IS インフィニットストラトス 〜The beginning of the end〜   作:クローサー

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遂に全面対立を宣言したカラードとORCA。

二つの組織のリーダー、オッツダルヴァとセレンの心境は…


第四十一話

某所、カラード本拠地。

 

そこに、一機のアーマードコア、ステイシスが降り立ち、待機状態へと移行する。

 

(…やはり、こうなったか)

 

オッツダルヴァは、セレンとの会話を思い返す。

 

 

『その為に、一体何億、何十億人の人々を路頭に迷わせるつもり?そして、一体何人の関係無い人々を殺すつもりかしら?』

 

『まだ、人々人類は自らの手で道を正せるわ。私達は道を示し、それを見守るだけで十分。私達が表から動く必要は無いわ。何も知らない人々は、何も知らなくていい』

 

 

「…セレン。それだけでは、人類は破滅の道を辿り続ける。人類の未来の為ならば、私達は何人でも殺してみせよう。大罪人にでもなってみせよう」

 

 

 

そして、オッツダルヴァは空を見上げる。空は夕焼けにより、紅く染まっていた。

 

 

 

 

「それが、私達の出した”答え”なのだからな」

 

 

 

 

その時、冷たい風がオッツダルヴァの頬を撫でた。

 

 

 

 

 

頬に、一筋の涙が流れたことに気がつくことがなく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、ORCA本拠地 シークレットアイランド。

 

その砂浜に、一機のアーマードコア ホワイト・グリントが降り立ち、待機状態へと移行する。

 

ホワイト・グリントの所有者、セレンの表情は顔が俯いているせいで伺う事は出来ない。

 

 

『もう手遅れだ。人々は、ISという物を手に入れておきながら、自分自身でその道を捨て、軍事利用という愚行を犯した。最早”対話”では人々は救えない。私達が人々の愚行を止め、人々を破滅無き道へと導く』

 

 

思い出したくないのに、思い出されるオッツダルヴァとの会話。

 

 

 

『私達ORCAは、貴方達カラードと全面対立する。貴方達は、私達が止める。そして、貴方達は私達の手で殺す』

 

 

『…残念だ』

 

 

『貴方は私の手で殺す』

 

 

『その時が来たら、お前は私の手で殺す』

 

 

(………)

 

セレンは、重い足取りで本拠地施設を目指して歩いてゆく。

 

そして、小さな林へと入ろうとしたその時。

 

 

「セレン」

 

 

セレンの後方、つまり砂浜の方向から声が掛かる。

 

その声に反応し、セレンは振り返る。

 

「…何かしら?一夏」

 

その声の正体は一夏。だが、一夏の表情は何処か悲しみがあるような表情だ。

 

「…今まで何処に行っていた?」

 

「別に、少し気分転換に1人になっていただけよ」

 

「そんな顔で、気分転換にでも行っていたのか?」

 

「…何が言いたいのよ」

 

「セレン、何でも1人で抱え込もうとするな」

 

「何の事?」

 

「無理するな。現に今も─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

泣いてんじゃねぇかよ」

 

「っ!?」

 

その言葉を聞いて、セレンは初めて自分の両目から涙が出ているのに気が付き、急いで拭う。

 

しかしその涙は止まる事は無く、再び頬を伝っていく。

 

「な、何で…?」

 

セレンが困惑していると、いつの間にか近付いていた一夏が、セレンを優しく抱きしめる。まるで、今にも割れてしまいそうな割れ物を大事に扱うかのように。

 

「人間ってのはな、本当に悲しい時は自分自身じゃ涙が止められなくなるんだよ。

 

お前は俺と出会うまでは1人で、ずっと”自分自分”を押し殺してたんだろ?だから今まで強くいられた。だから1人でいられた。

 

だけど、その必要は無いんだよ。今は、俺や真改がいる。

 

だからもう、自分を押し殺さなくても良いんだよ。

 

 

 

 

 

お前はもう、1人(孤独)じゃないんだから」

 

 

 

 

 

「…!!」

 

その言葉が、引き金だった。

 

「…ぁ」

 

セレンの瞳から、大粒の涙が流れ始める。

 

「いち、か…」

 

「…」

 

一夏は、ほんの少しだけ強くセレンを抱きしめる。

 

そして、セレンは一夏の胸元に顔を隠す様に額を押し当てた瞬間、セレンは感情を…

 

 

「…ぅ、あぁ」

 

 

”悲しみ”という感情を、静かに爆発させた。

 

「…すまなかった、セレン。今まで、お前の本当の気持ちに気が付かなくて」

 

その言葉にセレンは応える事はなく、一夏の胸の中で静かに泣き続ける。

 

「俺は、セレンの過去は知らない。だけど、これだけは知っている」

 

一夏は、それに構わずに話す。聞こえてなくても、別に構わないのだから。

 

「俺にとっては、オッツダルヴァ達はただの敵だが…

 

 

 

 

 

セレンにとっては、大切な仲間だったって事はな」

 

 

 

 

 

その後セレンは泣き疲れ、一夏の胸の中で静かに眠りに付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ん」

 

「お、起きたか」

 

数時間後、本拠地施設内の一夏の個室にて、セレンは目覚める。

 

セレンの目の前には一夏の顔が見えており、後頭部にはベットとは違う、暖かさと共に柔らかい感触がある

 

「…何で膝枕してんのよ」

 

そう、一夏はセレンに膝枕をしていた。あえて言葉にするならば、「逆膝枕」とでもいう状況だろう。

 

「なんとなく?」

 

「何で疑問系なのよ…まあ、いいわ」

 

そう言ってセレンは起き上がり、一夏の側に座る。

 

「気分はどうだ?セレン」

 

「お陰様で吹っ切れた気分よ。ありがと、一夏」

 

「礼は要らない。お前をほっとけなかっただけだからな」

 

「それでも受け取って。貴方がいなかったら、私は押し潰されていたかも知れないわ」

 

「…分かった」

 

そして、セレンは立ち上がる。

 

「さて、真改を呼びに行きましょう」

 

「ああ」

 

「猶予は、どれだけ長く見積もっても一週間。その間に準備するわよ。

 

 

 

カラードとの全面戦争に備えて、ね」

 

 

 

そして、数日後。

 

 

 

遂に、その時は訪れる。




セシリアの裏切りにあったIS学園。ショックから立ち直っていた真也達は、夏休み前に最後の練習を開始する。



カウントダウンは、既に秒読み段階という事を知る由もなく…
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