IS インフィニットストラトス 〜The beginning of the end〜   作:クローサー

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第三十二話

紅椿から放出され、空中に飛び交う幾多のエネルギー刃。その中を飛翔するストーム。

 

「っ…」

 

そして、箒のバランスが崩れかけ、慌てて立て直す。

 

『…どうした、限界か?篠ノ之箒』

 

「まだ…まだぁ!!!!」

 

その咆哮と共に再び両手のに握る空裂と雨月を振るい、エネルギー刃を飛ばす。しかし、長期戦の疲れが現れ始めており、狙いが定まらなくなってきた。

 

(強い…冗談でも、比喩でもなく)

 

そして、エネルギー刃が飛び交う空中を躱してゆく中、ストームは箒の実力に驚愕していた。

 

(一ヶ月前とは明らかに強い…いや、”強過ぎる”。たった一ヶ月でこれ程強くなれる筈が無い…)

 

そして同時に、疑問も浮かぶ。

 

(あまりにも成長が早過ぎる。それこそ、異常と言える程。このまま強くなり続けたら…下手したら俺と同レベルの実力になるな…)

 

箒は一ヶ月前と比べると、明らかに異常な実力を持っている。少なくとも、一ヶ月で成長出来る範疇を超える程に。

 

(箒…お前は一体…)

 

その時。

 

 

『そこまで』

 

 

2人を制止する声。2人が振り向くと、福音の操縦者をお姫様抱っこで抱えるガルーダがいた。

 

『もう終わったのか』

 

『暴走してるだけだったし、案外簡単だったわよ。

 

 

さて、篠ノ之さん?』

 

「っ!!!!」

 

箒は反射的にスラスターを後方に全力で吹かして、2人から距離を取る。

 

『そんなに警戒しなくても、貴女を墜とす気は無いわよ。”今は”、だけど』

 

「………」

 

『まあ、信じるかは貴女が決める所だけど。けど、妙な真似をしたら…福音の操縦者の命は無いわよ』

 

「っ…」

 

その言葉の意味を正しく理解した箒は、空裂と雨月を拡張領域に格納する。

 

『話が早くて助かるわ。それじゃ、大人しくついてきなさい』

 

「………」

 

ガルーダは箒に背中を見せ、そのままブースターを吹かしていき、箒とストームはそのままついてゆく。箒の後ろにストームがいる為、箒が妙な行動をしたらすぐさま対応する為だろう。

 

(………待て。この方向は─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────旅館に向かっている?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「箒‼︎」

 

「…真也⁉︎」

 

約1時間後、臨海学校の旅館近くの海岸に辿り着いた三人を出迎えたのは、17機のISだった。

 

その中にセシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、そして二次移行を遂げた白式・雪羅を纏った真也がいた。

 

真也を見た箒は飛び出そうとしたが、福音の操縦者が人質になっている為、動く事が出来ない。

 

『篠ノ之箒』

 

「…何だ」

 

『操縦者を貴女達に任せるわ』

 

すると、ガルーダは箒に福音の操縦者を差し出した。

 

「…何のつもりだ?そっちに何のメリットが?」

 

『こっちの目的は銀の福音だけ。操縦者の命まで奪う必要はない、それだけよ』

 

「………」

 

箒はその答えに何処か疑問を感じながら、ガルーダから福音の操縦者を受け取り、真也達の元へ向かう。すると、ラファールを纏った真耶が箒に近付く。

 

「箒さん、福音の操縦者は私に任せて下さい」

 

「わかりました」

 

福音の操縦者を真耶に託し、箒は打鉄を纏った千冬に近付く。

 

「篠ノ之、後で無断出撃の罰は受けてもらうぞ」

 

「わかっています。しかし、今はやるべき事をやりましょう」

 

そう言って箒は振り返り、ガルーダとストームを見る。

 

 

「…貴様ら、何者だ。目的は何だ」

 

 

緊張状態の空気の中、そう問い掛けたのは千冬。すると、ストームがガルーダの前に出た。

 

『こうして会うのは初めまして、だな。世界最強のブリュンヒルデ』

 

「質問に答えろ」

 

『全く…まあ、いい。反IS組織ORCA所属、ストームだ。以後よろしく。

 

 

 

 

 

まあ、お前と織斑真也には今死んでもらうから、よろしくする必要が無いがな』

 

 

 

 

 

その言葉に全員が反応する。千冬に至っては打鉄の近接ブレードを構え、身体から発せられる気迫が殺気に変わっている。

 

「…どういう意味だ」

 

『やれやれ…この程度で過激な反応をするとはな。弟の一夏を失ってからはずっとその調子か?』

 

今度は千冬、真也、鈴がその言葉に反応した。箒はさっきの事もあり、驚きこそはしなかったが警戒を強める。

 

「お前…何で一兄の事を知ってるんだよ」

 

『さあな…いや、丁度良い。お前等に教えてやろう。第二回モンドグロッソ大会にて攫われた織斑一夏の運命をな』

 

「…何?」

 

 

 

 

『織斑千冬の弟であり、織斑真也の兄であった織斑一夏は、第二回モンドグロッソ大会の決勝戦開始前に誘拐され、ドイツ国内に存在するとある倉庫に監禁された。誘拐犯の目的は、織斑千冬のモンドグロッソ大会の辞退。

 

だが、織斑千冬は大会を辞退する事なく、決勝戦に出場した』

 

 

 

 

『誘拐犯は目的の失敗により、織斑一夏を始末しようとした。だが、その直前に新たな勢力が現れ、織斑一夏はその勢力に保護される事となる』

 

 

 

 

『その勢力は、ISに支配されたこの世界を良しとせず、この世界を正す為に存在していた』

 

 

 

 

『家族に見捨てられた織斑一夏はこの狂った世界を変える為にその勢力に加入し、世界を変える力を手に入れた』

 

 

 

 

『そして、織斑一夏は自分の手を赤く染めた。何人も、何十人も、何百人も、何千人もの命を自分の手で殺した』

 

 

 

 

「全ては、この狂った世界を正す為にな」

 

 

 

 

突如ストームはマシンボイスを切り、肉声に戻す。

 

((((え…?))))

 

その声に千冬、真也、鈴、箒は聞き覚えがあった。

 

今では酷く懐かしい声。だが、それは二年前に死んだ筈の人物の声。

 

四人の考えに答える様に、ストームの複眼のカメラアイが突如動きだし、ストームの素顔を晒す。

 

その顔は─────

 

 

 

 

 

 

「それが今の(織斑一夏)だ。織斑千冬、織斑真也」

 

 

 

 

 

 

二年前に死んだ筈の、織斑一夏であった。




正体を明かした一夏。千冬と真也はどうなるのか。

次回をお楽しみに。
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