IS インフィニットストラトス 〜The beginning of the end〜 作:クローサー
「………」
セレンは歩いてゆく。人々が明るく行き交う大通りの真ん中を。
他の、何も関係無い人々に悟られない様に、怒りを押し殺しながら。
セレンが今いる場所は、日本。IS学園から離れた、とある大規模都市。
セレンがそこに来た理由は、特には無い。強いて言うならば、とにかくセレンの中に渦巻く、セレンが理解出来ない感情を払いたかったからだ。
(…なんなのよ、この感情は。まるで、死神と接触した時のあの感情…)
しかしセレンの中にある感情は薄れるどころか、逆に少しずつ膨れ上がってゆく。
(…駄目ね、このままじゃ自分自身を見失う。一旦…………)
その時、セレンは一つの気配を察知する。
(この気配…)
その気配は、セレンにとっては身に覚えがある気配であった。
(…一体何でここにいるのかしら?)
そう思いながら、セレンは適当な裏路地に入り、ある程度進んだところで壁に背中を預け、腕を組む。
「…今のタイミングで、一体何の用かしら?
オッツダルヴァ…いえ、今はテルミドールかしら?」
そう言い、セレンは来た道へと視線を向ける。そこには、臨海学校にて敵対していた
「…どちらでもあり、だな。今はオッツダルヴァとして、そしてテルミドールとして、
「例の一件の影響でかしら?」
「…やはり知っていたか」
「…貴方、本気なの?貴方達カラードを引き金に───
全世界を相手に、第三次世界大戦を起こす気?」
「…ああ、そうだ」
「…」
「世界は、自分自身の愚行により、破滅の道を辿っている。このままでは、私達でもその愚行を止められなくなるだろう。そして、やがて人類は自らの手で宇宙への道を閉ざし、この狭い
「…その為に、一体何億、何十億人の人々を路頭に迷わせるつもり?そして、一体何人の関係無い人々を殺すつもりかしら?」
「…」
「まだ、
「もう手遅れだ。人々は、ISという物を手に入れておきながら、自分自身でその道を捨て、軍事利用という愚行を犯した。最早”対話”では人々は救えない。私達が人々の愚行を止め、人々を破滅無き道へと導く」
「…」
「セレン、これが最後だ。カラードに戻ってくれ」
「…」
「お前も、もう分かっている筈だ。人々は対話だけでは救えないのを。私達が導いて行かなければならない事を。私達の手によって、世界を、人々を救わなければならない」
「…私の、いえ。私達ORCAの答えはこうよ」
その瞬間、セレンは拡張領域から051ANARを取り出して右手に持ち、一瞬で
そして、セレンの頭部にもAR-O700の銃口が突きつけられる。セレンの目の前には、 空気抵抗の軽減の為に鋭くされたAR-O700の下部の銃身がある。
「私達ORCAは、貴方達カラードと全面対立する。貴方達は、私達が止める。そして、貴方達は私達の手で殺す」
「…残念だ」
「私達は”対話”、貴方達は”支配”。私達と貴方達とは根本的に話が違うのよ」
2人から発せられる殺気によって、停止する世界。
そして、2人は同時に得物の引き金を引き─────
カチン。
撃鉄が空振り、薬室に衝突した音が2つ、同時に響いた。
「「…」」
2人はそれぞれの武器を下ろし、拡張領域へと戻す。
「…次に会う時、貴方達は敵よ。全力で殺しに来なさい。私達も、全力で貴方達を殺しに来てあげるから。
貴方は私の手で殺す。それまで死ぬんじゃないわよ」
「…ああ。その時が来たら、お前は私の手で殺す」
そう言って、
「………………ッ!!!!!!!!!!」
その瞬間、セレンは壁を右手で手加減無しで殴る。強く殴った為、右手から血が出る。
(何で…なんでこうなったの?私達はただ…世界を…人々を救いたいだけなのに!!!!!!!!!!!!)
その時のセレンの表情は顔が俯いていて、誰にも分からなかった。
争いとは何か。戦争とは何か。勝利とは何か。敗北とは何か。
それは私達でさえ、真の意味は分からない。
貴方達は、一体なんだと思うかしら?