作り出す。
(………)
箒は窓の向こう側、夕焼けに染まる空を見る。
(………私も、馬鹿だな)
そして、眠っている真也の顔を見つめる。
「…すまない、真也。今は、ゆっくり眠っててくれ」
左手で真也の頭を撫でようとしたが、自身の手に血が流れている為、その手を戻す。
そして箒はゆっくりと立ち上がり、振り返る。
「お前が起きる時は………
全て、終わらせておく」
そして、そのまま部屋を出た。
数分後。
箒は旅館から出て、すぐ近くにある砂浜に来ていた。
そして自身の専用機、紅椿を展開する。
「…すまないな、紅椿。こんな馬鹿な私でも、付いてきてくれるなら…
私に、力を貸してくれ」
その言葉に応える様に、紅椿の背部にある展開装甲が起動。噴射口が後方に向きスラスターモードが起動し、両肩部の展開装甲も、新たに起動する。
更に、展開装甲から紅色の粒子が放出され始める。
-出力可変型ブラスターライフル《
紅椿に現れるシステムメッセージ。
「…ありがとう」
紅色の粒子の放出が止まると同時に、紅椿はゆっくりと上昇していき、箒は辺りを見渡す。
「…そこか」
そしてある一点を、遥か遠くを見据える。
「行こう、紅椿」
その言葉を合図に、紅椿は飛び立つ。
音速を越えても尚加速し、更にスラスターモードの展開装甲の加速に加わり、単一仕様能力である絢爛舞踏が再度起動。全ての展開装甲から紅色の粒子が放出し、シールドエネルギーが補給されてゆく。
箒は更にスラスターの出力を上げ、より高速で空を駆けてゆく。
その姿は正に夕焼けの空に走る、紅い彗星の如く。
(覚悟しろ…
「何でもう絢爛舞踏と穿千が使えるんだよ」とか、「絢爛舞踏の使用時に放出する粒子の色
は紅色じゃなくて黄金色だろ」とか思っている人は多いでしょう。
これにはちゃんとした理由がありますのでご安心を。