IS インフィニットストラトス 〜The beginning of the end〜   作:クローサー

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第四十話

「………」

 

 

セレンは歩いてゆく。人々が明るく行き交う大通りの真ん中を。

 

 

他の、何も関係無い人々に悟られない様に、怒りを押し殺しながら。

 

 

セレンが今いる場所は、日本。IS学園から離れた、とある大規模都市。

 

 

セレンがそこに来た理由は、特には無い。強いて言うならば、とにかくセレンの中に渦巻く、セレンが理解出来ない感情を払いたかったからだ。

 

(…なんなのよ、この感情は。まるで、死神と接触した時のあの感情…)

 

しかしセレンの中にある感情は薄れるどころか、逆に少しずつ膨れ上がってゆく。

 

(…駄目ね、このままじゃ自分自身を見失う。一旦…………)

 

その時、セレンは一つの気配を察知する。

 

(この気配…)

 

その気配は、セレンにとっては身に覚えがある気配であった。

 

(…一体何でここにいるのかしら?)

 

そう思いながら、セレンは適当な裏路地に入り、ある程度進んだところで壁に背中を預け、腕を組む。

 

「…今のタイミングで、一体何の用かしら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オッツダルヴァ…いえ、今はテルミドールかしら?」

 

そう言い、セレンは来た道へと視線を向ける。そこには、臨海学校にて敵対していたオッツダルヴァ(テルミドール)がいた。

 

「…どちらでもあり、だな。今はオッツダルヴァとして、そしてテルミドールとして、()は今ここにいる」

 

「例の一件の影響でかしら?」

 

「…やはり知っていたか」

 

「…貴方、本気なの?貴方達カラードを引き金に───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全世界を相手に、第三次世界大戦を起こす気?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ああ、そうだ」

 

「…」

 

「世界は、自分自身の愚行により、破滅の道を辿っている。このままでは、私達でもその愚行を止められなくなるだろう。そして、やがて人類は自らの手で宇宙への道を閉ざし、この狭い(地球)の中で壊死するだろう。その前に、私達が止める」

 

「…その為に、一体何億、何十億人の人々を路頭に迷わせるつもり?そして、一体何人の関係無い人々を殺すつもりかしら?」

 

「…」

 

「まだ、人々(人類)は自らの手で道を正せるわ。私達は道を示し、それを見守るだけで十分。私達が表から動く必要は無いわ。何も知らない人々は、何も知らなくていい」

 

「もう手遅れだ。人々は、ISという物を手に入れておきながら、自分自身でその道を捨て、軍事利用という愚行を犯した。最早”対話”では人々は救えない。私達が人々の愚行を止め、人々を破滅無き道へと導く」

 

「…」

 

「セレン、これが最後だ。カラードに戻ってくれ」

 

「…」

 

「お前も、もう分かっている筈だ。人々は対話だけでは救えないのを。私達が導いて行かなければならない事を。私達の手によって、世界を、人々を救わなければならない」

 

 

 

「…私の、いえ。私達ORCAの答えはこうよ」

 

 

 

その瞬間、セレンは拡張領域から051ANARを取り出して右手に持ち、一瞬でオッツダルヴァ(テルミドール)の元へ移動し、051ANARの銃口をオッツダルヴァ(テルミドール)の額に突きつけた。

 

 

 

そして、セレンの頭部にもAR-O700の銃口が突きつけられる。セレンの目の前には、 空気抵抗の軽減の為に鋭くされたAR-O700の下部の銃身がある。

 

 

 

「私達ORCAは、貴方達カラードと全面対立する。貴方達は、私達が止める。そして、貴方達は私達の手で殺す」

 

「…残念だ」

 

「私達は”対話”、貴方達は”支配”。私達と貴方達とは根本的に話が違うのよ」

 

 

 

2人から発せられる殺気によって、停止する世界。

 

 

 

そして、2人は同時に得物の引き金を引き─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

撃鉄が空振り、薬室に衝突した音が2つ、同時に響いた。

 

「「…」」

 

2人はそれぞれの武器を下ろし、拡張領域へと戻す。

 

「…次に会う時、貴方達は敵よ。全力で殺しに来なさい。私達も、全力で貴方達を殺しに来てあげるから。

 

貴方は私の手で殺す。それまで死ぬんじゃないわよ」

 

「…ああ。その時が来たら、お前は私の手で殺す」

 

そう言って、オッツダルヴァ(テルミドール)はセレンに背中を見せ、裏路地を出て行った。

 

「………………ッ!!!!!!!!!!」

 

その瞬間、セレンは壁を右手で手加減無しで殴る。強く殴った為、右手から血が出る。

 

 

 

(何で…なんでこうなったの?私達はただ…世界を…人々を救いたいだけなのに!!!!!!!!!!!!)

 

 

 

その時のセレンの表情は顔が俯いていて、誰にも分からなかった。




争いとは何か。戦争とは何か。勝利とは何か。敗北とは何か。
それは私達でさえ、真の意味は分からない。

貴方達は、一体なんだと思うかしら?
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